もうちょっとだけおいしい珈琲を

珈琲をおいしくするほんのちょっとのポイント(なかには眉唾物もあるかも?)

ここではあまり専門的な論議は避けますので、それぞれ専用の項を参照してください。

店の選択

コーヒー豆を買ってきて淹れる場合、どこで買うかはもっとも重要なポイントの一つです。味の上限はほとんどの場合ここで決まります。

コーヒー豆は、喫茶店・コーヒー豆販売専門店(デパートなどのコーヒーコーナーも含む)・スーパーやコンビニ(パック詰め)などで売られています。ここでは前のふたつに絞って話をすすめます。パック詰めに関しては、そういった店舗やメーカーには申し訳ないのですが、あくまで鮮度を「保とうとする」努力でありどうしても本当に新鮮なものにはおよばないのが実情のようです。

店を選ぶ際、大事なのは 回転(豆が売れて新鮮なものに入れ替わる)の速さ です。高級なブレンドやストレートの種類が多いのも確かに大事ですが、高級だけど古くなった焙煎豆とやや生豆自体の品質は劣るが新鮮な焙煎豆とでは、後者の方が淹れる時も飲む時もより楽しむことが出来ます。

回転のスピードを知るには、何日間か豆の残量を観察してみるのがいちばん正確です。普通の店では豆を客に見せるために室温で置いていますから、一週間もたてば劣化します。できれば 週に2回以上の入れ替えのある 店を選びたいものです。

無論、いちばん大切なことは 店の人がどれだけ珈琲に愛情と理解を持っているか という、ただこの一点に尽きるでしょう。そういう店を見つけることがおいしい珈琲のための第一歩です。

参考までに僕が店を選ぶ場合の基準を示します(例のごとくあくまで参考です)。番号の小さいほうから優先します。

    1. 豆を直接見て買えること(大前提)

    2. 人の出入りに対して置いてある豆一種類あたりの量が比較的少ないこと

    3. 豆の包装が理に適っていること

    4. 空調設備が機能していること

これ以降は店のカラーに依存して判断します。

    1. 抽出器具の品揃えが充実していること

    2. ブレンド主体の店の場合(浅め)(中間)(深め)の三つを完備していること

    3. ストレート主体の店の場合、奇をてらった物だけでなく基本的なもの(ブラジル、コロンビア、モカなど)が揃っていること

    4. やたら高い料金設定をしていないこと

買う豆の選択

大部分は 店の選択 と重複しますが、ここでも大事なのは 豆の回転の速さ です。店ごとに消費の早い豆と遅い豆がありますが、一般的な傾向から見て、ブレンドの中で安いものが回転が速いように思われます(回転がいいから安くできるという話も)。ただ、ある程度以上の入れ替えが行われていれば十分ですから、極端な話、毎日1回入れ替わるストレート豆が、一日に3回入れ替わるブレンドに劣ることなどありません。要は回転の遅すぎる豆は良くないという、それだけのことです。 週に2回以上の入れ替え があれば十分だと思います。また多少回転が遅い豆でも、何日か観察して、 入れ替わった時点で買う のもよいでしょう。

回転の良さを踏まえたうえで何を買うかですが、これこそ「個人の好みによる」としか言えません。当たり前のことですが自分の飲んでみたい豆を買うのがいちばんです。

それでも何を買うか迷ってしまう場合、ブレンドについてはその店でどんな味か聞いてみるのがいちばんです。何と何のブレンドかなどということより、薄めか濃いめか、酸味が活きているか苦味が活きているか、といった点が重要です。自分の好みの判らない人は店員にお薦めのものを聞いてみるのが手っ取り早いでしょう。

ストレート豆の味についての議論は専用の項(準備中)に譲ります。

コーヒーの味が判別できるようになりたい人には、まずブラジルから入ることをお薦めします。ブラジル(ブラジルサントス)は苦味酸味ともに中間的ですから、この味を物差しにして、他の豆の味を評価することが容易です。また品質が安定しているのも抽出の練習には持ってこいです。

自分で焙煎する (maniac!!)

くわしくは専用の項(準備中)をごらんください。

純粋に味にこだわるのでしたら、必ずしも自分で焙煎する必要はありません。確かに焙煎後は豆の鮮度はどんどん落ちていき、早めに消費しなければなりませんが、焙煎直後の豆は煙臭の残留や炭酸ガス含量が高いため味が安定せず、本当においしいのは焙煎後2〜3日目です。したがって十分信頼できる、回転の速い店舗から買うほうが、自分で焙煎して失敗するよりもよい豆が得られる場合も多々あります。

陰干し

焙煎前に一晩生豆を陰干ししておくと、水分含量が揃ってくるため焙煎が容易になります。もちろん「陰干し」ですから直射日光や多湿を避けるべきことは言うまでもないことでしょう。

豆を挽く直前のハンドピック

ハンドピックは本来、焙煎の前後に品質を揃えるために焙煎する人が行うものですが、これを豆を挽く直前に自分でやってみましょう。

ただし挽き売りで買った場合はもちろん出来ませんし、ブレンドの場合も見極めが難しいのでやや困難になります。

ネガティヴセレクション

通常、異物や明らかに不良な豆は除かれているはずです。それでもこれらが見つかった場合は問答無用で除きます。

次に除くべきは煎りむらのある豆と、色がうすく十分に焙煎されてない豆です。前者は焙煎時の水分のとばし具合の不良、後者はもとからの不良豆だったことなどが主な原因として考えられます。

その他、他の豆と見た目の違うものをどんどん除きましょう。全体が揃えば揃うほど上質なものが得られます。なぜならストレートでの焙煎では、すべての豆がある一つの理想型になるように焙煎を行う(はず)ですから、そこから外れている豆はそれになりそこなったものであると考えられるからです(その外れている点−焙煎の深さ−に理想的に到達するには、その点のための理想的な過程に添うべきである)。

十分にセレクションをかけたら、後はその手間を慈しみつつ、普通に淹れてください。

もちろん除けば除くほど豆に無駄が出ますので、もしこれ以上を望むのであれば次の「ポジティヴセレクション」をしたほうがよいでしょう。

ポジティヴセレクション (maniac!!)

ポジティヴセレクションは「悪い豆を除く」のではなく「いい豆だけとりだす」方法です。

何も難しいことはありません。豆の中でいちばんきれいだと思うものをピックアップしていってください。あまり欲張っては本当にいいものは飲めません。

抽出直前に挽く

抽出直前に挽くのは、おいしいコーヒーを飲むための基本の一つです( 粉の項 も参考にしてください)。

コーヒー豆は必要分だけ量り、挽いたらすぐに使いきり、残さないようにします。もし、どうしても「私はこの粉を残したいんだ」という人だけ こちら を参考にしてください。

自宅で豆を挽くためには コーヒーミル が必要です 。安いもので数千円からと、必ずしも安いとは言えませんが、一度コーヒー豆を挽くあの香りをかいだら病み付きになること請け合いです。

ミルについては詳しくは 別の項 に譲りますが、一般的なドリップで抽出するときには、ミキサータイプのものはあまりお薦めしません。熱の発生もさることながら、粒子径がまったくと言っていいほど揃いません。ただしエスプレッソ用のごく細挽きをするときには役に立ちます。

ミルを休ませながら挽く

グラインディングミル で多量の豆を引く場合、特に電動式のものでは熱の発生が大きいために、味を落としてしまうことがありますので、少し(電動なら10秒程度)挽いては休息を繰り返すことが重要です。

シルバースキンを除く

シルバースキンについては こちら も参考にしてください

挽いた後のコーヒーの粉にまじっている白っぽいものがシルバースキンで、雑味の元になります。

豆を挽いた後 (TRY IT!!)

豆を挽いた後、粉の表面に浮いているシルバースキンを口で吹いて飛ばします。一回では表面に見える分しか除けませんので、粉を揺すってシルバースキンを浮き上がらせ、また吹き飛ばします。これを気の済むまで繰り返しください。同時に茶こしを使って 微粉を除く とより一層効果的です。

豆を挽く前 (maniac!!)

豆を挽く前に、あらかじめおおざっぱに砕いてやります。この状態なら挽いてしまうと分離の難しいシルバースキンも簡単に除けます。極粗挽き(5mm以上)になるように調整した専用のミルを使うのもいいでしょう。

ただし、砕くにせよ2度挽きにせよ時間がかかりますので、熱の発生と酸化には十分に留意しましょう。

微粉を除く (TRY IT)

シルバースキンについては こちら も参考にしてください

微粉は豆を挽くときにに生じる、文字通り細かい粉のことで、これが多く混じると抽出オーバーになり、渋味などの雑味を生じます。 豆を挽いた後、シルバースキンと同様に 吹き飛ばして減らすことも可能ですが、茶こしを使えばより効果的です。

挽いた粉を茶こしに少しずつ移し、ふるいにかけて微粉を落とします 。一度にやるよりも少しずつやったほうが効率よく除けます。このあとで、揺することで浮いてくる シルバースキンを吹き飛ばす とよいでしょう。茶こしの中を直接吹いてもいいですが、息が抜けてしまうため、手間はかかりますが、やはり別の容器に移してからの方がよく除けます。

メッシュを揃える (maniac!!)(maniac!!)

欲しい径に応じたふるいを使って、粉のサイズを均一に揃えます。ふるいは欲しいメッシュの前後2枚は必要ですが、これをやるぐらいの人なら数枚は持っていることでしょう。

静電気との戦いになりますが。

エスプレッソ用の極細挽きを作る

エスプレッソ用には通常、極細挽きの粉を使いますが、普通の家庭用のミルではなかなか上手く挽けません。ミルを調整した上で二度挽きするなど、いろいろやってみるのも一つの手ですが 微粉を除く のと逆の発想で、挽いた粉を茶こしにかけ、通り抜けてくる粉だけを集めるというのも一つの手です。

ただしかなり根気と手間のいる作業です。

また家庭用のエスプレッソマシーンの中にはあまりメッシュの細かい粉を使うと詰ってしまうものもありますので、自分の使っている器具で可能かどうかは、予め市販のエスプレッソ用の粉などで確認しておいたほうがよいかもしれません。

「湯の花」を差す (maniac!!)

ペーパー・ネルドリップではもちろん湯を注ぐわけですが、水道水を使う場合にはもちろんカルキを抜く必要があります。沸騰させればカルキは抜けるのですが、お茶を淹れる時にも見られるように、一旦沸騰させるとどうしても水としての味が落ちてしまいます。そこで一度沸騰させたお湯に氷のかけらを溶かしてやることで風味を補充する方法が用いられますが、このとき足す氷のことを「湯の花」と呼びます。

もちろん大きすぎるかけらを入れて湯温を下げてしまうのは論外です。また湯の花はできる限りおいしい水で作るのがよいでしょう。

ドリップポットを自作する

ポットの選択はドリップ方式で淹れる場合には非常に重要なことです。市販品にはいいものも多いのですが、さすがに使いやすいものになればなるほど値段も高くなります。

要は口が細くて水流がコントロールしやすいものなら、別に高級品でなくともかまわないわけですから、植木用の水差し(樹脂製は避ける)を使ったり、安いアルミ製のヤカンの口をペンチで潰したりして、自分だけのドリップポットを工夫してみるのも一興です。

結局は慣れない高級ポットより使い慣れたものの方がおいしく出来上がることの方も多いのです。

最初の数滴

ペーパー・ネルドリップで珈琲を淹れる場合、お湯を何回かに分けて注ぐ、その一回目は粉を 蒸らす 目的で行います。通常、この段階では濃厚な抽出液が2〜3滴落ちてくるぐらいを目安にしますが、このわずか数滴が珈琲の味に影響を与えます。

この、最初の数滴は非常に良質の苦味が凝縮されている部分ですが、同時に雑味も含まれていて、豆によってはこれを残すと味が濁ることもあるようです。とはいえ、捨てるのは勿体ないのも確かで、この数滴を残せば個性が表に出た、苦味のある味に仕上がりますし、捨てれば苦味の少ない、あっさりしたものが出来ます。

あっさりしたものが好きならば最初の数滴は捨ててしまい、個性の強いものを楽しみたいなら残したままにするようにして、自分の求める味に合わせて使い分けてみてはいかがでしょうか。

インスタント珈琲の消費法

いやしくも珈琲に対して何かを言おうという人なら、インスタント珈琲を、いわゆる「レギュラー珈琲」と同列にならべることはないでしょう。僕もまちがいなくその一人です。

つまり「インスタント珈琲は珈琲ではなく(コーヒー牛乳などと同じ)珈琲風味の飲み物である」ということなのです。コーヒー牛乳が珈琲としてどうだという論議がばかげているように、インスタント珈琲もまた、そもそも珈琲と比較すべきものではないのです(もちろんおおっぴらに「珈琲」を名乗っていることに対する不満はありますが)

インスタント珈琲は「珈琲」に比べ味が単調で香りの薄い飲み物です。ですからそのまま飲むにはもの足りません。そこでインスタント珈琲を飲む際は、いわゆるアレンジコーヒーにすることをお薦めします。

特にリキュールやスパイスを用いるものは、インスタントの風味を補い、予想外にいい出来に仕上がります。生クリームは風味の強さにインスタントではついていけず、あまりお薦めしません。かわりに牛乳ぐらいなら大丈夫です。

もちろん、これらは結局「アレンジコーヒー」の代わりの「アレンジインスタント珈琲」で、アレンジコーヒーには及ばない点も多いのですが、インスタント珈琲は顆粒状になっていて、濃度(味の強さではなく純然とした濃さ)を飲んでる最中に容易に変えることが出来るので、特に新しいメニューに挑戦する時、そのアレンジに合った濃さを考えるのには非常に有効なやり方だと思います。