青い空と小鳥の囀りと
「いつもご苦労ですね」
私は時々見かける黒い鞄を下げた若い女性と今朝挨拶をしてみた。
「ええ、ありがとうございます」
「郵便物ではないですね」
「はい、地域のコミュニティー新聞の配達なのです」
「そうなんですか」
「毎朝ですか、この前雨の日も見かけました。私の自宅が使う階段からも降りてきましたね」
「ええ」
「新聞ですか」
「そうなんです。何かご近所でいいお話があったら教えてくださいね」
「はあ、楽しいことがあったらぜひお伝えしたいのでお声がけください」
「もしかして文章もお願いできるんですか」
「ええ少しは書いていましたよ」
私は思わずはにかんでしまった。
「まあ、でもそれなら仲間にはなしてみます」
「顔を見かけたら声をかけてくださいね」
「はい」
「ごめんなさい仕事中に呼び止めて、でもいつも姿勢がいいですね」
「まあ、そんなことを言っても何もいいことはないですよ」
「では気をつけて早くつぎに向かってください」
私は、ちょっと失敗したと反省した。
お節介な変なおじさんになってしまった、
小鳥が一羽頭の上を笑うように囀って飛んでいった。
彼女は今日も歩いていましたが、姿勢は相変わらず綺麗な女性で、声をかけるなんてとても大胆だったと深く反省したのだが、やはり私も少しは近所のことをゆっくり見つめていこうと感じてしまった。
子供の声が今日も聞こえている。
「イッテきまーす」
明るい元気な兄弟の声が団地の空高く響いて、私はこれも穏やかな空が見守ってくれるものと安心して空を見上げたら小鳥が囀りなら一羽飛んでいった。
2022/10/10