自分でできる長期放置スクーターTODAY(AF67)の復活メンテナンス

2015年1月からスタートしました。

ご訪問ありがとうございます

<(_ _*)>

今回はいつものCB1100ではなく原付スクーターのメンテナンス記録です。

知り合いの先輩からしばらく乗っていないトゥデイ(AF67)の2008年モデル(9年前)を何とかして欲しいと。

廃車にするか、安くメンテして知り合いのお嬢さんに譲ってあげたいという依頼がありました。(K先輩の娘さんからI先輩の娘さんへ)

色はベージュの限定モデルで走行距離はほんのわずか、ただし5年前から全く乗っておらずカバーをかけて屋外に放置されていたものです。

放置プレースクーターのリストアです。

ご高齢のお母さんにフランスベッド製のハンドル型電動車椅子S637スマートパルを買ってあげるので置き場所を確保するために使っていないバイクを処分したいとのことでした。

ナンバープレートを外して区役所に返却し廃車証をもらうようにお願いしてからステップワゴンで引き取りに出かけました。

本来は廃車に必要な標識交付証明書は見つからないとのことでしたが、区役所に聞くと持ち主本人がナンバープレートと身分証明書を持っていけば廃車できるとのことでした。

廃車証は車体番号や譲渡先などが記載されていて、次に登録する際に必要なものなので後で郵送で送ってもらいました。

真夏の暑い中、ステップワゴンの荷台に載せる時は脚立の上に木の板を敷いて二人がかりで押し上げました。

車内では床のフックにロープをかけてしっかりと固定します。

走行距離がわずか2327kmでしたのでタイヤなどの摩耗はほとんどありませんでしたが、購入から9年も経ち屋外に5年間放置されていたことからバッテリー、オイル、ガソリンと劣化の恐れがあるゴム製品も全て交換することにしました。

交換したのは次の7カ所です。

バッテリー エンジンオイル(0.7L) ギアオイル(0.12L) ガソリン ドライブベルト タイヤ及びエアバルブ シートカバー

ネットで購入した部品代は全部で約9400円

また今回新たに購入した工具はタイヤレバーと汎用のユニバーサルホルダーで合計2868円でした。

写真のように外観は極めて綺麗です。

しかしタイヤはぺちゃんこ、もちろんセルも回らずキックペダルでも始動できませんでした。

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ホンダの格安スクータートゥデイは2002年に発表され2014年まで発売されていましたが、前半のキャブ仕様(AF61)と後半のインジェクター仕様(AF67)の2種類があります。

今回のは幸運にもインジェクター仕様のものです。

キャブの分解掃除という面倒な手間がなくて済みます。

鍵穴にはおしゃれなキーシャッターがついています。

尚、シートを空けるにはキーを「SEAT」の位置に回して鍵を押し込みます。

初めてのスクーターでシートの開け方もわからずネットで調べました。

バッテリー エンジンオイル(0.7L) ギアオイル(0.12L) ガソリン ドライブベルト タイヤ及びエアバルブ シートカバー

【バッテリーの交換】

さすがに9年前に購入し、5年も放置したバッテリーは完全に死んでます。

トゥデイのEFI(点火系)は空のバッテリーでも繋いでおかないとキックスタートすらできない仕様です。

完全に死んでしまったバッテリーでは抵抗が大きく繋いでいないのと同じ状況らしく、キックペダルではエンジンがかかりませんでした。

トリクル充電器で充電も試みましたが充電器もバッテリーの存在を認識せず機能しませんでした。

たぶん無限大の内部抵抗なのだと思います。

純正のバッテリーはユアサのYT4L-BSですが、店頭で購入すると12000円ぐらいかかります。

そこでいつものように通販で台湾ユアサの同型のものを1/5の値段で購入しました。

以前調べた結果では日本のユアサ製と台湾ユアサ製の違いは1年間の保証や不良品交換の保証があることで、品質は変わらないことがわかっています。

CB1100でも使っていますが全く問題はありません。

バッテリーを交換したとたん、元気にセルモーターが始動しエンジンが静かにかかりました。

セルスタートの前にはハンドル左側のブレーキレバーを強く引いてロックしておく必要があります。

またキックペダルでも一発で軽くかかりました。

ちなみにバッテリーの端子を外す時と取り付ける時の順番は

・外すとき→(ー)を外してから(+)を外す

・付ける時→をつけてからをつける

取り外しと取り付けでは必ず「赤(+端子)が長い時間つながっているように」作業します。

これは黒がつながっている状態赤がボディなどのアースに接触するとショートして危険だからです。

車でも同じです。

新品のバッテリーではありますが、トリクル充電器を使って満充電させました。

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バッテリー エンジンオイル(0.7L) ギアオイル(0.12L) ガソリン ドライブベルト タイヤ及びエアバルブ シートカバー

【エンジンオイルの交換】

E1はホンダの純正オイルの中で乾式自動遠心クラッチ、すなわちスクーター用のオイルです。

E1にはエンジン内部の磨耗を低減する添加剤が入っています。

湿式クラッチでは滑ってしまうのでCB1100には使えないスクーター専用オイルです。

エンジンオイルもいつものように通販で購入です。

以前、通販で缶の角がへこんでいたり、消費期限まで残り1カ月というのが届いた時がありますが食べ物ではないので気にしません。

1L用の廃油処理ボックスを使いました。

これなら燃えるゴミとして段ボール箱ごとゴミの日に出すことができます。

ドレンボルトは17です。

そこそこ汚れたオイルが出てきました。(写真は別物です)

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オイル量の確認はキャップと一体になったレベルゲージを決してねじ込まずにそっと差し込んで使います。

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バッテリー エンジンオイル(0.7L) ギアオイル(0.12L) ガソリン ドライブベルト タイヤ及びエアバルブ シートカバー

【ギアオイルの交換】

ファイナルリダクションギアの容量は0.12Lで普通は減っていた場合のみ補充するようですが、今回は9年前の新車購入ということもあり交換することにしました。

推奨オイルはホンダ純正オイルG1でしたが今回は手元に少し残っていた100%化学合成油のG3を使いました。

写真でオイル缶の蛇腹が刺さっているところがオイル交換用の排油と給油を兼ねたドレンボルト孔です。

エンジンオイルのように廃油孔と給油孔と別れていません。

補充の時はネジ穴の下端までオイルを満たせばよいというかなりラフな設定です。

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ところがどっこい、ドレンボルトを外しても古いオイルは出てきません。

オイルを抜くための本当の意味のドレンボルトがありません。

そこで仕方なくエイヤッと横に倒してオイルを出しました。(あまりお勧めできないかもしれませんが・・・)

まだきれいなオイルがちょろちょろと出てきました。

ついでにブリーザードレンの清掃も行おうと思ったのですが、茶色に変色したホースの中には何も溜まっていませんでした。

ホース先端のドレンプラグを抜くだけの作業ですが今回はパスしました。

ブリーザードレンはブローバイガス(未燃ガス)の液状化滞留物を抜くためのものです。

おそらく5年間放置している間に蒸発してしまったのだと思います。

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バッテリー エンジンオイル(0.7L) ギアオイル(0.12L) ガソリン ドライブベルト タイヤ及びエアバルブ シートカバー

【ガソリンの交換】

タンクには茶色に変色した変なにおいのガソリンが残っていました。

細いチューブでサイフォンの原理で古いガソリンを出しました。

口で吸ってやる方法です。

その後、CB1100に常備している1Lのガソリン携行缶から新しいガソリンを1L注入しました。

キャブと比べるとインジェクターでは空気に触れる部分がない分トラブルは少ないはずですが、インジェクターの目詰まりを掃除するために強力なFUEL-1をガソリンに混合しました。

実は最初にエンジンをかけた時にアイドルは安定しているのですがアクセルをひねっても敏感にエンジンが反応してくれません。

大出力に必要な空気(エアーフィルターの詰まり)かもしくは燃料供給量の不足が原因と思われますのでインジェクターの掃除をしようと思いました。

FUEL-1を入れたガソリンで数分間エンジンを作動させるうちにアクセルへ素早く反応するようになりました。

FUEL-1ってすごい!

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バッテリー エンジンオイル(0.7L) ギアオイル(0.12L) ガソリン ドライブベルト タイヤ及びエアバルブ シートカバー

【ドライブベルトの交換】

タイヤ交換と共に今回初体験のベルト交換です。

CVT(連続変速機)用のゴム製ベルトです。

ドリブン側(後方クラッチ側)のボルトを外したり閉めたりする際に空回りしないようにする為の工具を購入しました。

まずはカバーを外します。

カバーは図のように6個のボルトで固定されていますが、左上の一本のボルトの長さだけが他の5本より長くなっています。

カバーのボルトを外す前に+ドライバーで左からつながっているゴム製のチューブを外します。

取り外す時はオイルをつけて滑りやすくしてからゴムチューブを外しました。

カバーは2個のノックボルトで位置決めされているのでなくさないように注意します。

カバーにはキックスターターのメカが取り付けられていますのでそっと外します。

シンプルだけどすごい機能を満載した美しいメカです。

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ドライブ側のボルトを外す時の空回り防止策としては幅20~30mmのL時金具をギアの歯にひっかかけてトルクをかけました。

たまたま自宅にあったので20mmぐらいのL字を使いましたがなんでも良いと思います。

写真はボルトを締めるときで、緩めるときは上側にあてがいます。

ギアの方がはるかに硬度が高いのでまずギアが傷つくことはないと思います。

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ドリブン側のボルトを緩める時は今回購入した汎用ユニバーサルホルダーを使いました。

結構硬く締められているのでスパナでなくて14mmのメガネレンチを使いました。

写真はボルトを緩める時です。

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ばらしてみてわかったのですが、9年も前のベルトもクラックなどなく新品のように見えます。

ベルトには向きがあるので外周表面にかかれた矢印を進行方向の前に向けて取り付けます。

パーツリストで構造を理解してからばらしました。

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バッテリー エンジンオイル(0.7L) ギアオイル(0.12L) ガソリン ドライブベルト タイヤ及びエアバルブ シートカバー

【タイヤの交換】

タイヤはダンロップ製のホンダやヤマハの純正品ですがインドネシア製などのOEMの為か船便の都合からか待たされました。

でも通販は安い!

前後セットで2750円でした。

当然ながらエアバルブも交換しました。

バランス取りは車速が遅いので不要だと判断して省略です。

今回購入したタイヤレバー2本とリムガードのセット工具です。

2本のタイヤレバーを交互に挿入してタイヤを外したりはめたりします。

ホイールのリムと接触している部分をビードといい内部に金属のワイヤが仕込まれています。

タイヤの取り外しは自転車と同じでビードを完全に落とすことで反対側へオフセットさせることが可能になりタイヤを外すことができます。

ビード落としの作業に入るまえにゴムが滑るようタイヤとの隙間にタイヤの艶出し保護スプレーを塗っておくのがコツです。

ビード上げは空気圧で内側に外れているビードをリムに密着させる作業です。

こちらも2本のタイヤレバーを使います。

タイヤの取り付けに際しては回転方向に向きがあることからタイヤ側面の矢印に注意して取り付けます。

宅配便で届いたタイヤです。

タイヤが内側に変形しないようにスペーサーのプラスチック板が挿入されていました。

【後輪タイヤ】

TODAYのリアタイヤの交換にはまずはマフラーを外します。

エキパイのフランジ2か所(M10)とマフラー取り付けの2カ所(M12)のボルトを外すと簡単にマフラーを取り外せます。

エキパイはエンジンの下についているので地面に寝そべって延長したソケットレンチを使います。

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外したマフラーです。

意外と軽く、エキパイは細いです。

次にアクスルナットは24のメガネを使って外します。

古いバイクなのでナットのネジ部にはあらかじめCRCを吹き付けて置きました。

タイヤの空回りを防ぐために手でブレーキレバーを思いっきり握って足でメガネレンチにトルクをかけました。

魔法の呪文「ウリャ!」と叫ぶと同時に力をかけるとナットは一回で緩みました。

ナットを外すとワッシャーがありますので、無くさないように外しておきます。

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タイヤの取り外し

前輪、後輪とも同じ作業です。

摩擦を無くしてビードはずしとビード上げを容易にするためにゴムを傷めないタイヤクリーナーをリムとの隙間に吹きかけます。

石鹸水でもよいですが水分がタイヤの中に残るとホイールが錆びてしまうのを心配してタイヤクリーナーにしました。

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空気を完全に抜くためにエアバルブをカッターでカットしました。

取り付けるときは裏から差し込んで、表側から引っ張ります。

ネジ山を保護するためにキャップをつけてからペンチではさみテコの原理で引っ張り上げます。

タイヤレバーを使う前にタイヤの上に乗っかってタイヤの上をぐるぐる歩いているとビードが外れました。

ビートが外れてからタイヤレバーを差し込んで外していきます。

取り付けるときにはタイヤの回転方向に注意します。

写真のようにタイヤ側面に刻印された矢印を進行方向にむけます。

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ビード上げは空気の力で行うのですが、前輪は自転車用の空気入れで簡単にビードが上がりました。

ところが後輪は隙間から空気が漏れてしまい1時間ほど苦戦しても上がりません。

そこでCB1100に積んで近所のガソリンスタンドの圧縮空気を借りました。(無料)

敢えて人気の少ないセルフスタンドを選びました。

パン、パンと2回音がして簡単に両面のビードが上がりました。

タイヤ交換全般ビード上げについてはこちらのサイトを参考にさせてもらいました。

DIYタイヤ交換決定版!我流、バイクタイヤのビート上げ極意教えます。

【前輪タイヤ】

後輪に比べて作業は楽です。

ゴムの蛇腹をずらして17と12のメガネレンチで簡単に外れます。

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タイヤの取り外しは後輪と同じです。

重心がセンタースタンドより前にあるので前輪を外すときはエンジンの下に何か支えのものを置く必要があります。

今回は身近にあった外したマフラーをそっと挟みました。

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バッテリー エンジンオイル(0.7L) ギアオイル(0.12L) ガソリン ドライブベルト タイヤ及びエアバルブ シートカバー

【シートカバー】

シートカバーは破れとかはなかったのですが汚れが取れなかったので交換ではなくパンツのようなカバーをはかせました。

TODAY専用の3次元縫製したゴム製カバーを購入しました。

ホンダのバイクはホームページからオーナー用の取説をダウンロードすることができます。

http://www.honda.co.jp/ownersmanual/HondaMotor/motor/

お店に頼んだら7~8万円ぐらいするようなリストアでも通販と自分の労力を利用すれば1万円以下に抑えることができました。

と同時にメンテナンスを楽しむこともできて大満足です。(バイク屋さんすみません!でもバイク人口が増えればいいじゃないですか)

バッテリー エンジンオイル(0.7L) ギアオイル(0.12L) ガソリン ドライブベルト タイヤ及びエアバルブ シートカバー

追加記事として夏休み最後の本日(2017/08/20)、深谷市のご依頼先に納車してきました。

ノーヘルですが広いご自宅の庭での試し乗りです。

楽しい、楽しい!」と喜んでもらえてリストアの苦労も吹き飛びました。