Foukas2002

Foukas LC, Daniele N, Ktori C, Anderson KE, Jensen J, Shepherd PR.

Direct Effects of Caffeine and Theophylline on p110delta and Other Phosphoinositide 3-Kinases. DIFFERENTIAL EFFECTS ON LIPID KINASE AND PROTEIN KINASE ACTIVITIES.

J Biol Chem: 277(40):37124-30(2002 Oct)

フォスファチジルイノシトール3キナーゼ(PI3K)はイノシトールリン脂質のイノシトール環の3位をリン酸化する酵素として見つかったもので、細胞の増殖などにおいて重要な機能を担うシグナル伝達分子の一つである。この分子はまた一方で癌化進行においても重要な役割の一端を担うことが知られており、その阻害剤(wortmanninなど)には癌治療への応用が期待されている。この論文はこのPI3Kに対しカフェイン/テオフィリンが直接作用し阻害剤として働くことを見出したものである。この阻害作用はPI3Kの活性サブユニットであるp110に対するものでp110δに対する選択性がやや高いが、他のサブセットに対する阻害作用も見られた(リンク先abstract参照)

Nature Reviews Cancer 2, 720 (2002)のIn the NewsによるとBBC, The Guardianでも取り上げられた模様。しかし、当然のことながら「くれぐれも副作用のことも考えずにチョコレート(コーヒー)にむさぼりつくことのないように」と一言添えてある。

細胞生物学/シグナル伝達:酵素活性測定(in vitro):カフェイン/テオフィリンの新しい作用メカニズムの発見(重要度★★★★★)