【海外サイエンス・実況中継・特別号】 大学院留学:自分が変わる~留学してみて良かったこと

Post date: Jan 30, 2012 7:11:51 PM

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_/ 『海外の大学院留学生たちが送る!サイエンス・実況中継』

_/ January 2008 Vol 27 No 1

_/ カガクシャ・ネットワーク → http://kagakusha.net/

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あけましておめでとうございます。今週は、なぜアメリカの大学院を選んだ

か、の特別号をお送りします。このテーマで執筆してもらうのは、おそらく

今回で最後です。トリをつとめるのは、カリフォルニア大学バークレー校で

「環境・大気化学」を研究している峰島さん。研究紹介の方は、今までとは

順序を変えて、来週にしてもらう予定です。他の何人もの方々と同じく、

彼女も専攻を変えたそうです。さらに、実際に留学してみて良かったこと

にも言及されています。

(杉井)

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なぜ日本でなくアメリカの大学院を選んだのか?

峰島 知芳

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私は日本で修士号(物理化学)まで取り、その後アメリカの大学院のPh.D.

課程(大気化学)に進学しました。私が当時留学を選んだ理由は3つあった

と思います。

1.学費がタダ&生活費がもらえること!

2.専攻分野を変えたかったこと

3.学部で留学した時に、アメリカの大学の授業を受けて自分に合っていた

こと

一つ目の理由は文句無く、とても大きいと思います。親の援助なしに博士号

を取れるのですから、素晴らしいと思います。

二つ目の理由は、専攻を変えたかったことです。日本で修士まで出たのです

が、ドクターから専門を変えたいと思いました。しかし、日本で専門を変え

ても、3年でドクターを終えねばならず、3年でどのぐらいその分野をマス

ターできるのか、自分が使いものになるぐらい成長できるのかわからないと

思ったので、それならばアメリカの大学院で5?6年をかけて、一からやろ

うと思いました。

また、私の専攻したかった大気科学の分野が、アメリカに於いて日本より進

んでいることも大きな理由の一つでした。

三つ目の理由ですが、私は学部の3年生の時に、シアトルにあるワシントン

大学に交換留学生として留学をしました。その時に授業を取って、すごく

おもしろかったのです。日本で言うところの高校のように宿題が出て、それ

を添削して返してくれる、質問をすると答えてくれる。このようなシステム

が私にマッチして、授業の内容がよく身についたのです。簡単な質問も何で

も聞いていいというのがまた魅力でした。なんだかフランクな雰囲気がとて

も気に入って、アメリカにまた戻りたいと思うようになりました。

さて、ここからは実際に留学してみて、アメリカの大学院に来てよかったと

思うことをお話したいと思います。

1.インディペンデントであることを学んだこと!

私は日本では修士までしか行っていませんし、研究室によって随分と雰囲気

が違うと思うので、一般化は出来ないかと思いますが、私はアメリカの今の

研究室で研究をして来て、随分とインディペンデントであることを学んだと

思います。一人前の研究者として扱ってもらって、プロポーザルを書いたり、

研究を遂行したり、信頼をしてもらって、思う存分研究をできたと思います。

日本の修士の時のように、決め細やかな指導というものは無かったし、何を

博士論文に載せるかなど、自分で決めて結果を出さなければならないので、

その点では不安も大きかったと思います。ですが、自分の頭で考えて、行動

して、上手く行っても行かなくても、自分の責任という状況で、研究する

ことをみっちり経験したことは、この先いかなる状況でも活きてくると思い

ます。

2.いろんな日本人の方々に会えたこと

このメールマガジンにまぜていただいていることもそうですが、日本ではお

会いできなかったと思われる様々な日本人の方々に会えたことが、財産だと

感じています。いろいろな人からお話を聞いたり助けていただいたり、日本

人だというだけで親しくしていただけたので、本当にラッキーでした。

3.研究や仕事に対する姿勢が少し変わったこと

一つの例を挙げますと、日本にいた時には“不言実行”が最良だと思ってい

ましたが、アメリカで研究しているうちに、何事も“話せないということは、

頭の中にも何も無いということなんだ。。。”というように、見方が変わりまし

た。これは、“不言実行”ということで、”無口もいいではないか”と、

本当は頭の中がからっぽでアイディアやディスカッションができなかった

のを、”後で研究で結果を出せばいいはずだ”というように、自分を隠して

いた自分に気づいて前進させる大きな変化でした。

そうこうするうちに、ミーティングでも、ちょっとしたディスカッション

でも、“後で調べよう、後でキャッチアップしよう”から、”その時に発言・

質問しよう!”という姿勢に変わりました。この結果、ディスカッションが

とっても楽しかったですし、その場で多くのことを学ぶことができました。

その他、アメリカの大学院に来てよかったと思ったことは、プレゼンテー

ションの仕方などの研究面だけでなく、オフの取り方など、アメリカ人の

やり方を見て学ぶことが多かったことです。

最後になりますが、私はアメリカの大学院に留学して、本当に良かったと思

います。一人でも多くの方に、私と同じエキサイティングな経験をしていた

だきたいと思います。質問などございましたら、minejima at berkeley.edu

(“at”を@に変えてください)のほうにいつでも御連絡下さい。

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自己紹介

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峰島 知芳(みねじま ちか)

日本の某大学の化学科を卒業した後、専攻分野を物理化学から大気化学に変

えるため渡米。カリフォルニア大学バークレー校Ph.D.課程在籍。もうすぐ

卒業予定。

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編集後記

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先月にも書きましたが、アメリカの研究室では1月2日からが、始業です。

休暇モード一色だったクリスマスとは、雰囲気がうって変わります。私なん

か、おおみそかの日に、LAのとあるホテルで、日本の紅白歌合戦を見る

機会があったばっかりに、日本のお正月気分に浸ってしまいました。それで

2日はゆっくりと午前中買い物に行って、午後に細胞培養しにラボに行った

ら、もう8割方の人たちが働いていました。3日になったら、もう皆ほぼ

平常通りです...私も見習って、年の最初から飛ばしていこうと思います。

(杉井)

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