ドリップポットの選び方

ドリップの良否はポットで決まる(はず)

高いものなら大体は安心して使えますが、安くてもポイントを押さえておけば使いやすいマイ・ポットが手に入ります。

一口にどのポットがドリップに向いているかと言っても、結局いちばん大事なのはその人の「慣れ」です。極端な話、ただのヤカンでも、極めてしまえばなまじ高いポットを使うよりも上手に注げるのかもしれません。

でも、これはあくまで極端な話で、実際にはヤカンで理想的な注湯を行うのは実質不可能だといっていいでしょう。やはり「餅は餅屋」ということで、ドリップポットを使うほうが確実です。

かと言ってコーヒー専門店の店先には安いものから高いものでは10000円を超すようなものまで置いてあります。一見大して変わらないように見える専門のドリップポットを注意深く観察すると、自らポットを買うときのポイントが見えてきます。

ここに挙げたポイントは総て満たさなければならないというものではありません。もし総て満たすようなものがあったとしても随分高いものになってしまうでしょう。

そういう高いものはある程度安心して買うことができるはずですから、むしろ安いものを買おうとするときにポイントを知っておけば、より使いやすいものを手にいれることができると思います。

口の細さ

ドリップポットとして売られているものの、特長の第一点は注ぎ口の細さです。同じサイズのポットと比べてみると少なくとも一回り、すごいものでは一見水差しのような口の細いものまであります。

口が細いということは、一度に出てくる湯の量が少なくなることに繋がります。基本の項に述べたように、ドリップの場合、できるだけ湯を静かに注げることが重要ですから、そのことから言っても 口の細いものを選ぶ ことは非常に重要なポイントになります。

口の形

口の細さと並んで重要なことに、注ぎ口の形があります。近くの珈琲屋などで、もし同じようなかたちのポットなのに値段が随分違うものがあるようでしたら、口の形を確認してみてください。

注ぎ口の下側が突き出ているものを「鶴口」と呼びます。これは普通のものよりも、湯が細く注げるように形作られているものです。そのため、ドリップに使うのでしたら 鶴口のものの方がより望ましい といえます(その分値段も高くなりますが)

口の位置

高いドリップポットと安いものとを比較した場合に、注ぎ口のある位置(高さ)が違うのにお気付きでしょうか? 高いポットの方ではかなり高い位置−蓋よりもほんの少し低い程度−に注ぎ口があるように作られています。

このため、注ぎ口をドリッパーに入れてあるコーヒーの粉に近付けた場合でも、ポット自体の角度が保たれます。逆に注ぎ口が低いと、粉に近付けるためにはポット自身をかなり寝かせるようにしなければならず、高い位置から注がざるを得なくなり、結果として湯の勢いが強くなりがちです。

また次の項目にも述べますが、ポットのバランスの関係からも、注ぎ口が高い位置にあるものの方が安定がいいようです。

比較的見落としがちなポイントですが、 注ぎ口の位置が高いものを選ぶ とそれだけでも随分注ぎやすくなります。

大きさ、バランス

最後に述べてはいますが、これはかなり重要なポイントです。ドリップポットに関して言えば、大は小を兼ねません。大きすぎると扱うのに力が必要になるため、細かいコントロールが難しく、湯の勢いも強くなります。

むしろ小さいものの方が結果として注ぎ口も細く、扱いやすいこともあって、ドリップすることだけ考えれば便利です。しかしあまりに小さいものでは、ドリップ中に何度も湯を継ぎ足さねばならなくなりますから、 普段淹れる人数分を考慮して大きさを決めましょう。

それから、もし直接手にとって見ることができるようでしたら、把手の部分を持って軽く提げてみたときの全体のバランスを見てください。このときひどく傾いているようでしたら、この持ち方−いちばん楽な持ち方−では中に水を入れた時に強い勢いで流れ出てしまうはずです。ですからドリップするときに余分な力が必要となり、その分コントロールが難しくなります。

提げてみたときにあまり傾かず、注ぎ口の角度が安定したものを選ぶ と力もかからず、その分、微妙なコントロールも可能になります。