Galindo2006

Galindo-Cuspinera V, Winnig M, Bufe B, Meyerhof W, Breslin PA.

A TAS1R receptor-based explanation of sweet 'water-taste'

Nature: 441 (7091):354-7(2006 May)

「水の甘さ」を感じるメカニズムについて検討した論文。いくつかの化学物質は、その水溶液を味わった後に、「ただの水」を飲んだときに甘く感じることがあることが知られている。このような物質としては、高濃度のサッカリン(低濃度では甘いが、高濃度では苦味を感じる)や、コーヒーにも含まれているクロロゲン酸類などがあるが、これらの物質がどのようなメカニズムで水の味を変えるかについては判っていなかった。

これまでには、(1)味覚神経系が化学物質のある状態の味に適応してしまって、それがなくなった状態を「甘い」と認識する(いわば誤認識)、(2)生体にはもともと甘味を感じる受容体とともに、その受容体の機能を部分的にマスクしているものが存在しており、それが外れた状態になることで甘味が感じられる。という2つの仮説が提唱されていた。今回、この研究グループは高濃度のサッカリンなどいくつかの味覚修飾物質を用いて、この(2)のモデルの方が確からしいことを明らかにした。

医学/生理学:官能試験、培養細胞によるin vitro試験:水を甘く感じるのは甘味受容体結合性阻害物質の解離による(重要度★★★★)