砂糖と甘味料(sugar and sweetenings)

Bitter half, sweet half.

砂糖

砂糖は砂糖作物として栽培される植物から主に工業的に精製されます。砂糖作物としてはサトウキビ(甘蔗糖:かんしゃ糖を得る)がメインであり、次いでサトウダイコン(ビート、甜菜糖:てんさい糖)が一部グラニュー糖の原料となるほか、サトウカエデ(メープルシュガー)サトウヤシ(ココナッツシュガー)サトウモロコシなどからも得られます。

もっとも主要なサトウキビから得られる砂糖の場合ですが、原料であるサトウキビの汁を煮詰めて原料糖として産地から出荷され、消費地で分蜜、精製を経ていろいろな形の砂糖になります。

形状によって車(くるま)糖、ザラメ糖、液糖、加工糖に大別され、さらに精製度、純度などによって細分化されます。また白砂糖、赤砂糖、黒砂糖という分類もありますが、これは製法とは別の、見た目の色による区別です。

グラニュー糖

グラニュー糖はおそらく最も珈琲によく用いられる砂糖だと思われます。ザラメ糖の一種で、比較的粒子が小さくて純度の高い(ほぼ100%)のが特徴です。他の高純度のもの(白ザラ糖、氷砂糖)同様味にクセがなく、また粒子が小さいので簡単に溶かすことが可能ですのでいろいろな用途に使われます。珈琲と合わせる場合もその用途は広く、珈琲の味を問わずそのまま入れても、アレンジに用いても、どのような使い方にもそこそこ対応します。

角砂糖

角砂糖は加工糖の一種で グラニュー糖 を珈琲、紅茶用として扱いやすくするために、少量の液糖を加えて型に入れ、立方体の形にまとめたものです。従来は一個6グラムのものが主流でしたが、最近の低糖ブームの影響で一個3グラム程度の小さいものも増えています。

味はほとんどグラニュー糖と変わりありませんが、ほんのわずかにアクを感じる場合もあります。また、最近では中ザラ糖タイプの茶色い角砂糖や、形に変化を持たせたものなど千差万別のタイプが出回っています。

上白糖、中白糖、三温糖

これらは車糖とよばれています。結晶が小さい粉状で、普通ビスコとよばれる転化糖をふりかけるため、しっとりとした感じのものになっています。

純度の高いほうから上白糖、中白糖、三温糖とよばれます。上白糖はいちばん一般的な白砂糖で料理全般に使われますが、特別に珈琲に使うことは少なく、せいぜい グラニュー糖 の代用に使われる程度です。以下、純度が低くなるにしたがって、独特の風味が増します。三温糖は煮物などに使われることの多い砂糖ですが、珈琲との相性もよく、卵やミルクを使ったアレンジコーヒーに使われることもあります。

白ザラ糖、中ザラ糖

これらはザラメ糖に分類されます。車糖よりもはるかに結晶が大きいのが特徴です。白ザラ糖は純度が極めて高く、結晶の大きさ以外はほぼグラニュー糖と同じです。結晶が大きい分溶けるのに時間を要しますので、単純に珈琲に入れることよりも、アレンジの一部でカップの底にわざと溶け残るように入れられることがあります。

中ザラ糖も同様な使い方が出来ますが、純度が低い分風味があり、珈琲とよくあいます。特にやや濃いめの珈琲との相性がよく、アレンジにも使いやすいのでお薦めです。

コーヒーシュガー

コーヒーにいれる砂糖はすべて「コーヒーシュガー」と呼べるのですが、ここでいうコーヒーシュガーは茶色で結晶の大きい、日常的に「コーヒーシュガー」という名称で売られているものを指します。

このコーヒーシュガーも色がついていますが、これは三温糖などとは異なり、カラメルの色です。グラニュー糖にカラメルを加えながら再結晶させるそうですが、詳しい製法は公表されていないそうです。他の純度の低い砂糖ほど風味は豊かではありませんが、珈琲の苦味とカラメルの味は上手く調和します。またカラメルが入っている分溶けるのに時間がかかるのは、難点でもありますが、わざと飲んでいくに従って甘味が増していくようにする効果も演出できます。

黒砂糖

黒砂糖はサトウキビの汁を分蜜せずに濃縮して作ります。そのため砂糖としての純度は85%程度で、強い甘味と風味をもつのが特徴です。

個性が強烈ですから珈琲の味を殺しかねません。個性の強いアレンジメニューに合わせると、独特の風味のものになります。特にラム酒などを使ったメニューとの相性がよいようです。

和三盆(三盆糖)

和菓子などに用いられる上質の砂糖で、すっきりとした甘味と香りのよさに特長があります。他の砂糖とは異なり、伝統的な独自の製法によって作られており、原料糖に水を加えてこね、分蜜を繰り返すというかたちで精練されます。

上質の砂糖ですが、残念ながらコーヒーに入れた場合はその持ち味であるすっきりとしたアクのない甘味も香りのよさもぼやけてしまうようです。むしろ、別々にしたほうが両者の持ち味を楽しむことが出来ます。

メープルシロップ

サトウカエデから得られるシロップで、パンケーキにつけたりすることで皆さんお馴染みだと思います。

独特の風味と香りをもち、珈琲との相性も決して悪くありません。ただ独特の香りが珈琲によってかき消されてしまいやすいのが残念ですが。

市販されているものの中にはカラメルを混ぜてあるものもあるので注意しましょう。

蜂蜜

蜂蜜はそれが得られた花によって全く味が違いますから、一概に評価するのは容易ではありません。ですが国内でもっとも出回っているレンゲ、ニセアカシアなどやそれらのブレンド品に関して言えば、全体的に甘味と個性が強い傾向にあります。

コーヒーと合わせる場合は、もとの蜂蜜の味を知った上でのことになりますが、比較的個性の強い深煎りのものとは相性がいいようです。またアレンジにもよく用いられます。

海外では花の種類ごとに数十種類を一つの店に置いていることも珍しくはないようです。また、コーヒーの花から得られた蜜は現地でも貴重品として扱われているそうです。