冬の朝一発目にスタータークラッチの空回りが発生

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【冬になって朝一発目でセルが空回りする現象が!】

総走行距離10万キロ近くになり、2回目(5年目)の車検を2ヶ月後に控えた今日この頃(2016/01/16日現在98700km)ですが、CB1100のセルが寒い朝一発目で空回りする現象が起きています。

スターターモーターのみが高速で空回りする音がします。

この記事を書いているまさに今、東京でも初雪が降っています。ここ埼玉でも大雪です。

昨日走りに行ったのは大正解でした。→2016/01/16 冬のR299_ひさつき氷柱と尾ノ内渓谷氷柱

1月18日 関東地方も大雪(初雪)

セルの空回りを撮影するにはまさにチャンス到来!です。

原因はセルのスタータークラッチ(ワンウェイクラッチ)のから滑りと思われます。

2016年1月初雪の中で撮影 寒い日の早朝一発目セルの空回り

大概はチョッと間をおいてやると2回目には何事も無かったようにエンジンが力強く始動します。

一度エンジンがかかってしまうと再始動は全く問題なく、もちろん走行中には何の異変もありません。

はじめは車のスタータークラッチと同様に始動時にはピニオンギアがスライドして飛び出してくるものだと思っていましたが、調べてみるとバイクの場合は車と違ってワンウェイクラッチが使われていることがわかりました。

出先でエンジンがかからなくなる不安は有りますが、冬のお泊まりツーリングで早朝エンジンをかける機会はあまりなさそうなのでしばらくは様子を見ることにしました。

だだ原因がわからないと不安が増長されますのでCB1100のスターターについて調べてみました。

【バイクのスタータークラッチの役割】

スタータークラッチによりセルモーターがエンジンの回転を受けて常に回転したり高速回転したりすることなく破損が予防されます。

CB1100では内輪にクランクシャフトが接続され、外輪の歯車にセルモーターが接続されています。

エンジンが停止している状態でセルモーターが回転するとクランクシャフトへ始動トルクが伝達されますが、始動後にセルモーターが停止したりクランクシャフトの回転速度がセルモーターより速くなるとかみ合いが外れてクランクシャフトからセルモーターへのトルク伝達が切断されます。

また万が一セルモーターが配線の誤接続などにより逆回転した場合にもクランクシャフトの逆転が防がれます。

ということはセルを使ってバックするにはギアを改良するしかなさそう・・・

キックスターターが主流のころのセルはエンジンと直結してセルモーターをダイナモとしても利用する構造でクランクシャフトとの駆動伝達を切り離すことは考慮されてはいなかったそうです。

その後エンジンの高回転化が進みセルモーターがクランクシャフトの高速回転に耐えきれずに故障する事例が発生するようになりクラッチ機構が追加されたようです。

自動車においてはソレノイドでピニオンギアをスライドさせてフライホイールのリングギアへの動力伝達を行っていますが、この構造はセルモーターが大型化する上にソレノイドの消費電力に対してオートバイに搭載される小型のバッテリーでは容量が足りないためオートバイでは採用されていません。

ワンウェイクラッチには動力は不要です。

ただし伝達能力と寿命に弱点を持つために出力の大きい車では採用されていません。

【CB1100のスターティングクラッチ】

サービスマニュアルではスタータークラッチと記載されていますがパーツリストの方では何故かスターティングクラッチと呼んでいます。

交換するとなるとクラッチとインナー、アウターギアともに交換ですので部品代だけでも25000円以上かかってしまいます。

パーツリストバイクのメンテナンスを楽しむの巻末に添付してあります。

CB1100パーツリストより抜粋

バイク用のスターターワンウェイクラッチにもいくつかの種類がありますが、CB1100には最新式のスプラグ式ワンウェイクラッチが採用されています。

スプラグ式のワンウェイクラッチは外輪(アウターレース)と内輪(インナーレース)の間にスプラグ(sprag)と呼ばれるだるま形の輪留めが組み込まれた構造を持っています。

インナーレースに対してアウターレースが一方へ回転するとスプラグがかみ合ってトルクを伝達し、逆回転した場合はスプラグのかみ合いが外れてトルクは伝達されなくなります。

英語ではスプラグクラッチ(Sprag clutch)と呼ばれています。

【なぜ寒い朝の一発目に限りワンウェイクラッチがかみ合わずに滑ってしまうのか?】

一言でいうとワンウェイクラッチのようなファジーな機能メカ構造では不得意だからです。

磨耗により拡大するクリアランスだけではなく接触面の面祖度やオイルの粘性による油膜厚さなど微妙な要素がバランスされて初めて正常に働きます。

ネットで調べてみると勢い良くまわすことが必要条件らしく

・バッテリーをフル充電する

・モーターを分解してカーボン等の汚れを掃除する

・オイルを粘性の小さいものに交換する

などが有効といわれています。

寒い冬場の朝一番に空回りが起こりやすい原因は部品が収縮してクリアランスが大きくなり、更にオイルの粘度の高い冷間時にはギアが廻りだした際にローラーが厚い油膜によりハウジング内部で浮き上がって空転してしまい易くなることが考えられます。

走行距離が長くなる(実際は始動回数が多くなる)とかみ合わなくなる理由は磨耗によりクリアランスが増えてしまうことだけではなく正常磨耗によりピッかピッかに鏡面化されて油膜が厚くなるということも考えられます。

誤解を恐れずに言えば鏡面化の磨耗により摩擦係数が極端に小さくなってしまうということです。

【Assy交換はエンジンを下ろさず出来る】

サービスマニュアルによればCB1100の場合ラッキーにもスタータークラッチ周りはエンジンを下ろさずとも出来ます。

またそれほど特殊な工具も必要ではなくDIYで自分で交換することも出来そうです。

エンジン左側のスターターリダクションギアカバー(小)とクランクケースカバーLを外すとスタータークラッチが顔を出します。

サービスマニュアルではスタータードリブンギアの磨耗を寸法で指定しています。

CB1100サービスマニュアルより抜粋

しばらくは不安を抱えつつも様子を見てみたいと思います。

出来ることとしてはスプラグにオイルを塗ることぐらいでしょうか?

何か良い方法をご存知の方はどうぞコメントにて教えてください。→「いわゆるリターンライダーです」についてのコメント(投稿・閲覧)

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