小鳥と花
「気持ちいいね、空気が澄んで、思いっきり飛べるよ」
「あーよかった、喉が渇いていたんだ。昨日の雨でようやく生き返ったよ。鳥さんたちも気持ちよさそうだね」
「ありがとう、遠くの森がくっきり見えるよ」
「助かったよ、いろんな埃も流れて行ったからね。本当に空気が冬の匂いで美味しいね」
「一日空を飛んでいたいな」
「鳥さん、ネコさんも目が覚めて寒くて寝てるけど、きみをにらんでるからね」
「おいおい、花くん、よけいなことをいっちゃあだめだよ。おいらがわるいやつみたいじゃないか」
「ごめん、でも鳥さんは助けてあげてね。」
「わかってるよ、へびくんのほうがおなかをすかしてるんだよ」
「おい花さん、おいらも、ちゃんと食べるものはあるから鳥たちは大丈夫さ」
「あーよかった」
「へびさん、ねこくんのひげをさわっちゃあだめだよ」
「当り前さ、あいつしつこい奴だから嫌いさ」
「僕たち花の仲間も時々踏んづけられて、困ってるけど、ネコ君、いいやつだよ」
・・・
枯れた落ち葉とどんぐりの実
その朝二人は道に落ちて目が覚めました。
「おはよう」
「おはよう」
「怖かったね」
「風がいじめるんだもの」
「バイバイ」
「どこにいくの」
「太陽が笑っている方向さ」
「君は飛んで、いくんだね」
「そうだよ、どこまでも自由さ」
「君も自由だよ、ほら聞こえるよ、小枝がささやいて風に乗れるよと言っているよ」
「ありがとう、がんばるぞ,枯葉さん、青い空が似合っているね」
「ありがとう。どんぐりさん。またあえるといいね」
「枯葉さん、こんどあうときは、ぼくはもっと勇気のある人になっているよ。人間のこどもとおはなししてみたいな」
「いいね、向こうから小さな兄弟が来ているよ」
「さようなら」
「さようなら」
元気な足音です。自転車の音も聞こえます。
「こんにちは」
「えっ、おはなしできるの。どんぐりさん」
「聞こえたんだね、こんにちわ」
「こんにちわ」
きょうだいはこえをそろえてあいさつしました。
「どんぐりさん、よかったね」
「かれはさんともおはなしできるの」
「いいよ」
「空は気持ちいいの」
「自由さ」
「自由って、何」
「おとなになるとわかるよ」
「いまじゃだめなんだ」
「君はもう持っているから大丈夫だよ」
「枯葉さん、どこまでとんでいくの」
「かぜまかせさ」
「いいな、ぼくらも遠くにいきたいな」
「バイバイ」
「バイバイ」
「また会おうね」
「いいね、今度ボールあそびができるといいね」
「枯葉さんボールを持って空の雲に入れないでね、投げるよ」
「うけとった、はいかえすよ」
「たのしいね。どんぐりさんにはい」
「はい」
ドングリは子供にボールを打ち返しました。
「届いた」
「ちゃんとキャッチしたよ、どんぐりさん」
「おーい。こっちにかえして」
枯葉は大声で子供たちにいいました。
みんなボール遊びを日が暮れるまで楽しみました。
「おーい、もう太陽が沈むよ、みんなかえらなきゃ」
「枯葉さん、空は寒くないの」
「どんぐりさん、大丈夫さ、地面も冷たくなるよ、朝に霜柱にならないようにかれはのなかまであたためるからさ」
「ありがとう」
「枯葉さーん、お休み。ぼくらは帰るよ。おなかすいちゃったし」
「みんな気を付けてね」
枯葉と、ドングリは子供たちにさよならを言ったとたん、すこしさみしくなって、
「また会おうね」
と大声で言いました。」
どんぐりと枯葉は、そのよるぐっすりねむりました。
夜中に目が覚めたドングリは月が明るく笑っているのに驚きました。
夜空に輝く星がキラキラしているのを人間の兄弟も見上げていました。
「眠れないね」
「枯葉さんもおきていたの」
「どんぐりさんも寝ていないよ」
「明日の朝も行くから待っていてね」
「僕は風任せさ。どんぐりさんと遊んで」
「かれはさんがいないとつまらないよ」
「またいつでも遊べるよ」
2023/11/20