【海外サイエンス・実況中継】日米大学院システムの比較

Post date: Jan 30, 2012 7:51:57 PM

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_/ 『海外の大学院留学生たちが送る!サイエンス・実況中継』

_/ June 2009, Vol. 53, No. 9

_/ カガクシャ・ネットワーク → http://kagakusha.net/

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大学院留学を目指している方々へ!【書籍の予告】

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カガクシャネットの多くのメンバーが、昨年より全精力をあげて執筆した留学

本が、いよいよアルク社より発売間近になりました!

タイトルは「理系大学院留学:アメリカで実現する研究者への道」。

「世界で活躍する研究者を目指す」章からはじまり、「注目される研究分野・研

究者と求められる人材」、「アメリカの大学院教育―日本との比較」で、留学を目

指す上で鍵となるさまざまな情報をまず提供します。そしていざ留学を実現させ

るために、「目標を明確にする4つのチェックポイント」、「情報収集をする ― 信

頼のおける情報入手のノウハウ」、「入学後を見据えて出願校を選ぶ(入学を有利

にする方法)」、「出願準備(成績書・推薦状・エッセー・CV/レジュ メ・テスト

対策・外部奨学金・入学審査や合否決定の裏側・etc)」、「合格通知取得後のノウハウ」

など、実際に役に立つノウハウを紹介していきます。最 後に、理系の留学経験者で

世界で著名な活躍している10人の方々にインタビューし、留学を目指す方々への

メッセージを掲載し、モチベーションが高まるよう にしました。

「我々が留学をした当時、こういう本があったらいいのに!」と思えるような書籍

を目指して、全力を尽くしてきました。多くの皆さんにとって役に立ち、将来成功

する道を歩めるきっかけになればと願っています。

2010年3月26日(金)の発売を予定していますので、乞うご期待下さい!

http://kagakusha.net/modules/weblog/details.php?blog_id=161

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今週のメルマガは、「大学院留学を実現するためのノウハウ」の一環として、

今回は日米大学院のシステムの比較に関する記事を掲載致します。

この文章に関して、ご意見などございましたら、カガクシャ・ネットホームページ

経由でも、Eメールでもご連絡をお待ちしております。今後配信して欲しい内容や、

その他の要望など大歓迎です。

http://kagakusha.net/modules/weblog/details.php?blog_id=152

EMAIL:shinichiro.fuse [AT] gmail.com

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大学院留学を実現するためのノウハウ

日米大学院システムの比較

布施 紳一郎

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国が違えば、教育制度が異なることは不思議ではありません。ましてや、言

語が違い、文化的背景も大きく異なる日本とアメリカでは、大学院のシステム

にも大きな違いがあります。そこで、まず簡単に、日本とアメリカの理系大学

院のシステムを比較してみましょう。

日本の大学院システム

日本の大学院システムにおいては、修士課程が2年間、博士課程が3年(医

学系においては4年)というのが一般的です。修了する学生は、決まった時期

にそろって学位論文発表会を行い、通常、3月に全員が修了するという仕組み

になっています。 修士課程、及び博士課程で3月までに論文を完成させるこ

とができない学生は、次の年の3月まで修了をすることができないことになり

ます。博士課程を期間内に修了できない学生は「単位取得退学」となり、それ

から1~2年以内に論文を完成させなければ、博士号を取得できずに課程修了、

という形式になります。

アメリカの大学院システム

アメリカにおけるシステムは、専攻によって異なります。主に工学などの専

攻においては、日本のような修士課程プログラムが存在するところも多数あり

ます。日本と同様、修士課程まで修めることを目的とする学生は、修士課程に

入学し、約2年間で課程を修了し、卒業後に就職するか、もしくはPh.D. 課

程へと進学します。日本と違って、修士課程修了には、学位論文の提出が課さ

れないところが多く、その場合、授業の履修のみで修士号が授与されます。

一方、医学・生物学系のプログラムにおいては、通常修士課程は存在せず、

Ph.D. 課程のみです。例外も存在し、例えば、バイオテクノロジーやバイオメ

ディカルエンジニアリング専攻などには修士課程があります。このような修士

プログラムは、講義中心の内容となり、研究はあまり行われません。

はじめからPh.D. 課程への進学を希望する志望者は、学士号取得後すぐに、

5~6年のPh.D. 課程プログラムへと直接入学するのが一般的です(1)。1~2

年目は講義と研究を行い、2年目を終了するころに、関門試験(Qualifying

Exam)を行います。この試験に合格すると、Ph.D. Candidate(博士論文提出

の資格を得た学生)となり、博士研究に専念することになります。逆に、この

試験で不合格になった学生や、試験に合格しても博士論文を完成させずに途中

で去る学生には、修士号が与えられ、「卒業」となります。Ph.D. 課程のみの

プログラムにおいて、このような修士号を得るには、修士論文を書き、口頭論

文発表会等を行うことを必須とするプログラムがほとんどです。

Ph.D. 課程の修了時期は、学生によって異なります。審査員が、博士論文を

書くのに十分と判断すれば、論文を書き上げ、ディフェンス(Defense)(2)を

行い、博士号を取得することになります。アメリカでは、一般的に5~6月が

卒業時期で、日本の3月に相当します。4月に修了し5月から次の職に就く人

もいれば、次の職が7月に始まり8月に学校に戻ってディフェンスのみを終わ

らせる、という学生もいます。修了式は学部生と同様5~6月に行われるため、

3~5月にディフェンスを行なう学生が多いのは確かですが、修了のスケジュ

ールは、学生の都合と審査員の判断によって異なります。

(1) 主に工学系プログラムにおいて、Ph.D. 課程への入学条件に修士号取得が必要

な場合がまれにある

(2) 学位論文を発表し、審査員の批評に答える。一般には、はじめに公開発表(約

1時間)を行い、一般の参加者からの質問に答え、その直後に審査員や指導教官のみ

と非公開の審査(約1時間)を行う。

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自己紹介

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布施 紳一郎

慶応義塾大学理工学部卒(2001年)、東京大学院医科学修士(2003年)。

米国ダートマス大学院博士課程修了(2008年5月・微生物学・免疫学専攻)。

モルガン・スタンレー・夏季インターンを経て、2008年9月より米国ボストン

にてヘルスケア専門の戦略コンサルティング・ファームに勤務。欧米大手製薬

企業、米国バイオテック企業を相手に新規医薬の開発・商業化、提携・M&A戦略

支援、新規市場開拓、営業体制改善などプロジェクトに参画。

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編集後記

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現在アメリカは春季リクルーティングの真っ只中です。コンサルタントとして、

主にアイビーリーグ校やMITからの大学生・大学院生(Master’s, Ph.D., MBA)の

面接・審査を行なっています。企業と大学院では学生に求められる資質が異なり、

自分を見つめ直すいい機会になっています。将来この経験に関しても執筆でき

たらと思います。

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発行責任者: 杉井 重紀

編集責任者: 布施 紳一郎

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