便り
道志村から便りが来て、山根さんも増田さんも元気に暮らしていると知って安心していたのですが、それから一週間もしないうちに増田さんの奥さんから電話があって山根さんも増田さんも死んでしまったという話を聞きました。僕はとても驚いて増田さんの奥さんとは初めて話したものですからこれはなんか詐欺なんじゃないかと一瞬思ったくらいです。
通夜と告別式の時間と場所は聞いたのでとりあえず通夜には必ず出席すると伝えて電話を切った。
---二人一緒の葬式か……
私は口に出してそう呟いた。友人が二人も一緒に死ぬなんて信じられなかった。ショックで涙も出てこなかった。山根とも増田とも妻に引き合わせたことはないので一人で通夜に行く。土日に車を使っていいかということだけ妻に確認し後は頭の中で仕事をどうやりくりしようかを考えた。道志村に帰るのは久しぶりだった。叔父夫婦は苦手だったが子供の頃過ごした道志村にはいろんな思い出がある。仕事のことを考えるつもりでいたのだが、昔の思い出がどんどん湧き上がってやっと涙が出てきた。
〈了〉