梅
グランドに長い影が延びています。
「どうですか、最近のスコア」
「安売りがなくてね」
「やっぱり伸び悩んでいますか」
「もう年ですから」
「何錠ですか」
「私は一日一回で、二錠です」
「はあ、私は、十錠になるんです、毎食、三、四、三です」
「シンメトリーで完結して美しいですね」
「ええ」
まだまだ冷たい風が吹いています。
「おたく寒くないか」
「高い下着を二枚着とる」
「さすがスマートなダンディズム、見えないところに金をかけとる。わしはこのジャンパー派手でいいだろ、ふっくらしてあったかそうだろ」
「ええ」
「ところが、体が凍るほど寒い奴なんじゃ」
「ほう」
「なのにびっくりするほど高いんじゃ、わしはこれ見よがしにできるからいいの、と思って買ったんじゃ」
「でもよく似合って見栄えがいいですよ」
「そうでなきゃあ、買った意味がない」
「防寒の服じゃあないんですか」
「いやー見栄えと、いわゆる、ブランド信仰です」
「へー、ブランド品ですか、それケンゾーでしょ、格好いいですよ」
「さすが、紳士」
「いえ私のは、純国産の木綿の手縫いのどてらですから」
「そうやってさりげなく自慢するのが、憎らしいですよ」
「おじさーん、街灯がついたから、グランド用にスポットライト漬けていいですか、まぶしいですよ」
二人は目を合わせて、
「構わんよ」
と大声で答えました。
「これからどうする、」
「腹減らんか」
「ああ、腹は一つだけ持っとるよ」
「おや、一つか、真っ黒じゃろ」
「ああ石炭のように光っとるよ」
「わしは減った」
「だいぶんにか」
「残高が印字されん奴だ」
「それは、やねこい、ことじゃ」
「まあ自慢よ」
「私は、金満ですよ」
「それは自慢できませんね、うようよ歩いていますよ、そういうの」
「ええ、うようよ」
「気持ち悪くないですか」
「いえ、大丈夫です。絶好調です」
三試合連続完全試合みたいですね」
「ええ、そういえば、ドジャーズのプレミアムシートのチケットがあるんですが、使いませんか」
「いえ、私は球場にはいきません」
「そうですか」
紳士なおじさんはポケットからチケットを十枚出して、バリっと破ってしまいました。
「えー、消えた、それいくらだったんですか」
「えー、米俵、一俵」
「百万円札の束を見事に破ったんですね」
「だってあなた使わないんですから」
「ええ、でもそのシートにシャワールームはついてましたか」
「ええ」
「そは残念なことをしました」
「もうないですよ」
「ええ、季節は過ぎてしまいました」
おじさんたち二人はベンチの横で立って話し続けています。
足元には都鳥がやってきて、嘴をつついて地面に落ちていた木の実をついばんでいます。
二人はベンチの横に立って体操を始めました。
「動きますね」
「ひざにきていけません」
「私この柵でストレッチを夕方櫂はやるんです」
「ほう」
「でしたら、飲んでますね」
「ええ」
「サプリメント、宣伝で見てやってみたんです、気持ちですよ」
「そうですか、こうかでしょ」
「ええ最初はほとんどただみたいですがやめられないんです」
「それはいけませんね、パチンコと同じです」
「ばくちも流行っているようですが」
「はい、ビリヤードも」
「さすが、ブルジョアですね」
「ええ専用のビリヤードハウスを離れに作りました」
「乗馬もですか」
「ええ、子供たちのためにポニーも買っています」
「わかりました」
「とにかくそばでも食べにいきましょう」
おじさんたちはまだベンチに座らないで話しています。
「宝くじはどうですか」
「ええ毎回30万ぐらい買って元は取っていますよ」
「100倍投資したら元が取れるんですね」
「はっきりわかりませんが私は損したことはありません、コインで削るやつは一枚やって楽しんでいます、毎回300円の大損です」
「ご主人、あれは手持ちの金がなくなるまで粘ったら一枚ぐらいは1000円ぐらいになるんですよ」
「楽しそうですね」
「やりますか」
「いえ、冷えてきたので暖かいそばを食べに行きましょう」
「ええ」
「南のほうにしますか」
「ええ、どこか十割があったらいいのですが」
「それなら多分西に歩いていけば」
「行ってみましょう」
おじさんたちは、ようやくベンチを離れました。
「やっとあいたわ」
叔母さんがやってきてドカッとベンチに座りましたネギを一束抱えていました。
「やっとネギが安くなったわ、蕎麦で食べましょう」
叔母さんはボソッと独り言を言いました。
「あら、そのネギ」
「ええスーパーのタイムセールです」
「八百屋で、古くなったから半額にするって買ったのがこれよ」
「悪くないですね」
「得したわ」
「損はできないわよね」
「ええ、米がたべられない値段なのでつい、ゆで麺を買っちゃいますね」
「ええ」
「食べられるだけいいのよ」
「そうね」
「昼のテレビもつまらないでしょ」
「ええ」
叔母さんたちは座って、話し始めました。
「ネギも高いのよ」
「おじさんたちいい気なもの」
「そうよ昼間っから呑気に座って、2時間も話してるの」
「立ちっぱなしよ」
「本当に働かないのよ」
「お蕎麦屋ですって」
「わたし、お菓子も控えてるのに」
叔母さんたちはベンチに座って、グランドを眺めて話しています。
「帰ってお蕎麦よ」
「ねえ」
「お魚は」
「買ったわ、でも切り落としよ」
「鮮魚店でしょ」
「ええ」
「美味しいよね」
「ねえ」
叔母さんたちのお話も尽きないようです。
私は家の窓からゆっくりと眺めています。
風の音が、うるさいほどです。
「もうきたよ、じじいたち」
「はじめるよ」
「朝から遊んでばかりでうるさういよね」
「ぱちぱち」
グランドで球を打つ音がしています。
「家の掃除はしないのに、、しっかりグランドはきれいに整備するのにね」
叔母さんたちの笑い声が響いてきました。
おじさんがまた一人自転車に乗ってやってきました。
おじさんはグランドを眺めてバッグを背中に背負って、ゆっくりとがに股で歩いていきました。グランドの向こうの端にはすでにテントが張られていました。
「朝は食うたか」
「いや、青汁を飲んできたよ」
「昼までもつんか」
「これ」
おじさんはぽけっとから、チョコのビスケットを出して見せました。
おじさんたちはゲートボールを楽しんでいます。
「おう、転んじゃった」
「だいじょうぶかい、よいっしょ」
二人がかりで起こして、ズボンの土をはらって、ちゃんとステッキをつかんでボールを打ちました。
私は部屋の窓からそれを眺めていました。
円陣を組んで、ラジオ体操のいちばんが始まりました。
そろそろ解散か、私も昼にしようと起き上がってベッドを離れました。
風が帽子を飛ばしてしまいました。道に小枝が、きちんと計ったように一歩ずつの幅で落ちています。アリがそこをまたぐように上って、ミミズを追いかけています。
トカゲが木の幹を上っていきました。アカゲラがきらりと目を光らせました。すると鶫がさっと降りて、トカゲを捕まえようとしました。チョロチョロ動くやつ、と思って捕まえました。
「またしっぽに化けたな」
アカゲラは、上の影をちらっと見ました。黒い目が動いてます。
パク。トカゲの頭を丸のみです。
オーわしの、胃の中でで合体するの。うまい具合じゃ。
アリは、お見事と手をたたきました。
「おう、昼になった」
「飯にするか」
「帰って食ってこよう」
「わし、豆腐を買って帰るよ」
「それはいい、80円にしてくれるよ」
「今日は昼は食べれそうじゃ」
「それじゃあ後で」
おじさんたちは自転車の乗って帰っていきました。
「また遊んだね」
「ああ」
「どうした」
「転んだ」
「馬鹿」
「大丈夫だ、昼を食いたい」
「頭を打ったでしょ」
「ああ」
「気を付けてね」
「動いてるから大丈夫、豆腐を買ってきた」
「やってたの」
「ああ」
「オジサン元気」
「ああ」
「奴ご飯ね」
「ああ」
二人はテーブルに座って昼を食べました。
テレビをつけたら、大河ドラマが流れています。
「そろそろごみを捨てなきゃあ」
「不法投棄があるみたいだな」
「ちゃんとゴミ集積所の分類で捨てればいいし最近不用品回収の広告だらけよ」
奴ご飯は暖かい白いご飯に冷たい豆腐で、幸せな気分です。
私も昼にしました。
少し風が出てきたようです。
半袖Tシャツのおじさんもジャケットを着て歩いていきます。
グランドには若い男性が半袖Tシャツで、
元気よくボールを投げています。
大河のドラマも終わったのでソロソロオジサンたちが戻ってくると思います。
「のう」
「この風じゃが」
「ああ」
「どうする」
「お前また転ぶじゃろ」
「今度頭を売ったら、からっぽになるわ」
「そうじゃの、財布の中身と一緒になってええわ」
「おっと」
オジサンは、荷物を下ろしました。
「おい、ベンチに行こう」
オジサンたちはまた立って話し始めました。
入り口の、ガードで、おじさんはストレッチを始めました。
一、二、三、四、十分間。
いつの間にか息が白くなっていました。
「それじゃあ、体操やるか」
「ああ」
オジサンたちは円陣になって、号令をかけながら、ラジオ体操のいちばんを始めました。
自転車に女の子を載せたお母さんがグランドの入り口に止まって、女の子にお菓子を食べさせてあげました。
女の子は手をたたいて喜んでいました。おじさんたちは今度はグローブとバットをもって、一応野球の守備について、三角ベースみたいな、試合を始めました。
私はそのうち缶蹴りをするぞと思って眺めていました。
若い男女が肩を並べて、カップのアイスを食べながら、ショッピングモールのほうに向かって歩いていました。急にグランドが明るくなりました。雲が時々太陽を隠しているようです。
グランドの道の木々はもうすっかり凍っていました。
風に揺れた枝が、順番に落ちています。そこから、ミミズが顔を出しています。
「見た」
「ええ」
「高いね」
「ええ」
「でも安いのよ」
「ねえ」
「焼くだけで美味しいの」
「便利ね」
叔母さんたちがたって話しています。
もうすぐゲートボールです。
オジサンたちが集まってきます。
背中に荷物を背負っています。
子供たちが、にぎやかに自転車でやってきました。
野球の始まりです。
オジサンたちが一歩早くグランドを占領しました。
「糞、またやられた、帰って宿題をしてこよう」
「やりまーす」
「くそじじいー」
子供たちの声がグランドに響いています。
「おーい、これからやるぞ」
お兄さんたちが来て、野球を始めました。
オジサンたちは、お昼の時間だ、解散と言って自転車の乗って帰っていきました。
子供たちは、
「お兄さんまた後でくるわと言って、家に帰ってお昼を食べて宿題を済ませてくることにしました。
「おーい」
「なげるぞー」
子供たちは日が暮れてからも野球を続けています。
グランドの空に金星が光ってきました。おじさんたちはもうとっくに家に戻って晩酌です。子供たちはまだこれから遊ぶのがたまらなく楽しいのです。
コーン、キツネが泣きました。
「やばい詐欺師だ、石をもっておけ」
「はーい」
子供たちはグランドの森に入ってかけっこです。
叔母さんとお姉さんが犬を連れて歩いてきました。
キツネは、葉っぱを咥えて、道が光るのを見ていました。
「わーびっくりした」
「これ叔母さんの顔」
「こっちも」
「たくさんあるよ」
子供たちは樹の幹を指さして笑「いました。
「そろそろお茶漬けは」
「あんた今日いくら稼いだ」
「ごめん」
「謝って済むか」
「はい、すみません」
「わかってるならいちいち言うな」
「はい」
「つまらんやつ」
「はい」
オジサンは、今日も夕飯は、葉っぱ一枚でした。
明日釣りに行ってくるか、ザリガニくらいはいるだろう。
明日は、何とか食べたい、仕事は明日は休日なので、しょうがない。
光った道は暗い森の中をまっすぐ、鎮守の杜に向かっています。
キツネは、きっとにらんで早歩きで向かいました。
犬がワンと泣きました。
「もやしを買って帰りましょう」
叔母さんは娘に言いました。
「うん」
娘はうなづきました。
母娘は、ゆっくり歩いて杜の向こうのお店に向かいました。
オジサンは、今日こそ夕飯が食べられるぞともってうちに帰っていきました。
豆腐を買っていくことにしました。
そうだ納豆をつけよう。
明日は少し稼いでこよう、明日は休み明けなので少しは働けそうだ。
「いい加減に帰っておいで、転ぶな」
突風が吹いてきました。
おじさんは、
「おっと」
と言って持ちこたえました。
もうすぐ、家に着く。
「帰ってくるのか」
「気を付けてくださいよ」
嫁が、こわいほうのがにらんでいます。
阿呆馬鹿と言って踊っています。
嫁は
「素敵」
と言って大笑いしています。
わたしは、起きて水が、と思いましたがまたちびって怒られるとまずいので止めました。
昼になるまでおとなしく部屋にいることにしました。
グランドで小さな男の子がボール遊びをしています。
お母さんは美人ですよ、子供がけったボールを拾って子供の足元に転がしてやっています。若いお父さんは。やっぱり健康な体をした四角い顔の優しいお父さん、ぐらんどのおくのほうにたって、家族をしっかり見つめて見守っています。
「もういいの」
「うん」
「のど乾いた」
「ほらお茶だ」
お父さんはペットボトルのお茶をもって、近寄ってきました。
「ありがとう」
おとうさんはキャップをはずして、子供に渡しました。小さな手が両手で受け取って、顔に近づけてそのままがぶ飲みしました。
「お腹すいた」
「うん」
「今日はお父さんに聞いてみるね、おやつたべていい」
「バナナがおいしいぞ」
「いいって」
「やったー」
「おかあさん、八百屋さんでいいかい」
「うん」
三人は歩いてグランドの近くにある野菜屋さんに向かいました。
「これー」
八百屋さんの入り口の台に大きなバナナの房が置いてありました。
「一本お願いします」
「お母さんはバナナを一本八百屋さんに頼みました。
「これ、傷ができて商品にならないやつだけどおいしく食べられるよ、お父さんお母さんも食べて」
と言ってレジの下からバナナを、三本出しました。
それを公園の杜で見ていた猿が、キャッキャと飛んで興奮しています。
「あの猿にはやらないでね」
「どうして」
「あのね、お猿さん、ちゃんとしたご飯を食べないといけないの」
「あ、そうか、お母さんがいつも言ってるよ、おやつを食べすぎるッとご飯が食べられないよって」
「お猿さん、我慢して、夕ご飯を食べてね」
男の子は大きな声で言いました。
キャッキャ、
猿は、首を大きく縦に振って、にっこりとしました。
「やったー、お猿さん分かったって」
「よかったな」
おとうさんはさるがやってこないか、にらんでいました。
「あいつ」
八百屋さんが、店の前の段ボール箱を引っ込めました。
「ありがとうございます」
お母さんはバナナ四本を手に抱えて、グランドのベンチに向かいました。すると子犬が飛んできて、サルに向かってきゃんきゃん吠えました。サルは慌てて逃げていきました。
八百屋さんとお父さんはほっとして、
「あいつまだここにいたんだ」
「ドングリを拾って食べてるんですよ」
鎮守の杜に、ひっぱていって閻魔さんにこらしめてもらいましょう」
「お猿さん悪者なの」
「そうだよ」
「どうして」
「サルは柿を盗んで蟹さんをいじめるんだよ」
「ア、それ読んだ。悪い奴」
「こらー」
男の子は大声で言いました。
おかあさんは、男の子の手をつないでベンチに歩いていきました。
お母さんは、日差しのあたるベンチに向かって、男の子にバナナ一本を上げました。
「お父さん、お母さんも」
「そうね」
お父さんお母さんもバナナをいっぽんたべました。
「おいしいね」
「八百屋さんこれをサービスにするなんて、売っても大丈夫なのに」
「そこがあそこのいいところだ信用できる」
「後で今夜のスープの野菜を買いましょう」
とお母さんは言いました。
「もう夕飯か」
「うんせっかくの連休でしょ、贅沢しましょう」
「少しだけね」
お父さんはにっこりしました。
「フランクフルトにバゲットは僕が買ってくるよ」
「あら、自転車に乗るの」
「ああ」
「やめて、あぶないから、一緒に歩いていくわ」
お母さんは、少し震えていました。
「連休の終わりの日の夕方よ、自動車が一番危険な日なのよ」
遠くで緊急車両のサイレンが鳴っています。
お父さんは、
「ああそうだな」
といって、ゆっくりと歩きはじめました。
「食べたね」
「うん」
「もう少し遊んでお腹を空かせようね」
「うん、でも僕パンよりお握りがいいよ」
「いいよ、ごはんもあるから」
「やったー」
男の子は手を上げてグランドにかけていきました。
今度はお父さんがグランドに、走って行って男の子とボールをっけって、走っていきました。
「えい」
「やー」
「楽しそうね、いーれーてー」
お母さんも走ってきました。
親子は、影が長く伸びるまでボールをけって遊んでいました。
「汗かいた」
「一枚脱ごうか」
「うん」
「寒くなったらまた着るのよ」
「うん」
お母さんは男の子のジャンバーを一枚脱がせてあげました。
「お買い物だ」
「そうね」
「明日も遊ぼう」
「そうだな」
親子はまた、八百屋さんのほうに歩いていきました。
お母さんは、ニンジンにじゃがいもとブロッコリーを買いました。
「おかあさんしいたけもおいしいよ、安くなってるよ」
「ええ」
お母さんは、レジで買い物を済ませようとすると、
「これも」
といって、
八百屋さんは大根の葉を入れてくれました。
「いつもありがとうございます」
「おいしくなりそうだ」
お父さんは子供の手をしっかり握っています。
「さあ」
「お隣」
「ええ」
親子は精肉屋さんに行って、ソーセージを買いました。
「パン屋さんに行くの。」
「ああ」
お父さんはパン屋さんに向かっていきました。
「やったーカレーパンのお店」
「ああ」
親子はバス通りの歩道を歩いていきました。
親子三人は、夕焼けの道で、誰にも会わないで、歩いていきました。
「お猿さん来ないね」
「来ないね、ネズミさんが走っていったよ」
「エーネズミ」
お父さんは財布の中身を見ました。
「今夜はパンを食べよう、おにぎりとパン」
「ええ」
お母さんはにこやかにうなずきました、
三人はパン屋さんの前の列に並びました。
「我慢できる」
「うん、カレーパン」
「一個食べる」
「うん」
「おにぎりは」
「ちっちゃいの」
「そうね」
三人が並んだ列はなかなか動きません、
お店から出てきたお母さんたちは大きな袋をもって、どっしどっしと歩いて帰っています。
「バッタだ」
お母さんは男の子の手を放しませんでした。
「逃げたよ」
「お腹すいたね」
「うん、でももうバナナを食べたからご飯を食べるよ」
列が動きました。
自動車がヘッドライトをつけ始めました。
お母さんは、
「あ、トマト」
「冷蔵庫にあるよ」
お父さんが言いました。
「パンは僕が買うよ、先に帰ってスープを作っていて」
「駄目よ今日は一緒に帰るの」
お母さんはにっこりと言いました。
「一緒だよ」
男の子も言いました。
「じゃあもう少し黙っていよう」
列はまた止まりました。
しばらく待ってようやく扉の前に来ました。
買い物が終わった人が扉が開くと焼き立てのパンの香りが、やっと、今日の締めくくりの時間がきそうだ、とお父さんは思いました。
「さあ帰ろう」
三人はパンを買ってバス通りの歩道を歩いて帰りました。
「お父さんのお休みは今日まで」
「ああ、また今度の日曜日にね」
「うん」
「気を付けてね」
「ああ」
「今日は何の日」
「え」
「知らないよね」
「記念日だったっけ」
「今日はカレーパンとトマトスープの日よ」
「あ、そうか日記に付けておこう」
「お父さん、僕が書くよ」
またふすまに落書きが増えるな、しかたない。
お父さんはそう思いました。
三人は、歩道を歩いていると急ブレーキの音です。
「お父さん」
「大丈夫だよ」
「ギリギリね」
「自転車」
「だから、今日は自転車はやめてほしいの」
「ああ、危なかった」
「お父さん」
「はい」
「帰ったらじゃんけん」
「そうだな」
「おかあさんとしましょ、お父さんは明日からお仕事なのでお休みしなきゃ」
「うん」
緊急車両のサイレンは大きくなってきました。
「火事よ」
「遠回りしよう」
「ええ」
「ちょっとおいで」
お父さんは男の子を抱っこしました」
「高い」
男の子は大喜びです。
火事は、のうかのにわのぼやのようです。
人がたくさん出て水を射かけています。
消防車も到着しました。
男の子は、目を丸くして消防車を見ていました。
「お父さん、日記に書くね」
「し」
「大変なんだから静かにね」
「はい」
お母さんは、買い物の続きを考えていました。
八百屋さんに寄らなきゃあ。
煙は収まって、火は消えたようです。
近所からたくさんの人が集まっていました。
三人はもう一度八百屋さんに行って、
野菜をたくさん見ました。
「やっぱりキャベツ」
「白菜も」
お母さんは、野菜を追加しました。トマトもおいしそうなので、買いました。
お母さんは、買い物袋がいっぱいになって、嬉しそうです。
「おかあさん、チュ」
男の子はお母さんに手を伸ばしました」
ミルクの香りがしました。
「危ないよ」
「うん」
「ごはんだ」
「お腹すいたね」
「今晩はシチューだね」
八百屋さんはにっこりとしました。
「これ一つ」
八百屋さんはキュウリの浅漬けを一本サービスしました。
「これあいますよ」
「ありがとうございます」
三人は家に向かって歩き始めました。
「お猿さん」
「木に登っていったよ」
猿は、三人を眺めて、きゃほーと泣きました。
右手にカキの実を握っています。
「おーい」
「何だ、また蟹やろうか」
「持ってきたよ、この間お握りをくれないで青い柿を投げたろ、ほら柿だ、これはしっぽだ」
「お前いつの間におれのしっぽを」
「いい気味だ、俺をいじめたからしょうがない、このしっぽを、巡査に引き渡すぞ、お前は指名手配されてるんだ賞金ももらえる。ハハハハ」
猿は、ぐっと蟹をにらんで、持っていた柿を蟹めがけて、思いっきり投げました。ビシャ、ベチャ。蟹ははさみで潰して蟹は重さでつぶれてしまいました蟹はあおむけになってつぶれた下記の汁をなめました。
「甘いの」
糞、笑ったな、覚えておけ、猿は木の枝を伝って、鎮守の杜のほうに、向かっていきました。
蟹は、商店街の交番に猿のしっぽをもっていきました。
「サルはいじめっ子だね」
男の子は落ちていた太い枝を拾って、サルめがけて投げました。
「イテー」
「当たった」
お父さんは慌てて大きな木の枝を握って猿に向かっていきました。
これはかなわんと猿は思って急いで鎮守の杜に向かっていきました。
蟹から猿の情報をもらった巡査は、サスマタと投網をもって鎮守の杜に向かいました。
きょうはかじもあったしじてんしゃのじこもあったし、私が忙しいのは市民にはいいことではないぞーと心委の中で叫びながら、巡査は走って向かいました。
「あれ」
お父さんは交番の巡査を見て。
「濱田君」
お父さんは中学の同級生だと思いました。
「そうよ、浜田君警官になったのよ、商店街の派出所にいるの」
「なんだ」
「お巡りさんお父さんのお友達なの」
「中学の時同じ学校にいた人だよ」
「お腹すいたでしょ」
お母さんは聞きました。
「ペコペコ」
男の子が大声で言うと、バス停にいたおばさんが、笑いました。
「ごめんねぼうや、びっくりして笑っちゃったのよ」
「いいよ、びっくりだって」
「うんお父さんもびっくりしたよ」
「おどろかせてすみません」
お母さんは叔母さんに謝りました。
「こちらこそ笑って、ごめんね」
と叔母さんはういって、ポケットから大きな飴を取り出して、
「これおいしいよなめてごらん」
と言いました。
「うんご飯のあとで」
と男の子は大きな声で言いました、
「あ、そうだねご飯をたくさん食べてね、寝る前には歯を磨くんだよ」
と叔母さんは言って飴を男の子にあげました、
「ありがとうございます」
とお父さんは言って困った顔をしました、
「ごめんね、これお父さんの」
「すみません」
お父さんはそう言って飴をもらいました、
「お母さんも、母乳にいいよ」
「まあ、」
お母さんは恥ずかしそうに飴を受け取りました。
キ、イーイー。
猿が摑まったようです。
猿は、牙をむいて、浜田君をにらみつけました。
とてもいい毛並みで、体格のいい雄ざるでした。
残念ながら顔がもういい爺でした。
蟹がやっと追いついて蟹はハサミではさみで猿の耳をちょんぎりました。
でも耳たぶはきずがついただけで、耳たぶは顎のあたりまで伸びています。
「駐在さんちょうどいい、はく製にして、祠の鎮守にしますよ」
「神主がむごいことをいうので、猿は大粒の涙を流しました」
すると浜田君は、
「この猿はモンキーセンターに渡して生態研究のさるにしてもらいます。規定がそうなっているので」
神主は、残念な顔をして、
「山を下りた猿の健康が、命の限り神にささげてかがやきまする」
と祝詞を唱えました。
三人の家族はそれを見届けて、夕飯にすることにしました。家に帰っていきました。
お母さんは、家についてすぐに男の子の手を洗面台で接見で洗って、すぐにキッチンに向かって鍋に水を入れて、コンロにかけました。そしておとうさんはかってきたやさいをかいものぶくろからとりだしておとこのこといっしょに、
「これなあに」
「ピーマン」
「これは」
「人参、じゃあ、これなーに」
「キャベーツー」
「あたり、こっちは」
「白菜だよ」
「へー」
と言いながら洗って、お父さんは野菜を切りました。
お母さんはソーセージとひき肉の下ごしらえrをして玉ねぎをみじん切りにしてフライパンで痛めて、スープ作りに取り掛かりました。
鍋がコトコト言い始めるとお母さんは玉ねぎを鍋に移して、シイタケトンr着とトマトのみじん切りを鍋に入れました。お母さんはしばらくにつっめて、起きましたお父さんはピーマンやニンジンジャガイモ、ニンジン、キャベツを切って鍋に投入しました。
「美味そうな匂い」
男の子がはしゃいで言いました。
お母さんは鍋に塩コショウにオリーブオイルとミルクを少し入れました。
お父さんはテーブルにクロスをひいて、スプーンとナイフ、とフォークに、お皿に、ナフキンを用意しました。そしてミルクと紅茶の用意をしました。
キッチンの窓の外で小鳥が泣いています。普通の休日の夕方です。
「お父さん、ちょっと」
とお母さんが小皿にスープを入れて、お父さんに渡しました。お父さんは、一口味わって、
「いいと思うよ、美味しい」と言いました。
「そう、タラとお塩を少し加えようと思うの」
「だとマーガリンをひとかけら」
「ええ、マヨネーズっていうてもあるけど」
「マーガリンかバターでいい塩は控えめにして」
「はい」
男の子はテーブルの椅子に座ってキッチンを眺めていました。
「小鳥さんほしいの」
小鳥は、植え込みの木の枝に止まって、首を動かしています。
時計の針がもう、7時を指していました。
お母さんはもう一度味見をして、
「うん、できたよ」と言って火を留めました。
「じゃあもう一度みんなで手を洗ってたべよう」
とお父さんは言いました。
三人はテーブルに座って食事を始めました。
「ご飯をよそうね」
お母さんはご飯を炊いた鍋を開けました。
「お腹すいたー」
男の子は大声を出して笑っています。
「パンも切るよ」
お父さんはパンを出して切っていきました。トースターに並べて焼きました。
「三人座ったね」
「いただきまーす」
今日の夕飯の食事が無事始まりました。
親子は食事を済ませて、歯を磨いて、お風呂に入って、
日記をふすまに描き始めました。
今日は三人でボールをけって楽しく遊んで、八百屋さんとパン屋さんで買い物をして、美味しい夕飯を食べました。
意地悪なお猿さんは犬がやっつけました。そして蟹がお猿さんの耳を切って傷をつけました。
子供は楽しそうにボールと猿とカニと犬の絵を青いクレヨンで書きました。
お父さんは最後に今日の日付と晴れマークを描きました。
お母さんは、
大きくなったね、と緑のクレヨンでボールの横に書きました。
男の子はやったーと布団に飛び込んでいきました。
お母さんは本棚から、『手袋を買いに』を一冊取り出して子供の布団に向かいました。お父さんは白い大きな模造紙を切って、ふすまの日記の上に貼りました。明日の日記もここにあるといいね。
お父さんはそう言って紅茶を入れてゆっくり飲みながらお母さんと男の子を眺めていました。
「そうだ」お父さんは、サンサーンスのピーターと狼のレコードをかけようかと思いましたが絵本が終わるまで待ちました。
「雪の足跡が街に向かって残っていました」
「良かったねあったかい手袋が買えたね」
男の子は、
「おやすみなさい」
と言って、かわいい寝息を立て始めました。
「こっちで紅茶を」
お父さんはお母さんに紅茶を入れてテーブルに置きました。
「お父さん、お父さん」
「何だい坊や」
「お猿さんがやってくるよ」
「やつがまた来たか」
「うん、蟹さんをいじめるんだよ」
「坊やはどうする」
「追っ払ってやる」
「そうか、じゃあ頑張ってやろう」
「お父さん枝の棒」
「よし、丈夫な木をたたいて脅してやれ」
「うん、えい」
キャー、
「ワン、ワン」
犬もうるさいと怒り始めました。
すると閻魔様がやってきて猿の頭に、王冠だと言って、わっかをはめました。
閻魔様は
「お前また約束を破ったなえい」
といって、王冠を締め上げました。
猿は、
「このー」
と怒ったのですが、体が動かなくなってしまいました。
「お父さん、お猿さんどうなるの」
「これから山に帰って温泉に入って寝るって言ってるよ」
「お猿さんバイバイ、もう来るな」
男の子は静かに寝息を立て始めました。
お母さんは洗濯物をたたんで、お仕事を始めました。
お父さんはお皿を洗って、仕事の電話を始めました。
夜が明けたら忙しい一週間が始まります。
「おい、しっかり歩け」
オジサンと叔母さんが、歩道を歩いています。
オジサンと叔母さんはこれからバスに乗って、病院に向かうところです。
「ひどいぎっくり腰だ」
オジサンは叔母さんを背負ってバス停に向かいました。
オジサンがバス停に着いたらちょうどバスがついて、おじさんは叔母さんを背負ったままバスに乗りました。
運転手さんは二人が席に着くのを見守ってバスを発車させました。
叔母さんは、夕飯を作ろうとソファーを立ちあがった途端菊っとひどい痛みが走ったのです。
オジサンは仕方ないので夕飯はあきらめて叔母さんを開放しましたがちっともよくならないので病院に電話を入れて向かうことにしたのです。
叔母さんは、明日からのパートは休めないのと思いながらオジサンの背中で寝てしまいました。叔父さんは、そういえば診察券も何も持ってないな、
「おい、保険証とか持ってるか」
「ええ、ポーチに入れてるよお財布も」
「ああよかった、もう少しで病院に着くよ」
「はいよ」
「痛いか」
「ああ痛いよ、休めないのよ、稼ぎが足りん」
「アーアまただ」
オジサンは情けなくなってしまいました。
バスは病院の前のバス停に着きました。
オジサンは叔母さんを背負って、バスを降りて病院に向かいました。
入り口で、車いすをどうぞ、と言われて、おじさんは叔母さんを椅子に座らせて、っ病院の受付に向かいました。
おばさんは、
「お前今日働け、役立たず」と大きな声で怒鳴りました」
「はい」
オジサンは、うなずきました。
診察を受けるまで受け付けの椅子に静かに座っていました。
もう少しで夜明けです。
救急車が一台到着しました。
交通事故があったようです。
おじさんは、たすかりますように
と心の中でつぶやきました。
病院の受付には、おじいさんやお婆さんがつをついて次々集まってきました。
叔母さんは、目を覚まして、
「菓子袋を忘れた」
と言いました。
「痛みは」
「痛いよ」
「わしも腰を痛めたわ」
「へっぴり腰目、たまに背負って自慢するな」
バシ。
病院の受付に、平手打ちの音がビョーンと響いていきました。
オジサンは、仕方ないな、と思って、すぐ隣のスーパーでせんべいを一袋買ってきました。
叔母さんは、ようやく落ち着きました。
オジサンは今夜は弁当でも買って帰るしかないなと思いました。
ピンポーン、
ようやく名前が呼ばれたのでオジサンは車椅子を押して先生の診察室に向かいました。
問診が終わって、おじさんは看護師の人たちと一緒に叔母さんをベッドに移して、うつぶせに寝せました。
先生は腰のあたりを押しながら、
「骨は大丈夫だね、ぎっくり腰だよ、痛み止めの注射を打っておくよ」
と言いました。
「お願いします」
叔母さんは、せんべいのかけらをこぼしながら答えました。
「看護師さんたちが注射の用意をしています。
痛み止め、だけですか、おとなしうくする注射はないですか、と私は思いました。
先生はブットい注射を叔母さんの腰に打ち込みました。
外では緊急手術という声が飛び交っています。
夜の8時にこんなに働いている人でいっぱいだなとオジサンは思いました。
「お前、今変なことを考えたろ」
「いえ」
「帰りは、歩かないよ」
「はい」
「私はタクシーにするよ」
「はい」
「これぐらいの出費で済みそうだ」
オジサンはほっとしました。
夜明けからまた、叔母さんの居座る部屋で過ごさないといけないと思うと急に恐怖で凍ってしまいました。
オジサンは、治療が終わって叔母さんを背負って受付で、料金を支払って、薬の処方をもらったので、この時間だからでも買っておこうと思って、ドラッグストアーの処方に向かおうとしたら明日の朝にいつもの薬局で買ってきてと叔母さんに言われたので、おじさんは叔母さんを背負って、病院の前のタクシー乗り場に向かいました。おじさんはタクシー乗り場のベンチうに叔母さんをドカッと降ろしフーと息をつきました。おじさんは、そのままぼーっと立ってタクシーが来るのを待っていました。
「おい、寝るな」
オジサンは驚いて振り返ると、
叔母さんがにらんで負いました。
「弁当がまだだろ明日のわしのめしも用意しろ」
叔母さんはすごい剣幕で、どっかり座っていました。
オジサンは、」
「待っててくれるか」
「ああ、タクシーが来たら先に帰るぞ寒い」
「じゃあ先に家に連れてくよ」
弁当は近所で調達するよ」
「馬鹿よその家のをもらってくるな」
「コンビニで何とかするよ」
「それならしかたないいまのところゆるしてやる」
バッゴーン。
げんこつパンチが飛んできました。おじさんは五歩、後ろに飛んでいきました。
汚い、サルのうんちを踏んじゃった。
「馬鹿タクシーに乗れん舞じゃないか背負って帰れ」
オジサンは慌てて、公園の水道の蛇口をひねって靴底を洗ってきました。
帰るちょうどタクシーが来たのでおオジサンは叔母さんを起こしてタクシーに乗りました。
家に帰って叔母さんをソファーにおいておじさんはコンビニ弁当を買いに出かけました。
「菓子もだ、馬鹿」
叔母さんが怒鳴っているし、にオジサンは逃げるようにコンビニに向かいました。
コンビニに向かう道すがら街灯がぱちぱちなって、虫が待っていました。
「あんた、これいるかい」
出たまたいるかい婆さんだ。
指さし叔母さんと並ぶ二大怪おばさんだ。
一度いってみよう
「ください」
「いるのか、」
叔母さんは、ポケットから袋を出して、
「二個ね」
といってのど飴をくれました。
いるかい婆さん、これをくれるんだ。
「これはタダだよね」
「タダだよ、ただより怖いものはないというだろ」
「ではこれと交換で」
わたしは、病院で拾った、ビニール袋を渡しました。
「これはいいものをくれたね。
「この飴はお母さん方やお子さんに喜んでもらえるよ」
私はそういう手があるな、大切にとっておこう、でもその前に何かで毒見をしておこう、飴を溶かしてアリが食べるかどうか見てからにしないとまた派出所にねることになるとやばい。
おじさんは、コンビニでしゃけべん二つとお握り四つを買って、コンビニの店主に
「いるかい叔母さん、ここでのど飴を買いますか」
と聞くと
「毎日だよ」
と答えてくれました。
一応既製品のようなので安心しました。自分で毒見しておこう。
オジサンはそう思って帰りました。
おじさんは、朝になったら、もう一度コンビニに行こうと思いました。
家に帰って、叔母さんはソファーにドカッと座っていました。
「買ってきたよ、しゃけべん夜明けになってなってたべよう」
「せんべいは」
「朝買ってくるよ」
「あめをもらった」
「いるの叔母さん」
「そう」
「叔母さん厄介よ」
「うん、一度試したんだ」
「そう、馬鹿」
「もう少し寝ていよう」
バシ、
掌パンチが飛んできました。
「お腹すいてたの」
「当り前よ、病院に行くなんて」
「はい、せんべい」
「叔母さんは二枚がぶりと食べました。
「もう少しで朝だよ」
「馬鹿」
「はい」
おじさんは、もう一度コンビニに行って、
朝食のパンとミルクを手に取って、カット野菜と、カットフルーツを棚からとって、レジに向かいました。
「いるか、叔母さん、さっきまた飴を買っていったよ」
「指さし叔母さんは、タバコを指さしますか」
「煙草をさしてうなずいてガムを一つずつ指さして買っていくよ」
おじさんは、歯を出して笑いました。
オジサンは家のに帰って、テーブルにパンとカット野菜とフルーツを置いてコーヒーを入れました。
叔母さんはソファーでせんべいをバリバリ食べています。
「お前、今日は清掃の仕事の日だぞ」
オジサンは、仕事に向かっていけてよかった。
と思いました。
オジサンは9時までゆっくり食事と出かける支度をして、
清掃の仕事に出かけました。
自転車に乗ってスーパーまで行きます。
叔母さんたちが大きなゴミ袋を持って歩いて出てきています。
砂埃の道を丁寧に箒で履いています。
子猫が三匹走っています。
ネズミが子猫に突進して噛みました。すると塀の上から大きな猫が飛び降りて、ネズミを捕まえて食べました。
おばさんは、
「いい子だね」、と言って炒り子を道に五本置きました。
ゴキブリが道を張って出てきました。するとヤモリがガッとゴキブリを捕まえました。
叔母さんはそれを見て掃除を続けました。
オジサンは自転車をゆっくり漕いで、清掃の仕事に向かいました。
「わしも消されてしまうんかの、ネズミにゴキブリと一緒じゃ」
オジサンは仕事に向かいました。
やっぱり朝ですので、
おばさんには、きつい坂道でした。
中学生たちが並んで登校しています。
オジサンは、きゅうなさかみちをさどるからこしをあげてじてんしゃをこぎました。
額に汗をかいています。
後ろから大きなベビー籠のついた自転車を若いお母さんが軽く漕いでやってきて抜かれてしまい売ました。
「チクショー、電動自転車、ブルジョアめ」
とオジサンはつぶやいて自転車をこいでようやく坂の上に着きました。
大きな白い美しい山が顔をにょきっと出しました。
おじさんは
「おー」と叫びました。
前を行ったお母さんは自転車を留めて子供と一緒にゆっくり富士を眺めていました。
オジサンはスーパーの通用口までたどり着きました。そして、ポケットの中を探して入館証があってホッとしました。
「お早うございます」
「お勤めご苦労です」
オジサンは、しまったと思いました。交番じゃあないんだ。
まあいいか。
オジサンはロッカールームで作業着に着替えて、台車に清掃セットを整えて業務用エレベーターに向かいました。
あれ、今日は一人か、まあしかたない、わしがきめればいいんじゃろ、肝心なんは便所掃除と、フードコートの油汚れじゃ、
とりあえず4階からやるか。おじさんはフードコートのフロアーから清掃を始めました。
警備のお兄さんが一人エレベーターの前に立ってるだけのがらんとした時間です。おじさんはべ傑の水に洗剤を入れて、デッキブラシで床磨きを始めました。あ、そういえば清掃ロボットがあったんだ、すみっこを丁寧にやって、跡はロボットにやってもらおう。おじさんは、手際よいくと自分で思って、掃除を始めました。
参院家族のお父さんは、机に向かったまま寝てしまいました。
窓の外から小鳥の声が聞こえて目が覚めました。
男の子とお母さんは今に布団をひいて寝ています。
お父さんは、こっそり洗面所に行ってひげをそって歯を磨いて顔を洗いました。
お父さんはキッチンのテーブルにすわって、テーブルの明かりをつけて、しばらく新聞を読んでいました。午前6時を過ぎたのでキッチンの窓のカーテンを開けると、明るい日差しがさしてきました。
「お猿さんだー」
男の子がむくっと起きて、キッチンに走ってきました。
お父さんは
「おはよう」
と言って男の子を抱きかかえて窓に向かいました。
「お猿さんいたの」
「おはようお父さん、お猿さんは消えたよ小鳥さんが歌ってるの」
「そうだね、今日はお母さんと沢山遊んでね」
「うんお父さんお仕事」
「ああ」
お母さんは、いつの間にか起きてキッチンに立って朝食の準備を始めていました。
「モズク」
お父さんはちょっと心配になりました。一羽だけならいいけど、フクロウに頑張ってもらわないといけないな、と思いました。
お父さんは
「お猿さん森に帰ったんだよ」
「うん」
「絵本読んで」
「そうだね」
おとうさんはちょうしょくができるまで、
キッチンのテーブルに座って、
さるかにがっせんのえほんを一冊持ってきて、
男の子に、読んであげました。
オジサンは掃除ロボットで床をピカピカにしました。
こんどはといれだ、なめても大丈夫な便器になるぞ。
オジサンは道具をもって手を挙げて気合を入れました。
便所の清掃は男のほこりだ。
とオジサンは思いました。
三日仕事を休んだ後の労働だから気合を入れて昼を食うぞ、
オジサンは、もう一度便所の窓から街を見ました。
四角い一戸建ての家が崖に沿って建っています。
寝ぼけた顔で若い奥さんが大きなゴミ袋をもって、階段を下りてきます。
ゴミ袋は、地面に落ちてしまいそうに膨らんでずっしりとしています。
「今日はお米が入荷したみたい」
「高いでしょ」
「スーパーは10時開店」
「そうね」
「お昼に行ってお寿司でも食べるか」
あのおくさんたちここにおひるにくるんだな、気合を入れて便所掃除だ。
オジサンは、ブラシを洗剤の入ったバケツに突っ込んで、床をしっかり磨き始めました、
ゴキブリの足跡一つ残さないぞ、ねずみとねこのあしあとはどうしよう、受けるけどしっかり消しておこう。
10時の開店まであと2時間だ床はできた後は便器をなめても大丈夫なように磨く、オッジさんは手にブラシと雑巾をもって便器を一つ一つ丁寧に磨いていきました。見渡すと便器が、朝日で輝いています。
乾いたぞうきんでからぶきです。
フードコートのフロアーは、完璧か、掃除ロボットチェックだ。
ピーピー、もうけ報恩か、
しまった人の足跡が階段の上がったところに残っていた。大失敗だ、おじさんはもういちどでっきぶらしでふろあーのすみずみをみがいていきました。たいへんな時間のロスでした。
オジサンはもう一度ロボットにチェックさせました、
青のランプがキラキラ回りました。
オジサンは、終了と言って三階に向かうことにしました。
「お疲れ様」
若い警備員が声をかけてくれました、
上から下までしっかり見られてしまいました。
こいつイメ絵に私を捕まえたやつだ。弁当を万引きして食べることができなかったんだ。
覚えてたな。
「お疲れ様」おじさんは声をかけて掃除道具をまとめてエレベーターで、三階に向かいました。
開店まであと1時間、全力投球でフロアーとトイレ掃除をするぞ、
オジサンは、今日一日を掃除ですませる決意をしました。
オジサンは汗をぬぐってフロアーを見渡して、腹減ったなと思いました。
これで少しは労働になった、今日は食事ができそうだ。
オジサンは急に悲しくなって涙を流しました。
「お父さん、蟹さんは、死んじゃったの」
「うんおお話はそうだね。でも、蟹さんは
沢山の子供を産んで育ったのでとても楽しかったって、聞いたことがあるよ」
「へえ、お父さん本当なの」
「うん聞いたよ」
「朝ごはんできたよ」
お母さんがキッチンからテーブルに卵焼きとサラダとスープとミルクを運んできて並べました。
お父さんは昨日買ったパンを切ってトースターで焼きました。
お母さんは昨日作ったパスタのオリーブオイルをお皿に入れておきました。
三人はゆっくりと朝食を味わって食べました。
オジサンは、夕べからろくなものを口にしてないな、あと少しで開店だから、きょうの日給がでたら、300円で何か食って帰るか、ようやく朝食だ、叔母さんにも勝って帰らなくては、おじさんはまた悲しくなってきました。
オジサンは事務所で、タイムカードそういえば、タイムセールと同じタイムだな、待て野サインが入った言葉だ。
待てと言われても、もらうものはもらわんと、おじさんはカードをもって経理課長の席に向かいました。経理課長はタイムカードにチェックを入れて、メモに金額とサインと印鑑を押して、これを前の出納にと言って、メモ用紙をくれました。経理の係長は金額のお金を用意してくれて、メモにサインして、と言って今日の日給をくれました。おじさんはお金をポケットの奥にしっかり入れて、ほっとしてトイレに向かいました。まてよもうだれか使ったか、自分が清掃したトイレに一番に入るのはまずい、少し様子を見てと思ってトイレから少し離れたところで待っていました。するといきなり同じ年頃の男性が、買い物もしないでトイレに駆け込みました。トイレの用足しにきたやつか。おじさんは出てくるのをまってトイレで用を足しました。そしてフードコートに向かいました。
オジサンは、叔母さんのご飯を焼き飯でいいので持ち帰りにしてもらいました。おじさんは中華まんがおいしそうでしたので中華まんを買って帰りました全部で300円で済みました。
オジサンは帰り道、自転車で坂を上っては下りて必死にこいで帰っていきました。若いお草bンが子供を乗せた自転車を軽く漕いですれ違っていきます。
綺麗なところで食事をしてください、おじさんはいちいちお辞儀をしてあいさつしました。
お父さんは、パンをゆっくり食べました。
「スープが暖かくておいしい」
お父さんは久しぶりの電車だなと思ってゆっくり外を眺めました。
都会のビルに向かうのがウソみたいだ。
お父さんは背広に着替えてネクタイはと思ったらお母さんがこれ、と言って青いネクタイをもってきてくれました。
お父さんは白いシャツに着替えてネクタイを結んで背広を着て荷物を持ちました。
「いってきます」
「いってらっしゃい」
いつものあさがはじまりました。
「なにやってんだよー」
ばっごーん。
グーパンチでした。玄関を開けたとたん、
「これです」
オジサンは頭を下げたままチャーハンを差し出しました。
「足りるか、せんべいは」
「はい、これです」
「一枚か」
「はい」
「もっとかたくてしょっぱいやつだろ」
「わさびいりです」
「出直してこい」
「はい」
オジサンは家に入れそうにないと思いました。
お腹を満たせてあげないと狂暴になってしまうんだ。
もう一度午後の清掃に向かおう。
オジサンは仕方ないので公園のベンチに座って、桜はまだだなと思ってグランドの向こうの森を眺めていました。
「おじさん」
若いお母さんの声です。
「オジサン、お猿さん、蟹さんをいじめるよ」
「あー坊や、猿蟹合戦だね」
「うん」
「お猿さん柿泥棒なんだ」
「泥棒はおまわりさんにつかまるよ」
「お巡りさん、交番にお猿さんを捕まえて、お弁当を上げてるよ」
「見に行こうか」
若いお母さんは男の子を自転車の椅子に座らせて、
「おじさん、気を付けて」
と言って交番のほうに向かっていきました。
「いたー」
「見つけたね」
交番のおまわりさんはおいでをしてくれました。
猿は、檻の中でしょげていました。
顔は真っ赤でした。
「お巡りさん、柿泥棒だね」
「そうだよ人の家の柿をとって握って逃げていたんだ、泥棒はいけないでしょ」
「うん、地獄行だね」
「泥棒ってやってみたいかい」
「絶対に嫌だ」
「じゃあお母さんの言うことをよく聞いて、いけないことはやらないようにしようね」
「うん」
「雪」
お母さんが思わず、体を締めました。
「帰りの自転車は押して行ってください」
「はい」
「寒いですよね、ちょっと体操をして温まりましょう」
「お巡りさんは、ラジオ体操のいちばんを始めました。
男の子とお母さんも体操をやりました。
「公園のベンチにオジサンが一人座っていました、凍ってないか見てあげてください」
「はい後で巡回パトロールに行ってきます」
巡査さんは重いコートを着ました。
雪はふんわり止まっていましたがやがて雲が大きな袋の口を狭めて、空気を出しました。風邪がとても勢いよく吹き始めました。
おまあ割さんは、自転車はやめよう、歩いていこう。と言って公園のベンチに向かいました。
オジサンは、雪か、いい夢みたいじゃの、家に入れんとは、
「オジサン、そこは寝るところじゃないですよ」
「お若い巡査じゃ、職質か」
「いいえ、カギは持っていますか」
「ああぽけっとに」と言ってオジサンはポケットに手を突っ込みました。
200円はあるな、入館証も持っている、鍵ってなんだ。
「おじさん分かりますか」
「何が」
「鍵は持っているんですね」
「鍵ってなんじゃ」
「ほら手錠を外すとき使うやつ」
「あー、手錠ね、はい」
とオジサンは両手を差し出しました。
やっと楽になると思いました。
「手錠じゃあなくて手錠を外すこれです。玄関のドアも鍵がないと開かないでしょ」
「いや開いた、グーパンチが飛んできた」
「オジサン、とりあえず起きて、雪ですよ凍って死んでしまいます」
「逮捕してくれんのか、殴るぞ」
「オジサン、今ので公務執行妨害の現行犯で逮捕です」
「助かった」
「オジサンもそれですか、もう老人でいっぱいなんですよ、介護施設じゃあないので生活は大変ですよ」
「まあ、今よりはよかろう」
「オジサン午前10時逮捕です、今日は何月何日ですか」
「わしの誕生日は4月1日じゃ、エイプリルフールよ」
「今日は、何の日かわかりますか」
「今朝のラジオで、太平洋戦争、あ、空襲の日の前の日の前ぐらいじゃ」
「おじさん、このままいてください」
「逮捕は」
「する必要ありません」
「わしはしぬぞー」
「いいですよ死んでみてください、おじさんには死神はまだまだ来ていません」
「そうか」
オジサンはもう一度ベンチに横になって寝ました。
巡査さんは、仕方ない、と思って記録だけ書類に書きました。
すると地元のフリーペーパーの記者と名乗る男が来て、
「お巡りさんいいですか、職務怠慢ですよ、いいニュース記事になります」
「なんじゃそれ」
巡査は交番に戻っていきました。
まだ、商店街は静かです。
オジサン、もう一度起こしてくるか。
記者は様子を見ていました。
巡査はもう一度公園のベンチに向かいました。
「おじさん」
「あー」
「起きてください」
「逮捕か」
「いえ保護します」
「逮捕してくれ」
「保護です」
「サルと同じか」
「はい」
記者はその様子を描くことにしました。
これは老人問題のいい記事になる。
やっと楽になる。
オジサンはむっくり起き上がって、歩こうとしました。雪に足が埋まって、おじさんは少し転びそうになりました。巡査が慌ててささえました。パチリ、記者は、
「いただき」
と言って写真をスマホに収めました。
おじさんは、
「お世話になります」
「お昼になったら一緒に帰りましょう」
「ええ、ソロソロうちの猛獣も落ち着いてるかもしれません」
「キャー」
猿が牙を立てて笑いました。
巡査は、
「オジサン、家に、狂犬でも、飼っているのですか」
「いいえ、巨大な、獣に飼われています」
「団地はペット厳禁ですので、おじさんは団地に入れないんですよ」
オジサンは涙を流しました。
「オジサン、一度役所に行きましょう。元の住所はわかりますか」
「忘れました」
「オジサンいつから団地」
「もう40年以上です。子供が生まれて引っ越してきたんです」
「購入したんですか」
「ええ苦労してローンは払いました」
「ペットがですか」
「ええ、猛獣の」
「猛獣も団地には危険です」
「ええ」
「とにかく役所に行きましょう」
「いいえ、またそんなことになったら生活保護になったら二度と、お日様を見ることができなくなります」
「仕方ない、一度家まで行きましょう」
オジサンは巡査と一緒に家に向かいました。
雪は深々と降っています。
オジサンは内に帰って玄関の前でドアを開けようとしたところ、猛獣が出てきて、
「巡査さん何か」
「あー奥さんですね」
「ええ」
「猛獣は」
「え、うちはペットはいませんよ、こいつがまた減らず口をたたいたんですね」
「ええ聞きました」
「ご飯抜き」
「わかりましたので、騒ぎは起こさないでください」
「はい、お前が変なことをするからこっちの時間が無くなるんだ」
「時間は消えませんよー」
おじさんは、ボロボロ泣いてしまいました。
「こいつまた減らず口」
「口は一つだけです無くなってませんよー」
バッゴーン、棒腕力パンチが、飛んできました。
「おじさん確かに猛獣です」
「ここに住んでいていいですか」
「ええ追い出されるんで」
「では市役所に行って避難先を確保しましょう」
「何言ってるんだ、こっちの顔をつぶすな」
「顔はでっかく膨らんでますよー」
「オジサンいいからソロソロ奥さんに謝って、怒りを納めてください」
若い巡査は勝手なことを言うの仕方ない。とオジサンは思って。
「すみません」
「それで済むわけないだろ稼げ」
「はい午後の清掃に向かいます」
「早く出ていけ」
「これはこれまでにない悲惨な現場の報告書になるぞ、全国コンクールに出してみよう」
巡査はオジサンが、家に帰ったのを確認して交番に戻って報告書を書いて、床を見たら猿が赤い顔をしてこっちを向いてるので、アーア仕方ないなと思って、コーヒーを入れました。
オジサンは、家の中の角にしゃがんで座っています。
「お前昼からの仕事はいかんのか、雪で寒いから行かんというんか、この贅沢もの」
「いえ、行きます、便所掃除はやりがいがあります」
「家の便所も掃除して出ていけ」
オジサンは玄関にあるトイレに入って、雑巾がけをしました。壁も拭きました、便座はもちろん舐めても大丈夫です。
「終わった」
オジサンは、ダウンのジャケットをクローゼットから出して一枚来て仕事に向かいました。雪のままなら傘はいらないな、おじさんはふぶく雪の中をショッピングモールに向かって歩き始めました。
交番の猿はストーブのそばでぬくぬくとすやすや眠っています。蟹は傷の痛みが寒さでうずいて、川の水の中で温まっていました。
男の子のお父さんは会社について仕事を始めました。帰りの電車止まるな、今日はホテルをとっておこうか、おとうさんは、お母さんに電話を入れて、もしかしたら今日は帰らないので食事はいらない、と伝えました。お母さんは、ホテルが取れたら電話くださいと言って電話を切りました。時々自動車が、シャーベットになった雪をけって走っていく音がするだけの静かな平日の午後になりました。
お父さんは事務所の窓から街を見下ろしました。きょうは電話もすくない、書類の処理もはかどった、ゆっくりしよう、もう町は真っ白だ。
オジサンは便所掃除が終わって、ショッピングモールにむかいました。長靴を履いて、ポケットに入館証があるのを確かめて玄関を出ました。
「ボケるな、働け」
バッゴーン、筋肉バットが飛んできました。おじさんは勢いよく階段を駆け下りました。
階段を下りて道に出るともう雪がかかとまで積もっていました。
オジサンは、雪の道を一歩ずつ踏みしめてあ、やってしまいそうだ、おじさんはなんとかこらえました。桜の枝が落ちていたので杖代わりに持っていきました。
オジサンは、もう昼になってしまった。巡査は大丈夫かな、サルに飴でもやるか。おじさんはショッピングモールに向かいました。グランドには浅い池ができています。カエルがやってきて、ぎょろッと空を見上げました。なんか怪しいぞ、蟹の匂いだ。カエルは、ビョーンと飛んで、大きな木の幹の根元に向かいました。トカゲがやってきてカエルをにらみました。カエルはしょうがない、と思って、トカゲにカマキリを捕まえてやりました。グランドの池は次第に広がって、カエルは池の中を飛び回って、過ごしました。
会社で働いているお父さんもそろそろ昼休みで、食事に行こう、雪はやんだ、立ち食いそばでいいか、今日はやっぱり帰ろう。お父さんは、「今日は雪が止んだので少し遅くなるかもしれないけど帰るよ」とお母さんに電話を入れました。「昨日のシチューを温めなおして待っているわ」と明るく答えました。
オジサンはショッピングモールについて、入棺所を出して通用所を通ってロッカールームに向かって清掃用具を台車に載せて今度は一階からだ。食品売り場なので、気を付けないとと言いながらデッキブラシで床を磨いていきました。今日はたくさん、ネギが入荷したみたいだ。たまねぎと、じゃがいもが、ずいぶんたかくなったなとおもってみてると、おっとあぶない、商品ケースを押してしまった。
オジサンは、ゆっくり通路を眺めてブラシをかけていきました。
野菜売り場は、出来たな、魚と肉の売り場に向かおう。おじさんは額に汗をかいていました。肉のコーナーでは、もう、タイムセールが始まって主婦が、売り場ケースの前で、群がって商品をとりながら見ていました。
オジサンは、食品売り場を夕方までゆっくり磨こうと思いました。
オジサンは、食品売り場をゆっくり眺めました。もうすぐまたタイムセールが始まりそうです。
主婦がたくさん並んで家計のやりくりと家族の健康のことを塾こうしているんです。
大変な労働です。おじさんは自分の好きなことをやって生きているのだからまあいいかと思いました。サルはどうしてもりをはなれて一匹だけやってきたんだろう。サルの自由が欲しいのか。蟹をいじめてまでも柿が食べたいのか。お握りは食べんのか。サルがご飯の味を覚えたら田んぼのコメがっ全部やられてしまう。サルの街になってしまう。おじさんはブラシを動かししてガムのしつこい汚れをようやくきれいに落としました。
オジサンは、主婦の勢いに負けそうになって掃除の手を留めてしまいました。
「こっちこっち、どこみてんの、ワンちゃんのおしっこよ」
「だって自分が連れてるワンちゃんの」
オジサンは、恐怖を感じて急いで床を拭きました。
オジサンは、売り場の柿が見えたので、でも高いな、見切り品になってるなと思って見切り品のカートの下のほうを叔母さんの間から探って、一個あった、サルにやろう。こめでなければじんるいがまけることはないだろうとおじさんはおもいました。
「こら爺、のぞくな」
バッゴーン。
ハイヒール先のとがったやつでの穴をけられてしまいました。おじさんはヒェーと言いながらレジに行って取っておいてもらいました。
オジサンはまだまだ掃除を続けました。
フロアー長が来て、
「今のはなんだ、何をやらかした即刻くびだぞ」
「えー、それはないです。かがんで掃除をしていたら叔母さんにけられたんです。しかもお客さんが連れてきたお犬のお憔悴を拭いて浮いたんです」
「本当か、絶対にお客様に失礼のないように」
「あれっていわゆるカスハラでしょ」
「うちはそれを認識しないことになってるんだ、お客様は神様なんだ」
「はい、承知しました」
この店のおばさんの自由さは、保証されてるんだな。
オジサンは、不当な解雇処分になってしまいました。
オジサンはまた仕事がなくなってしまったすぐに稼がないとまた猛獣にやられてしまう。
しょうがない服を着替えて駐車場の警備の仕事をもらいに行こう。
とりあえずだ、きっと叔母さんにひかれてしまうぞ。
オジサンは警備の仕事を夜の9時までもらいました。
そして課長に書類をもらって経理課に向かって今日の日給をもらいました。
やばいな明日は別な仕事を探さなければ、おじさんは交番によって、巡査に柿を渡して、サルに差し入れだ。
と言って帰りました。
おじさんは、雪の道を滑りながら坂を射上って振り返ると遠くに富士山が見えました。
ああ日本晴れになるな。早く柿をやろう。蟹が歩いてきました。
「オジサンおにぎり」
「ああ、食べるか」
「うん」
「オジサンはポケットから出して、蟹にやりました」
「馬鹿、蟹は食ってないぞ」
猛獣の声です。
蟹は、おにぎりを美味しそうに食べました。
「サルに柿をやっていいか」
「ああ、許してやる」
オジサンは、交番に向かいました。
「お疲れ様です」
「おじさん」
「蟹は許してやるそうです、柿です」
「では事件になりません、釈放ですが住民の安全のために山に返します」
「お疲れ様です、うちの猛獣も山に返しましょう」
「奥さんをそういうから、ダメですよ」
「はい、柿」
巡査はサルに柿をやりました。
猿はにらみながら柿を受け取りました。
猿は、ちくしょう。
またくるぞ
もう来るなよ山に帰るんだ。
バッゴーン。筋肉バッドが飛んできました。
「お猿さん、意地悪はだめ」
男の子の声がしました。
お母さんが男の子を連れて買い物に出かけたところでした。
「今夜はすき焼きよ」
お母さんは、ゆっくり雪を踏みしめて歩いています。
おじさんは、雪の道を歩いてきたぶん、つかれはてていました。
杖にした木の枝は、持っていました。
「オジサン、ちゃんと家に帰ってください」
「はい」
おじさんは、しまった、どこかで弁当を買って帰らないとまた狂暴になる。
オジサンはまたコンビニで中華まんを買って帰ることにしました。
オジサンは家のそばのコンビニによって、
「中華まん一つ」
と言って、中華まんを買って
「あんまんもないと」
「そうですね奥さんあんこが大好きみたいですね」
とコンビニの主人が言って、あんまんも包んでくれました。
「熱いよ」
「はい、500円」
「はい毎度」
オジサンはやっと帰ることができました。ポケットに手を入れてまだお札が残っているのを確認しました。
オジサンは、袋を受け取って、手を温めました。
「気をつけて、まいどー」
オジサンは、支払いを済ませて、コンビニを出ました。
コンビニの主人は道の雪かきをすっかり終わらせていました。
オジサンは、家のほうに向かっていきました。
オジサンは家にたどり着いて、中華まんの袋を玄関が開いてすぐに差し出しました。
「何だこれは、蟹か」
「いいr中華まんとあんまんです」
「金は、」
「これです」と言って、オジサンは、猛獣に差し出しました。
「二枚か、ポケットに隠しても駄目だぞ」
「いいえありません、蟹を食べるんですか」
「蟹蟹蟹がいいなー」
「では、蟹をつってきます」
「馬鹿働いて勝ってこい」
オジサンは、
「うちに上がっていいですか」
と聞いて、やっと部屋に戻って、なさけないなー。蟹だ、と言いながら紙に蟹を描きました。
「うちの子って、自由なのよ」
叔母さんの声が聞いてきました。
「テストで60点取っても、平気な顔をしてゲームをやってるの」
オジサンは、
怒るなよ、と思いました。
オジサンは、いつも何とかなるでいいよ。と思っています。
今日一日鵜も雷が落ちてばかりの空ですが、何とかなりそうです。
グランドは誰もいなくて静かです。
そういえば新聞をまだ読んでいません。
オジサンは新聞を読んで午後を過ごしていき異にしました。
スケッチもやろうと思っています。
男の子は、
「お猿さん、蟹をもらって涎を出しているよ」
「お猿さん山に返すんだよ」
「いなくなっちゃうの」
「そうだよ」
「お母さん、お猿さん山に帰るって」
「バイバイは」
「お猿さんバイバイ、蟹をいじめちゃあだめだよ」
猿は男の子を恨めしそうに。振り返ってみました。
「おう」
「あーけんちゃん」
「遊ぼ」
「うん、遊ぼ」
「お猿さんは」
「いじめちゃあだめだよ」
「うん」
と言って健ちゃんは籠をけりました。
キー、サルは、叫びました。
「いじめちゃった」
ケンちゃんは自部員で自分の頭をげんこつしました。
「お相子だよ、お猿さん」
男の子はお猿さんに、落ちていた、柿の種を上げました。
猿は種をとってかじって食べました。
「全部食べちゃった」
「食べ残しがないのがいいんだよ」
巡査さんはにっこりと笑いました。
お母さんは、
「ケンちゃんお母さんは」
「あっち」
「お母さん呼んできて、広場で遊びましょ」
「うん」
ケンちゃんはお母さんを呼びにスーパーの入り口にかけっていきました。
「ありがとうございます」
ケンちゃんのかあさんは買い物を終えtれやってきました。
男の子のお母さんは、
「おやつは」
「八百屋さんの、バナナ、スーパーじゃあだめだ」
「そうね、後で寄ってみようね、ケンちゃんもバナナでいいかな」
「うん」
「お母さんいいですか」
「ええ、買ってやります」
四人は、広場に向かっていきました。
「気を付けてね」
巡査は笑顔で四人を送りました。
男の子の親子と健ちゃんの親子は広場について、泥んこになってないね、でもかけっこすると危ないから舌の広場で遊ぼうね、下は舗装されているからもう乾いてるよ、
「あ蟹さん」
男の子が指さしました。
広場の水たまりから小さな蟹がひょっこり出てきていました。
「よく見つけたね」
「えい」
ケンちゃんは、握っていた石を蟹めがけて投げました。
「やったー」
男の子は万歳しました。
「いじめていいのかな」
男の子のお母さんは、聞きました。
「僕がお猿さんになっちゃった、えーん」
男の子は泣き始めました。
ケンちゃんはもう下の広場にかけって言って走っていました。
雪はすっかり病んで、暖かい日差しで、少し動いただけで汗が出てきます。
男の子も下の広場に行って、かけっこを始めました。広場の脇にある花壇に水仙の花が黄色く揺れていました。
男の子と健ちゃんは、広場いっぱいにかけっこしています。
「ケンちゃん元気ね」
「悠くんも」
「早起きで困るの」
「家も、まだ暗いうちに起きるの」
「そうよ朝の5時濱田日出になってないのに、起きちゃうの」
「夜はぐっすり寝てるからいいのに、もう少し寝たいよね」
「7時まで寝てるよ」
「いいね、うちの主人は6時に起きるから6時には起きるの」
「お弁当は」
「お子図解で食べてくれるから助かってるの」
「家はおにぎりを自分で握っていくから、寝る前に、炊飯器のタイマーを射入れておけばいいのよ」
「お米どうしてる」
「高いよね」
「日本人の主食なのに、どうかしてるよ」
「そうよ安心して食べられないなんて」
「せんべいも高くなってるでしょ」
「せんべいも日本人の主食なのに」
ケンちゃんと裕君は広場に、伸びている樫の木を行ったり来たりして、追いかけっこをしています。
お母さんたちはベンチに座っても守っていました。
「天気が良くなって良かった。
「洗濯物、今日はベランダに干したよ」
「花粉は」
「家は気にしてないの」
「家も平気だけど」
「やっぱり心配ね」
「久しぶりに外星でj来て気持ちいいわ」
鳩がこっころコロコロとのどを鳴らして集まってきました。
もう少ししたら桜の花も咲いてきそうです。
「お母さん、おやつ」
悠君は、おなかがすいてきてのどが渇いてきたのでバナナが食べたくなりました。
お母さんは時計を見て、
「じゃあいこうか」
「うん」
ケンちゃんのお母さんも、
「ケン、八百屋さんに行くよ」
「うん」
四人は歩いて、バス通りの向こうにある八百屋さんに森の道を歩いていきました。
「あ、オジサン」
オジサンはまた家を追い出されてベンチに寝ていました。
「あー、蟹が釣れた」
ここは海じゃあない、オジサンは寝ぼけてしまいました。
「こんいちわ」
オジサンは挨拶しました。
「オジサン、お猿さん柿の実まで食べるんだよ」
「お猿さんまだいたんだね」
「うん、もうすぐ山に帰るって」
「お猿さん、山で静かにしてろよ、な」
「うん、蟹さんをいじめちゃあだめだよ」
その蟹が問題なんだ、とオジサンは思いました。
「オジサン、蟹釣ったの」
「ああ、きれいな海の岩場で寝てると鼻をつかんだんンで慌てて採ったんだ」
「へーバカみたい」
「面白いよな」
「おじさん、これから八百屋さんなんです」
「きゅうりの浅漬けがうまいところです」
「へー」
「スーパーより少しお買い得ですよ」
「回し者」
「ええ卑怯なおじさんです」
「秘境、うけるー」
少し風が吹いてきました。
鳩がとことこ道を歩いています。
カラスががーがーと鳴きました。
ところで雪はまた降るのでしょうか。
猿のキャーという声です。
山にはまだ雪が残っているみたいです。
猿はお腹がすいたので、栗の木に登って、
「イテー」
毬が刺さった。
猿は七転八倒して、やっととげを抜きました。
それを見ていた村人は、とげぬきざるの話を草紙につづりました。
お腹のすいた猿は、一人で山の中を三日三晩歩きました。
人間の里にはおにぎりがあって美味しかったのに、山には、木の実がたくさんあるのに、硬くて食べるのに苦労する。
蟹のはさみがあったらうまく割れるのに、と思って猿は栗の木に登りました。サルは悔しかったので栗の実をとって、犬に投げつけようとしたところでした。
お侍はそれを見て、栗は使える武器になるなと思って落ちていた栗を拾って集めました。お侍さんは栗の実をとって竈の火で焼きました。するとなんておいしい実なのでしょう。御侍さんは、サルに感謝して地蔵と一緒に猿塚を作って、祀りましたとさ。
「オジサン今の話、昔話ですか」
「いえ、今やってきた話です」
「すごーい、絵本にして」
男の子と健ちゃんは大喜びで笑いが止まりませんでした。
オジサンは、思い付きの意でたらめの話じゃが以外んい受けたのと思って機嫌がよくなって、
「沖のかもめーはとつい歌い始めました。
するとお母さんたちが、
「わたしまつわ」と歌い始めて綺麗なハーモニーで広場が穏やかになりました。
地蔵になった猿は、400年たった今も、正直者の誉れとして、町会の人たちに尊敬されて、崇拝されています。
オジサンは、いつの間に広場に来たんだ。わしは蟹を釣って猛獣に食わせんと今日こそ死ぬぞと思ったんだ。しごともべつなのをはやくみつけないといきていけん。
オジサンは、とりあえず深呼吸をしました。
何とかなるよ、きっと。おじさんは、安心して広場のベンチで寝ました。
オジサン今日中に仕事をしないと家に帰るのは悲劇的にできなくなってしまいました。
オジサンは、スーパーの仕事はあきらめて、
建築現場の警備の仕事を探すことにしました。町内会長に紹介してもらおう。おじさんは広場に向かって会長が、碁を打ってるベンチへ行ってみました。
「会長、お願いがあります。スパーの仕事をやってたらいわゆるカスハラで、死にそうなので、工事現場の仕事を探してるんですが、どこかご存じでないですか」
「うーん、それは職安に行くしかないかな」
「でも今日働かないと家で寝れないんです」
「おい、あんたのとこで警備はあるか」
会長は碁の相手に声をかけてくれました。
「ちょうどいい、今日一人腹痛で休んでいるんだ。銀行跡地の現場で警備をやってくれるか」
「はい、喜んで」
オジサンはさっそく仕事が決まって安心しました。
「社長氏すまんな」
「会長も、お礼を言ってくれました」
「碁をさし終わったら行くから先に、現場に行っておいてくれ。
「はい、ありがとうございます」
オジサンは深くお辞儀をして小走りで銀行跡地に向かいました。
現場ではすでに大きな重機が、作業をしていました。地面を掘ってるのでダンプの出入りの警備だなと、オジサンはは思いました。
現場の隣の農家の敷地に飢えてある白梅の匂いがしてきました。梅の実が生るといいな、梅干おにぎりが食べられる。おじさんはしばらく様子を見ていました。
「おう、待たせたな、警備服は持ってないか」
「ええいつも借りていますので」
「では貸し出すから入り口の交通整理と現場の安全を警備してくれ、日暮れまでの作業だ」
「はい」
オジサンは制服を借りて着替えてすぐに警備の仕事に入りました。
鳩が空を飛んでいきました。
オジサンは、
さっそくゲートの前に立って、車と人の出入りの誘導を始めました。
怒られることなくみんな従ってくれました。おじさんは、やっとここなら続けていいな、とおもいました。あ、そういえば工事用のトイレ、清掃するか。おじさんは清潔が健康を呼んでくれる、と思ってやってみることにしました。
夕暮れになって工事作業が終わると社長がやってきて、今日の分と言って、お金の入った、袋をくれて、
「中を確かめてこれにサイン」
といって、渡してくれました。
オジサンは、帰りに総菜屋さんで蟹ごはんをかってかえることにしました。
オジサンは、また冷えてきたと言って体を丸めて歩きました。今夜も雪の日のベンチで休むことになりそうだ。おじさんは商店街の総菜屋さんに行って、蟹ご飯一つともつ煮のあったかいのを買いました。
「オジサン、ビールがおいしいよ」
「私らこれから串焼きもつ煮でびーるだよ、ここのポテサラを持ち込みにするんだよ、飲みにいこいうよ」
若い女性は自由でいいな、
「わしは家に怖いのが腹を空かせて待ってるから、帰るよ、夜は長いぞ、しっかり楽しんで」
と声をかけて、料金をポケットから出して払いました。
「オジサンスーパーで清掃してるでしょ、いつもきれいで、使いやすいよ」
「ああ今朝までは働いていたけど、店長がわしを首にしたのでもうやらん」
「へー、がっかり、店長ってあれだよ、いつも助べえな目で見てるやつ。きもい奴って本部に通報してやるよ」
「オー怖いやめてくれ」
「おじさんまたね」
「あー雪になるから楽しめよ」
「やったー」
オジサンは蟹飯ともつ煮を抱えて帰っていきました。
オジサンは家について、洗面で、石鹸を使って手を洗ってキッチンのテーブルに座りました。
「警備の服を買おうと思うんだけど」
「稼いだか」
「ああ、これ食べて」
オジサンは蟹めしともつ煮をテーブルに置きました。
奥さんは黙って箸をとって食べ始めました。おじさんはお湯を沸かして熱いお茶を入れました。
「仕事が見つかったならよかった続けろよ」
「はい」
オジサンは情けなくなってきました。
オジサンも箸を射もって、もつ煮を食べました。
「蟹いるか」
奥さんが言ってくれました。
「はい、あの」
「あの」
「ええ、あの」
「で」
「食べていいんですか、次の入荷はいつになるかわからないそうですよ」
「馬鹿、まだ冬は長いんだ、蟹はまだいろんなところで上がるよ」
「少し」
「少しか」
「はい」
奥さんは一口分を茶碗に箸で分けてオジサンに渡しました。
オジサンは、
「はい、お茶」
と言って、熱いお茶の入った湯のみを置きました。
バス通りからバスが発車する音が聞こえてきました。
サラリーマンが二人酔っぱらって歩いているようです。
霙も降り始めたようです。
やがてボタン雪になっていきそうです。
窓から、冷たい雨の音が響いてきました。
オジサンは蟹ご飯ともつ煮を食べて、ちょっと甘いデザートと思っていたら、
「袋を開けて、こちらを向いて、
「いるの」
と言ってにたっと笑うので、
「いります」
と言ったら手を伸ばしてクリームパンをくれて自分はジャムパンは嫌と言ってあんパンをっパクッと食べてテレビを見始めました。おじさんは明日も工事現場の警備に行くことにしました。
「警備服買うの」
「ああ自前にしておいたほうがいいみたいだ。スーパーは店長に不当解雇された」
「退職金は」
「日給だからな、そういえば日給をもらい忘れた」
「馬鹿、それで警備服が買えたのに」
「明日商店街の安い衣料品店でつなぎを見てみるよ」
「これ」
とオジサンはポケットからお札を二枚出しました。
「なるほど」
奥さんは次はせんべいを食べながらオジサンをにらみました。
オジサンは店長も社長も、同じ雪の中を歩いているんだなと思いました。
雪は深々と歩いている人の方に積もっていきます。
コーン、遠くからキツネの声です。
猿がキャーと叫びました。
キツネは通っていったネズミを咥えました。ネズミは慌ててキツネの鼻をかんで逃げていきました。
猿は、それを見ていて、
自分もお腹すいたな、柿の実をとりに、街に行くかと思いましたが、また檻に入るのは嫌だなと思って今度はしくじるな、と自分に言い聞かせました。サルは、気に登って枝伝いに里に下りて行ってキューと飛んで電信柱に飛び移って、電線をすたすたと歩きましたが雪がついていて滑って落ちそうです。電線もたわんで、これはヤバイ、と猿は思って地面に飛び降りました。サルは、歩道のガードレールに飛び乗って歩き始めました。
「オー猿じゃ」
外に出て煙草を吸っていたおじいさんが猿を見つけました。
あれはわしの顔より赤いのうとのんきに眺めていました。
猿は見つかってしまった。
「逃げるぞ」
と言って、ガードレールの上をするする歩いていきました。
おじいさんは、
「オー猿じゃ、サルが歩いている。
と眺めていました。
猿は柿の木を見つけてバーンと飛んで柿の木を上りました。
蟹が雪の上を歩いています。
「おう蟹か」
「おはよう、お握りだよ、ほしいか」
「お腹すいた」
「ほしいなら、木から飛び降りろ」
「猿は、柿の実をとって飛び降りました。
雪は深々と降っています。
お爺さんは、雪に猿蟹か、
猿は温泉蟹も温泉。
二人合わせて、真っ赤、赤。
いい湯じゃの。
「お爺さん、危ないですよ」
オジサンは現場に向かう途中でした。
猿は、またこいつと籠に入るのか、くそーと思って泥団子をオジサンに、思いっきり投げつけましした。
オジサンは、警備の仕事に向かいました。
グランドの脇の広場で、鳥が楽しそうに飛んでいました。
オジサンは今日も子供たちがたい焼きを買いに来るぞ、食っておこう。
と思いました。
猿が
こいつまた変なことを始めたなとにらみつけました。
「おい、またでyて来たか、山は」
「山に帰ったら天狗に、やられてつまらんのではらっが減ったので。おにぎりをくおうとおもってやってきたぞー」
と猿は大声で叫びました。
若い巡査は仕方ない、一日、監視だ。あのおじさんもみてよう。
こうして一日が始まりました。
山から北風が降ってきました。おじさんは公園のベンチでひおなたぼっこしました。
松ぼっくりとどんぐり張るけど栗とヒマワリの種がないのはどうしてだ、と思いました。
すると、鳩が三和クックるくっくると鳴きながら首を縦に振って、鳩はいつでも、オーケーです。
キツネは、そうかそれならと思って空高くジャンプをしました。
すると猿は慌ててジャンプしてキツネを平手打ちにしました。
キツネは、神社の参道まで飛ばされて、祠の横に座りました。
キツネは油揚げが備えてあったのでパクッと食べました。
丁度、蟹も油揚げに手を出してはさみでつかんだところでした、蟹も降り飛ばされてキツネのしっぽの根元に落ちました。
蟹は思いっきりキツネのしっぽの根元にはさみを入れてバサと、しっぽをちょん切りました。
猿は慌てて柿の実を投げようとしましたが、オジサンお顔をみっ笑ってたので畜生と思ってオジサンめがけて柿を投げてしまいました。
オジサンは、柿をボールのように採って、パクッと食べました。
「畜生食べたな」
猿は、悔しくて地面にげんこつを打ちました。
オジサンは、
「あー^美味かった」
仕事に向かいました。
オジサンは暗くなるまで働いて、今日は缶詰でいいやと思って帰りました。
]オジサンは、家に帰って、手を洗ってうがいをして、お風呂に入りました。
オジサンはその前に、奥さんに、今日の日給を渡して、ゆっくりと熱いお茶を飲みました。
「お父さん」
「お父さん」
男の子は一冊絵本をもってきて・
「読んで」
「読んで」
とせがみました。
おとうさんはおふろからでてかみをかわかしたところだったので、男の子がもって来た本を開いて、呼んであげました。
女の子は雨の日が悲しい日でした。
どうしてって、お外で遊べません。
ある日お母さんが、赤い傘を買ってくれました。
女の子はうれしくてさっそく部屋の中で、傘を開いてさしました。
女の子は大きくなったみたいでうれしくて雨の日を数えて待ちました。5つ数えた朝、雨です。
女の子はうれしくて傘をさしてお外にに出かけてグランドの道をスキップして歩きました。
しばらくするとお空が晴れてきて女の子は傘を閉じてお空をのぞいてみると、きれいな、大きな虹が出ていました。
女の子は、うれしくて、
「お母さん、虹、アップルパイ」
「そうね」
お母さんはリンゴを切って美味しいアップルパイを焼いてくれました。
「うーんにい香り」
グー。
男の子のお腹が鳴りました。
「ご飯食べたのにお腹すいた」
「そうか、大きくなったね」
「お父さんもう寝る」
「ああ」
お父さんは絵本を本棚において、ベッドに向かいました。
お父さんは、本棚からとった本を読みながら、眠ってしまいました。
いつの間にか混んだ電車の駅に立ってるではありませんか。
あ、乗り遅れる。
お父さんはれ列のいちばん後に立って吸い込まれるように電車に乗りました。
しまった逆か、遅刻だ。お父さんは焦って目を覚ましました。
オジサンは風呂から上がって、冷飯にお湯をかけて、おしんこでお茶漬けを食べました。
「これなら警備に使えるつなぎを商店街の衣料品店で一番安いのを買っておくよ」
オジサンは、
「一番安いの、一週間はもたそう、後はぞうきんのようになるだけだ。
と思って、熱いお茶を飲みました。
オジサンは、そのままベッドにドスンと寝転がって、
奥さんが、せんべいをポリポリ食べ始めた、
これで、安心だ、と思ってゆっくり休むことにしました。
男の子は、本棚から今日はこれだ、と思って絵本を一冊とってきました。
「これならお父さんに来てもらわなくても、遊べるよ。
「お早う」
「おはよう」
へっへ、出べそが出てるよ。
「起きたら歯を磨いて顔を洗うんだよ」
「ゴロゴロごろ、うがいもちゃんと」
「うん」
「前歯が一本抜けちゃってるよ」
へへへへ、
男の子は、あいさつ絵本を布団をかぶって、見て遊んでいるうちに眠くなっちゃいました。
お父さんは、キッチンのテーブルから男の子を見守っています。
お母さんはほっとして紅茶を飲んでいます。
明るい月の夜になりました。
おとうさんは、
もう一冊お遊び絵本を買ってやろうと思いました。
お母さんは、
今日は私ね、と言って本棚から一冊絵本をとって男の子の布団に行きました。
昔々、あるおうちに元気な男の子がいましたとさ、
男の子は、夜が怖くてたまりませんでした。
夜rになって男の子は泣きたくなりました。
クッr-クックルー、小さな鳥さんがやってきて、
「あそぼ」と言いました。
「お空って楽しいの」
男の子は聞きました。
「うんとっても」
「いいな」
「いろんなものが見られるよ」
「へー」
「これ」
鳥さんは、松ぼっくりを置きました。
「へーかっこいい」
「ほら」
「うん」
二人は転がしっこして遊びました。
「楽しいね」
男の子は怖くなくなりました」
「お母さんおやすみなさい」
「お休み」
男の子は静かに眠りました。
お母さんはキッチンのテーブルに戻りました。
「よくねたわ」
「そうかい」
「今日広場で沢山遊んだから」
「良かった、晴れていて」
「うん」
「明日も、遅くならないようにするよ」
「ええ」
「そろそろ寝よう」
「うん」
お父さんとお母さんはベッドで、本を読んで眠りました。
クックルークックルー
鶏の声です。
明日の朝もいい天気ね、
とお母さんは思って目をとじっました。
お父さんは、仕事で、書類が来る日だ、無事に
と思いました。
「朝になったら、また紅茶を飲んでレモン」
お父さんは考えるのをやめて、眠ろうと本を閉じました。
お父さんはぐっすり眠り、朝になって起きて、ゆっくりレモンティーを飲みました。
新しい物語が始まります。
オジサンは、つなぎの警備服を着て。
「いってきまーす」と言って工事現場に向かいました。
一仕事をしてオジサンは朝起きて自分で握った、おにぎり一個食べてお茶を飲んで一服しました。
奥さんは、うちで大きな音を出してテレビを見ておならをこきました。
ブー。
現場の一日は長くて短いものでした。
もうすでに陽が落ちて、火が落ちるってどういうこと穴に落ちたんか、シャベルが立派にほっとるぞ。
重機はすっかり止まって静かになりました。
社長さんに日給をもらいに行こう。
オジサンは、社長のところに行っておかけをもらって髪にサインをして、そう妥協はそろそろ魚を食おう。
安い寿司でも寿司はすしだ、蟹付きのやつを買って帰ろう。オジサンはチェーンの握りずし屋さんで棚に残って赤いシールが貼ってある寿司を買って帰りました。
オジサンは玄関の入り口で、
「今日はこちらでございます」
と言って、お寿司にパックと、残ったお札と小銭を全部奥さんに渡しました。
「これだけか」
「はい」
「明日はもっと早くから仕事をして稼いで来い」
「ひぇー」
オジサンは玄関を上がって洗面でうがいと手を洗いました。
オジサンと奥さんは、テーブルで、ゆっくりお寿司を食べてお熱いお茶を飲みました。
月が、テーブルを明るく照らしています。
小人さんがやってきてダンスを始めました。
「オジサン、汚いね、怒られちゃうよ」
「ああ」
「服がどろどろ、行けないんだー」
「そうね、洗濯しないと、こら」
「顔に傷があるよ」
「ほら」
ばし。
奥さんは思いっきり額を平手打ちしました。
お寿司は五個入りでした。
味噌汁を買ってこなかったな。
「オジサンお猿さん」
「ほら真っ赤だよ」
「ひぇーきゃきゃきゃきゃ」
「オジサンざる汚い」
こびとさんはテーブルのうえできゃっきゃと手をあげてよろこんでいます。
オジサンと奥さんはデザートのケーキを分け合って食べました。
オジサンは、お風呂に入って洗濯をしました。
「屋ッと入った。奥さんもお風呂に入って、オジサンと奥さんはベッドで眠りました。
「明日は別な仕事ももう一つ探しして働いてよ」
「はい」
「オジサンは頑張ってやろう」
と思いました。
オジサンは目覚めて、
とりあえず、顔を洗って便所に行って、
社長に相談に行くことにしました。
朝飯はそのあとだ、怒られる、
「お早うございます」
「おう」
「どうした」
「もう一つ仕事をくださいこれからすぐやって警備の仕事をします」
「安いがいいか」
「はい」
「庭掃除をしてくれ」
「はい」
オジサンは箒をもって庭を履いて掃除をしました。
すっかり明るくなって道を歩く人が、左に右に急いでいます。
「おう、きれいになった」
「石のコケはこのままでいいですか」
「生やしておこう」
「はい」
「もう少し石の間をやります」
アリが出てきました。おじさんは、そろそろ警備に行かないとと思いました。
「社長、お世話になります、これから警備の仕事に行きます」
「頼むぞ」
オジサンは、社長の庭を出て、建築現場の警備の仕事に向かいました。
重機はもう働き始めていました。精肉屋さんからコロッケを揚げる美味しい匂いがしていました。
喫茶店からコーヒーの香りたこ焼き屋さんから香ばしいソースの香り、オジサンは、立ったまま寝そうになったので体操をしました。
オジサンは今日二つ目の仕事で少し疲れましたが、この現場の安全は守らないと嫌ないちにっちになるので、必衰に状況を確認しました。
グー、
あ、パーか、
いやチョッキ
着てないな、
頭が空でも、見ることはできる。
安全のためなら、エンヤトット。
オジサンは大きな声で歌いました。
すると作業現場から一斉に、
エンヤトットと大きな歌声が聞こえてきました。
「もうひと仕事で、悔いが打てるぞ」
「やー」
現場の気合も十分なようです。
モグラが驚いて飛び出しました。ジャガイモ畑に、長い土の筋が盛り上がっているのが見えました。
オジサンは、ダンプが来るたびに交通整理をきちんとやっていきました。
か
なりお腹も減ってしまいました。夕暮れまでの我慢です。いえではおくさんが、殺人事件のドラマのテレビをみながら。辛さ十倍のせんべい、顔の大きさより大きい奴をぼりぼり食べていました。
モグラは、ジャガイモ得お一本掴んでサングラスをして、以上に上がってむしゃむしゃさy妻芋を食べました。それを煮ていた猿が、ジャガイモの畑を掘り返して、ジャガイモの、茎を引っ張って、一本取って、また盗みをしました。猿はサツマイモをもって、交番の前まで行って、木の上でジャガイモをむしゃむしゃ食べました。
若い巡査は、またやったな、と思って、木の下に、わなを仕掛けて、リンゴにバナナに、栗お握りと桃を置いてそ知らぬふりで交番に戻って、書類に目を通しました。
現場の重機は、重い音を響かせて、腕、と足を踏ん張って、
「どうじゃ」と言わんばかりに、大きな石を動かしました。するとじめんから泥水が出てくるではありませんか。おじさんは慌てて笛をピートならしました。現場監督が慌てて事務所から飛び出してきました。
現場監督は頭を抱えてしまいました。地下水の層があるのはわかっていたのですが、もっと地下深くのはずでした。工法を変更する必要が出てきました。工期を遅らすわけにはいきません。するとおじさんが、向こうの谷に川と沼地があるから水をひいてやれば、公園ができるよ、とつぶやきました。すると社長が、それだ、儲かるぞと言いました。君少し長くなるが警備の仕事は続けてくれと社長は言いました。猿はその音を聞いて慌てて気を下りて、
「このサツマイモは固くて味がない」といって、バナナをつかみました。
すると、網がバサッとしまって、サルは気が付かないままバナナを美味しく食べました。
その時、おかあさんとおとこのこがとおりかかって、
「お猿さん、バナナを盗んじゃった、どろぼう」
と大声を出しました。
交番の若い巡査は苦笑いしながら、網を持ち上げて、サルを籠の中に入れて鍵を閉めました。
「泥棒は、牢屋に入れられるんだよ、この泥棒猿」
「駄目よお猿さん、反省してね」って声をかけてあげるんだよ。悪い子に意地悪なことを行ったら、その子は、どんな子なんでしょうか」
「意地悪で悪い子だ、ぎご面目意地悪を行っちゃった反省するんだから一緒に反省だよ」
トト子の子は言いました。
若い巡査は思わず笑顔になりました。
オジサンは、やっと、ゆっくり仕事ができるようになったと、安心しました。今夜は、ビーフシチューでも買って帰るかと思いました。
現場監督は、急遽給水車と大量の砂利を手配しました。トラックがあわただしく出入りします。おじさんは急に忙しくなりました。
この水は緯度に使える水だぞ、若洲と温泉になるな、社長はそれを聞いて、焦ってきました。これは大規模開発になるぞ、プロジェクトをまとめて役所に行かなければ、まずいことに市長選だ、市長に予算を取り付けなければ、投資家のえさになってしまう。社長は現場監督を呼んで、
「今日は哲也を頼む、新しいプロジェクト案を早急にまとめよう」
現場監督は、
「えー、しかたない」と言って、家に電話を入れました。
「今夜残業で帰れない」
オジサンは、もっと呑気に仕事をするつもりだったのに、とつぶやきました。
現場監督は、急遽工事を留めました。
トラックは、土砂や、砂利を運んで、現場にやってきました。
オジサンは夜暗くなるまで、現場で働きました。
「よし、今日八ここまでだ」
「暗くなって、監督は作業を留めました」
オジサンは、社長に今日の給料をもらって、精肉店で牛肉を買いに、ビーフシチューを買いに行きました。
オジサンは家に帰って、玄関を開けて
「こら、遅いぞ、どこで遊んでいた」
バッゴーン。筋肉バッドが飛んできました、
オジサンは、「これ」
と言ってビーフシチューと、
お札を三枚、渡しました。
「酒臭いぞ」
「飲んでないよ」
「息が汚い」
「一日、ガソリンのそばだから」
「汚い」
「はい」
「オジサンは洗面で手を洗って、うがいをしました」
「このしごとしばらくつづきそうだ、月給になるかもしれんがいいか」
「うるさい、日銭がいるんだ、もう一つ仕事を探せ」
「はい」
オジサンは、ようやくキッチンのテーブルに座りました。
奥さんは、
「これならパンでいいか」
と言って、バゲットを切りました。
おじさん夫婦は、
「おい、開発が大きくなるようだ」
「それで」
「わしの警備が長くなるそうだ」
「給料は上がるの」
「それはわからん」
「じゃあ、もう一つ探して」
「大きいおプロジェクトで市長とも話すらしいんだ」
「だから」
「仕事をやる」
「あ、そう」
オジサンはようやく落ち着いてゆ夕飯が食べることができました。
今度の日曜にオジサンは、休みが取れたら、本屋さんで、最近の小説を立ち読みして、人文の文庫の新しいところを立ち読みして、子図解があったら一冊買おうと思いました。市の図書館では絶対に見ることができない、本のいちばん大切なことです。おじさんはやっとそれができるといいなと思いました。
道から書店が消えていくようになってもう数十年たちました。
毎週、性根mン漫画雑誌を買って、100円を使うのが楽しくて、漫画のカット割りの外に出ているまめ知識を一つづつ、どういうことか考えるのが楽しみでした。
そののちたどり着いたのが、300円までで帰る文庫本で舌。町の本屋さんで夕方暗くなるまで過ごすのが一番の楽しみでした。
隣の中華屋さんから、チャーハンと餃子を焼くにおいとラーメンをゆでた匂いが、しっかりしてきて、野球少年たちが集まって、ご飯を腹いっぱい食べていました。明日も同じ明日がある時代でした。
オジサンは、満腹になって、その日のことが、昨日のことのように思いました。
同じ時間がグランドに流れています。
西の空から富士山の便りが来る頃です。
工場の音が静かに、なっていきます。
皮の河川敷から、明日の、祭囃子が聞こえてきました。
社長と現場監督は、子供のころ遊んだグランドのかけっこのことを飽きることなく話していました。川の流れがないのはやっぱり寂しい。二人の考えは、同じでした。大変な土木工事になります。用地の買収も並大抵のことではできません。でも、水がわいて出たんですから、
二人は、朝まで、机に図面を広げて、子供たちと青年が楽しめる広場を描いていきました。
結局草がたくさんある庭園に丈夫な、風通しのいい図書館と、体育館が真ん中にある皮のある街ができました。二人は、これがあるはずだったのに、なんでないんだ、100円で遊んだ駄菓子屋と、もんじゃ焼きの店も消えてしまった。夏祭りもやりたいじゃあないか。二人は仕事を忘れていました。
社長は、思い出したように、
「これは実現可能か、うちの土木技術で何とかなるか」
とつぶやきました。
「三年かけて形にしましょう」
現場監督は、工程表と人での調達を頭の中で考えていました。
お父さんは、
男の子に聞きました。
「電車に乗ったことあったかな」
「うん、窮屈で面白かった」
「窮屈ってどんな感じ」
「お母さんが言ってたよ窮屈って」
「どんな感じだったかな」
「かけっこできない、大声を出せない」
「それは我慢することだね」
「うん、我慢するからご飯がおいしいんだよ、チョコが食べたくてもご飯のためにあきらめるんだ」
「我慢しすぎたら、どうかな」
「大声で泣く」
「そうだね」
「何でそんなこと聞くの」
「電車に今度のお休みに乗ろうかと思って」
「いいことだよ、うれしい、今度のお休みっていつ来るの」
「お休みを15回言ったら来ると思うよ」
「本当」
「お母さんがいいと言ったらできるよ」
「僕もお願いするよ」
それを聞いていたお母さんは、
「お母さんも楽しみね、おにぎりいっぱい作ってお出かけしようね」
「やったー」
男の子は万歳をして、スキップして部屋中を歩きました。
「来月の連休、会社を休むから、動物園に行こう」
「ええそうね、お天気大丈夫かな」
「ソロソロ連れて行かなきゃあな」
「そうね」
「悠も大きくなったな」
「うん」
「写真ぐらいとっておこう」
「久しぶりに写真館」
「いいけど給料はそんなに上がらないよ」
「普段贅沢なしだから何とかなるよ」
二人は、久しぶりに休みの予定を作りました。
「おとうさん」
「ああ」
「電車に乗るの」
「そうだよ」
「おにぎり食べるの」
「うん」
「象さんにキリンさん、ライオン、ゴリラ,お猿さんも」
「いるよ」
「お猿さん泥棒」
「動物園の動物はいい人ばかりだよ」
「うん僕意地悪しないよ」
「そうだね」
お父さんは、安心してお風呂に入って眠りました。
お母さんは絵本を一冊採ってきて、
「子供のンれず実が一人で遊んでいました。
すると、子猫がやってきたのでひげを触って藍幸しました、
子猫はネズミさんを見てっ怖くなって、震えてしまいました。
「あーそーぼー」
子ネズミさんは大きな声でお願いしました。
「よしかけっこだ。よーいどん」
二人は部屋の中でかけっこをしう手遊びました」
「へー僕もいーれーてー」
お母さんは、もう少し読んで寝てくれるかなと思いました。
「ネズミさんは、大きなお母さんになったなと思って、
「お母さんお腹すいた」
「いいよミルクを射飲んで」
猫さんはたっぷりネズミの子供にミルクを飲ませてあげました」
「危ないね」
「そうね」
猫のお母さんは、猫の子供を読んで、ひげを、ネズミさんい触ってもらって一緒に遊んでごらん、すぐ寝てくれるよ」
「ネズミの子供はお腹いっぱいになって、眠ってしまいました。
悠君も眠くなりました。
「おやすみ」
「おやすみ」
お母さんは、悠君の頬をやさしく撫でました。
お母さんは、そうだ、と思って、次のお休みまでのカレンダーを作って、障子の日記の紙に貼りました。
お父さんはそれを見て。今日は終わったなと言って今日の日付に罰をクレヨンで書きました。
お父さんは黒、お母さんは緑、悠は黄色、クレヨンに名前を書いて用意しておきました。
「少し、本でも読んで、明日の仕事の準備しておくよ」
とお父さんは、仕事部屋に戻りました。
お母さんは悠君が寝たのを確かめて布団をかけてベッドに向かいました。お母さんは、しばらく、窓の外を横になって眺めていました。そういえば、小学校に通ったときグランドの木の下でよく遊んでたな、まだこの木が窓から見える同じ場所にあってよかった。とお母さんは思って眠りました。
そのころ現場監督と社長は、住民に知られないように周辺の地形や植栽の様子を記録していました。二人もできるだけ、今の風景は残しておこうと思っていました。人工的な新しいガーデンはいらない半世紀変わらないグランドを残して開発けいかくをかためようとしていました。
夕ご飯を食べたオジサンは、グランドを散歩していました。
「おい」
「社長」
「この街頭、安全を守ってますね」
「ああ」
「安全な毎日でありますように」
「それで歩いてるのか」
「ええ、少し食べすぎたので」
「夕飯が食えたんだな」
「はい」
「そうだな、この街頭も長いな」
「ええ、もうすぐ夜桜がきれいに見えてきますよ」
「桜の樹も減ったな、一度も植樹はしてないな」
「ええ、ひこばえが、育つのが楽しみなんです」
「そうだな、ふつうにいいかぜがふいてるからいいんだな」
「ええ、城下町の用水路
のように水の流れがあるといいですね、一全鶏の観察エリアに小川が流れてましたから、そこにまた水が流れるといろんなものが集まってきますよ」「そうだな」
社長と現場監督は、コンビニでおにぎりを買って事務所に戻っていきました。
二人は、夜明けまで、広場の計画を練りました。
オジサンは、もう朝が近い帰って寝ようと家に戻りました。
ところが、自分の部屋に入る前に、コーヒーを飲んでしまいました。
オジサンはもう寝ることができません。
「今日の仕事を探さなくては、庭掃除じゃない朝の仕事
オジサンは、紙「ゴミ出し万承ります」と書いて団地を一回りしました。
「家のなまごっも出してjくれんか。
「はい」
おじいさんのいえのおいったら、玄関の入り口から奥の部屋までびっしりゴミだらけです。
オジサンは覚悟を決めて、10時まで出せるだけ、だします。2000円でいいですか。
「高いのう」
お爺さんは悲しい顔をしたので、「1000円でやります」
とオジサンは言ってゴミ出しを始めました。
庭の掃除より割はずいぶん悪いけど、仕方ない。
オジサンは警備の仕事が始まる30分前までおじいさんお家の生ごみを袋に入れてダッシュボックスに入れていきました。ポリバケツが満杯になったので脇は開けておくように工夫してすて捨てました。
オジサンは、お爺さんから1000円もらって、
「また頼むよ」
「前はいつ捨てたんですか」
「わからんぐらい前じゃ」
「一週間に一度にしないと」
「毎週1000円は払えん」
「じゃあ月に一度は来るようにします」
オジサンは現場に向かいました。
「ヨロズ便利屋、ちょっと」
ア歩いてるうちにたくさんの人に声をかけられました。
オジサンはちょっとしくじった、警備の仕事ができなくなるとまずい。
お婆さんが一人、
「お願いだよ」
という人がいたので、夕方暗くなったら行くよ、どこ
「この、階段の四階の二号室だよ」
「7時ぐらいになるけどいいか」
「ああ頼むよ」
オジサンは仕方ない2000円になるからいいか、と思って工事現場にむかいました。
オジサンは社長の工事現場に向かって、水がまだ噴き出しているのを確認して、今日の安全、と思って警備を始めました。
今日も現場間と徳は銃器に指示を出して砂利や、放水路を津y来るようにdp土砂を掘っていました。トラックは相変わらず頻繁に出入りするのでオジサンは道に出て、信号を確認して誘導をしました。一度お握りをポケットから出して一口かじって、仕事を続けてるうちに、西に太陽が沈んでいきました。
「今日はここまで」
と社長が、言いました。
「来ゲッツからげ球でいいか、少し多めに払っとくよ、と社長は言って、オジサンに万札を三枚くれました。
オジサンは、いつものように紙にサインをして現場を離れてお婆さんの家に向かいました。
ピンポーン「来たね」
はい、
「こっちよ」
オジサンは部屋の中に入りました。真っ暗です。
「この電球を変えて」
「はい」
オジサンは椅子に立って部屋の電球を買えました。伝統が付いた部屋は、几帳面に整理聖地オンされていました。
「後この子」
とお婆さんは言って犬を連れてきました。
「この子を散歩さしてちょうだい」
オジサンは犬を連れて公園の回りを歩きました。もう真っ暗になっています。
お婆さんは、
「3千円でいいか」
というので、
「多いですよ、二枚です」
「あんた正直物だね馬鹿を見るよ、貧乏生活から離れない人だね」
とお婆さんは言って、二千円くれました。
今日は三千円になったから、昨日よりおおいいからいいのに、と自賛は思って、
今日は居酒屋のもつ煮を買って帰ろう、300円使っても損にならないだろう、と思って買って帰りました。
オジサンは玄関を開けて
「遅いな」
「来月からげ球になるから少し多めに社長が暮れた、ほかに二つ仕事をしてきた。新しく万引き受け屋さんになってしまったよ」
「出来るの」
「うんやってきた」
「明日はもう一つ別なことで働いて」
「はい」
オジサンは洗面で手を洗ってうがいをしました。
オジサンはまた別な仕事を考えなければなりませんでした。
今度は、散歩専門にも作っておこう。
3000円になるらしい。
オジサンはようやく夕飯を食べました。
2025/3/25