リターンライダー待望のホンダの「倒れないバイク」
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2017年正月休みが開けた職場のライダー仲間の間では、従来の二輪車にはありえない「ついに出た倒れないバイク」の話題で持ちきりです。
どんな原理で倒れないのか非常に気になります。
YAHOO!ニュースによれば、ホンダの”倒れないバイク”「Honda Riding Assist」が、2017年1月5日~8日まで米・ラスベガスで開催された家電見本市CES2017で公表され大絶賛だそうです。
本来は家電製品の見本市ですが最近では電気自動車や電動バイクもお披露目される全米最大のイベントです。
そして公式アワードパートナーのEngadgetが主催するBest of CES2017の「Best Innovation」および「Best Automotive Technology」を受賞したとのこと。
車で言えばカーオブザイヤーですかね。
ベース車体は車のFITのエンジンを2つに切って2気筒にしたと噂のNC750Sっぽく見えます。
時速4km/Hr以下になるとフロントタイヤがぐっと前にでて、ハンドルを自動で左右に少しだけ切って倒れないように制御するようです。
リターンライダーにとって何が良いかと言えば、まずは立ちごけの危険が激減することだと思います。
CB1100を5年前に乗り出してから今までに7回こけましたが、すべて立ちごけです。
そのうちの1回は足首を挟まれて(1日だけでしたが)松葉杖でした。
足の力も弱り、集中力の持続が難しくなり、骨折もしやすく治癒にも時間がかかるジジイ、ババアのライダーにはぴったりの装備です。
実は私もあと10年もしたら、トライクかサイドカーをつけた倒れないバイクに乗るのかなと思っていました。
けれど、どちらもワインディングでバイクが傾かないのが不満です。
次にバイクで酒を飲みに行くこともできます。
帰りは酒を醒ますために歩いて帰ればいいのです。
愛車は犬のようにピタッと追従してついてきてくれますから。
さらに家電見本市ということもあって、たぶん電動のバイクでしょうが、細工をするのはフロント回りだけなので後輪は大好きなガソリンエンジンと組み合わせることも容易だと思えます。
現在販売されているバイクにフロント制御のキットが売り出されるとうれしいです。
走行距離と原動機の振動の快感を考えればやっぱエンジンでしょ!と思います。
そういえば昨年にも倒れないバイクが発表されたのを思い出しました。
アメリカのサンフランシスコLit Motorsの「C-1」でジャイロを使い、見た目はピザ屋バイク風の屋根付きの小型乗用車似の車体でした。
リンク先に動画がありますが、交通事故で自動車が横から激突しても地球ゴマのようにそのままの姿勢で横に滑っていきます。
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C-1もインパクトは確かにありましたが、今回のホンダの倒れないバイクの素晴らしいところは高速回転のジャイロを使わずに姿勢を制御することです。
ジャイロ方式ですと常に回転の為のエネルギーが必要ですし、ワインディングロードをひらひらと走り抜けることは不可能に思えるからです。
同社のASIMOやUNI-CUBのバランス制御技術を投入し「バイクを楽しむネガティブな要素や不安を取り除きたい」という狙いだそうです。
何よりもうれしいのは通常の走行では普通のバイクに戻ることと、Uターン時の低速旋回などで転ぶ心配が無くなることです。
【倒れない仕組み】
どんな原理で倒れないのかを考えてみました。
機構としてはフロントフォークの角度を可変にした前輪回りと、モーターによる操舵(ハンドル)のアシストです。
キモとなるのは通常走行から低速走行に移行するとフロントフォークが前に突き出していわゆるトレールが逆転して負のトレールになることです。
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うっかり見ているとキャスター角が拡がっているように見えますが実は違います。
上の写真でハンドル軸(操縦管芯線または頭管軸)を延ばして路面と交わる赤い点と、前輪タイヤの緑の接地点(ハブ軸から垂直に降ろした線の接地点)の水平距離をトレイルと呼びます。
よ~く見るとわかりますが赤線で示されているキャスター角は変身のビフォーアフターで変化していません。
前輪が前方に移動してホイールベースが長くなるのは、実はフォーク角だけを動かすことでオフセット量を可変にして大きくしていることに相当します。
車体系については無頓着だったので、この際復習を兼ねて調べてみました。
トレイルとは引きずるという意味で 操縦軸と路面の交点の後方に前輪タイヤの接地点があるから、車体が前方に押し出されたときにタイヤの設置点が後ろに引っ張ることで直進走行の安定性が良くなります。
バイクを上から眺めてみると、直進しているときに何らかの理由でハンドルを回転させるとタイヤの接地点が後ろに引っ張り、ハンドルをまっすぐに戻すようなトルクが働くからです。
そして、バイクのハンドリングを決めるのは
①キャスター角
②オフセット量
③前輪タイヤの大きさ
という3つの要素により決定するトレイル長 (trail length)です。
アメリカの大草原をまっすぐに走るハーレーはキャスター角をバカでかくしてトレールを大きくして直進安定性を高めています。
ただし最小回転半径も大きくて小回りが利きません。
逆にトレールが小さくなると直進安定性は損なわれますが、コーナーで曲がりやすくなります。
そこで通常はタイヤの中心を前方にオフセットさせてトレイルを減らし、直進性と曲がりやすさの微妙なバランスをとることになります。
オフセットは自転車ではフロントフォークを前方に曲げることで成立しています。
バイクの場合のオフセットは2本のフロントフォークの取り付け板とハンドル回転中心軸をずらしています。
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ところで、直進性を上げるためのトレイルはキャスター角が垂直であってもをオフセット量を負にすれば成り立ちます。
ジャンボジェット機の車輪や荷物を運ぶ手押し台車の足などです。
それでは何故 自転車やバイクではハンドル軸を前方に傾けてキャスター角を付けるのでしょうか?
想像にすぎませんが、自転車ではフレームの構造からハンドルを切ったときにタイヤがフレームにぶつからないようにするためかもしれません。
バイクの場合はそれに加えて前輪が障害物を乗り越える際にショックアブゾーバーがしっかりと荷重を受けて衝撃を緩衝させるためもあると思います。
ショックアブゾーバーは直角に当たる荷重には役に立たないからです。
めったに見かけませんが逆オフセットの自転車もまっすぐ走るそうです。
話があちこちに行ってしまいましたが、再び倒れないバイクに話を戻します。
コチラの動画が低速時にトレール長がネガティブすなわち負のトレイルになることを説明しています。
けっしてキャスター角を変えずにフォーク角だけを変えている点に注目してご覧になってください。
次に負のトレールになると何故倒れにくい制御ができるのか?
これがなかなか難しい!
正解はわかりません。
まずはハンドルを切ってバイクの重心位置を左右に動かせるかがポイントです。
フロントタイヤを上から眺めて考えてみます。
もしタイヤの接地点とタイヤの回転中心が一致していたら、いくらハンドルを回しても車体は左右に動きませんが、トレールがあり2点が前後にずれていればハンドルを回すと接地点は固定しているので車体重心は左右に動きます。
そう考えるとトレイルは正でも負でもハンドルを切れば重心の移動はできるので倒れそうになった時にハンドルを動かして復帰できます。
だったらわざわざ負のトレイルにしなくてもいいのでは?って思いますよね。
キャスター単体で遊んでみるとヒントがありました。
上から床に押し付けながら、正のトレイルの場合と逆にもった負のトレイルの場合で回す力に違いがあります
正のトレイルだと直進から回そうとすると指でつかんでいる部分が上に持ち上がりますが、負のトレイルだと少し下に下がるので上から押しつけていれば軽く回ります。
マイナストレイルの場合は重たいバイクを支えながらハンドルを回すトルクが小さくて済みます。
また回す角度に対する指でつまんだ重心の移動量もやや大きく、瞬時にコントロールできる気がします。
小さなモーターで素早くハンドルを動かすために敢えて負のトレイルにしたのでは?と思いますが、自信はありません。
あくまで仮説です。
知り合いから負のトレールで前進するとタイヤがどちらかに少しでも曲がると、更にタイヤを曲げようとする力が働くという情報をいただきました。
どうやら小さいトルクでハンドルを動かせるのが正解のようです。
もしかしたらロボットに変身する車(トランスフォーマー)のような派手さを狙ってフォーク角を大きく動かしているのかもしれません。
どなたか正解をご存じの方はぜひコメントください。→「いわゆるリターンライダーです」についてのコメント(投稿・閲覧)
よろしくお願いします。
こんな話を同僚と議論していたら、「俺たち以外、誰も興味を持たないから人に話すのはやめたほうがいい!」「とくに女性に話したらバカにされるから」と注意されました。
ナホド!だからもてないんだ。(涙)
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