11/10 【海外サイエンス・実況中継】共同企画インタビュープロジェクト

Post date: Nov 10, 2012 4:57:37 AM

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_/ 『海外の大学院留学生たちが送る!サイエンス・実況中継』

_/ June 2012, Vol. 53, No. 1

_/ カガクシャ・ネットワーク → http://kagakusha.net/

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今回はICB特定非営利活動法人、国際人材創出支援センター様

(http://www.icbjapan.org/takamikaori.html)との

共同企画です。カガクシャネットの高橋がインタビュワーとして

参加しました。それではお楽しみください。

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ICBインタビュープロジェクト

道標:身近なロールモデル

ひとことで「グローバル化時代の人材」といっても抽象的すぎて

イメージがわきません。また、グローバル化という言葉を使うこと

自体がすでに内向きの姿勢を示しているとも言えます。海外に仕事で

出張することが「国際化」ではないですし、外国人と英語で会話する

ことが「国際化」でもありません。

実際には、現実社会で仕事をし、生活をしていく中で、そうした

言葉遊びのような議論を越え、内なる境界を破壊し、国境を越えた

「国際化」ならぬ、自分の境界を広げて活躍の場としていく「自際化」

とでもいえるような生き方をしている方々がたくさんいます。

本プロジェクトは、分野や経歴、留学や海外生活の有無に関わらず、

多様な価値を受容し、自然体で広がる地平を活躍の場としている方々に

スポットライトをあてたインタビューシリーズです。各回の

インタビュー内容から、身近なロールモデルを発見し、なんらかの形で

若手社会人や学生の方々などの道標となるものが見つかることでしょう。

インタビューイー:

高見香織(たかみかおり)

略歴

米で生まれ、9歳まで米で過ごし、9歳で1年間日本の公立小学校に通う。

10歳の時にサウジアラビア、12歳の時にイギリスへ移り中学・高校

へ通う。18歳の時に日本に帰国し、慶応大学経済学部へ入学、

卒業後はフジテレビへ勤務し、調査部、報道部、経済部に計10年間在籍。

その後、米コロンビア大学大学院政治経済学部で修士課程を取得後、

ニューヨークの投資持株会社でアナリスト・ステラテジストとして

2年間、ニューヨークのレストラン開発会社で開発プロジェクトに

2年間従事した。その後、日本に戻り、東京の不動産ファンドで

アジア開発担当とし働き、現在はフリーランスのコンサルタント

とし、米企業の日本進出などに貢献している。

Q)これまで海外での生活経験はありますか?

父親の仕事の関係で米に生まれ、9歳まで米で過ごし、10歳からの

2年間はサウジアラビアで、12歳から18歳まではイギリスで過ごし

ました。日本の大学を卒後後、フジテレビを退職後、米コロンビア大学大学院

へ留学をし、卒業後はニューヨークの投資持株会社、

レストラン開発会社で各2年間働きました。

Q)長い海外生活でいったん日本に帰国されたときのギャップはなんでしたか?

私は9歳からの1年間を日本で暮らし、公立小学校へ通いました。

その際に感じたギャップは、皆がランドセルを持ち、学校では

上履きに履き替えるということでした。米では各自が自分の

バックで通学し、室内でも土足で過ごすため、ランドセルを

持つ習慣と、校舎に入る際に上履きに履き替えるという習慣が

全くありませんでした。体育の時に使用する体操服に対しても、

米では使用しないため、違和感がありました。

その他には、生徒が自分たちで学校を掃除することにも驚きました。

米では、掃除担当の方々がそれぞれの学校にいて、その方々が

掃除をしてくれるため、生徒は掃除をする必要がありません。

生徒が自ら掃除をするという習慣と、帰りの会終了後に掃除を

行うという学校の規則を知らなかったため、帰りの会終了後に

掃除をせずに帰宅したら、翌日罰として、一人で教室の掃除を

行うことになりました。教室の掃除を一度もやったことがないため、

掃除の仕方がわからず、掃除をしなかったところ、一人で音楽室を

掃除するようにと、閉じ込められたこともありました。

また登下校では、子供たちだけで登下校することに

“なんて危険なんだ”と思い、戸惑いを感じました。米では、

小学生の登下校は保護者が送迎するというのが一般的です。

この違いには“Independence(自立、独立) ”に対する捉え方の

違いがあるからでしょう。日本では、小学生が自分たちの力で、

登下校することを“Independence”の一つと考える一方で、

米では子供が危険にあう可能性がある中で登下校することは

“Independence”とは捉えず、逆に安全上の問題と捉えている

ためです。このように文化、習慣、考え方の違いで様々な

ギャップを感じました。

Q)修士課程で再び米国に留学を決めた理由はなんですか?

実は入社前から海外の大学院で、修士課程もしくは博士課程を

取得したいと考えていました。フジテレビに入社し、

幼い頃からの“ジャーナリストになる”という夢は叶えましたが、

仕事をするに連れて、当初抱いていたジャーナリストに

対する理想と現実にギャップを覚え、新しい世界で、楽しい

仕事をしたいという思いがあったためです。その結果、海外の

大学院であるコロンビア大学大学院で、ジャーナリズムとは

全く異なった分野の政治経済を専攻にすることにしました。

Q)グローバルで活躍する場合、必要とされる能力はどの

ようなものだとお考えですか?

一番必要とされるのが、意思決定のスピートが早さだと思います。

そのためには、自分の仕事・発言にしっかりと責任を持ち、

相手を説得させられるような理論的な交渉ができる必要が

あると思います。コンサルタントとし、日本と外国の企業の

間に入り、仕事をしてきた経験上、日本の場合は判断が

下されるまでに審査・承認のための回覧があり、意思決定の

スピードが遅いという印象があります。一方で海外の場合は、

担当者の判断により決断できることが多いため、1つの

仕事においても意思決定のスピードが早く、仕事がスムーズに

進む事が多いです。2カ国以上で仕事をする場合、海外企業の

意思決定のスピードは早いが、日本のスピードが遅いことが

あるため、仕事がスムーズに進まない事があります。

更に、仕事に前向きに取り組むことも、グローバルで活躍する

ための能力であると思います。例えば、ルール等により実行

することが困難な問題でも、そのルールを上手に活用、

もしくは別の方法を提案することで、仕事をスムーズに

遂行していくことができると思います。

Q)どうしたらそのような能力を身につけられますか?

私は、子供が育ってきた環境(主に初等教育)が大きいと思います。

日本の場合、子供同士の喧嘩は子供同士で解決させる事が多々

ありますが、米の小学校の場合は、必ず先生が仲裁に入ります。

先生がお互いの子に、喧嘩の理由や主張などを聞き、お互いの

子に双方の状況を理解させます。その上で、“今日の喧嘩は、

〇〇さんが~をしたから〇〇さんの方が良くないね”などと、

相手の意見を理解し、尊重した上で、理論的な見解を教え、

解決へ導きます。そうすることで、子供は大人から論議において

問題解決の仕方/理論的考え方を学び、交渉力が身につきます。

中学生以降は小学校で学んだことを生かし、生徒間で解決する

ようになります。小学校のうちに、問題解決の仕方や理論的

考え方を先生に教えてもらうことで、将来社会人になって

からもしっかりとした議論ができるようになります。

例えば、今後仕事上で意思決定のスピードを上げるためには、

“私にこの仕事を任せて下さい”と自信を持って上司に伝え

られ、任せてもらえるよう上司を説得できるぐらいの実力と

交渉力を身につける必要があると考えています。

Q)最後にグローバルなキャリアを目指す方々へのメッセージ

をお願いします。

外国とビジネスをする場合、外国の方には、こちらが明確に

言ったことや見えるものしか分かりません。日本の文化の

ように“相手が察してくれる”ということはありません。

また、日本では礼儀として受け入れられることでも、海外

では怪しく見られることがあります。日本では常識でも、

海外では非常識、また逆の場合もあります。考えや意見を

はっきりと目に見える形で伝えることが、相手との

コミュニケーションにおいて非常に大切です。外国の方にも

情熱はしっかりと受け入れられます。強い情熱を持って

行動することで道は開けます。

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