莇ヶ岳(あざみ)、弟見山(おととみ) 山口の縦走路
山口県 莇ヶ岳1,004m、弟見山1,085m 2012年11月16日
(弟見山)中国百名山
(莇ヶ岳)日本の山1,000
267
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山口の代表的な縦走路、莇ヶ岳から弟見山の縦走にトライし、今回最高の秋晴れの尾根歩きを楽しむ。稜線からは、前日に登った寂地山も見えたが、雪の寂地とは対照的に、秋の紅葉であった。
山口は、こんなにもたくさんの山に囲まれているのか。それぞれの山には名前がある。私の人生で捉えることのできた広大な山の世界の一角。
莇ヶ岳頂上の東に大きな鉄の輪のついた鎖がある。そうか、これが三の鎖なのか、と気づき、ザックとスティックを置いて、空身で鎖を下る。四国の石鎚山と同じ鎖で、昔の修行をここでも体験。だが、きつかった。
AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA
朝6時に起床し、コンビニに寄り、暗いうちに高速に乗る。やがて夜が明け、鹿野インターで降りると霧が湧いている。山に向かうと石鎚神社の前を通る。四国の石鎚神社と同じものらしい。更に山の奥まで続く舗装路を走り、終点の駐車場に停めて出発、7時半。実はそこから登山道は三つに分かれていたのだが、登るときは東尾根ルートと中央ルートには気づかず、メインルートの西ルートを進む。最初は植林の急な登り。九十九折りに切ってあるが、ぐんぐん登る。やがて傾斜が緩くなると紅葉の潅木となり、厚い落ち葉を踏んでいく。木々の上に青空が広がり、日が射してきて、鳥の声が心地よい。落ち葉の上にわずかだが雪が残っている。昨日はここも雪が降ったようだ。
新覗岩という古い分岐表示があったが、往路では直進。その先に巻き道と鎖の道の分岐表示。「二の鎖は岩上にお不動さん」、「三の鎖はスリル満点、注意」、とある。二の鎖は大きな岩に垂らしてあり、下部はオーバーハングになっているので足がかりがなく、鎖を支点に岩に足をかけ、両腕で体を持ち上げて登る。鎖はだいぶ古く、少し心配。最初の岩上に上がると、南の情景が広がる。山地が低く連なり、低いところは霧に隠れている。今でも下は霧の中だろう。紅葉と霧のある山の情景。更に続く鎖を登りきると(これは最初の鎖ほどではない)、そこに赤い不動像があった。実はその先は分岐になっていて、三の鎖へ行けたのだが、気付かずに巻き道に進んでしまう。
低くなった潅木の中の道を登って莇ヶ岳の頂上に着く。9時前。頂上周囲の笹の上には残雪が残っているが、広い山頂は乾いている。山頂標識に祠に三等(二等?)三角点。「石鎚神社兄見山開山」の石標。ルート案内があり、駐車場(P)から、新道、中央ルート、ブナ尾根の3ルートがあり、ブナ尾根ルートから小峰峠、ハギノオ谷を経て更に下の登山口に至るルートが記載してある。莇ヶ岳頂上からは真っ青な秋空の下にはるか遠くまでの眺望。北以外はほとんど見えていて、中国の山々がたくさん連なっていてた。山口には、なんと多くの山があるのだろう。前日登った寂地山に気付いたのは弟見山に登っていたとき。南のアンテナのある山は長野山、西の三角形は十種ヶ峰、東の三角形は羅漢山、北東の谷向こうは鈴ノ大谷山だろうか。
莇ヶ岳から西: 長野山、飯ヶ岳、十種ヶ峰
莇ヶ岳から東: 鈴ノ大谷山、寂地山と小五郎山、羅漢山、長野山
莇ヶ岳から弟見山へ向かう尾根道に行く前に、東にある小道を辿ってみると、下った先に鎖があった。石鎚山で登ったのと同じ大きな鉄の輪のついた鎖。そうか、これが三の鎖なのか、と気づく。引き返して登り直す訳にはいかないが、この鎖を下り、登り直せばいいだろう。ザックとスティックを置いて、空身で鎖を下る。三の鎖は長く、しかも傾斜があり、きつかった。中盤上あたりで鎖が斜面から浮いていて足が届かない場所があり、石鎚山では鎖の輪に足を掛けたが、それもできず、ホールドのある南側の斜面から下る。片手になって次のホールドを探すとき、その片手が滑ると落ちてしまうことになるので、不安。下降に9分、そして登り返し、13分で登り切る。鎖の先端には石鎚山の「石」のロゴ。四国の石鎚山と同じ鎖で、昔の修行をここでも体験。だが、きつかった。
莇頂上に戻り、縦走路に入る。頂上の北に避難小屋があった。小ぶりだが、良く手入れされている雰囲気。莇ヶ岳避難小屋の門標の他に、周南愛山会山小屋の門標がある。古いランプ。少し先の木の根元に小さな赤い鳥居と祠。「第二新道、小峰峠、林道P」という分岐表示。他の二つのルートはここに至るようだ。そして「弟見山80分」の小さな標識。この日は2時間かかっている。残雪が目立ってきた縦走路から北に、弟見山を見る。全く雪の無い、草紅葉のなだらかな山。2km強の縦走路はアップダウンがあり、5つのマイナーピークを越えていく。P2とP3には石標、その先の乾いたところで最初の休憩。出発から2時間半。行く手の弟見山は樹間に時々見えるが、そこに至る尾根のルートが分からない。左から行くのかと思っていたら、右にある植林された高い尾根を越えていくようだ。その先は大きく下り、登り返さねばならない。しんどそうだ。
その、上部が植林されているP4に登っていく。登山道の上だけに雪が残っており、そこにキツネの足跡(タヌキかも)がずっと続いている。植林のP4ピークに達すると、背後にはP2とP3がこちらよりも低く見えている。ピークの笹ヤブには石標。所有社名表示のようだ。西に見える三角形の山は、最初、馬糞かなと思ったが、十種ヶ峰のようだ。いったん下って登り返したところに小さな石標(P5)。少し下って登り返すと、背後の潅木越しに莇ヶ岳らしき姿が見え、次第に大きくなる青い空を目指して雪の道を登り、展望ピークP6に出る。
そこからもまた、真っ青な秋空の眺望。さっきまでいた莇ヶ岳が、その眺望の中心。黒い頭をもたげた莇ヶ岳の頂上から縦走路の尾根が伸び、左右にうねって今いる展望ピークにつながっている。見えている山は莇からのと同じだが、展望ピークP6から更に北へ登り返していくとき、北東方向の樹間に雪をかぶった寂地に初めて気付く。あそこだけ、雪が多いようだ。
展望ピークから南: 羅漢山、莇ヶ岳、長野山、飯ヶ岳
そして、残雪で覆れて雪原になっている弟見山の頂上に着く。11時半前。出発から4時間。三等三角点に簡素な頂上標識。比較的広い頂上の周りは林に囲まれ、展望はない。北へ「仏峠60分」の案内がある。残雪に座って休む気になれなかったので、休まずに帰路につく。周囲を眺めるならさっきの展望ピークの方がよい。帰路では雪の上の自分の足跡をたどる。植林ピークに向けていったん下り、登り返し、植林ピークから再び大きく下り、また登り返す。P3を越えた先で2回目の休憩。背後の弟見山が見えてくる。莇に近い尾根からは、縦走路と植林ピーク、展望ピーク、そして弟見山頂上を同定できる。
避難小屋の手前から北を見ると、そこに寂地山が見えた。右手前の山は小五郎なのだろうか。遠目にも、雪を抱いているのが分かる。そして寂地から右(東)にやや離れた位置にあるあの山は羅漢山なのだろうか。莇の頂上には人がいたので、休憩はとらずに下りにつく。新覗岩というのに寄ってみると、下の谷の雄大な風景を見下ろせる。谷はまだ緑。紅葉の登山道に戻り、尾根を下る。駐車場に戻ると車が3台。一台は莇頂上、もう一台の人はどこに行ったのだろう。沢の方に行ってみると、カジカ橋というのが架かっている。周回コースと書いてあるので、こちらから行ったのかもしれない。
下山後、車道を北西に向かうときに莇ヶ岳を見る。秋空をバックに、集落の真上に鋭鋒を立てた姿はすがすがしい。この日はもう一つ、高岳山に登ろうとしたが時間切れで断念。近くにあった柚木温泉というのに寄る。やや温めだったと思う。道の駅に行く途中で聞いたキャラバンのナッシング・アット・オールという曲のベースラインが実によかった。飛んでるね。翌日の予報は雨。頂上近くまで車で登れる山を選んでおく。
山口の代表的な縦走路、莇ヶ岳から弟見山の縦走にトライし、今回最高の秋晴れの尾根歩きを楽しむ。稜線からは、前日に登った寂地山も見えたが、雪の寂地とは対照的に、秋の紅葉であった。山口は、こんなにもたくさんの山に囲まれているのか。それぞれの山には名前がある。私の人生で捉えることのできた広大な山の世界の一角。高岳山や十種ヶ峰に登るため、再訪しよう。
麓にある石鎚神社
朝6時に起床し、コンビニに寄り、暗いうちに高速に乗る。やがて夜が明け、鹿野インターで降りると霧が湧いている。山に向かうと石鎚神社の前を通る。四国の石鎚神社と同じものらしい。更に山の奥まで続く舗装路を走り、終点の駐車場に停めて出発、7時半。実はそこから登山道は三つに分かれていたのだが、登るときは東尾根ルートと中央ルートには気づかず、メインルートの西ルートを進む。最初は植林の急な登り。九十九折りに切ってあるが、ぐんぐん登る。やがて傾斜が緩くなると紅葉の潅木となり、厚い落ち葉を踏んでいく。木々の上に青空が広がり、日が射してきて、鳥の声が心地よい。落ち葉の上にわずかだが雪が残っている。昨日はここも雪が降ったようだ。
登山口駐車場
植林斜面の登り
紅葉(ブナ?)
新覗岩という古い分岐表示があったが、往路では直進。その先に巻き道と鎖の道の分岐表示。「二の鎖は岩上にお不動さん」、「三の鎖はスリル満点、注意」、とある。二の鎖は大きな岩に垂らしてあり、下部はオーバーハングになっているので足がかりがなく、鎖を支点に岩に足をかけ、両腕で体を持ち上げて登る。鎖はだいぶ古く、少し心配。最初の岩上に上がると、南の情景が広がる。山地が低く連なり、低いところは霧に隠れている。今でも下は霧の中だろう。紅葉と霧のある山の情景。更に続く鎖を登りきると(これは最初の鎖ほどではない)、そこに赤い不動像があった。実はその先は分岐になっていて、三の鎖へ行けたのだが、気付かずに巻き道に進んでしまう。
紅葉(ブナ?)
二ノ鎖
莇ヶ岳頂上
低くなった潅木の中の道を登って莇ヶ岳の頂上に着く。9時前。頂上周囲の笹の上には残雪が残っているが、広い山頂は乾いている。山頂標識に祠に三等(二等?)三角点。「石鎚神社兄見山開山」の石標。ルート案内があり、駐車場(P)から、新道、中央ルート、ブナ尾根の3ルートがあり、ブナ尾根ルートから小峰峠、ハギノオ谷を経て更に下の登山口に至るルートが記載してある。莇ヶ岳頂上からは真っ青な秋空の下にはるか遠くまでの眺望。
莇ヶ岳から西の情景: 長野山、飯ヶ岳、十種ヶ岳
莇ヶ岳から東の情景: 鈴ノ大谷山、寂地山、羅漢山、長野山
鈴ノ大谷山
北以外はほとんど見えていて、中国の山々がたくさん連なっていてた。山口には、なんと多くの山があるのだろう。前日登った寂地山に気付いたのは弟見山に登っていたとき。南のアンテナのある山は長野山、西の三角形は十種ヶ峰、東の三角形は羅漢山、北東の谷向こうは鈴ノ大谷山だろうか。
莇ヶ岳から西: 長野山、飯ヶ岳、十種ヶ峰
莇ヶ岳から東: 鈴ノ大谷山、寂地山と小五郎山、羅漢山、長野山
寂地山
三ノ鎖
莇ヶ岳から弟見山へ向かう尾根道に行く前に、東にある小道を辿ってみると、下った先に鎖があった。石鎚山で登ったのと同じ大きな鉄の輪のついた鎖。そうか、これが三の鎖なのか、と気づく。引き返して登り直す訳にはいかないが、この鎖を下り、登り直せばいいだろう。ザックとスティックを置いて、空身で鎖を下る。三の鎖は長く、しかも傾斜があり、きつかった。
三ノ鎖
中盤上あたりで鎖が斜面から浮いていて足が届かない場所があり、石鎚山では鎖の輪に足を掛けたが、それもできず、ホールドのある南側の斜面から下る。片手になって次のホールドを探すとき、その片手が滑ると落ちてしまうことになるので、不安。下降に9分、そして登り返し、13分で登り切る。鎖の先端には石鎚山の「石」のロゴ。四国の石鎚山と同じ鎖で、昔の修行をここでも体験。だが、きつかった。
三ノ鎖(石鎚の「石」マーク)
避難小屋
莇頂上に戻り、縦走路に入る。頂上の北に避難小屋があった。小ぶりだが、良く手入れされている雰囲気。莇ヶ岳避難小屋の門標の他に、周南愛山会山小屋の門標がある。古いランプ。少し先の木の根元に小さな赤い鳥居と祠。「第二新道、小峰峠、林道P」という分岐表示。他の二つのルートはここに至るようだ。そして「弟見山80分」の小さな標識。この日は2時間かかっている。
古いランプ
弟見山
残雪が目立ってきた縦走路から北に、弟見山を見る。全く雪の無い、草紅葉のなだらかな山。2km強の縦走路はアップダウンがあり、5つのマイナーピークを越えていく。P2とP3には石標、その先の乾いたところで最初の休憩。出発から2時間半。行く手の弟見山は樹間に時々見えるが、そこに至る尾根のルートが分からない。左から行くのかと思っていたら、右にある植林された高い尾根を越えていくようだ。その先は大きく下り、登り返さねばならない。しんどそうだ。
落葉の縦走路
その、上部が植林されているP4に登っていく。登山道の上だけに雪が残っており、そこにキツネの足跡(タヌキかも)がずっと続いている。植林のP4ピークに達すると、背後にはP2とP3がこちらよりも低く見えている。ピークの笹ヤブには石標。所有社名表示のようだ。西に見える三角形の山は、最初、馬糞かなと思ったが、十種ヶ峰のようだ。いったん下って登り返したところに小さな石標(P5)。少し下って登り返すと、背後の潅木越しに莇ヶ岳らしき姿が見え、次第に大きくなる青い空を目指して雪の道を登り、展望ピークP6に出る。
十種ヶ峰
展望峰ピーク
そこからもまた、真っ青な秋空の眺望。さっきまでいた莇ヶ岳が、その眺望の中心。黒い頭をもたげた莇ヶ岳の頂上から縦走路の尾根が伸び、左右にうねって今いる展望ピークにつながっている。見えている山は莇からのと同じだが、展望ピークP6から更に北へ登り返していくとき、北東方向の樹間に雪をかぶった寂地に初めて気付く。あそこだけ、雪が多いようだ。
展望ピークから南: 羅漢山、莇ヶ岳、長野山、飯ヶ岳
莇ヶ岳
展望峰から南の情景: 羅漢山、莇ヶ岳、長野山、飯ヶ岳
羅漢山と法華山
弟見山頂上
そして、残雪で覆れて雪原になっている弟見山の頂上に着く。11時半前。出発から4時間。三等三角点に簡素な頂上標識。比較的広い頂上の周りは林に囲まれ、展望はない。北へ「仏峠60分」の案内がある。残雪に座って休む気になれなかったので、休まずに帰路につく。周囲を眺めるならさっきの展望ピークの方がよい。帰路では雪の上の自分の足跡をたどる。植林ピークに向けていったん下り、登り返し、植林ピークから再び大きく下り、また登り返す。P3を越えた先で2回目の休憩。背後の弟見山が見えてくる。莇に近い尾根からは、縦走路と植林ピーク、展望ピーク、そして弟見山頂上を同定できる。
寂地山と小五郎山?
新覗岩
避難小屋の手前から北を見ると、そこに寂地山が見えた。右手前の山は小五郎なのだろうか。遠目にも、雪を抱いているのが分かる。そして寂地から右(東)にやや離れた位置にあるあの山は羅漢山なのだろうか。莇の頂上には人がいたので、休憩はとらずに下りにつく。新覗岩というのに寄ってみると、下の谷の雄大な風景を見下ろせる。谷はまだ緑。紅葉の登山道に戻り、尾根を下る。駐車場に戻ると車が3台。一台は莇頂上、もう一台の人はどこに行ったのだろう。沢の方に行ってみると、カジカ橋というのが架かっている。周回コースと書いてあるので、こちらから行ったのかもしれない。
莇ヶ岳
下山後、車道を北西に向かうときに莇ヶ岳を見る。秋空をバックに、集落の真上に鋭鋒を立てた姿はすがすがしい。この日はもう一つ、高岳山に登ろうとしたが時間切れで断念。近くにあった柚木温泉というのに寄る。やや温めだったと思う。道の駅に行く途中で聞いたキャラバンのナッシング・アット・オールという曲のベースラインが実によかった。飛んでるね。翌日の予報は雨。頂上近くまで車で登れる山を選んでおく。
山口の代表的な縦走路、莇ヶ岳から弟見山の縦走にトライし、今回最高の秋晴れの尾根歩きを楽しむ。稜線からは、前日に登った寂地山も見えたが、雪の寂地とは対照的に、秋の紅葉であった。山口は、こんなにもたくさんの山に囲まれているのか。それぞれの山には名前がある。私の人生で捉えることのできた広大な山の世界の一角。高岳山や十種ヶ峰に登るため、再訪しよう。