世界最高水準の域に達することができなければ、いかにコストを削減し、いかに補助金を得ようとも、やがては窒息する。いかに関税を高くし、輸入割り当てを小さくしようとも、保護的措置では何ものも保護しきることはできない。
それにもかかわらず、今後数十年にわたって、保護主義の波が世界を覆うことになる。なぜならば、乱気流の時代における最初の反応は、外界の冷たい風から自らの庭を守るための壁づくりと相場が決まっているからである。
とはいえ、グローバルな水準に達しえない組織、とくに企業は、何を持ってしても保護しきることはできない。さらに弱くなるだけのことである。(p71)
ここで保護主義とは、関税を高くしたり輸入数量を制限することで自国内の同じ産業をダメージから保護する政策を指しており、保護貿易とも言われます。
対するのは自由貿易で、輸出国・輸入国の一方だけが関税をかけることのないように約束するのはFTA(Free Trade Agreement:自由貿易協定)やEPA(Economic Partnership Agreement:経済連携協定)などと言われます。
保護貿易にも自由貿易にもメリットとデメリットがあるので、輸出産業に属する人は自由貿易を、輸入品との競争にさらされる業界に身を置く人は保護貿易を主張する傾向にあると思います。
ドラッカーは、企業や組織が国境を簡単にまたいでしまうグローバル経済の時代には、保護貿易主義によっても国内産業を保護しきることはできず、結局は競争力を失って国内産業の衰退を招くという主張をしたのです。
Performance below the world’s highest standards stunts, even if the costs are very low and even if government subsidies are very high. And “Protection” no longer protects, no matter how high the custom duties or how low the import quotas.
Still, in all likelihood, we face a protectionist wave throughout the world in the next few decades. For the first reaction to a period of turbulence is to try to build a wall that shields one’s own garden from the cold winds outside.
But such walls no longer protect institutions—and especially businesses—that do not perform up to world standards. It will only make them more vulnerable.
2014/7/3