6/30 【海外サイエンス・実況中継】米国カンザスシティ院生生活
Post date: Jun 30, 2012 7:21:40 AM
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_/ 『海外の大学院留学生たちが送る!サイエンス・実況中継』
_/ June 2012, Vol. 47, No. 2
_/ カガクシャ・ネットワーク → http://kagakusha.net/
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本イベントは、文系・理系にかかわらず、graduate school (学術系大学院)
のPh.D.の学位取得を目指すための正規留学、またその在学生、卒業生や、
グローバルなキャリア構築を目指す方を幅広く対象にしております。
時間
2012年7月22日、13:30 ~ 17:00
場所
東京国際フォーラム 会議室 (G701)
プログラム
理系大学院留学経験者による講演会
基調講演:杉本慶子先生 (理化学研究所)
安西祐一郎先生 (日本学術振興会理事長,前慶応義塾長)
ポスター発表(留学情報、研究紹介、就職体験記)
パネルディスカッション
懇親会17:00~19:00 (有楽町カフェ&ダイニングby ROYAL)
参加無料
プレゼントあり!
(懇親会費用は実費:約2500円)
スポンサー
アルク
小林久志名誉教授(プリンストン大学)
留学ジャーナル
カガクシャ・ネットメンバー有志
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メルマガ副編集長のブラウン大学石井です。今回はメルマガ編集長の杉村さんに
アメリカ大学院生活について書いていただきました。大学院プログラム紹介、
就職活動記事、さらに大学院生私生活記事などこれからも内容を充実させていき
たいと思っています。それでは記事をお楽しみください。
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米国カンザスシティでの院生生活
米国の中西部カンザスシティの冬は例年マイナス10度まで冷え込むのですが、
今年は暖冬で5度から10度くらいです。夏季はキャンプが楽しめます。
私は娯楽といえば年に1-2回友人とキャンプやシカゴ、セントルイス等に
遊びに行くくらいで、普段はラボに住み込みで実験していることが多いです。
研究所と研究生活について
周囲のある程度成功している研究者を見ても、ひたすら働くというパターン
が多いです。最近の生命科学ではネイチャー、セル、サイエンスといった
一流誌はとてつもなく泥臭いパワーワークを課されることが多く、
ストワーズ医学研究所が米国中西部で比較的successfulにこういった雑誌に
業績を出し続けているのもこういった研究者の血のにじむ努力が大きいです。
数学や物理学ではどうなのでしょうか、ちょっと気になります。
設立10年にあたる当研究所は近年日本の生命科学研究者の間でも知名度が
上がりつつあるようです。ここでの院生生活はポスドクのそれに近く、
院生の採用基準に研究経験を強く求めるのも頷けます。コースワークは
基本的になく、半年ごとのコミッティーミーティングで知識不足が露呈すると、
その都度対応するコースをとらされる、というものです。私は医学部に
いたころからラボに通ったり細胞生物学やゲノミクスのような生命科学系の
教科書を何冊も読みふけっていたので、知識面でヤバイといったことはあり
ませんでした。また医学知識のバックグラウンドは研究でも役に立つ
(特にマウスの表現系を解析したり関連する分子を考えたり)ので、
他のラボの研究者からコンサルタント(?)されることもあります。
医学研究所と名がついていますが、完全に基礎の生命科学をしています。
酵母やハエを使ったDNAやタンパクの研究がメインです。私のいるラボの
ようなマウスは少数派ですね。医学部を卒業してMDをもってくる人は少なく、
日本人では医学部卒は今は私ひとりです。日本で言う理研に近いでしょうか。
基本的に全米でもトップクラスのPIやコアファシリティ(プロテオミクス、
次世代シークエンス、2光子顕微鏡など)がそろっているので、本人の
能力次第で良い仕事ができます。4年で卒業することが求められています。
短く感じますが、こんなに研究環境がそろっているので周囲の院生もネイチャー
やセルといった雑誌に論文をゲットしだしました(複数のラボで何人もの
院生がたった4-5年でこれらの業績を出すのは日本ではありえない光景です)。
先日私もようやく仲間入りを果たし、この6月にDefenseと卒業を控えています。
サマープログラムについて
毎年サマープログラムの学生を受け入れています。私も過去に参加しました。
昨年は京大から医学生が参加してくれました。海外の研究に触れるもの
すごく良い機会ですし、留学を考えている場合は大きなステップに
なります。出願の詳細はこちらからです。
http://www.stowers.org/education/stowers-summer-scholars
卒業後の予定
卒業はアカデミアに進むつもりです。医学というバックグラウンドから来て
いるので、臨床との橋渡しになるような研究を続けます。今取り組んでいる
幹細胞学はまさにうってつけのフィールドで、基礎研究の知見がベッドサイドに
応用され、逆に臨床の知見が幹細胞を理解するのに役立ったりします。
私が取り組んだ研究テーマは、幹細胞が生体で維持される機構を解明する
のに寄与し、先日ようやく論文がセル誌にアクセプトされました。今はこの
仕事から派生したとても面白いテーマにとりくんでいます。このワクワク
する感じが研究の楽しいところですね。卒後は今のラボでこの非常に面白い
現象とコンセプトを完成させ、それから独立して幹細胞以外のシステムでも
発展させる予定です。
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執筆者自己紹介
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杉村 竜一
PhD Candidate
Stowers Institute for Medical Research
この6月は卒業後、日本でセミナーをしてまわります。
横浜での国際幹細胞学会(ISSCR)、母校の阪大、
ご縁のできた京大、学部生時代に研究を教えていただいた
理研CDBでトークをします。留学前にお世話になった
ところばかりなので、恩返しが少しでもできるようで
楽しみです。
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編集者自己紹介
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石井洋平
2007年3月 上智大学理工学部物理学科卒業
2007年9月-現在 Brown University, School of Engineering, Materials Science
イオンビームを用いたself-organizedナノパターン作成に関する研究に従事
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編集後記
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最近アメリカ東海岸ニューイングランド地方も30度以上になる日があります。
30度以上でも日本ほど湿気がないのでそこまで不快感が
ないのが救いでしょうか。
アメリカでは日本のようにエアコンが壁や天井に設置してあるようなアパートは
あまりありません。一部の高い賃貸のアパートのみです。
私のような学生が住むボロアパートでは日本と違ってエアコン(といっても温風は
出ないのでクーラー)を自分で取り付けるのですが、木の窓の縁に自分でネジで
取り付けるのです。
毎年5月あたりに設置して、10月あたりに取り外すのに今は慣れてしまいましたが、
買ってきて自分で設置するというところにカルチャーショックでした。
アメリカ留学一年目のアパートに到着したのは8月、そして暑いのに
エアコンがないのです!しかもエアコンを買って自分で設置するという、
日本から来た私は????な状態だったのも懐かしいです。
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発行責任者: 杉村 竜一
編集責任者: 石井 洋平
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