大日影山、甚吉森、縫戸山 矢立峠の縦走路
秋田県 大日影山820m、甚吉森800m、縫戸山769m 2012年7月7日
白神の山旅
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日影温泉の前の駐車スペースに車を停めて歩き始める。橋を渡り、温泉の離れらしき木造の家の近くを歩いて山に向かう。毅然としたヒバの案内、風情のある温泉のたたずまい、この温泉にいつか泊まってみよう。
縦走路に出て、そこから林の急な登りで、鉄塔を経て、ようやく甚吉森頂上に到着。二等三角点に粗末な頂上標識。視界なし。だが、丸く刈り込まれた頂上は風情あり。
一本松からは、大日影山から縫戸山への稜線の全景が見えた。ほう、こいつはすごい。日本アルプスや朝日、飯豊には比べるべくもないが、小さいながらもなかなかの迫力である。
右端の一番高い丸い山が大日影山820mで、盟主の貫録。縦走路末端にある縫戸山は、左右に尾根を広げ、ゆったりした優雅な姿。
登り返し始めて背後を見ると、甚吉森とカラマツ岳が見えている。まるで双耳峰のように似た形をして、縦走路の東端に並んでいる。
再びブナ林に入り、広い平らな大日影山の頂上に着く。頂上という感じではなく、林の真ん中のブナの木の根元に頂上標識が置いてある。隣のブナの木の幹にももう一つの頂上標識。うっそうとしたブナの林の中、広々とした空間。
大日影山(東峰)から10分ほどで電波反射板のところに出る(中央峰)。どうやらこれがこの大縦走路を造る原因になったものらしい。反射板はもう一セット、その先の大日影山・西峰にもあった。
縫戸山の頂上には三等三角点やマップとスタンプの入ったボックスなどがあり、南の視界も開けている。三つのピークのうち、ここが一番多く人が訪れているようだ。さあ、あとはもう下るだけだ。
林道に下り、国道に出たのは19時半。夕闇に照明を灯した日影温泉の案内には人の温かみがあり、里に戻ってきたと実感する。
朝6時半に出て帰着20時。13時間半以上かかった大縦走だった。
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7月の最初の週はまだ全国的に梅雨模様。白神山地の一角に行ってみる。県別のガイドに無いコースなのでヤブ道覚悟だったが、最近開かれた道らしく、歩きやすかった。ただし、距離は長く、ヘッドランプを使っての、合計13時間半の長いツアーとなった。金曜夜、道の駅ひろさきに入った時間は遅く、あまり寝ないで5時半に道の駅を出発。
霧が立ちこめている。7号線を碇ヶ関から矢立峠を越え、日影温泉へ右折。その日影温泉の前の駐車スペースに車を停めて歩き始める。案内マップがあり、三山を縦走する「矢立遊歩道」が道の駅矢立峠から始まっていることが記されている。ただしこのときはそこまでマップを見ておらず、日影温泉から縦走路に入るルートを確認し、駐車地点から奥への道へ入ると、「矢立遊歩道」の標識がある。橋を渡り、温泉の離れらしき木造の家の近くを歩いて山に向かう。毅然としたヒバの案内、風情のある温泉のたたずまい、この温泉にいつか泊まってみよう。10分強で縦走路に出て、そこから混交林、次いでブナ林の階段の急な登り。30分弱で鉄塔に出て最初の休憩。ここで視界が開けるが、霧がたちこめていて近いところまでしか見えない。鉄塔からは更に急な登りが続く。
鉄塔から急登1時間20分でようやく甚吉森頂上に到着。二等三角点に粗末な頂上標識。視界なし。だが、丸く刈り込まれた頂上は風情あり。陣吉森からはひどい下りで、ロープもない刈払われただけの坂。枝のあるところはいいが、歩きにくい。甚吉森の隣のカラマツ岳はすぐ近くなのだが、この歩きにくい下りと登り返しに1時間弱かかる。しかし、カラマツ岳頂上は視界があり、ガスの合間の麓の情景などを見る。この先の一本松からは、大日影山から縫戸山への稜線の全景が見えた。ほう、こいつはすごい。日本アルプスや朝日、飯豊には比べるべくもないが、小さいながらもなかなかの迫力である。右端の一番高い丸い山が大日影山820mで、盟主の貫録。その手前に笹原になった縦走尾根が見える。反射板のある二つの峰は主峰の陰で見えていない。その左の小さな頂が角山804m、その左にM14・745m、M15・710m、M16・755m、そして縫戸山769mが並ぶ。縦走路末端にある縫戸山は、左右に尾根を広げ、ゆったりした優雅な姿。
大日影までの稜線は林を抜け、笹を刈払った道で、遠くから見ると美しいが、歩いてみると意外に笹が高くて視界は限定的。高い木を見上げる。登り返し始めて背後を見ると、甚吉森とカラマツ岳が見えている。まるで双耳峰のように似た形をして、縦走路の東端に並んでいる。両峰の間はそれほど急に見えず、70mほどの高低差なので、道の付け方を工夫すれば歩きやすくなるのだろう。カラマツの東側は笹原になっているのが分かる。登り返しの笹の中に寝転がって20分ほど昼寝。今日は長尺のウォーキングスティック。笹原の稜線からブナ林の広い斜面の登りとなる。西側の風景が少し見えるが、岩木山はガスの中。左端の山腹が白くえぐれている山は阿闍羅山のようだ。白いえぐれた部分の上にゴルフ場、右端の頂上の上に塔が見える。いったん林の中の笹原となり、再びブナ林に入り、広い平らな大日影山の頂上に着く。頂上という感じではなく、林の真ん中のブナの木の根元に頂上標識が置いてある。隣のブナの木の幹にももう一つの頂上標識。甚吉森まで3.6km。そんなに歩いたのか。休憩を入れて2時間半。縫戸山まで5.km。えっ、まだそんなにあるの。マップを見てこれからの道どりを確かめる。うっそうとしたブナの林の中、広々とした空間。
大日影山(東峰)から10分ほどで電波反射板のところに出る(中央峰)。どうやらこれがこの大縦走路を造る原因になったものらしい。反射板はもう一セット、その先の大日影山・西峰にもあった。そこには「日本国有鉄道、東京-札幌間極超短波回線用、大日影山反射板、竣工昭和34年12月」とある。ずいぶん古い、50年以上もたっているのか。大自然の中に忽然と立つ人造物。だがもうブナの林の情景に溶け込んでいるようにも見える。真新しい名盤に見えるのは補修されたためだろうか。北ノ又登山口の分岐を過ぎ、3回目の休憩をとり、角山の頂上に着く。が、眺望はなくすぐ出発。そのときはそこが角山とは認識していなかった。そこからは急な下りとなるが、甚吉森のときよりも悪くはなかったと思う。ただし、アップダウンが絶え間なく続く。薄い青と黄色の混じったエゾアジサイ。
幹周り4.5mブナ巨木というのがある。そんなに大きくは見えなかったが、ブナとしては大きいのだろうか。石標のあるM14・745mで4回目の休憩。この先でようやく大日影山と縫戸山の中間地点の標識。その先で視界の開けた稜線歩きとなり、大日影山の稜線を見ながら歩く。石標のあるM17・720mを過ぎ、今度は南の景色が見える。遠景は曇っているが、麓の谷の情景と集落。縫戸山の頂上には三等三角点やマップとスタンプの入ったボックスなどがあり、南の視界も開けている。三つのピークのうち、ここが一番多く人が訪れているようだ。もう16時半を回っていた。大日影山から5時間。方位盤があったが、古くてよく読めない。ガスで南の視界も霞んでいたが、晴れていればどのあたりまで見えただろう。眼下の稜線に送電線と鉄塔が見えている。さあ、あとはもう下るだけだ。
縫戸からは一途の下りで、一気に数百メートル下ったと思う。さっきまで下に見えていた鉄塔が上に見えるようになり、沢筋の林道跡に出る。その林道は歩くのも不可能な荒れた状態で、逆方向の川下に踏跡を見つける。その踏跡を沢沿いに進み、砂防ダムを越えた先で整備された砂利林道に出る。よし、これでもう歩くだけだ。だが、そこから駐車地点まで更に1時間半弱かかっている(南沢林道2㎞、矢立林道3㎞、計5㎞)。国道に出たのは19時半。夕闇に照明を灯した日影温泉の案内には人の温かみがあり、里に戻ってきたと実感する。日影温泉に向かう林道でヘッドランプを点ける。車に戻り、道の駅やたての矢立ハイツの風呂に入る。そこに、その日辿った大日陰縦走コースの説明が貼りだされていた。作られたのは最近で、一周するにはかなり時間を要する。その通り、朝6時半に出て帰着20時。13時間半以上かかった大縦走だった。
道の駅津軽
7月の最初の週はまだ全国的に梅雨模様。白神山地の一角に行ってみる。県別のガイドに無いコースなのでヤブ道覚悟だったが、最近開かれた道らしく、歩きやすかった。ただし、距離は長く、ヘッドランプを使っての、合計13時間半の長いツアーとなった。金曜夜、道の駅ひろさきに入った時間は遅く、あまり寝ないで5時半に道の駅を出発。
日影温泉案内
霧が立ちこめている。7号線を碇ヶ関から矢立峠を越え、日影温泉へ右折。その日影温泉の前の駐車スペースに車を停めて歩き始める。案内マップがあり、三山を縦走する「矢立遊歩道」が道の駅矢立峠から始まっていることが記されている。ただしこのときはそこまでマップを見ておらず、日影温泉から縦走路に入るルートを確認し、駐車地点から奥への道へ入ると、「矢立遊歩道」の標識がある。橋を渡り、温泉の離れらしき木造の家の近くを歩いて山に向かう。
日影温泉
毅然としたヒバの案内、風情のある温泉のたたずまい、この温泉にいつか泊まってみよう。10分強で縦走路に出て、そこから混交林、次いでブナ林の階段の急な登り。30分弱で鉄塔に出て最初の休憩。ここで視界が開けるが、霧がたちこめていて近いところまでしか見えない。鉄塔からは更に急な登りが続く。
矢立遊歩道案内
縦走路合流点
混交林の道
ブナの巨木
甚吉森頂上
鉄塔から急登1時間20分でようやく甚吉森頂上に到着。二等三角点に粗末な頂上標識。視界なし。だが、丸く刈り込まれた頂上は風情あり。陣吉森からはひどい下りで、ロープもない刈払われただけの坂。枝のあるところはいいが、歩きにくい。甚吉森の隣のカラマツ岳はすぐ近くなのだが、この歩きにくい下りと登り返しに1時間弱かかる。しかし、カラマツ岳頂上は視界があり、ガスの合間の麓の情景などを見る。
ブナの道
カラマツ岳頂上付近・・・・・笹の切分道
大日影山
この先の一本松からは、大日影山から縫戸山への稜線の全景が見えた。ほう、こいつはすごい。日本アルプスや朝日、飯豊には比べるべくもないが、小さいながらもなかなかの迫力である。右端の一番高い丸い山が大日影山820mで、盟主の貫録。その手前に笹原になった縦走尾根が見える。反射板のある二つの峰は主峰の陰で見えていない。その左の小さな頂が角山804m、その左にM14・745m、M15・710m、M16・755m、そして縫戸山769mが並ぶ。縦走路末端にある縫戸山は、左右に尾根を広げ、ゆったりした優雅な姿。
カラマツ岳付近から西の景観: 縫戸山、M16・755m、M15・710m、M14・745m、角山804m、大日影山
コルのブナの道
笹の稜線
大きなヒバ
甚吉森とカラマツ岳
背後を見ると、甚吉森とカラマツ岳が見えている。まるで双耳峰のように似た形をして、縦走路の東端に並んでいる。両峰の間はそれほど急に見えず、70mほどの高低差なので、道の付け方を工夫すれば歩きやすくなるのだろう。カラマツの東側は笹原になっているのが分かる。
南の景観: 縫戸山
縦走路末端にある縫戸山は、左右に尾根を広げ、ゆったりした優雅な姿。
北の景観: 戸屋森と阿闍羅山
笹の切分からブナ林
大日影までの稜線は林を抜け、笹を刈払った道で、遠くから見ると美しいが、歩いてみると意外に笹が高くて視界は限定的。高い木を見上げる。登り返し始めて背後を見ると、甚吉森とカラマツ岳が見えている。まるで双耳峰のように似た形をして、縦走路の東端に並んでいる。両峰の間はそれほど急に見えず、70mほどの高低差なので、道の付け方を工夫すれば歩きやすくなるのだろう。カラマツの東側は笹原になっているのが分かる。登り返しの笹の中に寝転がって20分ほど昼寝。今日は長尺のウォーキングスティック。笹原の稜線からブナ林の広い斜面の登りとなる。西側の風景が少し見えるが、岩木山はガスの中。左端の山腹が白くえぐれている山は阿闍羅山のようだ。白いえぐれた部分の上にゴルフ場、右端の頂上の上に塔が見える。
大日影山頂上(東峰)
いったん林の中の笹原となり、再びブナ林に入り、広い平らな大日影山の頂上に着く。頂上という感じではなく、林の真ん中のブナの木の根元に頂上標識が置いてある。隣のブナの木の幹にももう一つの頂上標識。甚吉森まで3.6km。そんなに歩いたのか。休憩を入れて2時間半。縫戸山まで5.km。えっ、まだそんなにあるの。マップを見てこれからの道どりを確かめる。うっそうとしたブナの林の中、広々とした空間。
最初の反射板・・・・・大日影山・中央峰
大日影山(東峰)から10分ほどで電波反射板のところに出る(中央峰)。どうやらこれがこの大縦走路を造る原因になったものらしい。反射板はもう一セット、その先の大日影山・西峰にもあった。そこには「日本国有鉄道、東京-札幌間極超短波回線用、大日影山反射板、竣工昭和34年12月」とある。ずいぶん古い、50年以上もたっているのか。大自然の中に忽然と立つ人造物。だがもうブナの林の情景に溶け込んでいるようにも見える。真新しい名盤に見えるのは補修されたためだろうか。北ノ又登山口の分岐を過ぎ、3回目の休憩をとり、角山の頂上に着く。が、眺望はなくすぐ出発。そのときはそこが角山とは認識していなかった。そこからは急な下りとなるが、甚吉森のときよりも悪くはなかったと思う。ただし、アップダウンが絶え間なく続く。薄い青と黄色の混じったエゾアジサイ。
二つ目の反射板・・・・大日影山・西峰
反射板の銘板
角山804m・頂上
エゾアジサイ
ブナ巨木の案内
ブナ巨木
幹周り4.5mブナ巨木というのがある。そんなに大きくは見えなかったが、ブナとしては大きいのだろうか。石標のあるM14・745mで4回目の休憩。この先でようやく大日影山と縫戸山の中間地点の標識。その先で視界の開けた稜線歩きとなり、大日影山の稜線を見ながら歩く。石標のあるM17・720mを過ぎ、今度は南の景色が見える。遠景は曇っているが、麓の谷の情景と集落。
M14・745m頂上
甚吉森とカラマツ岳
M17・710m頂上
麓の市街
縫戸山頂上
縫戸山の頂上には三等三角点やマップとスタンプの入ったボックスなどがあり、南の視界も開けている。三つのピークのうち、ここが一番多く人が訪れているようだ。もう16時半を回っていた。大日影から5時間。方位盤があったが、古くてよく読めない。ガスで南の視界も霞んでいたが、晴れていればどのあたりまで見えただろう。眼下の稜線に送電線と鉄塔が見えている。さあ、あとはもう下るだけだ。
植林の道
縫戸からは一途の下りで、一気に数百メートル下ったと思う。さっきまで下に見えていた鉄塔が上に見えるようになり、沢筋の林道跡に出る。その林道は歩くのも不可能な荒れた状態で、逆方向の川下に踏跡を見つける。その踏跡を沢沿いに進み、砂防ダムを越えた先で整備された砂利林道に出る。よし、これでもう歩くだけだ。だが、そこから駐車地点まで更に1時間半弱かかっている(南沢林道2㎞、矢立林道3㎞、計5㎞)。国道に出たのは19時半。夕闇に照明を灯した日影温泉の案内には人の温かみがあり、里に戻ってきたと実感する。日影温泉に向かう林道でヘッドランプを点ける。車に戻り、道の駅やたての矢立ハイツの風呂に入る。そこに、その日辿った大日陰縦走コースの説明が貼りだされていた。作られたのは最近で、一周するにはかなり時間を要する。その通り、朝6時半に出て帰着20時。13時間半以上かかった大縦走だった。
林道
夕焼け
日影温泉案内
夕闇に照明を灯した日影温泉の案内には人の温かみがあり、里に戻ってきたと実感する。
夕闇の日影温泉
白神矢立登山道(白神の山旅)
問合せ・コメント等、メール宛先: kawabe.goro@meizan-hitoritabi.com