Kondamudi2008

Kondamudi N, Mohapatra SK, Misra M.

Spent Coffee Grounds as a Versatile Source of Green Energy.

J Agric Food Chem: 2008 Dec 24;56(24):11757-60.

コーヒーを抽出した後の粉(コーヒーかす)から、バイオディーゼルを生産する方法を示し、その有用性を主張した論文。

コーヒー豆には、他の搾油作物には及ばないが油脂分も多く含まれており、その大部分は抽出されずにコーヒーかすに混じったまま廃棄される。著者らは乾燥したコーヒーかすをn-ヘキサンやエーテルなどの揮発性有機溶媒を用いて10-15%(重量%)の油脂分を抽出しており、さらにその100%をバイオディーゼルに変換可能であることを示した。得られたバイオディーゼルは遊離脂肪酸や硫黄含有量が低く、安価に生産可能であり、また従来のものと比べて安定性が高いという特長があった。著者らは、世界でコーヒー豆から年間3億4000万ガロン(約1000万バレル)のバイオディーゼルの生産が可能と試算している。またバイオディーゼルだけでなく、有機溶媒抽出した残りから、エタノールや燃料ペレットを生産可能であることについても言及している。

エネルギー問題は世界が直面する大きな問題であるが、それだけにこういった論文の内容については慎重に検討する必要があるだろうと考える。エネルギー問題全体から見た実現可能性や、具体的な数値の妥当性については識者の評価に委ねたいところである。

エネルギー問題とコーヒーとの関係としては、ブラジルの近年の動向を語らざるを得ないだろう。古くからの世界第一のコーヒー生産国であり、過去何度かの不作が世界価格を大きく動かしてきたブラジルだが、バイオエタノール作物への置換によって生産量は減少し、輸入量が輸出量を上回るコーヒー輸入国へと変化してきた。これに対し、コーヒー産業の中には生豆精製時に出るかす(コーヒーパルプ)の発酵によるバイオエタノール産生技術の開発などによって、生き残りを図ろうとしているところもある。今回の報告は、このような事業にとっては「渡りに船」のものなのかもしれない。

工学/化学:材料化学、資源化学:コーヒー滓からバイオディーゼルを生産(重要度★★★★)