市場で意味があるのは、経済的な現実であって、プロセス全体のコストである。誰が所有しているかは関係ない。
産業史では無名の企業がどこからともなく現れ、一見たいした苦労もせず、数年のうちにリーダー的な地位を奪った例がいくつもある。
それらの例に共通することは、新規参入者のコスト上の優位である。通常30%のコスト格差がみられる。新規参入者は、自社の事業活動のコストではなく、経済連鎖全体のコストを把握し、管理している。(p132)
消費者が家電量販店で電化製品を購入することを考えてみると、メーカーや機能、性能、アフターサービスなどを比較して購入します。一方、その電化製品を消費者に届けるまでにかかるコストを考えてみると、完成品メーカーの一次下請け、二次下請けの企業がそれぞれ部品を製造するコスト、完成品メーカーによる組み立てにかかるコスト、運送業者による運送コスト、販売店の在庫コスト、販売コストなど、いくつもの企業でのコストが価格に反映されています。しかし、消費者はそれを気にすることはありません。
これが、「市場で意味があるのは経済的な現実」という意味です。
個々の企業にとって、特に下請け企業や、運送業にとってみると、経済連鎖全体のコスト管理するというのはとても現実的には感じられないと思いますが、少なくとも「消費者は自社のコストには興味がない」ということは分かっている必要があります。
そして、上記でいう新規参入者とも互していけるように、自社のずっと川上、ずっと川下の状況までを把握しておく努力が必要だということです。
What matters in the marketplace is the economic reality, the costs of the entire process, regardless of who owns what.
Again and again in business history, an unknown company has come from nowhere and in a few short years has overtaken the established leaders without apparently even breathing hard.
In every single case, the newcomer also enjoys a tremendous cost advantage, usually about 30 percent. The new company knows and manages the costs of the entire economic chain rather than its costs alone.
2014/8/2