Davis2006

Davis AP, Govaerts R, Bridson DM, Stoffelen P

An annotated taxonomic conspectus of the Genus Coffea (Rubiaceae)

Bot J Linn Soc: 152: 465-512 (2006)

コーヒーノキ属(genus Coffea)に属する種についての最新の植物学分類。コーヒーノキ属の植物学的分類は、Chevalierによる1947年によるものが用いられてきたが、その後、アフリカ大陸だけでなくマダガスカル島やマスカリン諸島などインド洋上の島々に自生している新種が発見され、追加されてきた。これらの新種の中にはカフェイン含量の少ないものや、自家受粉可能な(C. arabicaを除きほとんどのCoffea spp.は自家不和合性)種なども発見されてきた。この論文はこれらの新種を含めて、その形態上の特徴などを記載し、最新の分類を示したものである。この分類に伴い、Coffea属は現在103の種を含むことになった。またアジア〜アフリカに自生するCoffeaに近縁のシランサス属(genus Psilanthus)との関係も見直され、いくつかの種はシランサス属に再分類されている。

    • genus Coffea (コーヒーノキ属、コフィア属)

      • subgenus Coffea (コフィア亜属):95種、アフリカ、マダガスカル、マスカリン諸島に分布

        • アラビカ、カネフォーラ(ロブスタ)、リベリカなどよく知られたものはほとんどここに含まれる

      • subgenus Baracoffea(バラコフィア亜属):8種、西マダガスカルに分布

    • genus Psilanthus(シランサス属、プシランサス属)

      • subgenus Psilanthus(シランサス亜属):2種、中央および西アフリカに分布

      • subgenus Afrocoffea(アフロコフィア亜属):18種、アフリカ、アジア、南アジアに分布

シランサス属については今のところ栽培や利用などが行われていないため、十分な情報を集めきれていないが、アカネ科(Rubiaceae)の中でも特にコーヒーノキ属と近縁であり、他の同科の植物に比べ遅い時期に分岐したと考えられているようだ。また、シランサス属の地理的分布が南アジアに見られることから恐らく、両者の共通の祖先となる植物は、アフリカ、マダガスカル、インドが地続き〜近接していた頃(ゴンドワナ大陸の一部)に自生しており、それがプレートの移動(プレートテクトニクス説)によって大陸が分かれた後、アフリカ大陸でコーヒーノキが生じたと考えられてる(Cros 1998)。なおマダガスカルのコーヒーノキはアフリカから移入したものに由来すると考えられている(Cros 1998)。