【海外サイエンス・実況中継】 生命現象をコンピュータで実現?劇的に変わる医療の現場 ~ バイオインフォマティクス
Post date: Jan 09, 2012 5:30:21 PM
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_/ 『海外の大学院留学生たちが送る!サイエンス・実況中継』
_/ November 2007 Vol 23 No 1
_/ カガクシャ・ネットワーク → http://kagakusha.net/
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研究の最前線をお送りするのも23回目となりました。今週はニューヨーク
大・マウントサイナイ医学校に属する小葦さんが、「バイオインフォマティ
クス」について執筆してくれました。小葦さんは、人物もユニークですが、
書く文章もとてもユニーク。書かれた原文を、できるだけ忠実に載せるよう
努力しました。Kagakushaネットワークでも、これからの活躍をもっとも
期待されている人物の一人です。
(杉井)
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今日のエキスパートな質問(答えは下にあります)
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1. 1990年代に開発された、DNAからなる数千の遺伝子を、同時に
かつ網羅的に調べあげる手法を、何というでしょうか?
2. 「一塩基多型(SNP)」とは何でしょうか?人にどのように関わっている?
3. 小葦さんが生命現象をシミュレーションするのに使う、物理の理論2つ
と技術をあげてください。
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生命現象をコンピュータで実現?劇的に変わる医療の現場 ~ バイオインフォマティクス
小葦 泰治
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* はじめに *
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今回、このメールマガジンでは、「バイオインフォマティクス」という
研究分野について、現在、実際に医療の現場で、どのように活躍しているのか。
そして、近い将来、現在の医療を根本的に変え、より効率良く、
低コストで、短時間で病気の診断や治療が行えるようになる、
未来医療への橋渡し役としての「バイオインフォマティクス」について、
最先端の研究動向も踏まえた形で、できるだけ専門用語を使わずに、
難しい説明は極力避けるようにして、その魅力をわかりやすく、
さらにおもしろく、紹介させていただきたいと思います。m(_ _)m
その前に、ちょっとだけ、イントロとして、、、
ズバリ言います! (細木数子さんじゃないけど、、、やや古い? 笑)
世の中にある、自然創造物以外のすべての物は、人間の思考から生まれた
ものです。
音楽にしろ、絵画、彫刻、建築、政治、経済、法律など、そうですね。
そして、科学技術というものも、これに同じで、世の中の科学者と
いわれる人たちが、長い年月と、試行錯誤の繰り返しや、ひらめきにより
生み出された、研究開発の成果のたまものに他なりません。
人類の歴史というものは、たいへん尊いもので、簡単に
振り返るだけでも、次のようなビックイベントがすぐ思い浮かびます。
灌漑農業の手法が開発され、それが広まったことにより、
人類は食料を自らの手で育て、消費し、生活ができるようになりました。
エジソンさんが電球を開発することにより、人類は、24時間、
太陽の光なしでも、活動をすることができるようになりました。
そうですよね。
ワットさんが開発した蒸気機関により、工業化社会が幕を開け、大量生産時代、
近代文明がもたらされたと言っても過言ではないかもしれません。
コンピュータの出現により、生産ラインが、コンピュータ化された
ことで、低コストで、品質のいいものが、どんどん作られるようになり、
さらには、情報管理技術、情報通信技術の発展により、
情報化社会が幕を開けることになりました。
そのような中で、この21世紀、科学技術研究の急速な進展を背景に、
人類はまたあらたな、医療革命という名の文明の進化の恩恵を
受けようとしています。
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* さて、いよいよ本題へ *
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今回のメールマガジンでは、
現在、研究・開発が進んでいて、近い将来、可能になるであろう
夢のような技術についてのお話です。劇的に変わっていく医療研究の
現場。21世紀の医療革命を準備すべく、様々な分野において、
人類の英知を結集して、学際的な研究により実現しようという
取り組みについて、ごく一部を簡単に紹介させていただきます。
現在の先端医療の、さらに先を行く未来医療について、
その中でも特に今回は、バイオインフォマティクスという研究分野について、
その概略を紹介するとともに、少し踏み込んで、コンピュータの中で、
複雑な生命現象を再現する研究などについて、説明してみようと思います。
はっきりいって、論文調に専門用語を並べたり、
複雑な数式を用いて説明することも、もちろんできます。
しかし、今回は、最先端で行われている研究を、専門ではない方々にも、
広く理解してもらうことにより、みなさんの反応も考慮に入れながら、
今後、世の中のニーズに少しでも多く答える形で、研究・開発を
行っていきたいという思いから、可能な限り、専門用語は使わない形で、
しかも、読みやすさを重視するために、2人の架空の人物を登場させて、
会話風にして、解説させていただいています。
それでは、はじまり、はじまり。。。
このコラムの登場人物 (架空のキャラクターです。)
たいじ君 (5歳):
ビックリマンシール (天使 vs 悪魔シリーズ)や、機動戦士
ガンダムの消しゴム (通称: ガンケシ)を集めるのが趣味という、
ごくごく普通の幼稚園児。鉄腕アトムとドラえもんをこよなく
愛し、将来は、利根河原博士のような科学者になりたいと
密かに思っている。ライバルは、クレヨンしんちゃんと、江戸川コナンくん。
最近、 英会話のお勉強を始めたそうです。志望校は、ハーバード大学。
長野翼アナウンサーと、歌手谷村新司さんの隠れファン。 渋っ
利根河原進博士 (年齢非公表、噂では29歳):
子供好きだが、福山雅治さん演じるドラマ・ガリレオの主役で
変わりものの天才物理学者、湯川学准教授 (子供嫌い)に、妙に共感を
感じている今日この頃。
夢があって、世の中の役に立つ研究がしたいと、人一倍思って
いるらしいが不明。密かにノーベル賞を狙っているとか、いないとか。。。
最近、だんだんとサラリーマン川柳の作者の気持ちがわかるように
なってきたらしい。この夏ビリーブートキャンプにより、5キロ
の減量に成功。現在 N.I.T.で研究開発に従事。
以下は、ある週末の午後、たいじ君が、利根河原博士の研究室に遊びに
来ているときの会話です。今回はどうやら、今、巷で話題の
バイオインフォマティクスについて、いろいろ話しているみたいですね。
たいじ君: 博士ー、ちょっと、見てみてー
博士: はぁ~
たいじ君: そんなの関係ねぇ~、そんなの関係ねぇ~、はいオッパッピー
博士: なにそれ???
たいじ君: えぇ~、利根河原博士、これ知らないの~ 遅れてるなぁ~
今が旬の芸人、小島よしおさんのモノマネだよ。
博士も研究ばっかしてないで、ちょっとは麻生太郎前幹事長みたいに、
ちゃんと世の中の動きについていかないとだめだよ!
博士: 今日こそは、先にダメ出ししてやろうと思ったのに、先にダメ出し
されてるよ~(ノд・。)
たいじ君: 博士は、何してんの? (タメ口風)
博士: 今ねぇ~、あるメールマガジンで、バイオインフォマティクス
っていう分野を紹介するためのコラムを書いてるんだよ
たいじ君: へぇ~、なにそれ!?
博士: いきなりだけど、たいじ君、「現在の最先端の研究では、人間の
体の中で起こっている現象を、コンピュータで忠実に再現できるように
なってきてる。」と聞いて、どう思う?
たいじ君: はははは、はははは、さっぱりわからない。
(やや、ドラマ・ガリレオ、湯川学准教授風)
博士: 湯川先生、じゃなくて、たいじ君、そうだよねぇ~
さっぱりわからないよねぇ~ (ふっ、まだまだ子供だなぁ~)
でも、現象には必ず理由がある。(こちらも負けずに、湯川学准教授風)
たいじ君: そうですよね、博士。
う~ん、え~っと、人間には確か、約2万2千個ほどの遺伝子が
あって、それがもとに約6万個ぐらいのタンパク質が作られてるみたいで、
なんかよくわからないけど、体の中で複雑な反応してるんでしょ!?
でも、なんだかよくわかんねぇ~ (*д*;)
博士: つまりこういうことだ。1つ1つわかりやすく説明していこう。
(以下も飽きずに、湯川学准教授風に説明 …笑)
近年、分子生物学の急速な発展により、人間の設計図とも言える
DNAが解読され、またそれをもとに作られた実際の生命現象に
関わっている、RNAやタンパク質が、かなり調べられてきている。
しかも、ある特定の病気に関わっているタンパク質や、もっと具体的な
遺伝子内の異常まで特定されてきている!
実に面白い。でも驚くのはまだ早い!
1990年代には、「DNAマイクロアレイ」という手法が開発された。
これは簡単に言うと、設計図である遺伝子が、どれだけ働いているかを、
数千の遺伝子を同時に、かつ網羅的に調べあげる方法。
ヒトの設計図であるDNAの解読後、これにより、例えば
ある特定のガン患者と、健康人との遺伝子の働き方のパターンを、
コンピュータを駆使して、統計的に比較することにより、
ガン診断にも使われてきている。
もちろん、その他の病気の診断に応用することも可能。
これも、バイオインフォマティクスの一分野だと考えられている。
DNAは、4つの塩基、A(アデニン)、T(チミン)、G(グアニン)、C(シトシン)
から構成されている。最近では、各遺伝子の配列の中で、ATGCのうち1つ
だけが違うという、一塩基多型(SNP)が人それぞれにあることも、
よく知られている。
つまり、この一塩基多型は、ヒト一人当たり約150~300万あるとされ、
人それぞれが持つ体質というものに深く関わっているということが、
最近の研究により明らかになってきている。
たいじ君: ギガントすげええええ
(しょこたんこと中川翔子氏の言葉で、超すごいの意味)
(完全に利根河原先生の濃いキャラに押されまくってます (><))
博士: (もう今回はこのまま、湯川学准教授風で行くことにします …笑)
そしてこれらも、コンピュータで統計的に解析することにより、薬の
効きやすさの推定や、それに伴う処方薬の選択、さらには!副作用予測
にも応用しようとされている。
このようなこともバイオインフォマティクスの一分野だと
言えるかもしれない。
たいじ君: それは、どげんかして応用せんといかん!
(宮崎県知事・東国原英夫氏風)
博士:
さらに最近の研究では、この一塩基多型のパターンにより、病気になりやすい、
あるいは、なりにくい体質が決定されている、ということもわかってきている。
つまり!予防医学などへの応用も期待されている。
その他にも、分子生物学、生化学、細胞生物学、遺伝子工学、生理学、
微生物学、脳神経科学など、様々な分野の研究者が、
実験しやすいように、目的別のデーターベーズ。また現在では
それらを統合して、データーの一括検索を可能にし、より使いやすく
しようという試みもなされている。
また、これらを活用して、医学・生物学的に意味のある情報を抽出する
ためのツールやプログラムの開発なども、バイオインフォマティクスに
含まれるかもしれない。
たいじ君: へぇ~、生命科学研究って、すごい進んできてるんですねぇ~
博士: (もとの自分のキャラに戻って、、、)
そうだね、本当に、そう思うね。
でも、現在の研究の最先端は、さらに進んでいるんだよ!
たいじ君: どんだけぇ~
( ・_・。); (ちょっと汗)
博士:
DNAというヒトの設計図をもとに、現場では、生命現象に関わっている
RNAやタンパク質が作られているという、お話はしたよね。
ここで、たいじ君に、またまた質問です。
このDNA、RNA、タンパク質って、どれぐらいの大きさなのか、知ってる?
たいじ君: う~んっと、それぞれの組織は細胞から構成されていて、
DNA、RNA、タンパク質って、きっと細胞よりも小さいから、
顕微鏡を使わないと見えないかな???
( ・_・。); またしても、よくわかんねぇ~ (*д*;)
博士: そうだねぇ~、ものすごく小さいから、最高性能の電子顕微鏡*で、
まぁなんとか、ある程度の形がわかるというぐらい、小さいんだよ。
具体的には、1ミリの100万分の1から、1000万分の1ぐらいの
大きさ。
*: ここで、利根河原博士の言っている顕微鏡とは、極低温電子顕微鏡の
ことを指しています。
たいじ君: じゃあさぁ~、顕微鏡でもよく分からないぐらい小さいのに、
最近新聞などでよく見かける、分子の形って、どうやって調べられてるの?
博士: (新聞って、この子、本当に5歳か?漢字は読めるのか?と思いつつも、、、。)
これはたいへんいい質問ですね。 まぁ細かいことは、ここでは割愛する
として、手法として、X線結晶構造解析や、NMR(核磁気共鳴)というものを
使って、分子の形が調べられていることを紹介しておきたいと思います。
これらの手法の驚異的なところは、DNA、RNA、タンパク質が、
1ミリの1000万分の1の大きさで、調べることができるという点ですね。
たいじ君: 1ミリの1000万分の1って、そのサイズ(大きさ)のミーン(意味)する
ところが、全くアンクリアー(よくわからない)なんだけど。(>_<)
博士: (なんでそこだけ、ルー大柴になっとんねん!)
たいじ君: 要するにメチャメチャ小さい、ということですね。
だったらさぁ~、最近、なんか巷でよく言われてる、ナノテクノロジーとか
いうやつと関係があんの? (またもやタメ口風)
博士: よく知ってるねぇ~
ナノテクノロジーと結びつけて行こうという動きも活発です。
ナノメートルというのが、1ミリの100万分の1なので、そのさらに
10分の1の大きさになるよね。ただ、X線結晶構造解析で調べられた分子
の形というものは、基本的には止まった状態で記録されているので、
実際に体の中で動いている様子を調べるには、まだまだ技術的な難しさが
あります。
NMR(核磁気共鳴)だったら、動いている様子を調べることはできるけど、
それもサイズの小さな分子までで、大きな分子だったり、
特殊な環境にある分子だと、まだまだ難しかったりします。
そこで登場するのが、現在、僕や僕の所属している研究室で行われている、
分子シミュレーションという方法です。僕たちは、X線結晶構造解析や、
NMR (核磁気共鳴)で調べられた分子の構造をもとに、物理の理論を応用して、
スーパーコンピュータを使い、DNA・RNA・タンパク質が、体の中で、
実際にどのように動いて、機能しているかを調べてるんですね。
すなわち、DNA、RNA、タンパク質がそれぞれ、人間の体の中で、どのように
相互作用し合いながら、機能を発揮しているかを、フェムト秒(1000兆分の1秒)
からマイクロ秒(100万分の1秒)の範囲内では、コンピュータ内で、
かなりの高精度で調べることができるようになってきています。
例えばですね、現在、うちの研究グループでは、免疫系の指令塔が、
自分と、それ以外の外部からの侵入物とを見分けるとき、かなめとなる
“MHC class II”という分子と、そのくっつく相手となるペプチドとの
相互作用ならびに、ヘルバーT細胞を活性化させて
免疫系を稼働させるしくみを調べています。 現在進行中。>< /☆
たいじ君: う~ん、なんだかよくわからないけど、体の免疫機構を働かせる
上で、メチャメチャ重要な (>_<) 分子ということなんですね。
それと、なんか、統計力学とか、量子力学などの物理の難しい理論 (>_<)
をもとにして、スーパーコンピュータを使って、シミュレーション
してるってことですよね。んでもって、そこから医学・生物学的に、
有効な情報を引き出そうとしてるってことですね。(>_<)
博士: そのとおり! (再び、湯川学准教授風)
(でも、ちょっと待ってくれ!一番おいしいとこ持っていかれとるし、、、)
たいじ君: でもでもぉ~、スーパーコンピュータって、
どれぐらい計算が速いの? ( ・_・;)??
博士: 説明しよう! (引き続き、湯川学准教授風)
たいじ君: (ドラマの影響受け過ぎだろ。。。) ( ・_・。); (ちょっと汗)
博士: IBMと米エネルギー省が共同開発した汎用スーパーコンピュータ
“BlueGene/L”が、2007年11月の時点では、世界最高速で、
理論上1秒間に、約478兆2000億の計算を行うことができる。
日本では、現在開発が進んでいて、2008年に稼働予定の専用スーパー
コンピュータでは、1秒間に、約2000兆回の計算を行えるらしい。
たいじ君: 1秒間に、約2000兆回の計算って。。。どんだけぇ~
う~ん、またしても、どれぐらい速いのか (>_<) よくわからないけど、
要するに、ものすごく速いっていうことですね。
博士: (もとのキャラに戻って)
まぁねぇ~、これでも、バイオインフォマティクスも含めて、
科学技術計算では、もっと高速な処理速度が必要な課題がたくさんあるん
だけど、現在では、量子コンピュータという、現在のスーパーコンピュータ
よりもはるかに速いものが、研究・開発されていて、将来的には、
分子生物学、生命科学、医学分野での応用も期待されています。
たいじ君: でもぉ~、話しは戻るけど、利根河原博士のシミュレーションの
研究だけどさ、そんなことして、何の役に立つん? (タメ口風)
博士: そんなに聞きたい?
たいじ君: 別に。。。(沢○エリカ様風)
博士: ガ━━Σ(°Д°|||)━━ン!!
たいじ君: 利根河原博士、冗談だってば、冗談 …笑 o(^o^)o
博士: では始めると、、、
人間が、病気から自分の体を守る際、免疫系を働かせるのには、
この MHC Class IIという分子が、重要な役割を果たしているからなんだよ。
それに、この分子が、もし自分の体の一部をT細胞に提示すると、
自分の体を破壊しはじめて、自己免疫疾患という病気になるんだよ。
例えば、関節リュウマチとか、全身性エリテマトーデス、1型糖尿病、
バセドウ病、橋本病、多発性硬化症(神経の病気)や、若年性糖尿病とか。
たいじ君: へぇ~、そりゃすごいや!
博士: しかも、この分子シミュレーションは、どんなシステムにも
応用することが可能なんだよ!
例えば、うちの研究グループが取り組んでいる
DNAの配列にともなう、動的挙動を調べたり、
DNA修復酵素と、特異的なDNA配列との相互作用。
血液凝固に関わる酵素によるアロステリック制御機構の、分子レベルでの解明。
味覚に関わるGPCRとリガントの相互作用。
PIP2によるイオンチャネルの制御メカニズム。
RNA干渉* に関わっている、RNAとタンパク質の相互作用。
*: 2006年にノーベル賞を与えられたテーマであることは、記憶に新しい
それ以外にも、
今すでにあるお薬を、より効くように改良することもできるし、
作用機序のわからない薬が、実際にどのように作用することで、
効果をもたらしているかを、分子レベルで調べることも可能になるんだよ。
それだけでなく、薬のターゲットとなる、標的のタンパク質が
わかれば、その分子の形をもとにした新薬を、コンピュータ上で
作ることもできる可能性も秘めてる。
しかも、患者さんの遺伝子の違いにより、薬の効き方に違いが
あることも、説明できるし、なによりも、それぞれの患者さんに
一番いいお薬を処方することもできるようになるし、副作用だって
軽減することができるんだよ。
たいじ君: 科学技術の目覚ましい進歩に、感動したっ! (><)
(小泉○一郎元首相並みの絶叫調で)
僕はてっきり、利根河原博士は、なんだか怪しい研究ばっかりしてるん
だと思ってたよ! (笑)
博士: あのな、、、
たいじ君: (博士が英国から特別にお取り寄せてしている、こだわりのお紅茶を、
その価値もわからずに、ガブカブ飲みながら、、、笑)
なるほど、人はみかけにはよらないというわけだ。
博士: いったい褒めてるのか、けなしてるのか、、、
2人のやりとりは、おしまい。
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* 最後に *
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というわけでしたが、いかがでしたでしょうか?
このメルマガを、ご愛読していただいているみなさまに、
少しでも、バイオインフォマティクスという分野は、
なんだかおもしろそうだなぁ~とか、もっと自分でも
勉強してみたいなど、興味が湧いたりすれば、これほど
うれしいことはありません。
最後になりましたけど、私自身も、
分子の形や、その動き方の特徴に基づいて、新たなお薬を、
低コストで、短時間で、 効率よく作って、癌や神経や、
免疫の病気の治療に、少しでも多く貢献したいと思いながら、
たいへん微力ではありますが、日々研究・開発に携わらせて
いただいているところです。m(_ _)m
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自己紹介
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小葦 泰治 (おあし たいじ)
2001年 関西大学工学部生物工学科卒業。京都大学大学院生命科学研究科
にて、半年ほど日本の大学院生活を経験したのち、2001年8月より、
Mount Sinai School of Medicine of New York University の
計算機生物物理分野の Ph.D. Program に進学。
もうすぐ Ph.D. (博士号)を取得の見込み。Ph.D.取得後は、博士研究員
などとしてさらに実績を積んで、将来は立派な教授となり、この分野を
引っ張っていくことが目標。情報生物学適塾(塾長: 松原謙一先生、
国際高等研究所にて2001年開催)の最年少参加メンバー。
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今日のポイント(エキスパートな質問の答えです)
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1. 「DNAマイクロアレイ」法は、1990年代に開発され、DNAからなる
数千の遺伝子を、同時にかつ網羅的に調べあげる方法である。
2. 各遺伝子の配列の中で、ATGCのうち1つだけが違うことを、一塩基
多型(SNP)という。 この一塩基多型のパターンにより、病気のなりやすい、
あるいは、なりにくい体質が決定されている、ということもわかってきている。
3. 小葦さんは、統計力学や量子力学などの物理の理論をもとに、スーパー
コンピュータを使って、人体の免疫機構をシミュレーションしている。
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編集後記
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アメリカではこの木曜日から、サンクスギビング(感謝祭)の真っただ中。
この、11月下旬のサンクスギビングの日から、クリスマス・年末にかけて
「ホリデー・シーズン」と呼ばれる季節となります。日本では、12月と
いえば、「師走」なので、一年の中で一番忙しい時期であるはずです。そして、
大晦日をむかえ、新年をゆっくりと過ごしますね。逆にアメリカでは、
ホリデーシーズンに入ると、たいていの人の仕事は減速していきます。
そして、新年を迎え、1月2日頃になると、気持ちを入れかえて、ばりばり
働きだします。このような1年の見方でいうと、日本人はどちらかというと
「追い込み型」、アメリカ人は「先行・逃げ込み型」と言うことができるで
しょうか。
(杉井)
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