きわめて多くの知識労働者が、知識労働と肉体労働の両方を行う。そのような人たちを、とくにテクノロジスト(高度技能者)と呼ぶ。
まさに彼らテクノロジストこそ、19世紀と20世紀の熟練労働者の後継である。しかも彼らテクノロジストこそ、先進国にとって唯一ともいうべき競争力要因であり続ける人たちである。
なぜならば、もはやいかなる国といえども、純粋の知識労働者を持つだけでは、世界最高水準の大学を持っていた19世紀のドイツのようには、最先端を進むことが不可能になっているからである。(p177)
テクノロジストの例として、脳内動脈瘤の手術をする医者の例が出てきます。事前診断や手術中のさまざまな判断に関することは知識労働だが、手術自体は肉体労働で、その肉体労働にかかる部分は、テイラーの手法によって迅速性と正確性を向上させることができる種類の活動だと述べています。
その仕事の内容によっては、コンピュータのオペレーターのように知識労働よりも肉体労働の割合の方が多い仕事もありますが、割合が少ないとはいえ知識や経験、判断はその本人にしかできない部分があります。
知識労働の生産性を高めることが先進国の生き残る道だというのがこの章のタイトルでもありますが、純粋な知識労働(学問の分野)や純粋な肉体労働にはもはや国境はなくなっており差別化できるような状況にはないと分析したのだと思います。
A very large number of knowledge workers do both knowledge work and manual work. I call them “technologists.”
In fact, the technologist may be the true successor to the 19th- and 20th-century skilled workers. Technologists are also the one group in which developed countries can have a true and long-lasting competitive advantage.
When it comes to truly high knowledge, no country can any longer have much of a lead, the way 19th-century Germany had through its university.
2014/8/24