やまたい観

やまたい観

サンキスト同盟主催豊嶋重之(国見在住)

高い高いして、

木製のイモンカケが冷えてくる時

ちょっと見も病いコウガンに入りながら/正面斬って後髪曵かれる舞楽家の眠たくなるような猫背が/音もなくまくれ上がる音目(おんめ)兵糧責めのSUNKIST SOUNDSを素巻き昆布(コブ)巻きにしてしまう「中観(ちゅうがん)」の真っ只中に/自分の臍と抱き寝する格好で鶏膝(とりひざ)しょい込めば——耳病むアナタのすぼんだ鼻先で啞舞(おしまい)が始まる以上の〈盲いの亀頭〉の上げ潮が鉄火箸の熱さで破瓜する蓮台(うてな)には/表現よ胎祠を開山(ひらけ)祈り切なやヤクドの刹那ヤクドダンスの肝腎腸を転子(コロ)にして/天に一つの義理あるならばこの世に二つの実体がなければならぬパーマパクト(永久衝動)にもんどり不動の卒倒婆甚句/ほらほら/五徳と十能でヤキナマシた角髪(みづら)どもがデューラーの騎馬に灰神楽をあげて去って逝く/あれもやっぱり女という港だったよ/

ヌナワとろうとて

ヌナワにまかれ

お六が死んだ

この堤

堤の上に日が沈み

さやさや笹の

葉の縁(へり)を

蟻が一匹

ゆきかへる

大正10年のはぐれ者小松清が童唄/子守りのお六の初めての薮入りすがらの水草は病臥のおかかにせめてもの絞る小袖の土産かや/トワエモワモワ搦み付く生殖堤の黒髪にズブリ彷徨らう邪馬台のお六が水行(すいぎょう)卍のしゃりしゃり——じんばい舞踏のからやまたい舞楽のへの雑巾刺しに加えて/少年と陰梅との間に出来た「新らたなる日輪」台与子と癩病たかりの月子とのオハジキ賭博とか/サシの勝負はオテダマにマルハネでお互いの生口を献じ合ったら台与子の生口が後に六人身ごもって月子が「おコワだあ!」とかの因縁話抜きの舞霊講には/白足袋の寝込みを襲われた腫面(はれめん)たちの雲をつくよなガンガラ部隊が『れ、れ、れ』「れ、れ、れ」/八戸線を漬物石よろしくしゃがみ込んだり後じさりするコンニャクだったりして/日本はぁ日本はぁ鉄(*1)によってぇ鉄によってぇ三度ぃ三度ぃ変貌をお変貌をお遂げて来たぁ/そして今やあ/肉抜きカレーダンスの北枕の下紐を解くなまじ謎から/ねぎ束氏と米だらい嬢とのきりもり交尾を優しく看守るどうでも第一生命まで/バセドウ氏ぐらいは連れ子にした紅白の身のみ身のままの人くさり/レイノー氏病風指白(ゆびじろ)に遠出する紙の袋たちが竹輪(ちくわ)喰えて観に来るもんじゃないんだ/

〔コトシワナニガデキマスカ〕

半身台与子のハンカクサイ帯止め化粧を見てもサケのアラ汁など想起できない面喰いには/位相空間論よおまえは又もや〈やまたい舞楽〉なる芝居くんだりまでやってこようというのか/と、と、いささか気負い立った出会われ方に今では若気の行ったり来たりがましい夜毎の障子張りはどこを叩いてもナメッても鉄の童貞であるなあ、と、とと、ヘップサンダル顔して書いてしまった終りを煮込みうどんにしていくしか/ヅノ! ヅノだきゃあ

J æ MaoDaï 婦舞庭調(をみなまひていきん)S S Plan

bright water bath Cokebox cover ice flag

wood cutting machine Victors' fish red road

net construction Tatami tree rind cord etc.

(初出:豊島重之+サンキスト同盟+豊島舞踊団 BUGAKU=舞楽「羊曼胎(やまたい)」パンフレットより/1969.10.26)

採録者註:

(*1) ○の中に鉄