【海外サイエンス・実況中継】情報収集をする ~ 信頼のおける情報入手のノウハウ

Post date: Jan 30, 2012 7:45:58 PM

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_/ 『海外の大学院留学生たちが送る!サイエンス・実況中継』

_/ November 2009, Vol. 53, No. 1

_/ カガクシャ・ネット→ http://kagakusha.net/

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まず最初に、イベントの告知からです。昨年5月に開催し好評でした、留学セ

ミナーの第二回目を、12月13日(日)に、東京農工大学小金井キャンパスにて

開催いたします。今回は二部構成で、前半はカガクシャ・ネットのメンバーに

よる留学セミナー、後半は留学経験のある理系著名人を招いた公開インタビュー

を行います。参加費は無料です(無料だけでなく、アルク社から景品が進呈さ

れます)。準備の関係上、ウェブから事前登録をお願いしております。その際

に、セミナーおよび公開インタビューの際に質問したいことをあらかじめ、送っ

ていただくことが可能です。当日時間に限りがありますので、あらかじめ質問

を送っていただけると効率的に進行ができますので、質問のある方はぜひご利

用ください。多くの皆さんの参加をお待ちしております。

事前登録ウェブサイト:http://kagakusha.net/event.htm

イベント告知ポスター:http://www.scribd.com/doc/23228761/

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研究の世界もグローバル化が進んでいる今、これからの科学者は視野を広める

ために、研究留学することがますます必須となっていますが、大学院から留学

するという選択肢が脚光をあびつつあります。特に、一流の研究者を育てるた

めの教育・サービスが非常に充実している、アメリカの大学院は、世界中から

優秀な学生を集めています。昨年も好評をいただいたこのセミナーを、今回は

さらに規模を拡大し、実際に大学院留学を経験した若手組と著名人の両方が集

結。主にアメリカの大学院について紹介し、みなさんの質問にお答えします。

【イベント・スピーカー】

● 若手留学経験者

山本智徳(ジョンズ・ホプキンス大博士課程在籍中、カガクシャ・ネット副代

表)、斎藤広隆(ミシガン大博士課程修了、現東京農工大、カガクシャ・ネッ

トエグゼクティブメンバー)、杉井重紀(ダートマス大博士課程修了、現ソー

ク研究所研究員、カガクシャ・ネット代表)、他数名を予定。

● 公開インタビュー著名人

北澤宏一博士(MIT博士課程修了、科学技術振興機構理事長)、東原和成博士

(ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校博士課程修了、12月1日より東

大農学生命科学研究科教授)

【日時】

2009年12月13日(日)午後1時30分~午後4時30分

午後1時30分~午後2時45分

第一部:留学経験者による講演、パネルディスカッション

午後2時45分~午後3時00分 休憩

午後3時00分~午後4時30分

第二部:留学経験著名人への公開インタビュー、質疑応答

午後5時以降 懇親会(参加任意:飲食実費がかかります)

【場所】

東京農工大学小金井キャンパス13号館3階L1331教室

(中央線東小金井駅から徒歩約10分)

http://www.tuat.ac.jp/access/

【参加費・参加特典】

無料(ただし懇親会は実費)

参加者全員にペンケース進呈(アルク社提供)

【本セミナーに関する問合せ先】

東京農工大学地域生態システム学科 斎藤広隆

Email: hiroscc.tuat.ac.jp

( を @ に書き換えてください)

Tel/Fax: 042-367-5584

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さて、今回からしばらくの間、「大学院留学を実現するためのノウハウ」をお

送りします。主なターゲットは、これからアメリカの理系大学院留学のために

出願準備を始める方となります。2010年秋入学を目指している方にとっては、

一刻も早く知りたい疑問点があるかもしれません。その際には、カガクシャ・

ネットのメーリングリスト(http://groups.yahoo.co.jp/group/Kagakusha/)

に登録して、質問を投げ掛けてください。

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大学院留学を実現するためのノウハウ

情報収集をする ~ 信頼のおける情報入手のノウハウ

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1.インターネットを使った情報収集

インターネットの普及により、一昔前と比べて、大学の情報収集が非常に便利

になりました。アメリカの大学のウェブサイトはとても充実しており、調べ方

さえ分かれば、教授の名前、電話番号やEメールアドレス、研究分野、発表論

文、あるいは研究室に所属している大学院生の名前まで、簡単に調べることが

できます。

アメリカの大学のウェブサイトを初めて見る人は、最初はどこから見れば良い

のか分かりづらいかもしれません。どの大学のウェブサイトも、まず大学の紹

介、例 えば、スタンフォード大学のページなら、About Stanford というリン

ク、また出願希望者のための情報のページ(Admission へのリンク)、学部や

学科、各種プログラムへのリンクをまとめた Academics へのリンク、大学の

研究活動などを紹介する Research へのリンク、そして大学のキャンパスライ

フを紹介する Campus Life へのリンクなどがあります。名前こそ違えど、こ

れらは必ずと言っていいほど、どの大学のウェブサイトにもあります。

出願に要求される条件(Admission Requirements)、例えばどのような書類を

提出しないといけないか、GRE Subject が必要かどうか、授業料(Tuition)

はいくらか、などの情報は Admission のセクションで調べましょう。ただし、

大学院レベル(Graduate Admission)と学部レベル(Undergraduate

Admission)では応募内容が異なりますし、さらに学部・学科ごとに異なる場

合もあるので注意が必要です。また、Admission のセクションには、たいてい

留学生(International Applicants)への出願情報が書かれています。TOEFL

の最低点数、ビザ情報、財政援助など、ぜひ確認してください。

学部・学科(School・Department)にどのような教授がいるのかを調べるには、

Academics のリンクから、興味のある学部・学科のウェブサイトに行きます。

どこの学科やプログラムにも、教授とその研究分野の紹介があります。学科の

ページから、教授陣(Faculty)紹介あるいは教授陣のリスト(Faculty Dire-

ctory)というリンクを探してみると良いでしょう。

教授陣のページを見ると、教授の連絡先(Eメール、電話番号など)、研究分

野、これまでに発表した論文のリスト、教授によっては大学院生の一覧などの

情報もあります。連絡先は、興味のある教授にコンタクトを取る上で必要です。

闇雲に大学のウェブサイトを調べても、非常に時間が掛かって効率的ではあり

ません。そこで、自分の興味のある分野のプログラムを調べるのに役立つのは、

U.S. News の Best Graduate Schools:

http://grad-schools.usnews.rankingsandreviews.com/best-graduate-schools

などのウェブサイトです。本も出版されていますが、14.99ドル(2009年11月

現在)支払えば、オンラインのプレミアバージョンに約1年間アクセスするこ

とができます。この U.S. News のウェブサイトには、医学、工学、教育学、

ビジネス、法学の分野においては、ランキング以外にも、

・大学のURL、入試担当者のEメールアドレス、電話番号

・大学のその専門分野における研究費

・出願に掛かる費用

・去年の大学院生/教授の比率

・授業料

・昨年時点での大学院生の数、修了者の数

・修士課程と Ph.D. 課程の割合

など、出願校を決める上で参考となる、重要な情報が満載です。

インターネットを利用した情報収集では、U.S. News などのウェブサイトや雑

誌を利用して、自分の興味のある分野で評価されている大学をリストアップし

てみてください。そして、それらの大学のウェブサイトをチェックし、学科、

プログラム、そして良い研究をしている研究者を検索し、Eメールなどを通じ

てコンタクトを試みれば、効果的に出願先の選定、出願先とのネットワークを

作るきっかけができるのではないでしょうか。

また、U.S. News 以外のの有用な情報源としては

・日米教育委員会(http://www.fulbright.jp/)

・カガクシャ・ネット(http://kagakusha.net/)

などが挙げられます。特にカガクシャ・ネットでは、海外(特にアメリカ)の

理系大学院に留学中の大学院生や、既に卒業してアカデミアや企業で活躍して

いる人たちが多数参加しています。もしかしたら、あなたの入学希望先の大学

院に在籍中、あるいは卒業した人とネットワークを築ける可能性があります。

これらの有用な情報源を利用しない手はありません。

2.コネクションを使った情報収集

コネクションやネットワークを使って大学に入ると聞くと、日本では裏口入学

のような少々暗いイメージがありますが、アメリカでは知っている人の紹介は、

優秀な学生や人材を失敗を少なく獲得する有効な手段と考えられており、特に

大学院の入試では以下のような推薦が重要視されます。

・出願先の教授が推薦してくれる(=推薦状を書いてくれる)場合

・出願先の教授が興味を示してくれる場合(推薦状を書いてくれないまでも、

入学審査において推してくれる)

・出願先の教授の知人の研究者が推薦してくれる場合

・著名な研究者が推薦してくれる場合

これは、アメリカの大学院の入学審査が GRE などのテストのスコアだけでな

く、大学・大学院での成績に加え、エッセーや推薦状などを通じて、どんな研

究や経験を積んできたのか、大学院でどのような研究をやりたいかなど、出願

者の成功の可能性を総合的に評価するためです。

これまで触れてきたように、アメリカの大学院では、大学教授が自分の大学院

生の授業料・給料・健康保険を払うことが多いため、教授が大学院生を選ぶと

いうことは、自分の会社の従業員を雇うようなものです。そのため、出願先の

教授が推薦状を書いてくれ、合格審査でも強く推してくれる場合、非常に高い

確率で合格できます。出願先の教授に推薦してもらうのは簡単ではありません

が、教授がその出願者をどうしても合格させたい場合、そのような場合が起こ

りえます。

アメリカの教授や研究者とコネクションを築くための、有効な手段をいくつか

挙げてみましょう。

・Eメールなどでコンタクトを試みる。

・自分の所属する大学や他大学の知り合いの教授に、アメリカの大学教授を紹

介してもらう。

・国際会議や学会で質問やディスカッションをみる(前もって学会で会うこと

が可能か尋ねておくと良い)。この際、名刺やレジュメなどを準備しておくと

効果的。

・可能であれば、大学訪問をして直接会う。名刺、レジュメ、成績表などもあ

ると良い。

Eメールを利用することは、おそらく最も簡単な方法でしょう。ただし、アメ

リカの教授のところには、学内はもとより世界中からかなり頻繁に、「ぜひあ

なたの研究室に入りたい」「RAのポジションは空いているか?」といったEメー

ルが送られてきます。そのため、教授もすべてのEメールを一言一句読むわけ

ではありませんし、返事をしてくれないこともあるでしょう。最初からあまり

たくさん書きすぎると、読んでもらえない可能性もあるので、Eメールの件名

や文章中で興味を引きそうなキーワードを使ったり、自分のウェブサイトへの

リンクを張ったり、その教授の最新論文に関する質問などを織り交ぜながら、

少しずつ、大学院のことを質問したり、自分の紹介をしていくのが良いでしょ

う。繰り返しになりますが、返事がもらえなくてもあまり落胆しないで下さい。

逆に、送ったメールに返信をしてくれ、興味を示してくれた教授がいる大学を

中心に出願校を絞り込むのも、一つの方法です。特に Ph.D. 課程の場合、

5~6年間一緒に働くことになるので、将来の指導教官との相性は非常に大事

です。

自分の大学の教授、あるいは他大学の知り合いの教授から、アメリカの大学の

教授を紹介してもらう場合、コンタクトに成功する可能性が格段に上がります。

知人の研究者の学生を冷たくあしらうのは気が引けるでしょうし、知人の推薦

なら良い学生に違いない、と思われるためです。その場合、まず日本の教授か

ら、メールや電話で連絡を取ってもらうのが良いでしょう。それが難しい場合

でも、「○○教授のところで研究をしている学生です」「○○教授からあなた

のことを伺いました」と書くだけでも、かなりの違いが生まれるようです。自

分の大学の教授、あるいは他大学の教授に紹介・推薦してもらうためにも、普

段から積極的に話したり懇親会などに出席するなど、多くの研究者と知り合う

努力をしたり、学会で発表・質問できるように努めましょう。

国際会議や学会などを通じて、興味のある教授に実際に会ってみるのは、非常

に効果的と言えます。その際には、前もって論文や発表に対する質問を準備し

たり、レジュメやもしあれば論文も持参すると良いでしょう。大学教授は忙し

いので、あまり多くの時間は割いてもらえないかもしれませんが、良い印象を

与えることができれば、後々の関係にかなりのプラスとなります。英語に自信

がない場合でも、前もって質問したいことや自分のセールスポイントを考えて

おけば、ある程度は対応できるはずです。もちろん、準備が良くできていない

場合には、逆に悪い印象を残すこともありえるので、注意が必要です。

経済的に余裕があったり、国際会議などで近くへ行く場合には、出願希望の大

学を回ってみるのも良いでしょう。興味のある教授との都合が合えば、ぜひ会っ

てみることをお勧めします。事務担当者から出願情報を聞いたり、学科長や他

の教授の話などを聞くこともできるかもしれません。このときにも、やはりレ

ジュメや成績表、自分の興味のある研究などについての考えをまとめておく必

要があるでしょう。

このように、アメリカでは「知人の推薦」を始めとしたコネクションが重視さ

れます。そのため、強力なコネクションを作ることは、大学院選考においても、

就職活動を始めとしたその後の人生においても、非常に重要なことです。コネ

クションを築くには、英語でEメールを書いたり、日本の教授のコネクション

を借りたり、時間が掛かりエネルギーも要します。人との信頼関係は一朝一夕

には確立できませんので、普段からネットワークを広げるように努めることが

大切です。

今回のエッセイへのご意見は、こちらへどうぞ。

http://kagakusha.net/modules/weblog/details.php?blog_id=147

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編集後記

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冒頭でもお伝えしましたが、来たる12月13日(日)に、アメリカ理系大学院留学

セミナーと世界で活躍する理系人公開インタビューを開催します。イベントの

お知らせが直前となってしまいましたが、会場のスペースにはゆとりがあるよ

うなので、多くの方のご来場をお待ちしております。事前登録ウェブサイト:

http://kagakusha.net/event.htm

にて、若手留学経験者や公開インタビュー著名人に尋ねたい質問を、ぜひご記

入下さい。(山本)

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カガクシャ・ネット http://kagakusha.net/

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発行責任者: 杉井 重紀

編集責任者: 山本 智徳

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