自ら肉体労働者として働き、肉体労働そのものを研究した初めての者が、フレデリック・ウィンスロー・テイラー(1856-1915)だった。
長い歴史において、労働者自身がより多くを生産する方法は、より激しく働くか、より長く働くしかないことが、いわば公理だった。
ところが、テイラーが肉体労働に関心を持ち、研究を行った10年後には、彼のおかげで、肉体労働の生産性が初めて伸び始めた。爾来、平均して年率3.5%の割合で伸びた。こうして、テイラー以降現在までに、肉体労働の生産性は50倍になった。(p160)
本章では、知識労働者(ナレッジワーカー)の生産性向上に関して詳述されています。本章の最初は次のような記述で始まっています。
「20世紀の偉業は、製造業における肉体労働の生産性を50倍に挙げたことである。続く21世紀に期待される偉業は、知識労働の生産性を同じように大幅に上げることである。」
「肉体労働」はマニュアルワークの訳語として使われていますが、やるべきことはすでに決まっていて手順のとおりに行うような仕事を指していますので、必ずしも肉体を酷使する仕事ばかりではなく、事務仕事でもマニュアルワークは存在します。
逆に、知識労働はナレッジワークの訳語で、こちらは働く人がその目的や成果を理解した上でどのようにやるかある程度の裁量をもって実行するような仕事のことを言いますので、設計と製造を同時並行で行う大工なども知識労働と言えるでしょう。
The first man to do both, that is, to work as a manual worker and then to study manual work, was Frederick Winslow Taylor (1856–1915).
It was axiomatic throughout history that workers could produce more only by working harder or by working longer hours.
Within a decade after Taylor first looked at work and studied it, the productivity of the manual worker began its unprecedented rise. Since then it has been going up steadily at the rate of 3.5 percent per annum compound—which means it has been risen fifty-fold since Taylor.
2014/8/15