Massimo2004

Massimo F Marcone

Composition and properties of Indonesian palm civet coffee (Kopi Luwak) and Ethiopian civet coffee.

Food Research International: 37, 9:901-12(2004)

希少性の高いコーヒーであるコピ・ルアクと、その代替候補となる豆の性状を比較した論文。「コピ」はインドネシアの言葉でコーヒーを、「ルアク」は現地に生息するジャコウネコ(Indonesian palm civet、マレーパームシベット)を指し、ジャコウネコが食べた糞から得られるごく少量の豆は「コピ・ルアク」と呼ばれ、その希少性から高価に取引されている。この論文の著者であるMarconeは、これに代わりうるものを探索する過程で、エチオピアに生息する近縁種のアフリカジャコウネコ(Ethiopian civet)に着目し、その糞からとれるコーヒー豆の性状を比較した。官能試験(カップテストとクラスター解析)から両者の味は異なっていたが、この両者では共に豆中のタンパク量が(おそらくはジャコウネコによる消化の過程で)減少しており、このことが苦味の軽減につながると考えられた。

この研究はきわめてニッチであり、決して他の研究者から高い評価を受けるものではないが、そのテーマとするところが珍しいためここに取り上げた。コピ・ルアクは近年日本では「イタチコーヒー」として稀に入手することもできるが、上記の通り正しくはジャコウネコであってイタチではない(確かにネコよりはイタチに近い生物と思われるが)

コピ・ルアクに代表されるようなコーヒーでは、その消化の過程でパーチメント外側のペクチン層がきれいに除かれる。このペクチン層は乾式精製では完全に乾燥することで、水洗式精製では発酵槽水中の細菌やカビにより分解されることで除かれるが、いわばこの両者と異なる「生物式精製」に当たる加工処理だと言える。コピ・ルアクは高価ではあるが、それはその豆の品質とは必ずしも関係せず、あくまで希少価値によるものであることを追記しておく。

農学/食品化学:官能試験、化学分析:コピ・ルアクの性状解析(重要度★)