供給業者は、製品の企画、開発、コスト管理において、トヨタのような調達者と緊密な関係になければならないというマネジメント上の概念、すなわち系列なるものの生みの親は日本の企業であるとされている。
しかし系列の歴史は古く、その本当の生みの親はアメリカ人である。1910年、自動車工業が大産業になることを予見した男、ウィリアム・C・デュラント(1861-1947)であった。
デュラントの系列は、マネジメントとは指揮命令のことであるとしていた。系列に組み入れるべき企業を買収していったのも、そのためだった。この経営方針がやがてGMの弱みとなった。(p34)
「系列」は”Keiretsu"として原書にも出てきていますが、日本では一般的に「○○系列企業」というと、○○社からの資本供給があったり、○○社の競合との取引がない、いわばその存在自体を○○社に依存している企業群をイメージすることが多いのではないでしょうか。
自動車業界では「トヨタ系」「日産系」などと言いますし、電機業界では「日立系」「松下系」など、IT業界でも「NEC系」「富士通系」「IBM系」などという言葉は今でも使われています。逆に系列に入っていない企業を「独立系」といったりもします。
ドラッカーは系列の生みの親は、GMの創業者であるデュラントだとしています。
ドラッカーによれば、デュラントは自動車メーカーにとっての部品供給業者を次々と買収し、内製率を高めて競争力を強化したが、時間が経ち経営の代替わりが進むと部品部門の競争力が下がり、GM自体が凋落していったとされています。
The Japanese are usually credited with the invention of the “Keiretsu,” the management concept in which the suppliers to an enterprise are tied together with their main customer, for example, Toyota, for planning, product development, cost control and so on.
But actually the Keiretsu is much older and an American invention. It goes back to around 1910 and to the man who first saw the potential of the automobile to become a major industry, William C. Durant (1861–1947).
2014/6/14