ブータン

 100年以上戦争を知らない平和な国、そして90%強の国民が幸福です、と答えるブータン
 日本の1950年代の貧しそうな生活がうかがわれる。決して近代的ではな。しかも人口が70万人程度で、主な産業はヒマラヤの山からの水を利用したインドへの小規模な水力発電の輸出、観光業、農産物、木材・・・  そして国民が寄せる高感度の王様の存在だ。 

 8世紀、ブータンに仏教を広めたインド人「パドマサンババ」は虎の背中に乗って飛んで来たと言う。
 そのため、ここは「虎のねぐら」と言われている。標高3000mの高さに建ち、断崖の高さは500m。

 観光の展望台はこちら側で2900m程度。車の駐車場からは歩いて2時間。さらに僧院に行くには一旦下り、滝の縁を通りまた昇り1時間半、かなりきつい高低差だ。

 僧院の中は靴を脱ぎ、帽子をとり、カメラ類は預けて体を清めて? 厳粛な雰囲気だ。チベットの五体投地のようなお参りをガイドから勧められる

チョモラリと廃墟の城郭とヤク・・・4010m地点から


 ヒマラヤ山脈東部の高峰。中国チベット自治区とブータンの国境に位置する。
 標高7351メートル。チベット語で「女神の聖山」を意味し、聖山の一つとして知られる。1937年、英国のチャップマンにより初登頂。 





 



チョモラリを望むテントサイト。4010m。富士山よりかなり高い。

 高山病になるとブータンにはヘリがないために、隣国インドに依頼し、2機で飛んでくる。何故2機?1機が故障した時の予備とか。
 テントサイトにはヤクが近くまでやってくる。


 ブータンの風物

 どこの家の屋根にも赤や白の唐辛子を干している。

「ブータンの料理は世界一辛い」

 なぜブータンの人たちはトウガラシをたくさん食べるのだろう。「急峻な山岳地帯が多いこともあって、かつてのブータンでは食べられる野菜が限られていた。辛みも昔は山椒を利用していたようが、野菜のように食べられるトウガラシがもたらされ、一気にトウガラシの利用が広がっていったといわれてい 

幸福王国 / 語録集 

・国の発展や成長は、人々の幸せにつながってなければならないのです。物質的な豊かさより、
 精神的な豊かさこそが国民の幸せにつながります。

・経済的に潤うために、家族との時間が犠牲になり、自然に触れることが少なくなり、やがて
 健康を害する。だからゆっくり近代化しています。

・外国からの援助ばかりに依存しません。依存してしまうと不安定になってしまうからです。

アメリカなどの大国とは付き合いません。付き合うとその陣営に組み込まれる危険性があり
 ます。そのかわり、西ヨーロッパの小国を選びました。

 スイス、オランダ、オーストリア、デンマークなどです。

役人はワイロと無縁です。ブータンは小さな世界なので、悪事はすぐに筒抜けになります。
 そし て仏様が見ています

巨大なダムはつくりません。ブータンの輸出品目でトップが電力で、インドに売っています。
 急峻な地形を生かし、お金のかからない小規模発電を利用しています。水は自然環境を守って
 いれば無尽蔵に再生される資源です。また水を利用するには森が必要です。だから木は切りま
 せん。

地下資源はありますが、掘り起こさないことにしています。国土を破壊するからです。

観光客は無制限に呼びません。国で決めている観光客の滞在費(宿泊・食事・車・ドライバー等)は
 1日約2万円です。これは制御弁なのです。

・ほとんどの野菜は無農薬です。農薬は高いし、それをまく機械も必要なので使いません。昔か
 らオーガニックなのです。

飢饉で飢えたことはありません。農業国で、ヒマラヤからの水が無尽蔵、日照りが続くことは
 あっても困りません。食料は豊富なのです。

教育費はただです。制服・文房具・寮代は自己負担です。お金のかかる給食はせず、愛情のこ
 もったランチボックスを生徒は持ってきます。

病院も水道代も無料です。

・国じゅう、禁煙です。タバコの輸入も販売も禁止です。

ホームレス孤児もはいません。ブータンは家族を大事にします。

野生動物は殺しません。輪廻を信じ、動物は家族の誰かが生まれ変わりかもしれません。

・土地のない人には、国王がプレゼントします。

・小さな子どもでも、英語ペラペラです。

・みんな、三世代、四世代の大家族です。(みんなで住むから、ブータンには老人ホームやデイ
 サービスセンターもありません

新婚カップルの夜は、田んぼの中の小屋です。(大家族のやさしい配慮です)

・意外にも、離婚の多い国です。(子どもは、妻側の大家族が面倒をみるので心配はいりません)

・葬式になると、忌引きで21日間休みます。冠婚葬祭で一番重要、死は来世への出発なのでお
 ろそかにしません。

・ブータンに花屋はありません。花といえども生き物です。

ブータンの田舎の農家の家は3階建て。1階は動物、2階が住居、3階が干し草等の収容スパース、ナイトハンティングは男がここに忍び込む。

若い女の子はナイトハンティングで男性を待っている?

ナイト・ハンティング・・・

 ナイト・ハンティングはブータン男性のたしなみと言うから恐れ入る。あそこの娘は気立てが良いとか、機織が上手とかの情報を聞いておき、ひそかに夜這いすると言う。時によっては先客がいて鉢合せをすることも多いと言う。夜這いの密会場所は3階の稲柄干し場らしい。

 よく狙われるのは、若い娘と後家さん、そして主人が出張中の奥さん。狙う方もスリル満点、狙われる方も期待しているらしい。

 妻問婚というのもあり、似ている。女系性、母権の強い民族に多い。一人の女性に複数の男性が通うことも多く、子供ができたら遺伝上ではなく、一族の長である女性が男性を選んで結婚させると言う。出来た子どもは女性の一族で育てる。結婚した男性を気に入らぬと放り出されるらしい。

 中国・麗江やチベットでもこの風習は残っている。ある国では、貧しく、3人の男兄弟が1人の女性を共有しているテレビ放送もあった。

 あるブータン男性に意地悪質問をした。あなたがする夜這いは楽しいだろうが、あなたの嫁さんが夜這いされるのはどんな気持ち?

男性曰く 「怖くて想像もしたくありません!」

 ブータンの前王様が、嫁さんとして姉妹4人を一度に迎えて子供も10数人。そのような国柄故に男女の間も幸福度90%以上 ? 

実にユニークな国である。

【指導者】

ワンチュク・ブータン国王  1980年生 41

・前国王の父親は、6人姉妹のうち、次女から五女の4姉妹を娶り、55女をもうける。

 父親の4代国王と、4姉妹の内の第3王妃との間の長男として誕生した。最初の男なので国王となる。

・ブータンでは男性が数人の姉妹を妻にする一夫多妻や、女性が数人の兄弟を夫にする一妻多夫が続いてきたが、王国が近代化するにつれてこの複婚制はなくなりつつある。

・現国王は、アメリカ、イギリス、インドに留学。現国王は、民間出身の航空機パイロットの娘、ジェツン・ペマさんと結婚、旧来の風習には従わず一夫一婦の様である。テレビなどで世界の風習を知ったブータン人が従来の風習を見直したようである。ブータンは以前鎖国状態で、世界とかなり異なる文化が継続したようである。

2006年国王就任。26才。

 ブータン編  終わり