金木犀の匂い
「かわいい人おはようございます。もう秋ですね。今日は天気が変わりそうなので気を付けてくださいね」
ぼくはおもわずあいさつしました。かわいい人はきらきらひかっていたのです。
「冬まだまだですが、たくさん枝が落ちてくるので。蜂はもう出ませんよ。わたしもですが、走っているひとたちもいきをしろくしているのです」
「わたしはおもわず歩みを早めました」
「おじさん、ありがとう」
わたしはつえをも手で手をふりました。
「かわいい人また会いましょう」
「朝は気持ちいいですが気を付けてください。秋は木の枝が落ちてきますから」
「ありがとうございます。こんどそこのベンチに座ってお話しできたらいいですね。いやごめんどうはかけません。わたし、ここに座ってスケッチをしてますので」
「絵を描かれているんですね。ちょっといいかも」
「今度スケッチをしているときに会えるといいですね、かわいい人」
「ありがとうございます」
「まだ緑がきれいですね」
「私、秋色が楽しみなんです」
「今年もきれいでしょうね」
次の日私はベンチに座って、スケッチしていると、金木犀の花がオレンジ色に咲いていました。
後ろから女の子の声が聞こえました。
「今日は二階でお買い物よ」
「やったー」
と、母子の声でした。
「おじさん、やっぱりここでスケッチしてるんですね」
「ええ見てください。かわいい人」
「おじさん、これから楽しみです」
「ありがとう、またお会いしましょう」
私は朝外でスケッチする楽しみができたみたいだ。筋雲もにこやかこちらを見ている。
「おはようございます。かわいい人またきてくれたんですね」
「ええ楽しみです」
鳥の声が空に響いていた。
「おはようございます。またお会いしましたね。楽しみだったが金木犀の花も落ちてきましたね。はかない季節ですね。でもわたしはここを歩いてみたいと思っているんです」
「そうなんですか。さみしくないですか」
「いいえ、たくさんの声が聞こえてまきすよ、ほら小鳥のさえずりに虫の音が響いています、あなたもそこにいます」
「まあ、またお会いできるといいですね。
「ありがとう。ここでまたスケッチをしています」
「おはようございます。今朝は犬をお連れなんですね」
「おはようございます今朝はスケッチされてないんですね」
「先ほど終わってホッとしていたところです」
グランドはほのかに輝いて、まだ金木犀がかおっています。
木枯らし一号が吹く季節になったようで、これからは山茶花や椿の季節かなと私は思った。
「今日はは、かわいい人。昼は食べましたか」
「いいえ」
「パンとミルクがあるので、ご一緒にいかがですか。ちょうどきょうはスケッチブックが終わって私もおなかがすごくすいて死にそうなんです」
「ええ、喜んでいただきます」
「おじさん、わたしがここにいるのをねらってきたでしょう」
「はい、自宅の窓からここが見えてあなたの姿があったので」
「そうなんですか、おじさんいっていいいかな、杖ですね、団地の階段は大変でしょう」
「このスケッチもリハビリです。歩くのもリハビリです。かわいい人とおはなしするのも、リハビリと思っているんです。変ですか」
「またかわいいは、いらないですよ。変ですよ。当たり前です。でも、気持ちのいい風ですね」
「ゆっくり食べてください」
「おいしいミルクですね」
「よくわたしものこのミルクを飲んでいるんです。地元千葉産の牛乳見たいです」
「おじさん、牛乳を飲むのですね」
「よく働く人がけんめいにめざしたものとわたしはおもっています。そういえばこのパンも職人さんが毎日窯の前に汗を流して焼いているパンです。誠実に働くと、美味しくなるんですね」
「誠実に働くっていいです。わたしもそうしてみます。今日は夜勤なので、すこし体を動かしておこうと思ったのです。この絵と風景を見て落ち着きました」
「ありがとうございます、夜勤頑張ってください。明日の朝はさみしいですね。明日の朝はゆっくりお休みください」
「おはようございます。大丈夫ですか」
「いま、帰っているところです
「おつかれさまでした。またお会いしましょう」
「おじさん。夕飯考えて、5時でいいわ」
「このベンチでたべるのかい」
「おじさん、ありがとう」
「遅れないように用意するよ。」ほら、鈴虫が泣いているよ」
「おじさん、私、サトミよ」
「そうかい、サトミさん、がんばって」
「おじさん」
「じゃあ、後で、今度家内を紹介するよ。役に立つかもね」
「おじさん」
「いつものパン、バゲットになるけど」
「おじさん、パンでうれしい」
「家内も会うとうれしいと思うよ」
「ごめんなさい」
「大丈夫、今日は夕焼け空に白く満月が輝くと思うよ」
グランドは静かに佇んでいた。
「おはよう、サトミさん。やっぱりキュートな朝ですね」
「ありがとうございます。夕べの雨で少し道が滑るのでおじさん気を付けて」
「ありがとう」
今朝も小鳥の声が響いていた。
「サトミさん、今日も仕事励んでください。誠実に」
「誠実に」
「誠実に」
にこっ。
犬もリードを引っ張って、よろこんでいました。
「おはようございます」
わたしはめでおいながらこころのなかできょうもあいさつした
「サトミサン、今日も元気に自転車で出勤ですね」
グランドの森も元気ですよ。
今朝も気持ちよくもりで小鳥が、さえずっていた。私は森の道をゆっくり歩いていた。サトミさん、今朝は来ないな。ゆっくり寝てるのだろう。休息は大事。それも誠実な生活だ。私は、冷たい空気の中で少し気持ちのいい汗を感じて歩く。サトミさん、また会いましょう。
私は道をゆっくり歩みながら、風景が美しいのは、ゆうべよくねむれたからだろうとおもった。私も美しい色を絵にしてみたい。
道には美しい昆虫が歩くし木の実も美しく輝いている。この道にはいつも発見がある。わたしはこの時間を大切にしたい。
やっぱり今朝は雨の朝。私は残念ながら午後、みちをかんじてみたい。
サトミさん、今日は休息ですね。
誠実に休みましょう。
すっかり秋の景色が自宅の窓から見える午後。
これからゆっくり、ミルク入り紅茶でも楽しんでみようか昼にはピザを食べたのだし。
今日は落ち着いた午後を楽しもう。
サトミさんとはまたいつかあえるだろう。元気にあいさつを交わすことだろう。
「おはようございます。今日も元気に出勤ですね」
「くうきがもうつめたいので、いきがしろくなるので、体に気を付けて」
空は真っ青で小鳥もやっぱりさえずっていて、茶色い枯葉も少なくなってきてきたが落ち葉は冷たい空気に待って、木の実はやっぱり道で輝いています。
あきがふかまると、あさもつらくなるけど、小鳥のさえずりが元気づけてくれる。
サトミさん、今日の仕事は、順調にいくといいけど。こんど職種ぐら尋ねてもいいだろう。私はサトミさんのことをもう少し知りたいと思った。
これも秋が深まっていくせいかもしれない。
私は今朝部屋に妻がいけたバラの花を描いた。ろーずぴんくのあいらしいはなが、つくえのうえでさいてくれていてわたしは「元気ですか、けさもそこでさいてくれていてありがとう」と話しかけたのにそっけない素振りでバラは立っていました。
わたしはそのバラをこころをこめてえがいてみたのですが。
バラはいつも美しい。その姿を私は到底とらえきれない。
朝の植え込みに咲く、ショウメイギクやたんぽぽの花もそろそろ冬を迎える準備をしていた。
サトミさん、今日はここで会えましたね、ふりむくとにこやかなでは。わたしはこれからベンチにすわってゆっくりこの風景を眺めてみます。楓にもみじの木の姿が、面白いですね
サトミさん、今日は子供と元気に遊んでいますね。あかるいひろばでたのしそうですね。
その子が大きくなった時に私は、今日の一日が思い出せる健康な毎日でいようとおもいます。
私は、静かに杜の道をあるいたのでした。樹々のかおりは、冬がまじかになったと思ったのです。
今朝は自動車で出勤ですねサトミさん、すっかりふゆになってしまいました。
金木犀はすっかり花を落としました。ざんねんですがことしはもうおあいできませんね。
2023/11/3