知識労働者が誰かの部下ということはありえない。同僚である。見習いの段階をすぎれば、自らの仕事については上司より詳しくなければならない。さもなければ無用の存在となる。まさに、組織の中の誰よりも詳しいことこそ、知識労働者の知識労働者たるゆえんである。
そのうえ、わずか数十年前とは違い、通常考えられているほどには、上司の多くが部下の仕事をしてきた経験がない。
動機づけ、特に知識労働者の動機づけは、ボランティアの動機づけと同じである。ボランティアは、仕事そのものから満足を得なければならない。何にもまして挑戦の機会を与えられなければならない。組織の使命を知り、それを最高のものと信じられなければならない。(p21)
上記のようにドラッカーが「知識労働者は部下ではありえない」という場合の「部下」とは、ただ単に上司の命令によって自ら考えることなしに、いわれたとおりの作業を行う人、という意味です。
もちろん、現実の組織図上では階層構造のヒエラルキーが明示されており、トップ以外は誰かの部下であるというのが普通でしょう。しかし、知識労働者ならば、いわれたとおりの作業を行う人では役に立ちません。その仕事においてスペシャリスト、プロフェッショナルであることが求められます。
そしてスペシャリストでありプロフェッショナルであるからこそ、その動機づけは報酬ではなく、仕事そのものから得られる環境を整えなければならないとしているのです。
言い換えると、自分がいたからこそこの成果が上げられたのだと実感できることです。組織の側から言うと、一人ひとりの強みを発揮できる仕事を与え成果に責任を持たせることだと思います。
Knowledge workers are not subordinates; they are “associates.” For, once beyond the apprentice stage, knowledge workers must know more about their job than their boss does—or else they are no good at all. In fact, that they know more about their job than anybody else in the organization is part of the definition of knowledge workers.
Add to this that today’s “superiors” usually have not held the jobs their “subordinates” hold—as they did only a few short decades ago and as still is widely assumed they do.
What motivates—and especially what motivates knowledge workers—is what motivates volunteers. Volunteers, we know, have to get more satisfaction from their work. They need, above all, challenge. They need to know the organization’s mission and to believe in it.
2014/6/8