キナ酸とキナ酸ラクトン

一方、クロロゲン酸からコーヒー酸が取れた「残り」に当たるのがキナ酸です。また、キナ酸から水分子が脱水して失われたものは、キナ酸ラクトン(キニド)と呼ばれます。いくつかの古い文献には、キナ酸がコーヒーの焙煎によって生じる成分であることと、苦味を呈する性質があると述べられており、コーヒーの苦味成分の一つとして挙げられてきました 。ただし最近の研究結果からはむしろ、キナ酸やキナ酸ラクトン自体には苦味がないか、あっても極めて弱いものであることが示唆されており、おそらく苦味物質としての役割は以前考えられていたものよりも、はるかに小さいものだと思われます。むしろキナ酸やキナ酸ラクトンは酸味との関係が重要な化合物です。前(ビニルカテコールオリゴマー)< >次(小括:クロロゲン酸分解物とコーヒーの味