これからは、先進国が競争力を維持していくための唯一の道が、テクノロジストの教育訓練である。
今日のところ、テクノロジストによる競争力優位を実現しているのはアメリカだけである。アメリカには、すでに独特の存在として、テクノロジストの教育のためのコミュニティ・カレッジの全国的なシステムができ上がっている。
これに対し、新興国や途上国は、追いつくために数十年を要する。なぜならば、第一にテクノロジストの教育には金がかかるからである。第二に、それらの国では、知識のある人たちが、手を使って働くことを、軽蔑はしないまでも軽視しているからである。(p179)
ドラッカーが世界で唯一というアメリカのコミュニティ・カレッジがどのようなものか、ちょっと想像がつきませんが、理論的な知識と肉体的な技能の両方を教育する機関として1920年ころから設立されているものとのことです。日本でいう専門学校とも違うもののようです。
「日本の教育システムでさえ、肉体労働のための人たちと、知識労働のための人たちの二種類を生むにとどまっている」と分析されているので、多分日本の専門学校は肉体労働のための人たちの教育機関だと考えたのでしょう。
働く人の多くは数十年にわたって仕事を続けますが、学校で教えられた知識だけで一生分のストックができるわけではありません。一人ひとりが新たな知識や技能を習得する、磨く努力を継続するとともに、組織の側にもコミュニティ発展のために人を育てる義務があるといえるのではないかと思います。
Only in educating technologists can the developed countries still have a meaningful competitive edge, and for some time to come.
The United States is the only country that has actually developed this advantage—through its so far unique nationwide systems of community colleges.
Other countries—“emerging ones” or “Third World” ones—are likely to be decades behind—in part because educating technologists is expensive, in part because in these countries people of knowledge still look down with disdain, if not with contempt, on working with one’s hands.
2014/8/25