経済連鎖全体のコストを管理することは、コスト主導の価格設定から価格主導のコスト管理に移行することに伴う必然である。
ただし、ほとんどの企業にとって、経済連鎖全体のコスト管理は容易ではない。経済連鎖に組み込まれているすべての企業が、統一的な、あるいは少なくとも接続可能な会計システムをもたなければならない。しかし現実には、それぞれの企業がそれぞれの会計システムをもち、それぞれが自らのシステムを最善のものとしている。
経済連鎖のコスト管理には、情報の共有が不可欠である。ところが同一社内においてさえ、情報の共有にはつねに抵抗がある。(p133)
製品やサービスの価格設定は、今も昔も難しいものです。ただ、上記で述べられているように、かかった費用に利益を上乗せして価格を決めるという従来の方式から、製造業や流通業など多くの業界が「いくらならお客様が買ってくださるか」からスタートしてどれだけのコストにおさえなくてはならないかという考え方に変わってきています。
独占企業である電力会社が価格を決める際に使う総括原価方式というのは、コスト主導の価格設定という従来型です。また、建設・建築業界やIT業界でも従来型が見られます。
本文中では、企業間の情報共有の事例として、P&Gがウォルマートを手本にして世界中の大規模小売店と情報共有と経済連鎖全体のコスト管理を行っていると紹介されています。
取引にかかるオーダリングシステム(EOS)で、取引価格だけでなく、販売価格まで共有できると、経済連鎖全体のコスト管理に近づくかもしれません。
A powerful force driving companies toward economic chain costing will be the shift from cost-led pricing to price-led costing.
For many businesses it will be painful to switch to economic-chain costing. Doing so requires uniform or at least compatible accounting systems of all companies along the entire chain. Yet each one does its accounting in its own way, and each is convinced that its system is the only possible one.
Moreover, economic-chain costing requires information sharing across companies; yet even within the same company, people tend to resist information sharing.
2014/8/3