7/15 【海外サイエンス・実況中継】 就職活動記事

Post date: Jul 14, 2012 7:2:46 AM

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_/ 『海外の大学院留学生たちが送る!サイエンス・実況中継』

_/ July 2012, Vol. 48, No. 1

_/ カガクシャ・ネットワーク → http://kagakusha.net/

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本イベントは、文系・理系にかかわらず、graduate school (学術系大学院)

のPh.D.の学位取得を目指すための正規留学、またその在学生、卒業生や、

グローバルなキャリア構築を目指す方を幅広く対象にしております。

時間

2012年7月22日、13:30 ~ 17:00

場所

東京国際フォーラム 会議室 (G701)

プログラム

理系大学院留学経験者による講演会

基調講演:杉本慶子先生 (理化学研究所)

安西祐一郎先生 (日本学術振興会理事長,前慶応義塾長)

ポスター発表(留学情報、研究紹介、就職体験記)

パネルディスカッション

懇親会17:00~19:00 (有楽町カフェ&ダイニングby ROYAL)

参加無料

プレゼントあり!

(懇親会費用は実費:約2500円)

スポンサー

アルク

小林久志名誉教授(プリンストン大学)

留学ジャーナル

カガクシャ・ネットメンバー有志

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メルマガ副編集長のブラウン大学石井です。今回は布施紳一郎さんに就職活動

記事を書いていただきました。何が就職活動において重要なのかなど様々なこと

が書いてあります。これから就職活動をする人には非常にためになる記事です。

それではお楽しみください。

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就職活動記事: 布施紳一郎

・大学院留学先、学部学科を教えてください。

ダートマス大学、分子細胞生物学プログラム(Dartmouth College, Molecular and

Cellular Biology Program)で免疫学を専攻しました。慶應大学理工学部応用化学科

卒業後、東京大学医科学修士課程を経て留学をしました。

・キャリアプランについてはいつごろから考えていましたか?

留学当初はアカデミアしか考えていませんでした。ただアメリカのバイオテック・

エコシステムのダイナミックさに魅了され、ビジネススクールの講義を聴講

したり、インターンを経験するにつれて企業就職を考え始めました。考え始

めたのは三年目の終わり辺りでしょうか。論文を数報投稿し、指導教官と

博士後の進路の話をちらっと話したことがきっかけで真剣に考え始めました。

・就職先はアカデミアですか?それとも企業就職でしょうか?それは、どう

いった分野ですか?大学院研究との関連性はありましたか?

企業就職で、博士修了直後はボストンに拠点を置くヘルスケア(製薬・バイオ

テック)に特化した戦略コンサルティング・ファームに就職しました。

ヘルスケア、ライフサイエンスなので、基本的には同じ分野です。様々な

プロジェクトをやりましたが、自分の研究分野であった免疫やオンコロジー(腫瘍学)

がホットな領域だったので、運良く関連性は比較的高かった気がします。

もちろん全く関係のないプロジェクトにも多数関わりました。例えばプライマリーケア製品

の営業分析、改革に関わるプロジェクトなど。ただ大学院時代の研究と

かけ離れたプロジェクトの方が学ぶことが多く、逆に楽しくも感じました。

その後、大学発の技術の商業化を行っているベンチャー・キャピタルから誘われ、

また新たなことを試してみたく転職しました。

・就職先をそちらに選んだ動機を教えてください。

研究者とビジネスサイドの職では少し迷いましたが、大学院四年目の夏に3ヶ月

休学し、米系投資銀行の東京支社でインターンをし、ビジネスサイドへの転換を

決めました。ヘルスケア・ライフサイエンスに特化したもの、しかも新たな

技術の商業化に関わる仕事がしたかったため、やはり先端をいく米国に残り

たいと考えました。米国に残るのならライフサイエンスのメッカである

ボストン、サンフランシスコ、ニューヨーク・ニュージャージー地域のどこか、

とこの三地域にほぼ絞りました。米国に残ったのは妻がアメリカ人だという

家族の事情もあります。

・就職活動のプロセスについてお願いします。どういったプロセスを経て

オファーをいただきましか?

基本的にコンサルティング・ファームはどこもプロセスは似ています。

まずはレジュメとカバーレターを提出し、いわゆる”レジュメ・スクリーン”

で残ったら面接へ進む。大手は筆記またはネット上の試験(GMAT形式)と

電話面接、もしくはキャンパスにて30分程度の面接。それを通れば第2、3ラウンド

はオフィスを訪れての面接。第2ラウンドはアナリスト、アソシエイト、

マネジャー・レベルの面接官で、第3ラウンドでは基本的にはパートナーと話します。

形式はケース、及び経験や動機などを問われるFit / Experience Interviewsの

ミックスです。大手はケースが多く、ブティーク(Boutique: 業界、または

ファンクションに特化したコンサル)はフィットを重視する傾向があります。

ブティークは勿論ちろんながら職務内容に関連するケースを聞いてくることが

多かったです。合間に若手社員と昼食に行く面接も多いですが、もちろん

これも面接の一環で、基本的にはフィットを見ています。よく”Airport Interview”

とも言われますが、飛行機が遅れてこの候補と飛行場で数時間過ごす事になっても

つまらなくないか、ということを試されます。これらの面接を通ればレファレンスを

チェックして、問題がなければオファーが出ます。

・実際にあった面接での質問を教えてください。

4年以上前のことなので詳しいことは覚えていませんが、逆に面接官として

多くの学生・院生を面接してきた経験からすると、これらの質問は必ず準備が

必要です。(サイエンス系の博士課程からコンサルへ進む場合)

1)なぜ研究者でなくコンサルタントになりたいのか

2)なぜ他社でなく当社なのか

3)簡単な自己紹介をしてください(バックグラウンド、2-3分)

4)私があなたの分野に関する知識が全くないと想定して、研究内容を

説明してください

5)あなたの研究成果を商業化するとしたら、どのような事を考慮しますか

6)(ヘルスケア専門の場合)最近読んで面白いと思ったヘルスケアに関する

記事について簡単に説明して下さい。(その後細かい内容、考察でなどのディスカッション)

7)チーム環境においてリーダーシップを発揮した時のことを教えてください

・面接で気をつけることを教えてください。

簡潔に答えること。PhDは細かい内容まで詳しく話すことは非常に得意ですが、

ハイレベルで要点をまとめて答えることに苦労するケースを多く見てきました。

例えば自分の研究内容に関する質問で、細かい内容まで長々と話す学生が

多々います。コンサルタントはパワーポイントを多用するので、自分の研究を

スライド一枚にまとめるとしたらどのようになるかを考えれば説明しやすい

でしょう。まずはタイトルで研究課題を述べ、四つのbullet pointで、

1)どのように社会に役に立つのか、2)仮説、3)手法、4)結果と考察と

続けば、五文で答えが済みます。

他にはいくらでもポイントはあり、これらは面接本、ウェブサイトで読む

ことができます。ただ日本人としてアメリカで面接することで気をつけることは、

自信を前面に出すことです。謙虚さは日本人の間で美徳とされますが、日本の

謙虚さは時に行き過ぎてアメリカでは”自信がない”と見られることがあります。

自分はこのポジションに必要とされるスキルを持っており、やれる自信がある

から、自分を採用すべきだ、という態度で臨むことです。日本人には少し

慣れにくく私も一時期苦労しました。郷に入れば郷に従え、ということです。

・就職活動において重要だと思われたことを教えてください。

第一にネットワーキング、第二にネットワーキング、第三に準備、第四に

ネットワーキングだと思います。アメリカではネットワークが非常に重要で、

レジュメをインターネットで提出するのと知り合いを通じてリクルーティング・

マネージャーに渡してもらうのとでは大きく結果が違ってきます。

ケースの準備はいくらでもネットでケース問題が載っているので細かいこと

は書きませんが、1)友人などと実際に練習すること、2)Marc Cosentino

の”Case In Point”は必ず読むこと、はお勧めします。

・就職活動での苦労、大学院生生活において就職活動準備としてするべきこ

とを教えてください。

研究はもちろん成果を出すことが重要ですが、研究室外でも色々な人と話し、

Committeeなどに参加することをお勧めします。他の分野の講義をとったり、

インターンシップをすることも重要です。最終的にアカデミアに残ると決めても

損することはないでしょう。

・これから就職活動をする方へのメッセージをお願いします。

自分には何が合うのかをしっかりと大学院生の時に考えることでしょう。

アカデミアか、企業か。研究者か、研究以外の職か。日本に戻るのか、アメリカ

(もしくはヨーロッパ)に残るのか。色々な人と話し、何かを試してみたければ

インターンシップをして本当に合うかどうかを試すことをお勧めします。

もちろん、研究を頑張って成果を出し、指導教官と良い関係を築いた上のことです。

カガクシャから様々な道で活躍される方々が出てくるのを楽しみにしています。

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編集者自己紹介

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石井洋平

2007年3月 上智大学理工学部物理学科卒業

2007年9月-現在 Brown University, School of Engineering, Materials Science

イオンビームを用いたself-organizedナノパターン作成に関する研究に従事

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発行責任者: 杉村 竜一

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