贈り物
私は机の上に小さな箱を用意しました。
リボンは赤にしよう。
住所は大丈夫。
中には、緑の葉っぱを一葉と元気ですかのメッセージを入れて。
どうして出てきたんだろう。しばらく会っていない彼女に、私は急に。伝えなくては、と汗をかきました。
この箱、絵の具のチューブが入っていた箱だ。
もう一つなにか入れてもいいだろう。
赤い薔薇と黄色い薔薇、緑の薔薇。
一度贈って喜んでいたやつでいい。
薔薇を探そう。
窓の下の植え込みに奇麗に咲いている薔薇を見つめていた。
ワン。
犬の声
あ、私ははっとして目覚めました。ベッドの上だ、朝になったんだな。
贈り物を届けよう。
遅くならないうちに。
顔を消して。
声も消して。
そして、悠大は、ベッドから立ち上がって、キッチンに向かって、コップに水を入れてゆっくりのみほして、床にホコリがたまっているのを見つめて、あれから、台風がいくつも来て、阪神の優勝があって、首相が殺されて新しい首相が広島でサミットをして、能登に地震があって南海トラフの警報が出されて、洪水でいくつもの命が消えて、森の道の草が刈られて、樹にとまった虫が鳴いている。久しぶりにパンを買ってこようか、牛乳と。
悠大は,かび臭い北向きの階段を一段ずつ降りて行った。
曇り空。
「あれ、久しぶりだね」
「こんにちわ」
「買い物かい」
「ええ」
「足は大丈夫そうだね」
「ええ」
「まったくひどい事故だったね」
「はい」
「良く、歩けるようになったね、痛みはないかい」
「おばさん大丈夫です」
「よかったね」
「ありがとうございます」
そうだな。「ありがとう」の箱にしよう。
私はゆっくり道を歩いてコンビニに向かいました。
「いらっしゃい」
「おはようごじます。ワッフルできていますよ、はい」
「じゃそれとこのミルク」
「300円ですはい」
「買います。ありがとう」
「はい、歩いているね」
「ええ、幽霊ではありません」
「また来ます」
「はい、喜んで」
私はゆっくりと帰って、階段を上がりました。
私は玄関を開けて、ゆっくりキッチンのテーブルに座ってミルクをコップに入れて、ワッフルを一つ袋から出して、一口、口に含んでゆっくり噛んで朝食にしました。そして私は、ゆっくり活けた花のスケッチをしました。そして、私は薔薇の花を探そうと、また、玄関に向かいました。私は、北向きの階段が赤明るくなったのを感じながら、一段ずつ降りました。私は集会所前の花壇で薔薇を探そうと思いました。
向こう側に、動き始めた一日の空気が動いていました。ゴミも出してこなくては、人間で無くなるなと思いました。
私は、バラが咲いているのを見つめて、ゆっくり深呼吸をして帰りました。
いい空気でした。
生き返ったと思いました。
そして、もう一度、歩きました。
私は薔薇のつぼみを一輪拾いました。若い茎ですがもうすでにわたしの指を棘がさしました。この蕾は夕陽で包んであげよう。
つぼみが咲く頃に、この薔薇を届けよう。
私は、少し考えてこの薔薇を水彩で描いてあげました。
小石があるとどうだろう。
爪の先ぐらいの小さな黒曜石がこの薔薇のスケッチに合っている。
白い石も、入れておこう。
白い石には朝日を集めておこう。
月は、緑の葉に移しておこう。
私は、白い道を歩いていました。
道の向こうに、黒い鉄の門がありました。
羊の群れが見えます。
道の両脇には桃ノ木が並んでいました。
みずをくみあげる音がしています。
頬を赤く染めた女の子がこちらを向いて見つめていました。
私はレモンの花を一輪摘んで、その女の子に渡すと女の子は向こうの男の子に渡して指さしました。
男の子は「うん」とうなづいて走っていきました。桃の木の向こうに消えていきました。
白い道はまだ長く続いています。
お母さんが子供を抱き寄せて。
「夕飯よ。一緒につくりましょう」
詩の歌声が聞こえてきました。
二人は大きな鍋にわずかなジャガイモを切って入れて、ゆっくりグツグツと煮込んで、匙でスープを救って、ゆっくり口に含んで、にっこりと笑いました。
「美味しいね」
女の子の顔はぐちゃぐちゃの顔になって、涙をまぶたにためていました。
カウベルの音が聞こえます。
夕暮れの道の向こうに虹ができました。
「お母さん、渡ろう」
「ゆっくりね」
「うん」
女の子はかけって虹に向かい上っていきました。
「わーい、森が見えるよ」
「そうね」
「屋根から煙が出ているね、煙突よ」
「うん」
「みんなご飯作っているのよ」
「うん」
「おばちゃんの家も、ほら」
「うん、おじいちゃん、また、ごほん、ごほんしているよ」
「お水をあげて」
「うん」
「ありがとう」
女の子は,駆けって、橋を渡っています。
「お池、きれい」
「覗いちゃあだめよ」
「はい」
私は虹も箱に入れなければと思いました。
睡蓮の花が水に浮かんで柳の枝が揺れています。
遠くのカフェで、多くの人がダンスを楽しそうにして、食事を楽しんでいます。
悠大は、行ってみようと思いました。
踊り、彼女もいたらいいのに。
朝日を水に込めておこう。
喜んでくれるといいけど。
いま、おきているだろうか。
白い道まだ遠くまで続いています。
悠大は、ベンチに座って、館の庭をながめていましいた。
パイプをくわえた老人が向こうのベンチで帽子を深くかぶってゆっくり座っています。
小さな子犬がしっぽを振って走っていきました。
悠大はゆっくり立って、カフェの広場に向かいました。
「やあ」
「ああ、おはよう」
「こんにちは」
「元気そうだな」
「はい」
「痛みは取れた」
「いつ退院したんだ。酷い事故だったな」
「はい」
「お見舞いに行ったけど、覚えてないだろう。彼女も一緒だったのだけどな」
「覚えてない」
「お前、本当に生き返ってよかった」
「俺はやっぱり一度死んだのか」
「生きているんだよ、いいだろう」
「ああ、生きるって面倒なことも大切だな」
「ところで俺の彼女って、いるよな」
「お前俺がだれだかわかっているのか」
「ごめん」
「そうか」
「お前の彼女の、兄貴なんだよ」
「そうでしたか。すみませんでした」
「やっぱりわかってなかったか、今昼になっているんだよ」
「はい、ところでカフェに向かいたいんです」
「ああ、一緒に行って昼でも食おう」
「ありがとうございます」
カフェの広場は、秋の穏やかな日差しにあふれていました。着飾った人たちは男女のペアーになって、音楽に合わせて、笑顔にあふれて、踊っていました。
「ワインとムール貝とサラダでいいかな」
「はい、御義兄さん」
御義兄は、給仕を呼んでコインをテーブルに置きました。小さな手がテーブルに現れて、コインは消えました。
「いいものが食べられるといいな」と、義兄は笑いました。
給仕が来ると、義兄は給仕の手にコインを渡して、
「ルッコラのサラダとムール貝、白ワイングラスで二つ」
と言って、給仕の手に勘定を渡しました。
「妹さんは元気ですか」
「おそらく」
「え」
「彼女は少し体調を壊して、アルルに保養に出かけているよ」
「そうですか」
「ああ、時折手紙が来るよ」
「幸せでしょうか」
「どうかな」
「一人ですか」
「いや、叔母の家だから、いとこもいて、にぎやかなはずだ」
「だと、いいですね」
「ああ」
「もう長いのですか」
「君を見舞いに行ってすぐだから、6か月」
「僕は6か月も入院していたんですね」
「ああ、そうだよ」
給仕が専用のスティックで、テーブルクロスを伸ばして、サラダとパンとウィンを置いていきました。
「さあ、乾杯、君の快癒に」
「ありがとうございます。乾杯」
二人は一口口に含んでゆっくりワインを楽しみました。
「ところで」
「何だろう」
「妹さんに、郵便物を届けることはできますか」
「郵便、そうだな、この国はストライキが来たらまったく、動かんよ」
「今ストライキなんですか」
「3日前まで、君、知らなかったか」
「ええ、ここ二か月は、外の世界とはまったく接触しないまま過ごしていました。食事も久しぶりです」
「そうか」
「ええ」
「私が一か月前に出した手紙が届いたかどうか」
「でも、出してみることは出来ますね」
「君の手紙か」
「ええ小包を」
「そうか、妹も待っているはずだ」
「だといいのですが、声も思い出せないんです」
「仕方ない、あれだけの事故だから、ゆっくり思いだすといい」
「ええ」
「ああ、ムール貝も来た」
「ありがとう」
義兄は給仕にコインを手に握らせました。
「ありがとうごゆっくり」
「さあ食べよう」
「はい」
「妹は、待っているよ」
「そうですか」
「忘れてないだろう、妹の栗色の髪の毛がチャーミングに輝いているの」
「ええ、甘い香りでした」」
「そうだよ、いつも長い時間バスタブに入っていたもの」
「ええ」
「近いうち、会ってやってくれ」
「あのー」
「ああ、落ち着いてからでいいよ」
「はい」
「覚えてないだろ、名前は」
「悠大です」
「それは自分の名前だろ」
「ええ」
「宛名はかけるのか」
「住所も電話番号も時期に思い出します」
「彼女の名前は」
「エリカ、です」
「エリ、だよ」
「違っていました。どこかに忘れていたみたいです」
「でも妹がいたのは覚えていたのだろ」
「いえ、夢で、誰かが送ってほしいと言ったので、慌てて、誰か探していたのです」
「それが妹と思ったのか」
「ええ」
「だったら、小包を三日後に用意して、3丁目のカフェにもってきてくれ、届けておくようにするよ」
「はい」
「いいな」
「はい、よろしくお願いいたします」
「ムール貝が冷めるぞ、食べよう」
「はい」
「君、6か月って言ったね。」
「ええ」
「私は3年だったよ」
「はい」
「私は脳の病気で、病院で暮らしたんだ。でも妹の名前は忘れなかったよ」
「はい」
「君は平気で忘れていたね」
「はい」
「あれだけの事故だから命があるだけで奇跡だ」
「はい」
「でも、忘れてなかったね、妹が生きていたことは」
「はい」
「それでいい」
「はい」
「で小包の大きさは」
「絵の具のチューブ入れの箱です」
「ポケットで持ち帰ることができるね」
「はい、重くもありません」
「でも思いは重いんだろ」
「わかりません」
「ふむ」
「軽いんですよ、思いの重さは入りません」
「いや、間違っていた、重いものは受け取りづらいものだ」
「ええ、喜びだけ込めています」
「なる程、第九だな」
「ええ、まあ」
「あれはいつも、見つめている子だった」
「はい」
「嫌だな」
「と一言で終わる妹ですよ」
「はい、嫌われますかね」
「いや、それではないと思うよ」
「そうですか」
「ああ」
「リボンはチェックにしようと思っています」
「いいね、あれは赤のチェックが好きでよく似合っていた」
「そうですよね」
「ああ」
「選んで置きます」
「ああ、明るいのにしておいてやってくれ」
「ええ」
「ムール貝冷めないうちに」
「はい」
「ゆっくり食べよう」
「はい」
「いい人生だな」
「ええ」
「サラダ、お変わりは」
「はい」
「チーズ入りでいいかな」
「はい」
「赤のワインは」
「はい、いいですね」
「頼もう」
「ええ」
「いい食事だな」
「はい」
「贈り物は」
「ええ」
「届けるよ」
「はい、よろしくお願いします。」
「では、三丁目のカフェでな」
「ええ」
「眩しい広場だな、おやおや、またこっちを見て睨んで、いるよ」
「え」
「来たみたいだよ」
「赤ワイン」
「ああ、そうだ」
義兄は給仕を読んで、赤ワインとチーズ入りのサラダを頼みました。
「呼ばなくていいですか」
「もう、来ようとしているよ」
「あ、ワインは3つで」
と給仕に言って手にコインを握らせました。
「やっぱり覚えていたようだよ」
「はい」
「君暑くないか」
「ええ」
義兄はそういいながらシャツのボタンを一つ外しました。
「いいんですか、声をかけなくて」
「ああ、やぼは、嫌いな子だから」
「静かにしていましょう」
「ああ」
「どうぞ」
「チーズだよ」
「いただきます、皿が一枚たらない、これをとっておきます」
「失礼しました。こちらをお使いください」
「ありがとう」
「もう一皿作っておきます」
「ありがとう、チーズとレタスが好物だからな」
「はい、チーズ、多めにしておきます」
「ありがとう君もたくさん食べて、元気になってくれ」
「はい」
「ああ来た」
「赤ワインいいね」
「ああ」
「おばさんに変わりないか」
「うん、けち」
「変わらんな」
「うん」
「そうか」
「食べよう」
「これパン」
「来てたの、横目で女の子を追っかけてるね」
「いや」
「良くなった」
「ああやっと」
「どうしてここに」
「虹が見えたんだ」
「虹」
「ああ」
「変ね」
「君は」
「月のささやきが聞こえたの」
「月、か」
「そう」
「見たよ、月は小川の川面で」
「へえ」
「食べようよ」
「うん」
「お兄さん」
「そうだよ、こいつぼーっとしていたから、声をかけたんだ」
「うん」
「会えてよかった」
「うん」
音楽が、ワルツになっていました。
賑やかな広場です。
「少し木陰に」
「うん」
「見えるよ、よく」
「うん」
「素敵な笑顔だ」
「うん」
「天国みたいだ」
「行ってきたのね」
「ああ」
「きれい」
「ああ」
「どれだけ」
「君が一番月の光よりも輝いているよ」
「本当に」
「ああ」
「嬉しい」
「よかった」
「うん」
「少し川辺を歩こうか」
「うん」
二人はゆっくり歩きました。
川向うの、オランジェリー美術館が白く光って立っていました。
貴婦人は日傘をさして、川面を見つめています。
芝はよく手入れされていて、小さなピンクお花が揺れています。
「アルル」
「ああ」
「退屈」
「そう本は」
「読んだよ」
「沢山」
「いや、一冊でやめた」
「退屈」
「いや、なんか、あれな、感じで」
「そう」
「それでいい男はいたの」
「なんか、いとこが連れてきたの」
「いい男」
「色白な奴」
二人はゆっくり歩きました。
「なんか、はっきりしない男よ」
「足りなかった」
「全然」
「そう」
「いいよ、今日美人で一番って言ってくれたから嬉しい」
「単純だな」
「馬鹿よ」
「馬鹿は、馬鹿って言わないよ」
「受ける」
「ほら」
「かわいい」
「お嬢さん、なでてやって」
「いいんですか」
「おー、気持ちいい耳の裏かわ」
「何、しゃべった。爺、みたい、この犬」
「そうなのもう15だ」
「散歩お疲れですね」
「なんの気持ちいいんだよ」
「ありがとう、お嬢さん、ごゆっくり」
「バイバイ」
「そろそろ、席に帰ろう、お兄さんが待っているよ」
「うん、ちゅーは」
「ちょっとだけ」
「うん」
川を遊覧船が過ぎていきました。
「あー、二人」
「ムール貝は食べておいたよ」
お兄さんは黒く細長いからで一杯のバケツを持ち上げました。
「話はついたのか、私がいいといったら簡単なんだが、もちろんいいという返事しかないんだが」
「あの、そのことは話してないんです」
「それじゃああつまらん、いつ婚約するんだ」
「いやその前に」
「そうか、では食事は終わりだな」
「ええ」
「お兄さん婚約はしなくても大丈夫よ」
「そうか、もう住むところを決めたから」
「そうよ」
「え」
「あのアパートの3階よ」
「早いな、いいだろう」
「お兄さんその前に、僕にはやることがあるんです」
「そうか、忘れたんだな、なんせひどい事故だった」
「二人、座ったらどうだ」
「はい」
三人は、静かに時間を過ごしました。
「いいだろう」
「ゆっくり」
「ええ」
「チーズ」
「私、アイス」
「ああ」
「叔母がね」
「ああ」
「きついのよ」
「ゆっくりできた」
「だから、きついの」
「厳しい」
「うん」
「寝坊したいよね、日差しが気持ちいのに」
「うん」
「起こしに来るのよ」
「起きると気持ちいいだろ」
「寝てる」
「ああ」
「きみは,叔母さんに愛されているんだよ」
「いやー」
「跳ね橋がったよね」
「アルル、陽気すぎて嫌い」
「体は休めなかったの」
「だから戻ったの」
「おいいつ戻ったんだ」
「今朝、ついたら誰もいないから」
「そうか、お帰り」
「うん」
「じゃあ、行こう」
「どこへ」
「睡蓮の池に」
「お兄さんが好きなところ」
「そうだよ」
「あそこの,婦人像、好きよ」
「行こう」
「はい」
三人は、歩いて美術館に向かいました。
夏の終わりの木陰は寒いくらいですが、歩くとあせをかきました。
「エリ」
「ん」
「もう少しゆっくり休んで、元気になってね」
「にぎやかな絵いがいいわ、森ばかりだと怖いの」
「出てきた」
「出てくるのよ」
「小さいの」
「うん」
「それはいたずら好きだよ」
「うん、蹴られた」
「後で教会に行ってお祈りしよう」
「教会もないのよ」
「おばさんはそこで暮らしているんだ」
「うん」
「きっと、孤独なんだね」
「でも、いとこが、馬鹿なの」
「もうすぐ着くよ、アイス食べていく」
「うん」
「お兄さん一寸カフェで、アイスにします」
「ああ」
私たちは、テーブルに座って、アイスを食べました。
通りの人は、笑顔で歩いています。
「これアルルのおばさんに、食べさせてあげたいね」
「食べないよ。ケチだから」
「窓から見えるの、湖が」
「青い空を映しているだろ」
「出るのよ」
「そう」
「大きいのが」
「白いほう」
「うん」
「楽しんでいるんだよ、タップでおどっているだろ」
「馬鹿よ」
「きっと、頭はいい奴だよ」
「嫌い」
「叔母さんには」
「見えないらしいよ」
「いつも窓は開けているの」
「うん」
「そう」
「暗いの、嫌だから」
「アルルの光は暖かいでしょ」
「でもつまんない」
「そこは、ゴーギャンがいるよ、気難しい奴だ」
「嫌いよ」
「でも、いつかまた行ってみよう」
「行かないよ」
「アイス溶けちゃうから食べよう」
「うん」
三人はカフェを出て、美術館に向かいました。
美術館は観光客と学校の授業で鑑賞に来ている子供たちで、あふれていました。
三人はめいめい絵を鑑賞しました。地下のモネの水連の前で落ち合うことにしました。
階段の床の音はコンコンと、上品に響いています。
螺旋の階段をゆっくり上るごとに光が柔らかく差しています。
「ゆっくりできた」
「教会で休もうか」
「うん」
「そうしましょう」
「では」
「はい」
「行こう」
三人は、美術館をしっかり鑑賞して歩きまわったので、すっかりと疲れ切ってしみました。坂の途中の門の向こうに教会が見えたので一度入ってみたかったのです。門の周辺には鳩が、首を振って歩いていました。
私は、ぞっとしました。私はこの後どこに行けばいいんでしょう。帰る場所があるはずですが、あの白い道はどこに行ったんだろう。どうしてエリのお兄さんに会ってしまったんだ。贈り物の箱を準備していた部屋に戻らなければ。
門の中の広場は、石畳が広がって、広場を囲んだ建物が、回廊のようになっていました。急に人影がなくなっていました。教会の鐘が広場の空に響きました。
回廊にベンチが見えたので私はそこで休もうと思いました。教会に入ると、お祈りが始まっていました。私は今日かいの入り口で、黙って、眺めていました。ステンドグラスの光で、凶器の中は、カクテルカラーに染まっていました。
パイプオルガンの音が響いてきました。
私は目を閉じて静かに音を感じていました。
一歩、足を前に出しました。こうして立っているんだと感じました。
いつの間に二人は消えて、教会の席に座って聖書を読んでいるようでした。
パイプオルガンの音が、教会の天井に消えていくと、静かに聖歌のコーラスが始まりました。あの白い道は、祈りの道でした。貧しく豊かな、農場の道でした。
教会を真っすぐ進んでいくとあの道に続くのでしょうか、虹の橋が、でてくるのでしょうか。
私は静かに頭を下げて、また会いましょう、とお祈りして、教会をあとにしました。
広場に虹の橋が届きました。わつぃはゆっくり上っていきました。向こうの空はもう真っ暗で、星が輝いていました。
一日が終わろうとしています。
私は手を伸ばして流星を捕まえようとしました。
天に伸びていく糸杉の並ぶ歩道のカフェの灯りが黄色く光っています。パイプを銜えた男が、明かり委に照らされた道をにらみつけています。入り口のテーブルには、花を赤くした、若い男が、女性をモデルに紙ナプキンに、描いていました。店主がやってきて、それを取り上げて、もう一杯飲むかと聞いています。男はまだ飲みたいようで、店主を見ました。店主はアブサンと、紙ナプキンを持ってきました。どうyら、紙ナプキンの絵が飲み代のようでした。
「相変わらず経たね、ブラ絵はできたの、まだもらってないよ、裸のモデル台は決まっているのよ」
「画商のオヤジが時機、払うよ」
「あんた、カトリーヌにちゃんといい食事を食べさせているの、毛皮のコートは着せてあげているの」
男は何も答えず、汚れた目をすこしあげて、鉛筆を動かしました。
もうエクス他方の入り口の川べりに、金髪で痩せて髭を生やした目の鋭い男が、イーゼルを立てて蠟燭の灯りで筆を走らせていました、服は絵の具だらけで、油と酒のきつい匂いがしていました。奥のテーブルでは、髭をはやした静かな目をした二人の男がパイプを銜えて、カードゲームを楽しんでいました。向かいの席で赤いチョッキを着た若い男がそれをテーブルに肘を置いて、頭を支えて、眺めています。
反対の入り口には、アルル行きの計画を練っている元銀行マンが青いコートを着て、新聞をにらんでいました。
さらに奥のテーブルには白いひげをたっぷり蓄えて、食事を楽しんでいる紳士が、浮世絵を眺めて微笑んでいました。バラを胸のポケットに入れて、薫りを楽しんでいます。
まだだれか足りないな、今夜は、月明かりの虹も消えそうだ。急ごう。
私は急いで虹を渡りました。
虹を渡り切ったら、白い道が現れて、農場の向こうの館が見えました。私はそこで、起き上がりました。ベッドお横の本棚に、並んだ文庫本から、ゴッホとセザンヌの本があるのを確かめました。そしてモディリアーニの伝記も見つけました。三日後、三丁目のカフェに虹を超えていくために、贈り物を整えないと。
赤いチェックのリボン、取ってあった中にはないな。
手芸店で新しいのを探すよりもアンティーク、でも、彼女、使い古しは嫌いだった。とにかくリボンが大切だ。いいのかこれで、とにかく、美しいものを込めておこう。真水の透明な雫のような、ガラス、月の灯りを閉じ込めた小石、永遠に緑御金木犀の葉、まだ、大切なものがそろってないな。永遠に錆びないリング。重くないようにそろえておこう。
義兄はどうして私のことが分かったんだろう。酷い事故っていうけど、私はどんな事故にあったんだ。病院にいたのは分かったし、誰かがいつも私を看護してくれていた。わつぃひゃっと今日、部屋を出てパンを買おうとしたんだ。
エリさん、今日私に会って良かったのかな。もしかして忘れたほうがいのか。
そうだ、もっと野心家がたくさんいたんだ。
「そろそろ来て見たらどうだ」
「え」
「私たちは、新しい表現を発見したんだ」
「ええ」
「君も見てみるといい、私たちの、見ていた光景を」
「はい」
「毎日新しくなっていくんだ」
「はい」
「そろそろ、どうだ」
聞こえた、誰なんだ。
私は、箱を見つめていました。
実はもういらないものだな。
やめよう。彼女はそういいに出てきたんだ。
カフェにはいこう。
誰が誘ってくれたんだ。
一人バレエ教室でパステル画を描いている気難しいのがいた。
私は美術館に行こうと思った。
多分、彼女は、踊っているみたいだ。
ゆっくり歩いていこう。
「いいよ」
「だろ」
「またききたいんだけれど」
「ああ」
「あの、婦人像、似たのがあるよね」
「ああ」
「マティスをみるといい」
「マティス」
「ああ」
「分かった。私調べてみる」
「ああ」
私は安心して朝のコーヒーとパンを食べた。
「でもね」
「え」
「いいけど」
「え」
「アルルの叔母って変よ」
「うん」
「お風呂が嫌いなの」
「うん、ボナールを見るといい」
「ボナール」
「ああ」
「チェックの句テーブルクロスで、幸福な食事をして猫も気持ちよく眠っているんだ」
「いいな」
「きっとできるよ、つつましくしていれば」
「うん」
「ミルク飲みたいな」
「冷蔵庫に入っているから飲めば」
「でも」
「いいよ」
「うん」
「いい笑顔だ」
「何か、ほしいものがあったんだろ」
私はコーヒーを淹れながら聞いてみた。
「無いよ」
「そう、きっと違っていたんだな」
「何が」
「君に荷物を送る準備を焦ってしていたんだ」
「いらないよ」
「そう、だよね」
「良くここに来たね、虹は消えていただろ」
淵ケルトソファーで、ゆっくり眠っていました。
私は、そのまま眠らせておきました。
私は部屋に戻って、水彩に手を加えました。
何度も緑の色を重ねて私はその時が来るのを待っていました。
私はついうっかりラジオのスイッチを入れて、ワーグナーのシンフォニーが流れているのを聞いていました。
私はソファーに向かって、
「まだいるね」
毛布をかけてやりました。
そして、部屋の明かりを消して、部屋に戻りました。
エリ、疲れているんだね。
私は机に向かって日記を開いて、あの時代のカフェは、いいかもしれない。と書きました。
夜も更けてきました。
寝ているね。
私はこっちのベッドで寝るよ。
明日の朝は虹が出るといいね。
白い虹が。
寝息が聞こえてきます。
ゆっくりしすぎだよ。
贈り物の中身はまだ、空っぽだよ。
雨だから、今日一日ゆっくりしていればいいよ。
横顔が優しくなったね。
「あのね、ちょうだい」
「なにを」
「空っぽの箱」
「いいの」
「うん、面白そう」
「分かった、受け取って」
「うん」
「よかった、ほしかったんだね」
「うん」
「用意しておくよ」
「うん」
もうすぐ明け方、午前4時、始発電車が、発車する時間だ。
もう少し寝ていよう。
幸せそうな寝顔が見ることができてよかった。
私はベッドに横になって深い眠りにつきました。
キャンバスと絵の具を背負ってイーゼルを杖に歩いている男が赤い岩山を昇っていました。向きには石灰岩の岩肌が見える山がそびえています。麓の村の家の壁は赤くて、黒いくぁらの質素な家屋が、松の木に囲まれて、並んでいます。男は腰に下げた、タオルを取って、汗を拭いていました。あーそうだ、確か本棚にはセザンヌの本もあったはずだ。
私は、日差しを感じて目が覚めました。
ソファーを見ると、彼女の姿は消えていました。
帰ったか。
「ありがとう」
「ああ」
「私やっぱり静かで小さなブックカフェ、やってみたいの」
「うん、知っているよ。きっとやれるよ」
「そうかな」
「好きな気持ちが変わっていないんだから」
「うん」
「いつか、また」
「うん」
私はカーテンを開けて、コーヒーを淹れました。
帰っていったな。
箱は、やはり何か、欲しいも尾があったみたいだ。
赤い薔薇の蕾に、希望の虹の橋を入れておこう。
それを義兄に渡せば、届くはずだ。
「叔母さんね、お風呂に入っていたよ、従弟の彼、クリケットを始めたの」
「そう、もう少しゆっくりできそうかな」
「うん、後1年くらいこっちにいるよ」
「ああ、落ち着いたほうがいいよ」
「うん」
「届けてもらうから受け取って」
「うん、楽しみ」
「またね」
「うん」
セザンヌおじさん、水彩でりんごを描き始めたみたいだ。
もう5年かかっているよとにやりと笑った。
私は本段からセザンヌの本を取り出して、
ページをめくって、新しい栞をさしておきました。
本棚に戻して水彩に手を入れました。
「おい君、もっと見てからじゃないと絵の具も乾いていかないよ」
「いいから描くんだ」
「え、誰、また来た」
私は窓の外に見える桜の木の緑の葉が次第に少なくなっているのを見ていました。
250っ子バイクに乗った少女がヘルメットを取って、グランドを眺めていました。
そして着ていた青いレインコートを取って、後輪の荷物ボックスに入れ込んでいました。
また聞こえた。
私はもう一度本棚からセザンヌとゴッホの本を取り出してページをめくって、詩織の位置を動かしました。
私はその少女を風景のなかに描いていました。
バイクを止めた。グランドの入り口の手前の道にはまだ水溜まりが残っていて、樹の枝から落ちる雨の雫が、円を描いていました。
少女は、うんとうなづいて、バイクに乗って商店街に向かって、走っていきました。
「歌は止めないよ、だって私が聞きたいんだから」
少女お前には大きな青空が広がっているようでした。
その時、雲の切れ間から、太陽の光が強く差していました。
赤い薔薇の蕾。
赤い薔薇の蕾。
きっと、広場の植え込みで揺れている。
孤独で、豊かな香りを放ちながら。
そうだ、次に虹が出たら、もらってこよう。
大切な命を。
しなったら、
「おはよう」
のあいさつで起きます。
緑御位置お向こうに、さいていたら、
「おはようございます」
とあいさつします。
「ごきげんいかが」
「大丈夫です」
「どうぞ、勇気づけて見せますよ」
「ありがとうございます」
「痛くないようにね」
「はい、ハサミで」
「ええ、兄弟が沢山咲いていきますよ」
「はい」
「ほら、虹」
「ええ」
「さあ、どうぞ」
「はい」
「早く」
「はい」
「とげに気を付けて」
「はい、ありがとうございます」
「どうぞ」
「とげ,やめます」
「前に兄弟を絵がいたバラの絵がったので、そちらにします。香りだけください」
「高いよ」
「億万円ですか」
「そうよ、億万本の薔薇よ」
「気持ちは億満円です」
「気持ちはいりません」
「では、私の血は高いですから、根元に、一滴落としておきます」
「汚らわしい、ぼろオヤジ」
「ごめんなさい、では、奇麗な水をかかさず、根元に、まきます。
「それは時の総理と同じだな、中身が全然無いぞ」
「絵空事でも、ひまわり畑は楽しいですよ」
「ボケ、バラですよ」
「はい、ちゃんと、感謝しますから」
私は手をあわせて薔薇さんの幸せを心から祈りました。
「では、香りを」
「ありがとうございます」
私は祈りながら薔薇さんの前に絵をかざしました。
「どう、いいでしょう」
「はい、ありがとうございます」
これで迷うことなく、贈り物にしよう。
「やあ、君、よくなったんだね」
「はい」
「ずいぶん見かけなったけど」
「ええ」
「もう暗くなったから、ちょっと喫茶店にいかないか」
「いえ、ありがとうございます。今日は、もう帰ります」
「そうか、気を付けて帰るんだよ」
「はい」
私は歩いて階段に向かいました。もうすでに街灯が、道を照らし,マンションの階段には、明かりがついていました。向こうの焼き鳥さんからは、香ばしい香りの煙が、かすかな風にふかれて、道に広がっていました。
小学生の男の子たちが自転車で連なって走っていきました。
「マイボール」
「いきまーす」
「ありがとうございます」
大金声が道に響いていました。
私は杖を突いてゆっくり歩いて会談医務課会いました。
これで一日が過ぎていく。
ゆっくり寝よう。
川から、水しぶきが上がった音がきこえました。
石の橋の上から、重い石の塊を投げ入れたようです。
数年後、川から拾いあげられたその石の塊は、モディリアーニの彫刻悪心発見かあと、そうぜんとなりましたが、鑑定をする前もなく全くの別物でした。
私は、モランディの展覧会で、異様な空間があること位引き付けられました。
一枚の小さな紙片に描かれた、静物画の白い空間でした。
私はその空間と、時間程対話してみましたが、ただ、睨まれているだけで、言葉にすることができませんでした。
私は夢の中でまた汗をかいていました。
いくら離れてもその空間が私を呼んでいるんです。
そうだ、箱に入れられない。
別な入れ物にしなければ、薔薇に、失礼だ。
彼女にふさわしい,「たとう」を用意しよう。
川底から磁路割れ石はまた川に戻されたようだ。
モディリアーニの絵のポストカードをディスクに立てていた、彼女。
そしてクリムトとシーレが好きと言っていた。
薔薇の香りは彼女に、幸福なのか悪魔なのか、
少し危険か。
でも彼女が欲しかったものはもしかすると、危険な官能だったのか。
私は深い眠りの中で、瞑想していた。
私は、広いオフィスの中を見まわしました。
誰もいない机の上の朝日がさしていました。
向かいの広場にきっとあります。
あなたが、やってみたいことはきっと手が届きますよ。
私は、たとうの用意をしようとおもいます。
段ボールを丁寧に切って
チェックのリボンを描いて
「うん」
「え、聞いた」
「うん」
「じゃあ、いいね」
「うん」
「コーヒー、ゆっくり飲んでいるね」
「うん」
「ミルクは」
「うん、入れた」
白い道をチャックの制服をした少女が自転車で走ってました。
心地のいい朝の冷たさに、緑の木々が喜んでいました。
小鳥のいつの間にか、もう夕方です。さえずりも聞こえてきます。
「さあ、起きよう」
私は目覚めました。
いつの間にかもう夕方です。
「エリの叔母ですが」
「はい」
「私は清潔ですよ」
「はい」
「あの子は、いつもいい加減なことばかりやっているから私が言わないと、また、しくじってしまうのよ」
「エリさん、しくじっても自分で何とかしますよ」
「いい加減なことは言わないでください。だいたいあなたは、何者」
「いい仲間の一人だと思っています」
「そうですか、資金エリさん無断でいなくあるから心配してきたら、あなたの家で寝ているからびっくりしたのよ」
「ええつかれているようでしたから、昨夜もちゃんと食事をしてないので、食べさせて下さい。自分で用意すると思いますが」
「ご迷惑をおかけしました。あの子には、関わらないで下さい」
「ですから」
「はい」
「落ち着いてください」
「はい」
「えりさん、何かやりたいようなんです」
「あの子はいつも、それで、迷惑をかけるのよ」
「たぶん自分でもよくわかっているんですよ」
「いいですか」
「今度きたらおい返してやって」
「ええ、もう来ませんから」
「お邪魔しました」
「はい、天照様」
「よくわかりましたね」
「はい」
それで自由に、行ったり来たり出来るんだ。
私は謎が見えてきました。
謎は道のことです。道は誰かが通ってできているのです。
その虹の道は誰が通してくれたのでしょう。私が何度も踏み固めて作った道ではないと思うのです。誰かが通った道を眺めて歩いているのです。私は明日、一枚の絵を持ってその道を歩いて三丁目のカフェに行かなければ、私は、硬い段ボールの板紙に、髪をはさんで、白い紙御包装紙に包んで、贈り物を用意しました。
彼女のほしかったものって、形のない夢のはずだけど。
私が見たアルルのカフェに集っていた人たちはみんな形の無い夢を持っていたようでした。
「おい、君来ないのか」
「ええ」
「君も見えているはずなのに、来ないのか」
「ええ、まだ、だと思います」
「もうすぐ夜明けになると閉まっちゃうぞ」
私は不思議な空間に、また出会いに行こうと思いました。
私はもうすぐ今日を迎えます。
も王一度白い道に向かいます。
白い虹を歩いていきます。
足元には緑の杜が広がっています。
おや、鳥がきました。
鳩です。
君、平和かい
いいえ、悲しいです。
そうか。
でも、私は、歩くよ。
気を付けてください。
ロケットが来ますよ。
ああ。
手でつかんでみるよ。
危ないからやめてください。
わかった。
話してみるよ。
ええ。
私は歩いていきました。
また会いましょう。
うん。
「ところで、何か気に入りませんか」
「ああ、一撃で、消滅だ」
「いいですか、その爆弾は、もう、流行おくれで恥ずかしいものですよ」
「なんだ」
「ええ、ですからやめましょう」
「それができていたら、苦労はなかったのに」
「ええ」
「大体お前、勝手に橋を渡るな」
「出も行かなければいけないんです」
「それはお前の都合だ、こっちは、むしゃくしゃしているから一発やりたいんだ」
「では、金のハンマーで、地面を揺らしてください」
「金のハンマーがはやりか」
「後銀と銅と鉄が、あります」
「それなら金、に限る」
「杯お使いください」
ドっゴーン。
地面が揺れて、木の実が落ちてきました。
お腹を空かせた,熊や、イノシシが大喜びでした。
「まあなんて、ひどい雷」
天照さん、あわてて、岩影に隠れました。
世界は2000年大洪水になりました。
私は、三丁目のカフェに向かって歩きました。
未来は消えたようです。
私は400年前のカフェに向かうので、存在していると思います。
世界は金のハンマー一つで消えてしまいました。
兆万円をかけて原水爆を作るなんてなんて馬鹿げたことなのでしょう。
そうやってじゃれあっているのが楽しいのでしょうか。
私は森が消滅していくのを眺めていました。
三丁目のカフェってここか、すぐみつかったな。5階段をのぼるのか、私は手すりにつかまって左にも手すりがあるのを確認して上っていきました。テラス席はないようだ。ドアもちゃんと閉まっている。白い壁に白の樹の扉。私はその扉を開けて、中をみまわしました。
まだ、来ていないようです。
店内はマホガニーのテーブルと椅子で、緑が置かれた、純喫茶でした。
「いらっしゃい、一人」
「ええ、待ち合わせです」
「まあ珍しい。あなた、物書きさん」
「いえ」
「じゃあこっちの4人席に座って」
「はい」
「コーヒーブックホットで」
「ええそれで」
「あのホットサンドがあったら」
「うん、ハムレタス、ハムチーズ、塩は」
「ハムチーズに、塩をつけてください」
「ホットコーヒーブックね」
「はい」
「待ってなよ」
「はい」
店多くには十数人が黙ってコーヒーを飲んでいました。
私は、鹿谷ので、ポケットから本をだして読んでいました。
「おや、やっぱり、物書きさんだね」
「いえ、素人です」
「でも、物書きだろ」
「いえ」
「面倒だから食べて飲みな」
「ありがとうございす」
私は本を読んで待っていました。
「長くなりそうだね、物書き」
「すいみません」
「しょうがないからお替り自由でサービスだ」
「ありがとうございます」本のページをめくると
「まだいいのかい物書きさん」
「ええ」
「少し話しておくれよ、物書きさん」
「はい、森が消滅しました」
「あの広い森が消えたのかい」
「ええ、金のはんまーの威力です、天照が、いかりをこめたようです」
「あらあのお姉さんやっちまったかい」
「ええ、見事に消えました」
「困ったもんだ、じゃあコーヒーはだめだ」
「ええ」
「食事も、無しにするよ、水も食材もみんなあの森のものなんだよ、どうしてくれるんだ、物書きさん、あんた、いい人かと思ったけど、ひどい人じゃないか」
鳩に、クヌギの実のついた、小枝をやります」
「何年かけて森にするつもりなんだ」
「そのあと天照に、打ち出の小槌を打って、いただくようお祈りします」
「それがいいね、馬鹿な物書きさん」
私はもう一度ページをめくりました。
朝日が昇ると、巫女が踊り始めました。
「はいさ、はい」
「はいさ、はい」
「よっとこよっとこ」
「さあ、天照さん、笑ってくださいな、森を育ててください」
「物書きさん、姉のご機嫌取りしても無駄よ」
「もうすこしおいおりします」
「物書きさん、賽銭、しかもカードでよ」
「はい、カード」
「葉っぱでは、データが読み取れませんよ」
「あ、失礼、パスもしかないです」
「物書きさん、コーヒーは飲んだので、お代と賽銭はただいておきますよ」
「はい」
「わたしを起こしたのは誰」
「お姉さん、この物書きさんよ」
「あら、ちょこちょこと蚊のように、うざい人ね」
「物書きさん、これではだめそうです。足らないみたいです」
「もっと景気よく鳴り物を鳴らさなきゃあ」
「はい、石をたたきます」
「タンタラ、カンカラ、トントン」
「タッタラ、キンキン、タマアタマタマ」
「おや、物書きさん調子よくなりましたね」
「ええ」
「森に一振りトン」
瞬く間に、緑の森がにょきっと出てきました。
まだ来ないようです。私は脇に抱えた、他党をテーブルにおいて、コーヒーを飲んで、本のページをめくりました。
鳩は青い空を右に左に、ステージ一杯に輪舞を踊っています。
そして平和平和と歌ってオリーブ御枝を落として飛んでいます。
遠い昔に起きた戦争でできた傷をいやしているのです。
やがて世界は、眠りについて、新しい朝を待っているのです。
私は新しい栞を挟んで、本を閉じました。
「待たせたね」
「はい、まちました。森が消滅して、はえてきました。
2000年たちました。」
「2000年かけてコーヒー一杯飲めてないんだね」
「ええ」
「座っていいかね」
「はい」
「おや、今度はサラリーマンさん」
「いえ、一応、教授です」
「はあ、編集の方じゃないんですね」
「はい、編集です」
「ではホットコーヒーブラックで」
「角砂糖一つお願いします」
「ミルクは」
「お願いします」
「君、お変わりは」
「いいですか」
「森が生えたから、いいよ、物書きさん」
「では、願いします」
「いいよ、ブックホットで,キリマンジェロでね」
「ありがたい、ホットサンドも一つお願いします」
「あ、私も」
「まあ、いいでしょう、森が生えたのでね、姉さん大したもんだわ」
「姉さん」
「天照です」
「天地創造の神、画、姉さん」
「ああそうだよ」
「ぜひ、お姉さんの想い出を着てください」
「何、言っているの、綿写、物書きじゃないよ」
「書けますよね」
「無理だね、こちらの物書きさんに話すから、なんとかしなよ」
「ああ。ありがたい」
「ええ、私が」
「頼むよ」
「あんたたち、どうするの、わたしゃ、忙しいんだよ」
「お願いします」
「ええ」
「頼むよ、しばらくこっちにいればいい」
「え」
「わたしゃ、いくよ」
「後でゆっくり話してやってください」
「気が向いたらね」
「すみません」
「物書きさん、頼むよ」
「言っとくけど、高いよ」
「ええ、印税7パーセントで」
「なんだくぁからんけど、億兆円だよ」
「国家予算は出せません」
「なんか特になるおかね」
「ええ大変感謝されますし、多くの人がここに来て、幸福になって、賽銭をだしますよ」
「そうか」
「聞かせて下さい」
「うるさい」
「ごめんなさい、気が向いたとき、ここの支払いは、出版社がしますので、ご自分のコーヒーとお変わり」
「うちはにこにこ現金払いでつけはあしだよ」
「小切手でいいですか、億万円置いておきます」
「面倒だな。現金で10万置いておけ、その小切手も」
「はい、10万円と、小切手」
「え、社長さんですか」
「まあ」
「なら仕方ない、新事実を話そう」
「ではまた後でゆっくりコーヒーを飲んでください」
「ああ、お変わりのコーヒーブラックと砂糖ミルク付けにホットサンド、ハムチーズ,塩をつけるの二つだね」
「はい、お願いします」
「待ってなよ」
「ええ」
「あのおばさん、本当に妹なんですかね」
「違うのか」
「本人はそう言っていますが」
「君、天照に、確認してくれないか」
「ええ」
「なあ」
「は、」
断るべきだ。
「それは無理です、会社あの総力を挙げて調べてください」
「わつぃと助手の二人の会社だ、帯で適当に真実にしておくよ」
「出た、得意の言ったもん勝ち」
「ああそうだよ」
「ところでこれ」
「箱じゃあないんだね」
「箱は止めました」
「手紙か、おおきいな」
「薔薇の水彩画です」
「ほう、見ていいか」
「あまり長い時間,開けて、おかないでください、本当の薔薇の香りを付けました。ところで、エリさんのお兄さんですよね」
「そうだよ、エリに確認とってくれ」
「出た、また、人に指示して終わり、自分で証明しないやつ」
「おお、これはいい」
「ありがとうございます」
「一か月こっちだな」
「オフィスは🅆他紙御机を貸すよ、寝泊まりは、隣に部屋がいているからそこを使ってくれ、身の回りの世話は、エリがやるよ、ひと月分の生活費とそれが条件だ。断れないよ」
「出た、」
「決まったな」
「100年前に決まっていましたよ」
「ほう」
「それで、事務所はどちらですか」
「近いよ、森に行く途中だから」
「エリさん、アルルに帰ったんですか」
「エリは、ずっとアルルにいるよ」
「三日前にきていたじゃあないですか」
「エリも君も急にいなくなったから、忘れていたよ。きいみといっしょじゃあなかったんだね」
「うぇえそのはずだったのですが、エリさん、家まで来て、本を読んでコーヒーを飲んで、ぐっすり寝てしまいました」
「そのとき渡さなかったのかい」
「エリさん欲しいものがあったようだけど、まだ、いるのって聞いたら、うんと言ったので、もう一度考えてからにしょうと思ったんです。そのあとアルルの叔母さんが来てボコボコに怒られてしまいました」
「アルルの叔母が行きましたか、あのめったに、外に出ない叔母が」
「ええ、気が付いたらふたりともいなくなっていました」
「分かったよ、こっちに来てないからあら二人とも、アルルだ」
「この後、事務所に行かせてください」
「いいことだ。仕事熱心でよかった」
「仕方ないでしょ」
「まあ、食べてから」
「ええ」
「少し歩くよ」
「ええ」
「少しスロープがるけど」
「ええ」
「食べよう」
「ええ」
「うまいな、生きかえった」
「死んでたんですね」
「ああ」
「どうでした」
「よかったよ」
「では、天照にあったでしょう」
「私は天国の一つ下の下界だったので」
「つまらん」
「ああ」
「しょうがないのですね」
「ああ」
私たちはホットサンドとコーヒーをいただいて、事務所に向かいました、夕暮れ御空にすい星が落ちていきました。道は舗装されていて、歩道が続いていました。彗星が落ちたのは緑の森の向こうでした。
「どうかね」
「ええまあ」
「こっちの世界に半年いたらどうだ。
「一月分で、六か月拘束ですか」
「まあ硬いことは言うな、快適な生活は保障するよ」
「出た、適当なやつ」
「聞きづてならないことは言うなよ」
「話を聞いて、読めるものを書くんですよね」
「それが君の役目だ」
「決まっていることだから仕方ない。エリさんもすぐに帰ってきますか」
「おっとそれは、君の世話はわが社の担当編集者にさせるよ」
「会社唯一の社員で助手のですか」
「ああ」
「出た」
「美人で優秀だよ」
「背は」
「高くてスレンダーで、ショートカットの黒い紙で色白だよ」
「きっと目がテンパっていますね」
「よく、分かるな、会ったことがあるのか」
「いいえ」
「そうか、それでは、よろしく頼むよ」
「嫌です」
「おや、またそれかね」
「ええ」
「それで」
「ベッドは用意してください、雑魚寝はごめんです。あと音楽が聴きたいのですテレを飲ラジオも」
「ラジオ」
「ええ」
「古風な家電だな」
「ないんですか」
「とっくに」
「じゃ音楽は」
「それはスマホ、いやそれももうない、スピーカー一つで十分なんだ」
「あー、アマゾンのあれ」
「アマゾン、とっくに独占騎士法違反でなくなっているよ」
「じゃあクラシック音楽は」
「呼べばオーケストラがくるよ」
「出た、いい加減なやつ」
「寝るまえに聞くやつユーチューブは」
「それは君いろいろあるよ」
「じゃあそれを」
「ああ」
「聞くことはできるんですか」
「響かなあいけど」
「嫌です」
「またか」
「億万円だよ」
「一月分」
「ああ」
「嫌だ」
「一億五千万円」
「嫌だ」
「しょうがない、二億」
「だせるんじゃないですか」
「ああ」
「やりますよ」
「ああ」
「秘書の方は」
「網すぐ会えるよ」
「美人ですよね」
「ああ」
「違うと、ことわりますよ」
「この世界一だ」
「ええ」
「ああ来た」
美人だ、しかもスレンダーでハイヒール。
「あなたキックは得意ですか」
「どう」
「来たー」
バシ
「効いた」
「これぐらいでいいですか」
「ええ」
「君、変な趣味があるんじゃないだろうな」
「ええ」
「もう一発は」
「十分です」
「では、お茶を」
「いえ、結構です」
「原稿用紙かパソコンは」
「すぐに用意します、それとスピーカーですね」
「はい」
「ワードを使いますか」
「ええ、それと帳面をお願いします」
「はい、横22行でいいですか、ボールペンでいいですか」
「はい」
「しばらくお待ちください」
「あの、お名前は」
「サトコ、です」
「ありがとうございます、サトコさん、柏木です」
「君、柏木君か」
「ええ」
「お兄さんはいるか」
「ええ」
「雅君か」
「ええ」
「そうか、クラスメイトだったが元気にしているか」
「ええ、家業のイチゴの農家を継いでいます」
「そうか」
「では、失礼します」
サトコさんは、ハイヒールの音を立てて出かけていきました。
「柏木君、部屋を案内するよ2階だ」
「はい」
「ところで社長のお名前は」
「ミスターXだ」
「分かりましたミスターX」
「こっちにエレベーターがある。来てくれ」
「はい」
「この建物は、5階建てで、私の家が5階だ。サトコ君は3階に住んでいる」
「はい」
「4階はあいていて机とソファーがあるからそこで、はなしを聞くといい」
「はい」
「これでいいかな」
「はい」
「私はこの本を売るが、儲けるためだけではない、歴史の謎の扉を開けておきたいんだ」
「あのおばさん本当に信用していいんでしょうか」
「ああ、頼むよ」
「本当っぽくしてくれればいいんだ」
「出たー」
「それもまた、真実だよ」
「ええ信じ込んでいたら平気で嘘が付けます」
「いいぞ、そういうことだ」
「嘘を平気で着きなさいというのがミッションか」
「今世紀最大のミッションだ」
「それでしたら、聞かなくても作りますよ」
「ダメだ語り部が成人していることが大事なんだ」
「サトコさん委語ってもらったらいいでしょ」
「あれでは美人過ぎて迫力がない、私はあのおばさんお顔と存在感が気に入ったんだ」
アマテラスは、創造紙の子どもですが、実は、これは大事なことなんですが、田んぼのモグラが、息を拭いたら出てきた、農民でした。モグラは、その日4海域を履いて農民の子を産んだのです。っモグラは安心して、月に帰っていきました。アマテラスはびっくりして兄弟と一緒に安易潜ってしまったのです。これが事実です。兄弟は、にほんのおおきんしまにそれぞれわかれてすんだようです。北海道、本州、四国、九州と呼ばれるようになったところです。
「柏木君もう聞いたのか」
「ええ」
「すごいじゃないか、天岩戸はモグラの穴だったんだ」
「ええ、平気で嘘が付けます」
「嘘でいいんだ」
「これでしたら一週間で書けますよ」
「それはまずい、ちゃんと聞いてから書いてくれ」
「これでいいのか」
「ああ、でもきちんと聞いたことにしてくれ」
「それも嘘でいいのか」
「ああ、でもの叔母さん怖いから聞いてくれ」
「そこか、出版に真実はないんだな」
「当たり前田、今日から嘘八百だ」
「ええ、そうです」
「だからしっかり読んで自分で考えるんだ」
「ええ」
「いいんだよ、聞いたことにしてくれれば、聞いてくれそこだけは外すな」
「面倒なミッションですね」
「だから頼んだんだほかにはできないよ」
「嘘八百を並べますよ」
「ああ楽しんでくれ」
「ええ、でもエリさんには、真心を込めました」
「そうか」
「ええ、届きますよね、アルルに」
「ああ、ストライキにはならないだろう」
「頼みますよ、嘘はなしですよ」
「ああ」
「必ずですよ」
「ああ」
「森は見えますね、今夏の終わりですか」
「いい質問だね、太陽は見えるか」
「ええ明るいです」
「知用とは限らんが、瑞穂の国でなきゃあ、天照はいらないよ」
「はい」
「でもあれは太陽ではなく、超新星の光なんだ」
「ええ、又嘘が重なった」
「秋になっているんだよ」
「自転は」
「してるが、24時間30分なんだ」
「360でわれにでしょ一時間は何分ですか」
「それは計算すると約62分だよ」
「エー、2分も損するのですか」
「ああ」
「時給が減ってしまったあーあー」
「けちだな」
「1000円やるよ」
「それはじきゅうにプラスですか」
「今キャアッシュだ」
「出たー、やめます」
「またか」
「しょうがないのでやりますよ、そうでないと話が終わってしまうじゃあないですか」
「続けてくれ」
「はい」
「嘘つきミスターXさん、秋になるんですね」
「ああ、嘘だよー」
「稲刈りはないんですか」
「瑞穂の国には最も大切な行事だよ」
「秋にしないんですか」
「冬の前にはやるよ」
「では空きがあるんですね」
「自転の関係で夏時の長さがくるっているんだ」
「ちょうしんせいはどうなんですか」
「ビッグバンに近づいているんだ」
「ではまた、創造主が出現しますね」
「おお、いいことを言うな」
「ビッグバンも嘘ですか」
「当たり前田」
「前田って、古い田ですか」
「前田だ」
「ええ、又嘘でしたね」
「いつからやるんだ」
「鉛筆を削ってからにします」
「トンボ鉛筆か」
「いえ、三菱です」
「違うのか」
「ええ、富豪と貧民の差です」
「それで君は、富豪の三菱か」
「ええ、紫のトンボです」
「サトコ君に頼んですぐに持ってこさせるよ」
「さっき出たばかりですよ、きっとカランダッシュのボールペンとパソコンを用意してくれるので、帳面も、コクヨじゃなく、高橋を用意してくれると思うので、そろったら始めます」
「そうか」
「ええ、すぐに喫茶店に行って、おばさんのはなしをきいてみます。天照の一族の」
「ええ、失礼のないようにな。おばさんと呼ぶなよ、とりあえずあなた様くらいにしておけ」
「細かいミッションありがとうございます」
「ああ」
ガラス窓から見える森の緑は、明るくキラキラと、光を反射していました。
森の上低いところに飛んでいる鳥は、明るく泣いていました。
向こうの空に白い雲が流れていました。
とりあえずこの世界の調和は、戻ったようです。
私たちは紅茶を飲んでしばらく部屋の椅子に座っていました。
「ところで柏木君、君は原稿用紙100枚の文章を書いたことはあるのかね」
「もちろん、ありません」
「嘘じゃないね」
「ええ、メールぐらいはしています」
「メール、それは、半世紀目の通信手段じゃあないかいか。それはもうないぞ、アンドロイドが通信してくれるんだ、君は頭の中で考えていればいいんだ」
「へー、でしたら、天照の話はアンドロイドにやってもればいいんじゃあないんですか」
「いや、それは私の流儀ではない」
「それができるアンドロイドはとても高価だ、君のほうが安がりだ」
「分かりました、サトコさんが、パソコンを用意してくれるはずですのでそれを使って、aiで、作成します」
「気に入らんが、まあいいだろう。必ず3度は読み直して手を入れてくれ、それからサトコにわたしてくれ」
「いちいち面倒なミッションですね」
「ああ」
「柏木さん」
「サトコさんおかえりなさい」
「手帳の高橋のノートにカンダッシュの最新のシリーズのボールペンです、これでいいかしら」
「ええパーカーでなくてよかった」
「そうですね、パイロットはあり得ない選択です」
「ええ、サトコさんありがとう」
「パソコンはマックにして置きましたよ。ウィンドウズですか」
「ええ、マックでとうぜんです」
「では、後プリンターも頼んで置きました。コーヒーはブラックのホットですね」
「でも、おばあさんのところで」
「席の予約はしておきました」
「はい」
「いつからでも」
「ええ、では行きます」
「おい君」
「はい」
「これはエリに届けていいのだね」
「はい」
「頼むよ」
「ええ」
「噓でいいよ」
「本当のことを言った」
「ああ」
「嘘は」
「八百でいい」
「千ではだめですか」
「おおすぎてもだめだ」
「では950にしておきます」
「ちゃんと届けるよ、中身は本物だろう」
「ええ」
「コーヒーに行くのか」
「はい」
「智子さん頼むよ」
「ミスターX、これは神の本ではないですよね」
「ああ、嘘っぱちのウェブ空間でいい」
「はい」
「ハア、紙の本にはしないんだ」
「ああ、sdgs的に紙の本は必要最低限がいい」
「じゃあ、ブックカフェに紙の本はないんですか」
「ああ、1000年前くらいkら200年前の紙の本をみんな読んでいるだ」
「サトミさん紙の本の匂いが好きなのに」
「ああ、あいつは、古風なところがあるからな」
「でも、中古は嫌みたいですよ」
「そうか」
「柏木さん、行きましょう」
「ああ」
私たちは喫茶店に向かいました。
「物書きさん、やっと来たね。ホットコーヒーブラックにホットサンドハムチーズ、塩月だね」
「こちらの美人のお姉さんは」
「予約して置きましたので、お支払いも済ませましたが」
「ああ、分かっているよ、こっちはいつも通りいやってるんだから付き合うものだよ」
「はい、ではサンドニは鯖の塩焼きをフライにしてタルタルソースにレモンをつけて、ルッコラを添えたハムチーズのホットサンドにしてください。」
「あんた、痩せているのに大食いだね、追加料金は100万円だよ」
「はい、これチップ込みで」
「これっぽっちかい」
「金貨も入れましたが足りませんか」
「生意気だね、小娘が」
「叔母さん、あ、まずいそちら様、失礼しました」
「物書きさん、今日は、まだ話せないね」
「ええ、待っています」
「うちは、1分ごとにっテーブルチャージ料金が付くんだが」
「ではいただいて帰ります」
「あんたげんこつでかえしてきたね」
「いえ、今のは平手です」
「失礼しました、これからしばらく毎日着ますのでよろしくお願いします」
「おや、美人お子娘さん、あんた家でバイトしなよ、ジジイの客が大喜びだよ、欠でも触らせてってくれ、オプション料金でもうけるから」
「あら、いいんですか時給は億万円で」
「あの、そんなことをしたら警察が、がさ淹れでお縄ですよ」
「出来るもんかね、うちは菊の家紋だよ」
「あ、それいただきます」
「物書きさん食えない人だね」
「まずいですよ」
「食うか」
「お米がいいんですよね」
「当然だよ」
「新嘗祭は、いつからですか」
「明々後日からだよ」
「まだ続いてやるんですンね」
「当然だよ」
「なる程」
私は帳面を出してメモをしました。
「とにかく今日はもう話さないからね、待ってな」
叔母さんはカウンターに戻りました。
「サトコさん、ありがとうございます、今日の取れ高は上々ですよ」
「柏木さんこれからが長いですよ」
「はい、腹ごしらえして、帰りましょう」
「はい」
私たちは事務所に向かいました。
「あらもう来ている。間に合ったわ」
丁度ベッドやパソコンプリンターなどの家電がとどいていました。
「ありがとうござます。留守してすみませんでした」
「良かった丁度ついたところです」
「2階に運んでいただけますか」
「はい」
「奥にエレベーターがあります」
店の人二人がコンパクトにカートに荷物を降ろして運んでくれました。
私は窓際にベッドを置いてもらい、反対の壁にデスクを置いてもらってパソコンを置いてもらいました。スピーカーは窓際の壁にあとはキッチン周りのものなのでキッチンにおいてもらいました。
「柏木さん、カーテンの色は、濃いグレーでいいですか」
「はい」
「少し待っていてください、後お茶は、アールグレイでいいですか」
「レモングラスもあったらいいと思います」
「杯承知しました、3階においてありますのですぐに取ってきます」
「ありがとうございます」
サトコさんは3回に言って店の方は梱包材を片付けて、戻っていきました。
「はいこちら、カーテンを付けます。
サトコさんは窓にカーテンをとりつけてくれて、
「着替えと下着、チェストにいれておきます。歯ブラシと食器も取ってきますので」
「ありがとうございます」
私はスピーカーに「ワーグナーの二番とキースジャレット2014頼む」
というと
「ワーグナーはカールベーム、ウィーンフィルですね」
「いいチョイスだ」
「ありがとうございますどうぞ」
「いい音楽ですね」
「ああ」
「聞いていけば」
「ええ、でも」
「サトコさん、お願いしていいですか」
「ええ」
「帳面にサトコさんをスケッチしていいですか」
「ええ、でも」
「水彩と油彩の絵の具道具揃えたいんですけれども世界堂ありますか」
「分かりました、でも揃えましょう画材店はあります」
「ありがとうございます」
「ええ」
「ようやく落ち着きました」
「何かあったら、スピーカーに話しかけてください」
「はい」
私はポットでお湯を沸かして、紅茶を入れました。
「もしもし、サトコさん」
「はい」
「休めなくてすみません」
「いえ」
「祖と出でて野の花を摘んでいいですか」
「はい、花瓶を用意します」
私は外にでかけて左の杜の道をあるいていきました。
「おはようございます。今日は風邪が気持ちいいですね」
「おはようございます。ええ」
知らない叔母さんだれだろう。
「コスモスやっと咲きましたね」
「ええ一輪摘んでいいでしょうか」
「多分大丈夫ですよ、とりきらなければ」
「はい」
「いいですね、花を一輪飾るのは素敵です」
「ええ」
「ごゆっくり」
叔母さんはにこやかな笑顔でした。
この世界に笑顔の叔母さんがいた。嘘はつけないな。
私はピンクのコスモスを一輪摘んで帰りました。
わつぃは部屋に帰ると、サトコさんはもうすでにガラスの花瓶い水を入れて、まっていてくれました。
「このふくでいいかしら」
「ええ、きたままで」
「いちまいあついのでとりますわ」
「ええ」
「しまった、鉛筆が三菱だ」
「画材母は、早めに買わないとといけませんね」
「大丈夫です。鉛筆と紙がありますから」
「サトコさんは前髪を手で横に撫でて、美しい横顔をあらわにしてくれました」
「座っていてくれれば動いてもいいですよ」
「ええ、大丈夫です。私は、モデルよ」
「へー、描きますよ」
「ええ、始めましょう」
私はゆっくり帳面にサトコさんとコスモスを描きました。
そして今日の日付は、
「サトコさんカレンダー、今日は年何月ですか」
「40015年10月19日ですよ」
「私は帳面に日付を入れました」
「柏木さん、カレンダーと予定はスピーカーに聞いてください」
そう言ってサトコさんはもう一三服を取りました。
わたしは鉛筆を走らせていました。
緑の日影の中でサトコさんは白い肌を露出させていくのです。
ワーグナーの曲が終わるとキースのピノが響きました。
「いい音ですね」
「私が聞いたコンサートで最高の音でした」
「いい音です」
「この宇宙でも響く音ですね」
「ええこの宇宙では、デジタルの音が空間にあふれていますので」
「聞こえますか」
「ええ、私の肌の上を這っています」
私は見ていないなと思いました。描かないと。
「サトコさん、もう少しです」
「はい」
「奇麗ですよ」
「はい」
「明日も」
「はい」
「日記のようにサトコさんを描いていきます、本当のことです」
「いいわ、舞市脱ぐの」
「いえ」
「そうしたい」
「どうして」
「きもちいいの」
「寒くならない」
「肌が出ているのが好きなの」
「いいんですか、ミスターX」
「いいの、あの爺は」
「へー」
「ね」
「はい」
「ちなみにこれです」
「はー」
「ダメですか」
「これ、私」
「ええ」
「いいお姉さんね」
「はい」
「コスモスも」
「はい」
「今日の日付をいれました」
「はい」
「日記のようにあなたを描いていきますよ」
「ええ」
「ミスターXの、天照、書きますよ」
「ええ」
「このあともう一度喫茶店に行きます、一人で」
「はい」
「原稿は、w-度のデータでいいですよ」
「はい」
「面白くなりそうです」
「はい」
「もう一間合い描きます、ワーグナーを聞き終わるまで」
「ええ」
「したもとりますか」
「早くそうしたいと思っていました」
サトコさんはスーツ御パンツをおろして白い素足を出して赤いパンプスを履きました」
「下着だけで寒くないですか」
「このほうがいいんです部屋の中ではいつもこれです」
「分かりました」
私はページを開いて2ページ分に描きました。
「ありがとうございました」
「それでゃでかけます」
「はい」
「来ましたよ、ホットのブックコーヒーお願いします」
「一人じゃないか、詰まらん、の小生意気な子娘を、決定的に塗装と思っていたのに」
「わざは」
「打ち出の小槌だよ、伝統的に一族の武器だ」
「武器なんだ」
「どんな奇跡も起こす武器さ」
「天照さんいつから使っていました」
「そうだな、姉は3歳かららしい。私は12の時からだよ、上手く使う尾は🅆つぃのほうさ、神社では姉が、上段にすわっているが、実力はわたしのほうさ」
「名前は」
「まほろばの女神」
「どちらの社ですか」
「純喫茶「天岩戸」さ」
私は帳面に描きました。
「そういえば、ドアが鳥居のようですね」
「今頃気づいたか、ボケの物書き」
「はい」
「何年目ですか」
「3000年続いた、うちのここは、3年目だ」
「ヒェー、若く見えますね、とても3000歳には、みえません」
「打ち出の小槌があるからね」
「音は出るんですか」
「あこれだ」
「カーン」
「カウベルに似た音ですね」
「奇跡は」
「そのうちじゃあなくてもうすでに土砂降りだ」
店の外は真っ暗でした。
「ギャーオ」
「森から悲鳴が聞こえてきました」
赤鬼がびっくりして鳶がって急に智子を鳴らしました。
碧鬼は澄ました顔で、空に上って、稲妻を発光させました。
「まほろばの女神、また森を消滅させるのか」
「役立たずはいらないんだよ、替えは、いくらでもる」
すると森の中央から天に向かって光の柱が現れました。
「罰」
「ヒェー」
小槌が割れてしまいました」
「糞、ダメ姉が」
「天照様」
さすがに美しい姿だ。
「まほろばの女神、神通力は、丈夫ですか、これからお祈りします」
私は手をあわせて、
「おいしい紅茶お願い」
と祈りました。
私は、30分で一大スペクトラルを見ました。
この取材、いくつ命がっても足りんな。
「祈りが通じたようじゃ」
「西方の、まれなる茶葉の飲み物ができたようじゃ」
「はい」
「物書きよ、お前わしの、第一の紳使にしてやるわ、こころせい」
「何ですかそれ」
「無礼な、神聖な告げを侮辱するな」
私はメモを取りました。
本当にこれがこの世界の神話の歴史なのか。大噓つきだ、でも見て聞いたことだから、そのまま書いておこう。
「いただきます」
「神使いに告げるぞ、いっちゃえば真実になるぞ、よき本を残せ」
「はいー」
「よかろう、ちなみに娘は、脱いだか」
「はい」
「それも、書いておけ」
「はい描きました」
「わしは」
「書きます、世紀の化け物」
「そうだ、正規品だ」
「あの扉から日の出が見えるんですね」
「そうだ、毎日ご来光だ」
「あの鬼は」
「邪鬼どもだ」
森の宇宙には、化け物と邪鬼が生息しています。打ち出の小槌は奇跡を呼んで、世界を破棄し再生させます。天照が威張っていますが実は、まほろばの女神に賽銭をいれないと、ききんになってしまいます。
「天照に子はできなかったんだ。男運が悪くて、出雲の神に行ったが、勾玉に目がくらんでしまい、子を作るのをやめたんだ、岩戸に隠れたんじゃあなくて、勾玉を察が恣意行って出てこなくなったんだ、それ以来超新星の光でできた世界だから,瑞穂野世界が、狂っているんだ」
「ヤマタノオロチや、稲葉の白兎は」
「あれは、スサノオが、焼いて食った、スサオウ、かわいそうにさけにおぼれてくるってしんでしまったよ、それが、1000年の出来事だ」
「後、2000年ですね」
「そおね、ねたはまだ作っていない」
「やっぱり大嘘か」
「当り前だ」
「それで好物は」
「わたしゃ、肉だよ、血の滴る」
「生贄は、イノシシでいいですか」
「いや、豚のほうがいい」
「料理法は」
「生姜焼きステーキ、スーパーで買うなよ、精肉店でちゃんとロースだよ」
「今食べるんですか」
「当たり前田、話しすぎて疲れた」
「打ち出の小槌は」
「使わないよ」
「早く生姜焼きステーキ、白いご飯付きだよ」
「はい」
「さすが瑞穂の神」
「それは、4000年前に、戦争があって、決定的に破壊と死滅した爆弾がつくられて、人間は、それを神にしたんだ、私は頭に来て打ち出の小槌を振ったよ」
「俺で一度森は死滅して、また生えてきたんだ」
「それ、虹の橋で見たやつです」
「ああ、4000年前だ」
「奇麗でしたよ」
「森の命は死んだんだよ」
「ご臨終」
「馬鹿、髪の前で、死は禁忌だ」
私は帳面に書き留めました。
そういえば、この世界の住民はみていないな。
まほろばの女神とサトコさんだけだ。
二人とも人間の形をして日本語で会話が出来ているので、日本の多分未来なんだろう。とうとう、ほとんど人老いに世界になったようだ。ミスターX、この物語いったい誰に読んでもらうつもりなんだろう。
「女神、この岩戸に誰か来るんですか」
「来るよ、森が再生したら人間が生まれるさ」
「どのくらい待てばいいですか」
「超新星の次の日の出の時間にくるよ」
「今は、今日の日の出が来たんじゃないんですか」
「いや、今日は白夜の季節だから、超新星は、地平線の10ミリ手前でとどまっているんだよ。」
「じゃ、骨董市も、音楽広場もないんですか」
「ああ、この季節はないよ」
「スーパーと精肉店はあるんですね」
「ああ、無人でロボットがやってるんだ」
「ヒェーつまらん」
無菌室にいるみたいだ。
「まほろばの女神さん、夜明けまでいますよ」
「ああ」
「個々の人たちの好き亜スポーツは」
「eスポーツ」
「後はジョギングとストレッチだ」
「ラジオ体操は」
「スピーカーでやっている人もいるよ」
「ラジオ体操は3番目ですか」
「5番まであるよ」
「オリンピックは」
「ああ20年に一度」
「大リーグは」
「野球も、ワールドカップだけだよ」
「水泳は」
「湖が出現してからだ」
「卓球は」
「やってない、柔道と県道と弓道はやるが」
「茶道に,華道は」
「盛んだ」
「お茶を一服」
「ああ」
「これ賽銭」
「何だ」
「私の時代の小銭です」
私はポケットに拾った小銭を入れていたのです。
「銭か、下らん、足りんぞ」
「いるんだ。やっぱり」
「やっぱりとはなんだ。お前は私の使い走りだから特別に市場の濃茶にしてやろう」
「ただか」
「ああ、飲んだら5000年ここからげることはできんぞ」
「じゃあ、いらん」
「いらんのに飲みたいというのか」
「ああ、飲みたいわ」
「飲むのか、逃がさんぞ」
「いらんわ」
「いらんのか」
「ああ、逃げるわ」
「許さん、飲め」
「虐待」
「下等な生物を飼ってやるというのに」
「居たくないわ、太陽と月の世界がいい」
「それはそうだ」
「お前が小槌で狂わせた、逮捕だ」
「出来ないよ、菊の紋だから」
この一族は、呪われているんだ、超新星の一族に洗脳されてしまったんだ、5000年前は森でドングリを集めて平和に暮らしていたのに、月と太陽を崇拝して一族は笑顔があふれてたのに、超新星御決定的なビッグバンをやってしみまって超新星の一族が、ここの一族を洗脳してしまったんだ。最新技術の化学兵器まで、学んでしまった。
それから3000年後、とうとう、原爆と水爆を量産して、森を破壊して一族は子孫をなくしてしまった。
「物書きさん、ひとつわすれていますよ」
「姉は川向うのある人と、会うために、虹の橋を架けたのです」
「それ、私が渡っているときに爆弾を見て森が消滅しました」
「ああ、300年前のことだ」
「姉は」
「シリウスの尊、あなたをしたっています、森の花をうけとってください」
「ありがとう、アマテラス」
「天照様私の魂をシリウスに安く売らないで」
「私の真心を届けて、お願い」
「アマテラス様の美しい真心はとても重いです」
「いいの、シリウスに」
「かしこまりました」
一輪の花はシリウスのもとに旅立ちました。それを見ていたシリウス一族の青鬼は、怒りに狂って、稲妻に爆弾をのせて発射したのです。
世界を破壊する閃光が、キラ、ゴーンドーン。
森は消滅しました。
消滅です、焼野原も、死体もありません、存在が消えました。
「そうなんだよ」
「はい」
「見たままのことだ、アマテラスはただの子娘になったのさ」
「たっですか」
「ああ、好きなだけもっていけ、金はいらん」
「エー、読者プレゼント」
「そうしろ」
「はい、でも次の夜明けまで、読者はいません」
「夜明けは、6000時間後だが」
「夜明けは来るんですね」
「ああ近いよ、一度地平線に沈んだら」
「はい」
「ということだ」
「はい」
「それで、お代わりは」
「ください」
「相変わらず図々しいな」
「はい」
「飲むのか」
「ええ、お代は払っています」
「ホットのブラック」
「はい」
「待ってろ」
「はい」
窓の外は明るいままです。
森はによきっと出現しました。
人の再生は夜明け
まだ超新星は沈んでいません。
「はい、飲みな」
私は仕方ないので,帰って、サトコさんとお茶をのむことにしました。
「では、また、まほろばの女神様」
私は、お茶を飲んで、店を出ました。
まだ、とても明るい空ですが、青い空は見えないまま肌寒くて汗も出ません。
歩道に人通りはなく車道を通る自動車も来ません。道の真ん中を歩いても危険なことはなさそうです。
この世界はまだ目覚めていません。私は寄る老谷物語をつづっていくのです。
「お帰りなさい」
「もういいですよ、服を着てください」
「いいんですこのほうが、いつも通りで」
「いい話が聞けたので原稿を書いていきます」
「分かりました、3階にいますのでスピーカーにいつでも話して下さい」
私は今日までのものをパソコンに書いてみました。
一時間かけたのですが
森の脇には豊かな稲田が青々と広がっていました。
ある日、森の上に虹の橋がっかりました。
「見ろ」
「不吉だ」
「祈ろう」
人々はアマテラスの山にむかってひざまずいて祈りました。
「これで何事もなければいいが」
「虹だぞ」
「そうだな、生贄を捧げないと、アマテラス様機嫌を悪くするぞ」
「ああ」
「豚」
「一頭だけだ」
「猪を狩りにいこう」
「ああ最近ずいぶん荒らしてくれるから」
「殺すなよ」
「生きたままささげるのか」
「ああ、やつの家族を悲しませて、たまるか」
「みんな狩りだ、猪を生きたまま捕まえるぞ」
「おう」
稲穂は波のようにざわつきました。
アマテラスは、東の国のシリウスを一目見たとたんに恋に落ちたのです。
アマテラスの涙は、太陽に輝いて虹の橋を架けたのです。
「いたぞ」
「捕まえろ」
人々は素手で猪に向かって駆けて行きました。
崖に追いこまれた、猪は、くるっと、振り返って、牙を立ててこちらに向かって走って、きました。
その時。
一人の大男が、矢のように、猪に向かって走っていきました。
バシッ、男は猪の額を空手で一撃しました。
ドシッ。
猪は、一撃で気絶してしまいました。
「おー」
人々は縄で猪押しをくくって棒に吊るして、
アマテラスの山に担いで運びました。
「まあ」
「生贄です、お願いです、災いを無くしてください」
「これ、ポークソテーにしてね」
「やっぱり食べるんですね」
「ええ、大変お腹が空いているの、夏祭りでいただいてから、秋祭りがなかったでしょ」
「今年は収穫が遅れてまだコメの粒が小さいんです」
「それは、とても苦労を掛けました」
「ええ、収穫したら、また持ってきます」
「ありがとう」
「さあ、石を積んで小枝を集めて、杉の葉を積んで、石の包丁を用意して」
「ああ、酒も」
「そうだな、宴会だ」
「まあ、楽しい」
「村の女子供も集めて、太鼓に鈴で、楽しもう」
「まあ、嬉しい」
アマテラスの涙は、止まりませんでした。
「青虹の橋は」
「ええ、シリウスを呼んでいるの」
「シリウスとは」
「東の国の王子よ」
「アマテラス様」
「はい」
「東の国ですね」
「ええ」
「おめでとうございます」
「さあ、宴会御準備だ」
「おー」
アマテラスの山に木の実がたくさんついて紅葉が見事でした。
猪の丸焼きが、焼けたころ、女房に娘たちに子供たちが大勢集まって、鍋に木の実や芋や、猪の肉を切り分けて入れて煮込みました。天照には厚い肉を2枚皿にのせて程よく切り分けて捧げました。
男たちは、盃になみなみと酒を注いで、飲み始めていました。娘たちは、鳴り物にあわせて、愉快に踊っていました。女房達や子供たちも加わって大きな輪が火を囲んでできました。村の一族は、この日山が夕陽に焼けるまで踊って飲んで楽しみました。暗くなる頃アマテラスの涙も枯れて、虹は消えていました。
「アマテラス様、西の国に、使いを出しましょう」
「はい」
人々は、平穏を願って、アマテラスにひざまずいて、祈りました。
山にはもうすぐ雪が降ってくるでしょう。
「おい、稲刈り、そろそろ米がふくらんでくるだろう」
「もう2-3日太陽が照ったら、稲刈りだ」
「ああ」
「稲刈りが済んで、秋祭りだ」
「ああ」
この日、アマテラスの一族は、夜通し、祭りを楽しみました。
夜が明けると、アマテラスは涙を流して虹の橋ができました。
村人は慌てて西の国に、使者を出そうと相談しました。
アマテラスの丘に、薄紅色のナデシコの花がゆれていました。
会えずとも、見えずとも、いとし、こいし、君のまなざしかな
アマテラスは、一首詠んで紙に書いて、オミナエシを一輪添えて、
「これを」
と村人に渡しました。
一人の若者が一歩前に出て、それを受け取って、
「必ずリウス様に」
と言って受け取って、虹の橋を、流星のように駆け抜けていきました。
「シリウス様、東の女神からの文です」
「おお、やっと届いたか」
西の一族は
「シリウス様、万歳」
と歓声を上げました。
それを見ていた北の国の密偵は、大変なことになったと、一瞬で本国に帰って、王に進言して、東の森に、爆弾を放つように言いました。
ピカ、ガーン、ドーン
の森は一瞬にして消滅しました。
森の消滅とともにアマテラスは、岩に入り込んでしまい、太陽も月も消滅してしまいました。妹のまほろばの女神は打ち出の小槌しかも金をたたいて、超新星がビッグバンしました。した、森がにょきっと生えてきました。村の一族は子孫が持てないまま次の夜明けをまっています。一族は、超新星の光を通すため、建てものから決して外に出ません。
超新星はこの世界の時間で3000年後です。その時これが読まれるでしょう。
私は、一度プリンターで出力してこれまでのところを3度読みの治しました、これがこの物語の始まりです。
私は、スピーカーに、
「サトコさん、プロローグができたんですけれど、読んでいただけますか」
「早かったね、行くわ」
「はい」
「はあい、ホットのブラックコーヒー」
サトコさんは、やっぱり下着姿のハイヒールでした。
「ありがとうございます」
「こちらです」
「読んでみるわ」
サトコさんはマグカップでコーヒーを飲みながら、机に腰掛けてテキストを読んでくれました。
「悪くないわね」
「良くもないですか」
「そうね」
「でもこれはきいてみてきたことです。
「そうね、消滅の瞬間の民族の様子がれば」
「そうですね、書き加えます」
「おーい」
「なんだあれは」
「光ったぞ」
「体がぶっ飛びそうだった」
「ガーン」
「頭が割れそうな音だ」
「とにかく今外には出ないほうがいいようだ、みんなここにいるな」
「良かった、宴会で村のみんながここにいて」
「恐ろしいことが起きるわ」
アマテラスは顔をこわばらせて、森を見ていました。
「あー」
森を見ていた男が、指さして、
「消えたぞ」
と叫びました。
「みんな隠れてろ」
村人は、アマテラスと岩戸に隠れていました。
「まほろばの丘には誰も行ってないよな」
「ああ、あほろばの女神がいるだけだ」
この時村人は気づいていませんでした。
大切なコメの収穫がすぐにできないことに。
「オー消えた」
「消えた」
「わが森の緑が消えた」
「なんてこった、稲田は見えるか」
「見えるが暗い」
「それじゃ、今年の収穫はまだできない」
「みなさん、しばらくここにいて、空気がけがれているわ」
「そんなー」
「ええ、私の打ち出の小槌は、皆さんの世界を消してしまうわ、まほろばが、気づくと打ってくれるのでそれまでここに」
「あーなんてこった」
「食料は大丈夫か」
「2-3日は持つ」
「酒と水は」
「大丈夫だ、宴会にしてよかった」
「あれはだめなのに」
「あれ、」
「ええ、恐ろしい武器」
「まだみんな生きています」
「虹を作らねば」
アマテラスは、涙を流しました。
「使いのものを迎えてください」
「はい」
「私の間違いでした、北の国の若き王が、早とちりしたようです」
「アマテラス様、私たちはあなたとともにあります」
「ええ、でも私のあやまちです、3000年本当の生命は蘇らない、狩りの命出てください」
「ええ」
「お姉さん、何をやったの」
「まほろば」
「いつも姉さんのしりぬぐいよ」
「お願い、村の民を救って」
「やるよ」
「私は、この地を守ります」
「ああ、そうしてよ」
「打ち出の小槌」
「やるよ」
「お願い」
「森が消えたって」
「ああ」
「村が消えた」
「ああ」
「住むところが亡くなった」
「水の湧き出る泉も消えたのか」
「ああ」
「無くなったんだよ」
「スーパーも」
「コンビニも」
「こめやも」
「精肉店も」
「八百屋も」
「パン屋も」
「郵便局も」
「銀行も」
「蕎麦屋も」
「ラーメン屋も」
「喫茶店も」
「無くなっちゃったんだよ」
「奇麗さっぱりだ」
「あ―すっきりしたよ」
「なにもないんだ」
「ラーメンぐらいたべたいな」
「パンもケーキも食べたいな」
「うどんとおでんはいいよ」
「コンビニで何とかなるはずだ」
「無いんだよ」
「あそうか」
「どうする」
「とりあえず歩こう」
「とことで戻ってきてないな」
「あー温泉にでもつかっているんだろう」
「温泉探そう」
「便所は」
「野糞,立ちしょんですっきりだ」
「畑を耕すか」
「畑」
「ああ」
「はたらけばなんとかなる」
「芋ぐらいは」
「ああ」
まほろばの丘では、女神が歯が抜けたと騒いでいました。恐ろしい爆弾の威力です。
「これはまずい、まずわしの姿勢からじゃ」
ゴーン
小槌は丘の岩を鳴らしました。
「ふう」
生えてきました葉が、これで健康が取り戻せる。
エネルギーは、30パーセント残っている。チャージに時間がかかるな1000時間岩の上に置いておこう。
「ななた、なにをしているの」
「何だ、アマテラス、また、男でしくじったのか」
「結果はまだよ」
「生贄を食べたろ、わしになぜない」
「猪のステーキなら分けてやるよ」
「へー、なんだ、それか、早くしろ」
「いるのか」
「あー」
「なるほど」
「早くしろ」
アマテラスは、まほろばに、一切れ分けてやりました。
「アマテラス様」
「オー」
村人は一斉に、声をあげました。
「アマテラス様、シリウス様はお待ちだったようです、大変喜んで、これをとのことです」
使者は、オリーブの白い花を一輪、アマテラス様にさしあげました。
「そして私は西の国の民の喜びの歓声に見送られて、戻ってきました。
「おー」
村人は大歓声を上げました。
アマテラスは大粒の涙を流して喜びました。そして、打ち出の小槌を優しく握って振りました。
「これで空気が清浄、できたわ」
「森に、胞子が来るわ」
「2000年で元に戻るわ」
「アマテラス様、わたしたちから西の国に、贈り物と親書を届けます」
「ええ」
「用意いたします」
「桜の樹を贈りましょう」
「いいわ」
「はい」
「こちらの樹にして」
「はい」
村人たちは、気を受け取って
洞窟お腹の樹と動物の骨で櫓を組んで樹を乗せて
「虹が出ているぞ、西の技術を学んで、畑仕事を始めよう」
「若者よ」
日出づる国より、日の沈むところの民に、謹んで教えを乞う。
よりたかき恵みをこの大地に、築いていこうではありませんか。
西の国の民、祭りをいたすので一度、虹を渡ってこちらにおいでくだしませ。
「若者よ、この親書を西の国の民の長にわたしてくれ」
「北の国は」
「その前に、南の国に行って、私たちは平和を望んで東と西で親交を結んだとつたえて、友和を図ろうと伝えて、北の国との仲裁を願いをたのんでききいれてもらってくれ」
「なる程、血厄を心して努めてきます」
「頼むぞ」
「お願いいたします。永遠に穏やかな月と太陽のせきにしましょう」
「承知しました」
「南の国には、イネと米を100俵ほど、土産に頼む」
「承知しました」
老人の顔は、正面を向いてぴくりともしません。
村人は、
「万歳」
と歓声を上げました。
若者は、重い荷物を引いて、虹の橋を渡りました。
「おい見ろ、緑が見えるぞ」
「苔だ」
「森の再生が始まったぞ」
「西の国は、真っすぐでいいのか」
「ああ、それで着いたよ」
「西の国の人と話したか」
「ああ、シリウス様はすぐにわかって話ができた」
「南の国への道は知っているか」
「アマテラス様に頼んで橋をかけてもるしかない。多分海の上を歩くんだ、西の国へは山岳地帯と高原と砂漠を超えていくんだ」
「多肉植物か」
「ああ、根の無い植物が、崖に吊るされているよ」
「見たのか」
「ああ、走りながら見えた」
「走って5日だな、10日後にもどったかから」
「いや、行は7日かかったよ」
「おい、みんなまっすぐ進むぞ」
「おー」
村人は30日かけて、やっと西の国に着きました。
「東の国の方々、早くお見えいただいて、公営です、アマテラスの姫は麗しいことでしょうか」
「ええ、嬉しさのあまり涙が止まっておりません」
「おお、なんとしとやかなお方、髪は黒くてショートカットでスレンダーン方に違いないですね」
「ええシリウス様、長い髪がお好きですか」
「うん、まあ、それでスレンダーだと、理想のままだ」
「色ごとに厳しいお方だな」
「まあ、それなりにたしなんでおる」
「はあ」
「麗しければ、見場にはこだわらん」
「そうでなくっちゃ、シリウス様、話が進みません」
「うむ、ありがとう」
「シリウス様、こちら、我が国の宝とする、桜の樹です、おうけとりください」
「おお、観劇じゃ」
「西の国の民の長」
「ああ」
「および付けして失礼いたしました」
「こちら、我が国の宝の花、桜の苗木で、親書です、おうけとりくだい」
「うん、ありがたく受け取ろう」
西の国の人々は、不思議そうにかみをみていました。
「失礼しました文字が違うんですね」
「ええ、不思議ン記号です」
「仲良くしましょうそしていちどわたしたちのお祭りに来てください、ご招待します」
「なる程」
「行きましょう、東の不思議の国へ」
「畑仕事にがんばったのだから、みんなで楽しみましょう」
「おー」
西の国の民は大喜びでした。
東の国の村人たちは、
いっしょになって
「万歳」
を三唱しました。
「おーなだあれは、いいきもちだな、やるか」
「オー。、バンザイ、バンザイ、バンザイ」
「いい文化だな、行ってみよう」
西の国の民は、オリーブオイルを入れました。
そして軽山林トラック、永久運動の自動車特区を用意して樽を積みました。
東の国の村人たちは、お喜びでしたが、
「私たち一度南の国に向かって、お願いごとに行くのですがご一緒でいいですか」
「オー海を渡るのか、いいぞ」
東の国の村人と西の国の民は虹の橋を渡っていきました。
糧穀の民は、虹の橋を並んで歩きました。
「これが海か」
「そうですよ」
「真っ青だな、白い糸は何なんだ」
「あれは、波というものです」
「あれが魚か、黒い点が泳いでいるぞ」
「残念です、あれは、クジラとイルカという動物です,シャチにトドにアシカ、という動物も泳いでいます」
「動物が水中をおぼれないで泳ぐのか、人魚は本当か」
「確かに、ジュゴンという動物が人魚と呼ばれています」
「えー、河童のやつ水の中にいるのは俺たちの種族だと言っていたぞ」
「河童ですか」
「ええ」
「動物」
「水の中に住む緑の人間です」
「緑の人間」
「ええ、こいつのように頭が禿げていて、てっぺんに皿がついていて、掌に、ヒレがついて、緑の人間です」
「東の国の人種ですか」
「そんなものです」
「ほう、東には緑の人がいるんだ」
「はい」
「カッパ」
「雨具」
「カッパ」
「そうだよ」
「んんじゃそれ」
「生き物です」
「にんげんではないんだな」
「はい、妖怪です」
「妖怪」
「はい、いたずらばかりです」
「子供の悪魔だ」
「大人料金です」
「孫だな」
「ええ」
「ワハハッハ」
西の国の民は大笑いしました。
「よかったな」
「ああ、いい人たちだ」
「ああ」
東の国の村人はほっとむねをなでおろしました。
「みんな南の国の島が見えてきたぞ」
「おう」
「元気に歩こう」
「おう」
「落ちるなよ」
「進め」
「軽い空だ」
「船がいる」
「すごいな、大きいぞ」
「漕いで、行くか」
「歩くんだよ」
「よいしょ」
「よいしょ」
村人たちは手を挙げて鼓舞しました。
「もうすぐだ」
「平和だ」
「おう」
「平和だ」
「おう」
「平和」
「陸だ」
「上陸しよう」
「まず挨拶だ」
「南の国の人たち、コンニチワー」
「ハジメマシテ―」
「東の国の村人です」
「何だー」
太くて響く声でした。
「私たち友人として、楽しもみましょう」
「何だ突然」
「コメができたので持って来ました」
「米」
「ええ」
「芋ならあるぞ」
「芋と米で炊いたらうまいですよ」
「すぐやろう」
南お国の人たちは、ありものを鳴らして、ひょこひょこ踊り始めました。
「石を組んで火をつけますが」
「いいぞ、火の踊りで恵みに感謝する」
南の国の人たちは踊り続けています。
日樫野邦夫村人は火を越してから米と芋を入れて、焚き始めました。
コトコト、炊きあがっていきます。
「うまそうな、匂いだな」
「腹減った」
「踊れ」
「オー踊れ」
「東の国の民と西の国の民が来た、晴れ晴れ大王、お慶びだ」
「いうことは聞いてやろう」
「おい、いいみたいだぞ」
「お願いするか」
「ああたっきがった」
「器は葉っぱでいいか、木の枝を匙にしてもらおう」
「いいよ、ナイフで削ってスプーンを作るよ」
西の国の民も笑って作り始めました。
「南お国の方々、コメと芋が炊き上がりました、お召し上がりください」
「オーいただきます」
「これはうまい」
「ハメハメハ大王に捧げよう」
南の国の人は、コメと芋を奇麗ン陶器の器に入れて、小高い岩の上に置きました。
「あー、アマテラス様そっくりだ」
「それで私たちに何の用だ」
「実は、北の国とも友好を結びたいのですが、機嫌を悪くしたようので」
「それでわれらに仲裁を」
「はい」
「それは難しいぞ、北の国の姫ほど気位の高い姫はいない」
「なんとか」
「この食物に、衣を用意してくれ、」
「はい、最高のものを」
「姫を味方にすればあの若き王も考えをあらためるだろう」
その後、南の国の人たちと西のの国の人たちが揃って東の国に向かいました。
「この虹を歩くと着くんだな」
「はい、アマテラス様の涙が,架けた虹の橋です」
「おーい」
「あ、シリウス様」
「東の国の姫に会おうと思う」
「それはいい、私たちも行ってお祭りを楽しもうと思っています」
「さあ、気を付けて歩いてください」
「牛車を出してきます」
東の国の村人は、一足先に戻って、村の牛車を10台用意して引いていきました。
「遅くなりました。ここから足の不自由な方と、疲れた方にシリウス様っこちらに乗ってください」
「おおありがたい、私はいいから、千臣碁をかけた、じょせいがつかってください」
年薄さまは言って女性の手を引いて、牛車に乗せました。
「ありがとうございます」
「シリウス様」
南の国の女性が喜んで乗りました。
「おーありがたい」
人々は驚きの歓声を上げました。
この一団は、それから3日かけて村に向かいました。
「まあ、大勢が」
「姫」
「シリウス様」
二人は、熱く抱擁をしました。
「何だ、西の国の若者と東の国の姫はできてたんだ」
「まあ、なんてはしたないお姉さん」
「また美人が来たぞ」
南の国の人たち程ロ来ました。
「妹殿、今度私たちの国に来てハメハメハ大王に会って妃になってください」
東尾国の長老は、驚いて、
「まほろばの女神是非に」
「打ち出の小槌はいいの」
「いいえ、まほろばの丘は守ります」
「そうか」
東の国の村人は祭りの準備を始めました。
猪の狩り、に向かい、鯉を釣って、蟹を捕まえて、雉を閉めました。
そして、それらを神に捧げて、コメと芋を炊いて、じゃが芋の味噌汁に、蕎麦を打って、野菜のてんぷらやサラダに、酒を用意して、料理をふるまいました。
そして鳴り物を鳴らして、和になって踊り始めました。
「オー東の国の踊りも、神に捧げるのか」
「ええ」
「私たち南の国もハメハメハの神に捧げるのです」
「西の国の私たちもオリンポスの神の前で、平和を言う踊りをします」
「では順に、踊りましょう。」
「ああ」
広場は、大勢の人であふれています。
「シリウス様」
「ああ、姫」
「おいでいたいて、ありがとうございます」
「やっとこれました」
アマテラスは涙を流しています。
維持の橋は、神々しく輝いています。
森も再生してきました。
大きなシダの樹が、緑濃い森を作っています。
東の国は、夜中になっても、踊りで賑やかでした。
私はここまで書いて、まだたっぷり時間があるので、もう一度喫茶店で、叔母さんの話を聞かなくてはと思いました。超新星はまだ、地平線にとどまっています。少し子お事務所の近くを歩いて、外でスケッチをして過ごそうと思いました。
私はもう一度データーを打ち出して、スピーカーに話しかけました。
「サトコさん、一応加えました。プリントを机の上に置いておきますので、読んでみて下さい。少し外を歩いてきます」
「はい、気を付けて、ワニタイプのドラゴンが出てくる頃ですので、出会ったらじっと見送ってください、決して目を合わせたり触ったりしてはいけません」
何だ、熊みたいなやつが時間が決まって出てくるのか。
「はい、気を付けます」
「いってらしゃい」
「行ってきます」
私は帳面と鉛筆をもって、出かけました。
静かな街です。
ここに、大勢の人が集まって、踊っていたなんて、パリのカフェの広場が懐かしいな。
そういえば、ミスターX本当に、届けてくれただろうか、エリ―は満足してくれるだろうか。
私は、公園のベンチに座って、スケッチをしました。
そして私は、雨を見ました。
まだ超新星は、しずんでません、狐の嫁入りでした
「悠大さん」
「あ、サトコさん」
「今、下着よ」
「はい」
「このほうがいいの」
「はい」
「飴ね」
「ええ」
「超新星のエネルギーが、減ってきたのよ」
「はい」
「雨の日は、じゃじゃ麺、か、ペペロンチーノよ」
「はい、韓国みたいですね」
「寿司でもいいのよ」
「はい」
「そうなのよ」
「はい、作って食べます」
「そう、自炊するのね」
「ええ」
「私も食べたの」
「はい」
「食べたいのよ」
「ハイではご一緒に」
「ツンあったら帰るの」
「もう少し雨のスケッチをしてから」
「待つわ」
「はい」
ゾー。
「あの、毎晩必要ですか」
「そうね」
「………」
「ミスターXに呼ばれ曖限り欲しいわ」
「あの、契約にはないミッションです」
「私は担当編集者以外の仕事モデルはやりましたよ」
「感謝します、それで読んでいただけましたか」
「ええ、ミスt-Xは読者は2000年先の人間と考えています」
「悠大さん、2000年先ですよ」
「はい」
「どんな人たちですか」
「きっとこの物語は、伝説の神話のよういよんでいるはずよ」
「ええ」
「北の国にはいつ旅立つのですか」
「それは、喫茶店の叔母さんに、聞いてから」
「なる程、話の展開がわかりすぎるのです」
「え」
「神話には、謎が必要だと思うんです」
「謎、ですか」
「ええ、謎です」
「サトコさんが下着なのが謎です」
「それは謎ではありません」
「はい」
「家の中でスーツを着ているのが、謎です」
「ええ、そうですね、でも今は担当と食事をしているんですよ」
「ですから、家の中です」
「ええ、でもここは仮にもわたしの御部屋です」
「そうです、ですから私の部屋でもあるのです」
「謎が深まりました」
「その謎が必要です」
「はい」
「美味しいですね、ちょうどいいゆで具合です」
「はい」
「スープは」
「今用意します」
「お願い」
「はい」
私はパスタを湯でた、鍋のお湯に、玉ねぎとニンジンを入れて、塩を少し加えて、温めました。
「サラダは」
「頂戴、あ、スープにウィンナーソーセージを入れてね」
「はい」
「パセリは」
「入れて」
「はい」
私はレタスをちぎって、キュウリと、トマトを切って、ナッツをつぶして、ストオリーブオイルに沿をまぶして、ナッツをいれて、ドレッシングソースを作って、ボールの器に入れて、レタスとキュウリとトマトを盛りつけました。
「お待たせ」
「いいえ」
「どうぞ」
「うん」
「うん」
「コーヒーは」
「ブラックよ」
「飲む」
「うん」
「まてってて、サトミさん」
「ん、」
「あ、サトコさん」
「分かったの、サトミよ、サリーよ」
「うん、コーヒー淹れるよ」
「良かったわ、彼架けた赤い薔薇の匂い辰甘い香、シーレが舐めている血みたいよ」
「うん、少しは元気になったんだ」
「ええ」
「はいコーヒー」
「スープ美味しい」
「しっかり食べて」
「うん」
「サトコさん、届いたんだ、よかった」
「いいと思うよ、読みやすいのは、謎ね」
「シリウスの謎とハメハメハの謎と最大の謎は超新星なんだ」
「殺人は起きないの」
「そうだよ」
「いいわ」
「後で書くから」
「私は」
「うん」
「いいよ、脱いでも」
「いや、下着のママでいいよ、ちゃんと、美しいままに描きたいから、僕はシーレじゃあないよ」
「うん」
西の国の人たちとたちと南の国の人たちと捧げものはどうしよう、と相談しました。
「米と芋を炊いた食物でいい」
「薪と鍋と火打石がったら北の国で炊けるだろう」
ガーン、ピカーン。
「何だ、太陽よりも明るい世界だ。虹が見えないぞ」
アマテラスは、シリウス抱かれて、涙を流しました。
そして祈りました。
太陽の温かい光を返して。
「おー、太陽だ。海と空の青さが戻ってくる」
ハメハメハの神、海原がおだやかでありますように。
まほろばの女神はとうとう打ち出の小槌を打ちました。
東の国の森がにょきっと出てきました。
「さあ、北の国との和平だ」
わたしは、スケッチが終わると喫茶店に向かいました。
「物書きさん、超申請は沈んだよ、太陽が帰ってきた」
「ちょう君元気ですか」
「ブラックコーヒーホットとホットサンドだよ」
「黒い影が戻った」
「ああ」
「アマテラスの恋も何とかなりそうなんだよ」
「西の君と東の姫は、結婚するオデすか」
「北の国の姫が嫉妬するから、絵も招待するよ」
「森の中の教会ですか、赤、青、黄色のギターを弾いて」
「ああ、みんなでサンバだよ」
「チェリッシュですね」
「ああ」
「白いドレスになるよ」
「和装もやるよ」
「では、神官は」
「ハメハメハ様が務めるよ」
「踊りは」
「ウクレレでね」
「ハワイアン」
「バイキングダンスとね」
「おめでとうございます」
北の姫は、ブーケを受け取りました。
「次は私よ、爆弾にお金は使わないで私に贅沢を」
「そうです北の王子」
一斉にみんなが、叫びました。
「ご飯が炊けたので、どうぞ」
「どれ」
「あの、美味し」
「うむ、そうだ、これがレバ、我が国民も笑顔であふれるぞ、東の国の人たち此処で作物を育てて収穫してください」
「時間がかかりますよ」
「太陽が復活したからなんとかなるよ」
世界は平穏になってきました。
うまくいきすぎて謎です。
サトコさん、まだ時間は大丈夫ですか、私はこれから一年かけて未来を書きます。
2024/11/1