〇T34
1940年に開発された中戦車。主砲に初期型は76.2mm砲を装備し、1944年に85mm砲に換装された(初期型をT34/76と呼ぶこともある)。装甲は避弾経始を考慮した傾斜装甲を採用し、ドイツ軍が保有する対戦車砲(特に37mmPak36)をことごとく跳ね返して、ドイツ軍に衝撃を与えた。出力の高いディーゼル・エンジンを持ち、ソビエト連邦の悪路に適した幅広の履帯(キャタピラ)を備えていた。
〇KVⅠ
1939年に開発された重戦車。KVは当時の国防相クリメント・ヴォロシーロフの略。主砲はT34と同じく76.2mm砲。装甲は砲塔前面90mm、側面で75mmと分厚く、特にドイツ軍の対戦車砲に対してはほぼ無敵を誇り、「怪物」と言わしめた。しかし、40トンを越える車重はクラッチとトランスミッションに過大な負荷を強い、故障損失のほうが戦闘損失より多いこともしばしばだった。さまざまな派生型(有名なのはKVⅡ)が製造されたが、ドイツ軍のⅥ号戦車「ティーガー」の登場を契機に、より強力な新型重戦車としてKVの発展型であるISが開発されることになる。
〇カチューシャ・ロケット
1941年に開発された自走式多連装ロケット砲。制式名は82mmBM-8、132mmBM-13。ロケット弾を載せるための鉄レールを平行に並べ柵状にした発射機と、方向と射角を調整するための支持架で構成される。ロケット弾は無誘導で、おおよその方角に向けて発射された。命中精度は期待できないため、大量のロケット弾を集中的に撃ち込むことでその欠点を補った。ドイツ軍から独特の飛翔音が似ていたことから、「スターリンのオルガン」と呼ばれた。
〇Il-2「シュトゥルモヴィク」
1938年に開発された対地攻撃機。700kgを超す重装甲の攻撃機であり、兵装は当初、20mm機関砲2門、7.62mm機銃2丁だったが、後に23mm機関砲に換装された。各形式を合わせての総生産機数は36,163機。膨大な生産数を生かした運用と、機関銃で命中弾を与えても墜落するどころか火さえなかなか噴かない程の頑丈さから、ドイツ軍の兵士たちから「空飛ぶ戦車」と呼ばれた。