コーヒー粉 (Granule)

ここではコーヒー豆を挽いた後のものをコーヒー粉(あるいは粉)として表記します。

種類

ここでいう種類とは豆の違いではなく、コーヒー粉としての種類です。豆の種類についてはコーヒー豆の項を見てください。

コーヒーの粉を手にいれる場合、以下の3通りが一般的です。

    • 挽いた後でパック詰めし販売しているもの

    • 豆で買って店頭で挽いてもらうもの

    • 豆で買って自分で挽くもの

コーヒー豆のところでも言及しますが、焙煎後のコーヒーは、香り成分の散失や成分の酸化などによって、どんどん劣化していきます。コーヒー豆を挽くことにより全体の表面積は数十倍になり、空気との接触面積が増すために劣化のスピードは豆の時とは比べものにならないほど速くなります。結論から言えば コーヒー豆は淹れる直前に挽くのがいちばんおいしい といえます(至極当然のことですが)。

挽きかた

ここで言う「挽きかた」は粉の大きさ(粒度)および性状のことです。豆の挽きかたは挽くのに用いるミル(グラインダー)に依存します。

豆を挽くときに重要なことは

    1. 粒子の大きさが均一であること

    2. 挽くときに過剰の(摩擦)熱が出ないこと

です。

粒子の大きさが不均一だと抽出のされかたも不均一になり味も落ちます。また過剰の熱が出ると成分の酸化が急激に起こり、味の劣化につながります。これらは共にミルの性能によるものですから、これを防ぐためにはミルの選択が重要です。

粒度(メッシュ)は以下のとおりに大別されます。

ただし、実際のところ店頭で「20メッシュに挽いて」とか「粒子径0.8mmぐらいで」などと注文することはありません。そこが普通の店でしたら、「ペーパー用」「エスプレッソ用」あるいは「粗挽き」「細挽き」などと頼むのが普通です。自分で挽く場合も、通常のミルだったら粒子径どころか「粗挽き」「細挽き」という挽き加減も自分で大体の感じに調節するのが普通です。

また、いちばん右に示した「主な抽出法」はあくまでも一般論です。珈琲の味を決めるのはもちろん「抽出法と豆の挽きかただけ」ではありません。ただし、一般的に言われている粉の量で一般的に言われている抽出のプロトコルで抽出した場合にもっとも一般的な味になるものを(かなり主観的かつ抽象的な表現ですみません)掲載しています。

分量

一般的に言われている分量を下に示します。

ここに示した分量は、数人分入れるときの一人当りの平均値として考えてください。

基本的に人数が少ないときは一人分当りの量を多く、人数が増えるほどに少なく調節します。とはいえ、始めのうちはぴんと来ないでしょうから例を示します。

例:ペーパードリップのときの粉の量(g)

ここに示したのはあくまで目安です。分量も、きっかりこれでなければならないことは全くありません。ただし、ストレートの場合はブレンドの場合に比べ、粉の量を少し割り増したほうがよい出来になるようです。

豆を自分で挽く場合、挽いた後では 微粉 などのロスでわずかに軽くなりますが、ミルにかけるまえの豆の重さで考えて差しつかえありません。

秤量はもちろんハカリを使うのがいちばんですが、無い場合には 「メジャースプーン」 を使うのが簡単です。メジャースプーン一杯は市販品の場合、通常、豆で11〜13 gになっています。

ただし、特定の抽出装置に付属するものやメーカーによっては、このかぎりではありませんし、粉を量る場合、メジャースプーンでは嵩を用いて量るため、粉の挽き具合によっても若干のずれがでますので、あらかじめ計量して確かめておくほうがよいでしょう。

粉の量はもちろん珈琲の味を左右する重要な因子の一つです。同じ豆でも挽きかたと量を変えることで全く味を変えてしまうことすら可能です。

不純物

あまり一般的には言われてないようですが、豆の段階では存在せず、挽いた後で混じってくる不純物があります。「シルバースキン」と「微粉」です。

「シルバースキン」 はもともと、コーヒー豆(種子)を包んでいる皮の一つです。自分で豆を挽いたことのある人なら、挽いた後のコーヒーの粉に白っぽいものがまじっているのをおそらく見たことがあるでしょう。豆の外側を包んでいる大部分は精製の過程で除かれますが、乾燥式の豆では残ってしまうことがあります。また豆の隙間の部分(センターカット)のシルバースキンは、乾燥式の豆で焙煎が深い場合は焼失しますが、水洗式の豆ではかなりの深煎りでも残ります。シルバースキンは渋味をはじめとした雑味がの原因の一つです。

「微粉」 は豆を挽いたときに同時に生じる、文字どおり「微かな粉」です。特にカッティングミル(ロールグラインダー)を用いたときなどによく見られます。微粉が多いと他の粒径が揃っていても、微粉からの過抽出のためにひどい味になることがあります。

「シルバースキン」も「微粉」も共に雑味の原因ですが、どちらも挽いた粉よりもはるかに軽いため、 吹き飛ばすことで簡単に除去できます。 業務用のカッティングミルなどではこの除去機能を持ったものもありますが、家庭では挽き上がった粉を揺すりながら、表面に浮いてくるシルバースキン、微粉を吹き飛ばしてやるとよいでしょう。

微粉がミルの摩擦による静電気でミルの内部に付着し、それにシルバースキンの混じったものを 「チャフ(chaff)」 と呼びます。もちろんこれも雑味のもとです。ミルによっては前述の原理でチャフを除去する機能を持ったものもありますが、家庭用では こまめに掃除することがチャフを除くいちばんの良策 です。

保存

どうしても粉の状態で保存したい場合は豆の場合と同様、

    1. 気密容器(タッパーなど)に入れて、

    2. 冷凍室で保存

することをお勧めします。

加えて、

    1. 小さな気密容器に1回分ずつ小分けにして、

    2. エージレスなどの脱酸素剤を入れておく

となお良いでしょう。原理的には豆の場合と代わりません。

ただし豆と異なり、粉の場合は吸湿性が高くなるのでさらに注意が必要です。冷凍庫から出してすぐに容器の蓋をあけてしまうと、外気との温度差でたちどころに吸湿してしまいます。粉が吸湿すると十分な蒸らしができなくなり、味も劣化します。ですから、特に粉の場合は 容器ごと室温に戻してから中身を取り出したほうがよい ようです。