そんなつもりじゃなかった。
まさか津久井湖で船に乗るなんて、家を出る時は考えてもいなかった。
家を出る時は、津久井湖にしようか相模湖にしようかまだ迷っていた。
今年一匹も釣れてない相模湖で初の一匹を狙うか
増水して調子がいいと聞いている津久井湖にするか、だ。
中央道を走りながらまだ迷っている。自分の決断力の乏しさに反ば呆れながら。
相模湖インターが迫ってきたところで、おかっぱりで気楽にできる津久井湖にすることに決めた。
沼本でオカッパリならオデコは無いよな、という謎のイメージが沸いていた。
沼本ボートに到着。 ワンドの様子を見るとイメージと全然違っていた。
岸辺には草木が水没しており とてもオカッパリは出来そうに無いように見えた。
意気消沈。車の中でウームと悩む。そこに沼本ボートの社長が現れる。
「へら?バス?」
「へらです」
「じゃあ急いで!もうすぐボート出るから!」
「え?! は、はい・・・」
なんかなし崩し的にボートに乗る羽目になった。
これはこれで面白うそうだからいいか。
見ると5-6名ほどのヘラ師がボートに乗ってスタンバイ状態。
これは急がねば! 急にスイッチが入る。
ダッシュで道具をボートに運び込む。
船が走り出す。 どこに行くのかすらまだわからない。
既に来ていた数名の方は顔見知りの様で会話が弾んでいる。
こういう時、初めて来た自分はいたたまれない気持ちでいっぱいになる。
物凄いアウエイ感。
挨拶を交わし、怪しいものじゃないですアピールをするのが精いっぱいだ。
走ること10分くらいか。目的地に到着。
到着してまず驚いた。船にロープがついてない!
どうやって留めるんだよ・・困るところだったが借りることができた。助かった。
ここは「名手ロープ」という場所らしい。 メイシュではなくナデ。初めて聞く言葉だ。
とりあえず周りの方に話を聞き、21尺を出す。
針は10号。エサはマッシュ系と聞いたのでいつものマッシュダンゴ&尺上で餌を作る。
大きいのは動物性の餌を好むかもと思い、サナギパワーを隠し味でちょっと混ぜてみる。
まあ、良くわからんがこんなもの?
周りを見ると自分よりはるかにでかいエサをバンバン打っている。
聞くと18号とか20号の針がこの辺ではデフォルトらしい。
そんなでかいハリ、持ってないっす。
さていよいよ釣り開始。1時間程は集魚タイム。寄ってこいと念じるのみ。
しばらくすると浮きに反応が出てきた。
アタリ? 合わせると立派なギル。
またアタリ?! ペへレイ?
そしてギル、ニゴイ、マブと続く。
生命感はあるが本命はお留守の様だ。
日が昇ってきた11時くらいだったか。 これまでとちょっと違う上品なアタリに合わせる。
ググーンと良い引き。 ゴンゴンしない。 これはもしかすると・・・
41のへらが出てくれた。 初の一枚に安堵する。
ちなみにロープの左端に着けていた方(後でとーちんさんということを知る)だけがバンバン釣っている。
あの場所はちょっと特別らしい。その後50まで釣ってましたとーちんさん。 お見事。
午後になり、38を追加。
おお、へらだ。良かった良かった。
津久井湖にしてはちょっと物足りないサイズとも思えなくもないが、贅沢言っちゃあバチが当たる。
2時過ぎだったか。
ツンと入った浮きに合わせる。竿先がガツンと引き込まれる。
良し、デカイ・・・この突っ込みを凌げば・・・と思うや否や
「パーーーーン!!」という破裂音。
なんと、竿が手元から真っ二つ。
呆然と漂う竿を見つめることしかできない。
周囲からも熱い視線を浴びて恥ずかしいやら嬉しいやら。
うん、60のへらが掛かったということにしておこう。
やれやれだ。
竿も心も折れ、時間も程よいところだったので終了。
お疲れ様でした。
この日、右隣に入ってくれた方とは同じデザイン系のお仕事ということで 話がとても弾んだことは良い思い出。
こういう偶然の出会いがあるから釣りは楽しい。
仕事の中で異業種交流を図るイベントを作ってもなかなか関係が長続きしないのだが
こういう場、共通する趣味の世界の中で出会うと長続きする気がする。
心の許し方が全然違うのだろう。
赤塚さん、是非またご一緒しましょう。
という訳で、念願の巨べらとの邂逅・・・とまではいかなかったが楽しい一日となった。
やっぱり「楽しい」と思えることが大切。