Uefuji2005

Uefuji H, Tatsumi Y, Morimoto M, Kaothien-Nakayama P, Ogita S, Sano H.

Caffeine Production in Tobacco Plants by Simultaneous Expression of Three Coffee N-methyltrasferases and Its Potential as a Pest Repellant.

Plant Mol Biol.: 59 (2):221-7(2005 Sep)

コーヒーノキのカフェイン合成酵素の遺伝子をタバコ(植物)に導入して、タバコでのカフェイン合成に成功した最初の報告であり、さらにカフェインが虫害を防ぐ役割を持っている可能性を示唆した論文。世界で初めて、コーヒーノキのカフェイン合成酵素の遺伝子をクローニングした奈良先端大の佐野教授らによる研究である。彼らが発見した3種類のカフェイン合成酵素を遺伝子導入して、タバコでもカフェイン合成が可能であることを示した。さらに、タバコの葉を食害するハスモンヨトウ(Spodoptera litura)の幼虫がカフェインを含むタバコの葉を忌避することを示し、この技術が遺伝子組換えによる品種改良に応用できる可能性が示唆された。

タバコは植物のバイオテクノロジー分野では最も良く使われる代表的なモデル生物の一つであり、他の植物の遺伝子をタバコに発現させてその影響を見るのは、いわば「お決まり」の方法の一つである。この論文ではさらにこれが虫による食害を予防することを示した点が優れているが、将来実用可能な技術というよりも、むしろ「コーヒーノキがなぜカフェインを作るか」という点で興味深い。

農学/植物学:分子生物学(遺伝子組換植物の作成):カフェインを作るタバコの作製。カフェインの昆虫忌避作用の可能性(重要度★★)