Tang2010

Tang N, Wu Y, Ma J, Wang B, Yu R.

Coffee consumption and risk of lung cancer: a meta-analysis.

Lung Cancer. 2010 Jan;67(1):17-22.

コーヒー(レギュラー、デカフェ)の飲用と肺がん発症リスクについて、複数の疫学調査の結果をもとにメタアナリシスを行った論文。

5つのコホートと8つの症例対照研究からメタアナリシスを行った結果、コーヒー摂取量の最も少ないグループと比較して、最も多いグループでは相対リスクが1.27 (95%信頼区間 1.04-1.54)に増加しており、コーヒーの摂取量が2杯/日増えるごとに、14%の肺がんリスクの増加があるという結果が得られた。ただし、本論文では喫煙の影響を除外したかたちで解析を行っているものの、非喫煙者においてはコーヒー飲用/非飲用での差が認められなかったことから、喫煙等による影響が十分に除かれていない可能性があるとして、本研究結果を解釈するに当たっては注意が必要であると、著者ら自身が述べている。

肺がんにおいて最大のリスク因子と考えられているのは喫煙であり、コーヒーとの関連についてはそれほど議論されては来なかった。「コーヒーが肺がんリスクを上昇させる」という報告(Jacobsen et al. 1986)をはじめとして、いくつかの疫学調査では大量飲用者でのリスク上昇が報告されている一方で、逆にリスク低下を報告している論文も存在しており、一致した見解は得られていない。特に、コーヒーの大量飲用者にはヘビースモーカーが多いということが、正確な調査を困難にしているという側面がある。今回のメタアナリシスも、このような背景に注意した上で考察することが必要であろう(メタアナリシスにも関わらず、結論の要約に「?」を付けているのは、このため)。実際、著者自身が本文のみならず、論文要旨にもこの点を記載している点からも、この部分について慎重な判断が必要であり、また今後の調査の必要性が伺える。