馬場目岳 太平山地の沢歩き

秋田県  1,037m  2007年9月9日

秋田県の山

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太平山地の易しい沢として篭沢が紹介されており、旭又駐車場から沢に下る。この頃はまだ、水の深みに腰から胸のあたりまで浸かったり、腹這いになって岩や滝を登ったりという登り方には慣れておらず、かえって難しい高巻ばかりしていた。それでも、時間をかけて沢を登り、次第に水が涸れ、林と緑の尾根で縦走路に出会ったときの感激、安堵感は忘れられない。

正しいルートを登っていれば馬場目岳の頂上直下に出られたはずだが、詰める沢を間違えていて、だいぶ歩かなければならなかった。それでも、沢と比べて格段に歩きやすくなった登山道を歩き、広い頂上と避難小屋に到達。苦労してやっとたどり着いた頂上には憩(いこい)がある。

この頃は沢靴だけで歩いていたこともあり、下りにのんびりしすぎて駐車場に着く前に日が暮れてしまう。それまで、巻道がある大きな沢ばかり登っていたが、小さくても簡単ではない、こんな沢もあるんだなと実感。

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沢から登った10年後、太平山から西に、馬場目岳のゆったりした広い頂上を見る。その上の避難小屋と草原は想い出の場所。

 沢から登った10年後、太平山から西に、馬場目岳のゆったりした広い頂上を見る。その上の避難小屋と草原は想い出の場所。(2017年6月)
 出発1時間半頃の二つ目の滝は左側を比較的簡単にトラバース。足場があった。上から見下ろすと、なかなかの迫力
 頂上の避難小屋と草原(2017年6月)
 秋の馬場目岳(2014年10月)
 頂上の古い祠
11:09 旭又駐車場発11:21 入渓11:47 F112:23 F212:58 F314:11 休憩14:37 F415:15 源頭15:25 縦走路15:33 赤倉分岐16:05 馬場目岳・・・・・・・・・・・・・・・登り4時間56分16:34 馬場目岳発17:07 赤倉分岐18:13 旭又駐車場・・・・・・・・・・・・・周回7時間4分

←(赤ライン)登り損ねた篭沢ルート

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台風一過の快晴の日で、これなら沢登りだ、と思って赴いた篭沢・馬場目岳であったが、出だしが遅れ、水量に加えて流木や折れ枝が多く、沢にヤブがかかっていて時間がかかり、体力を使う。おまけにルートも間違えていて、沢登の難しさを再認識。両岸が高くて高巻きが難しかったのも予想外。無理に高巻きするくらいなら滝をシャワークライムする方がよほど楽。

大きな高巻き4回で体力を使いきり、後半はシャワーをあびながら滝を直登。ようやく水量が減って源頭、と思ったら沢はヤブに消え、登山道に出る。もう15時半だったが、誰もいない馬場目岳頂上まで登って食事。ガスで霞む空を低空でヘリコプターが通り過ぎる。苦労して沢を登り、山頂に達した至福のひととき。

この週は台風9号が上陸、青森まで来たので最初から断念していたが、土曜に青森を過ぎた後に天候が好転。近場の竜ヶ森くらいに行こうかとゆっくり出たが、あまりの晴天に「これは沢しかない」と馬場目岳・篭沢に向かう。

インターネットのマップをプリントし、沢の登山データ(滝の規模や位置、越え方、ルートなど)を事前調査。この数ヶ月でインターネット・マップがずいぶん増えた。こんなにたくさん登れるのかな。

秋田南インターで降りて太平山に向かう。仁別県民の森の最奥、旭又駐車場に着くと満車。入口近くにスペースを見つけて停め、沢靴をはき、ヘルメットをかぶって出発。ロープはいらないだろう。橋を渡って馬場目岳方面に向かい、沢沿いの刈払いされた道を辿り、すぐに入渓地点らしきところに着く。登山道は尾根に登っていくので、この先では沢に降りられないだろう。沢の水は多く、倒木が多そうだが、細い橋のたもとから沢に降りる。沢にかぶさった倒木を避け、崩壊地では大量の流木が積み重なっているのを越えていく。

出発1時間で最初の滝に遭遇。これは高巻こうと決め、右側の壁を登ると、踏跡あり。「このルートで正しかった」と思いながら踏跡を進み、早めに沢に下る。このあたりは樹木や笹が多く、高巻きも比較的楽。

実はこの先の二俣を左に入らなければならなかったのだが、誤って右俣に進んでいた。出発1時間半頃の二つ目の滝は左側を比較的簡単にトラバース。足場があった。上から見下ろすと、なかなかの迫力。

そして出発2時間で出会った三つ目の滝に苦戦。登れそうな感じもあったが、無理は止めようと思って高巻くことにする。ところが、壁は高く、手がかりとなる木や笹が少ない。トラバースしようとしたが足場が悪いので止め、平らなところまで登る。踏跡もないヤブを少し歩き、早めに沢に下り始めるが、まだ滝の途中の感じなのでトラバース。なんとか滝の上まで出て沢に降りたときはへとへとになっていた。もう高巻きはこりごりという感じ。

ずっとマップを見返さずに登っていたが、なぜか2時間で縦走路、そこから1時間で頂上、最初の3m滝、次の二つの3m滝を越えるとナメとなり、源頭に至る、と思い込んでいた。これは全くの勘違いで、篭沢は途中で支沢を二つ分け、本流は馬場目岳の頂上5分のところに出るとある(最初の支沢には入らなかったが、二つ目の支沢に入ってしまったようだ)。とにかく、出発3時間で休憩。先ほどの大高巻きのあとは多少の滝は直登。かなりの滝もシャワーをあびながら直登。それにしても初心者向きの簡単な滝場とは言えないような気がする。高巻きしにくいので止む無く直登しているということ。まあ、沢靴のフリクションを使えば、草付の土手よりも滝の岩場のほうが登りやすい。

このあたりから小さなナメ滝が現われ、源頭に近いのかなと思ったがまだ早かった。最後の登れない滝が現われ、左の草付を慎重にトラバース。とにかく木や笹がなく、足場も滑るので、太い草の根本をつかみ、足場を靴先で蹴って作って横に進む。木の枝が見つかると安心。ようやく滝の上に出て沢に降りる。

出発から4時間を過ぎ、突然流れが弱まり源頭となる。そこから10分弱で伏流となり、すぐヤブに入り、少し掻き分けただけで縦走路に出た。途中で、もしやルートを間違えたのでは、と心配だったが、これで一安心。時刻を確認し、下山するか迷ったが、頂上を目指す。ところが、左に行くと下り始めたので逆なのかと右に戻ると、しばらく登って赤倉との分岐に出る。これは以前通ったことのある場所だ。すると馬場目はやはり左で、しかも1.3kmとある。ここから1時間だと帰りは18時を回ってしまうと思ったが、ここは初心貫徹で馬場目に向かう。沢登りの最後は疲れきっていたはずだが、登山道になると格段に歩きやすく、ピッチを上げて登っていく。

手前ピークまで上がると行く手に馬場目頂上の避難小屋がまだ遠く見える。いったんコルに下り、登り返し、小さな湿地帯を越えて(このあたりが篭沢本流の源頭だったのだろう)小屋に着き、古い石の祠があり、その先に頂上があった。もうガスがたちこめてきて、背後の太平山は見えていない。頂上標識に三角点にベンチが二つ。さっそくベンチに座って食事の準備。源頭手前で汲んだ水を飲み、湯を沸かしてホットウイスキーを飲み、そしてうどんを食べる。その間にもガスが立ち込めてきたが、ヘリコプターの音がしたと思ったら低空をヘリコプターが飛んでいった。食事を終えて頂上を下る。16時半。ヘルメットをザックにいれ、タオルにヘッドランプ。

登りには合計5時間かかったが、下りは結局1時間半強。やっぱり沢登りには時間がかかるということ。今回は高巻きはさておき、ヤブが沢にかぶっていて、スピードを上げられなかったのが大きいと思う。それに、マップをよく見ないでいて、ルートを間違えたのも反省。左俣を進んでいたらどのくらいかかっただろう。途中でインゼルのような箇所が何回かあり、そこが実は二俣だったのだろう。GPSも一回くらい試してみるべきだった。

かつて下った覚えのある急な坂を早足で下り、瀬音が大きくなり、ようやく入渓点に達する。思ったとおりの場所。そして旭又が近づくと駐車場には照明が灯っていた。車に戻って着替えをしようとしていると見回りの車がやってきた。ズブ濡れの服を全部着替えて出発。前回も寄った秋田温泉プラザというのに寄っていく。二つの温泉が隣り合っていて、前回は隣のほうだったかもしれない。露天付の新築温泉。短い沢登りだったが、ためになった。

満車の旭又駐車場

秋田南インターで降りて太平山に向かう。仁別県民の森の最奥、旭又駐車場に着くと満車。入口近くにスペースを見つけて停め、沢靴をはき、ヘルメットをかぶって出発。ロープはいらないだろう。

入渓地点

橋を渡って馬場目岳方面に向かい、沢沿いの刈払いされた道を辿り、すぐに入渓地点らしきところに着く。登山道は尾根に登っていくので、この先では沢に降りられないだろう。沢の水は多く、倒木が多そうだが、細い橋のたもとから沢に降りる。沢にかぶさった倒木を避け、崩壊地では大量の流木が積み重なっているのを越えていく。

F1

出発1時間で最初の滝に遭遇。これは高巻こうと決め、右側の壁を登ると、踏跡あり。「このルートで正しかった」と思いながら踏跡を進み、早めに沢に下る。このあたりは樹木や笹が多く、高巻きも比較的楽。

実はこの先の二俣を左に入らなければならなかったのだが、誤って右俣に進んでいた。

F2

出発1時間半頃の二つ目の滝は左側を比較的簡単にトラバース。足場があった。上から見下ろすと、なかなかの迫力。

そして出発2時間で出会った三つ目の滝に苦戦。登れそうな感じもあったが、無理は止めようと思って高巻くことにする。ところが、壁は高く、手がかりとなる木や笹が少ない。トラバースしようとしたが足場が悪いので止め、平らなところまで登る。踏跡もないヤブを少し歩き、早めに沢に下り始めるが、まだ滝の途中の感じなのでトラバース。なんとか滝の上まで出て沢に降りたときはへとへとになっていた。もう高巻きはこりごりという感じ。

休憩

ずっとマップを見返さずに登っていたが、なぜか2時間で縦走路、そこから1時間で頂上、最初の3m滝、次の二つの3m滝を越えるとナメとなり、源頭に至る、と思い込んでいた。これは全くの勘違いで、篭沢は途中で支沢を二つ分け、本流は馬場目岳の頂上5分のところに出るとある(最初の支沢には入らなかったが、二つ目の支沢に入ってしまったようだ)。とにかく、出発3時間で休憩。先ほどの大高巻きのあとは多少の滝は直登。かなりの滝もシャワーをあびながら直登。それにしても初心者向きの簡単な滝場とは言えないような気がする。高巻きしにくいので止む無く直登しているということ。まあ、沢靴のフリクションを使えば、草付の土手よりも滝の岩場のほうが登りやすい。

きらめく水の流れ

F4

このあたりから小さなナメ滝が現われ、源頭に近いのかなと思ったがまだ早かった。最後の登れない滝が現われ、左の草付を慎重にトラバース。とにかく木や笹がなく、足場も滑るので、太い草の根本をつかみ、足場を靴先で蹴って作って横に進む。木の枝が見つかると安心。ようやく滝の上に出て沢に降りる。

源頭

出発から4時間を過ぎ、突然流れが弱まり源頭となる。そこから10分弱で伏流となり、すぐヤブに入り、少し掻き分けただけで縦走路に出た。途中で、もしやルートを間違えたのでは、と心配だったが、これで一安心。時刻を確認し、下山するか迷ったが、頂上を目指す。ところが、左に行くと下り始めたので逆なのかと右に戻ると、しばらく登って赤倉との分岐に出る。これは以前通ったことのある場所だ。すると馬場目はやはり左で、しかも1.3kmとある。ここから1時間だと帰りは18時を回ってしまうと思ったが、ここは初心貫徹で馬場目に向かう。沢登りの最後は疲れきっていたはずだが、登山道になると格段に歩きやすく、ピッチを上げて登っていく。

縦走路

道標・・・・・赤倉岳との分岐

頂上避難小屋

手前ピークまで上がると行く手に馬場目頂上の避難小屋がまだ遠く見える。いったんコルに下り、登り返し、小さな湿地帯を越えて(このあたりが篭沢本流の源頭だったのだろう)小屋に着き、古い石の祠があり、その先に頂上があった。もうガスがたちこめてきて、背後の太平山は見えていない。頂上標識に三角点にベンチが二つ。さっそくベンチに座って食事の準備。源頭手前で汲んだ水を飲み、湯を沸かしてホットウイスキーを飲み、そしてうどんを食べる。その間にもガスが立ち込めてきたが、ヘリコプターの音がしたと思ったら低空をヘリコプターが飛んでいった。食事を終えて頂上を下る。16時半。ヘルメットをザックにいれ、タオルにヘッドランプ。

古い祠

馬場目岳頂上

登りには合計5時間かかったが、下りは結局1時間半強。やっぱり沢登りには時間がかかるということ。今回は高巻きはさておき、ヤブが沢にかぶっていて、スピードを上げられなかったのが大きいと思う。それに、マップをよく見ないでいて、ルートを間違えたのも反省。左俣を進んでいたらどのくらいかかっただろう。途中でインゼルのような箇所が何回かあり、そこが実は二俣だったのだろう。GPSも一回くらい試してみるべきだった。

頂上の草原

かつて下った覚えのある急な坂を早足で下り、瀬音が大きくなり、ようやく入渓点に達する。思ったとおりの場所。そして旭又が近づくと駐車場には照明が灯っていた。車に戻って着替えをしようとしていると見回りの車がやってきた。ズブ濡れの服を全部着替えて出発。前回も寄った秋田温泉プラザというのに寄っていく。二つの温泉が隣り合っていて、前回は隣のほうだったかもしれない。露天付の新築温泉。短い沢登りだったが、ためになった。