ABC原価計算の成果が最も良く現れるのはサービス業である。
サービス業ではコストは一種類しかない。それは事業の全プロセスにかかわるコストである。しかも、それは固定コストである。これまでの原価計算が前提としてきた労働の資本による代替は、サービス業では意味がない。
ABC原価計算では、総コストは固定しており、かつ資源間の代替は不可能であるから問題はプロセス全体にあるとする。こうして新しいコスト管理の導入によって、われわれははじめてサービス業においてもコストにかかわる情報を手に入れ、成果を管理することができるようになった。(p128)
売上に比例して増大する費用を変動コスト、売上とは関係なくかかる費用を固定コストといいます。代表的な変動コストは、原材料費、商品仕入、製造直接費などで、固定コストの代表例は、家賃・地代、人件費、減価償却費などです。
人手によるサービスのみを行っている業種(例えば、医院、理髪業、コンサルタント)では、製造業と比べると固定コストの割合が高くなる傾向にあります。つまり、かかった費用をどの顧客の売上に結びつけるのかが困難だということになります。
本文中では銀行業務にABC原価計算を適用することによって、顧客一人当たりの成果を顧客に提供するサービスの量と組み合わせと関連づけて分析できるようになると紹介しています。
しかし、ABC原価計算は導入と維持管理のコストが高すぎるので、完璧に運用するのは困難だと思います。中途半端に適用するくらいなら、組織のメンバーの意識を常に成果に向けて活動するよう啓蒙する方が良いと思います。
Greatest impact of activity-based costing is likely to be in services.
Service companies must start with the assumption that there is only one cost: that of the total system. And it is a fixed cost over any given time period. The basic assumption of traditional cost accounting: that capital can be substituted for labor, does not make sense in services.
That all costs are fixed over a given time period and that resources cannot be substituted for each other are precisely the assumptions with which activity-based costing starts. By applying them to services, we are beginning for the first time to get cost information and control.
2014/8/1