「病気を治すのは、自分の免疫しかあり得ない(潰瘍性大腸炎手記)」
30歳2016年10月25日
30歳2016年10月25日
『発症~診断』
潰瘍性大腸炎と診断されたのは、2015年7月末頃、左側大腸炎の中等症でした。半年以上下痢が続き、仕事でのストレスが極限になった際、遂に血便が出たので、慌てて病院に行きました。その時は、痔だろうと痔の薬を処方されましたが、自分の感覚的に痔ではないだろうと思っていたので、もう1度病院に行き、以前からお世話になっていた主治医の元を訪ねました。以前からお世話になっていたというのも、更に遡る事2年ほど前、同じ様に半年以上続く下痢に悩まされ、内視鏡検査を受けた医師でした。その際は、特に異常も見つからず、過敏性腸症候群との診断でした。今考えるとその頃から、徐々に悪くなってきていたのでしょう。
『自分と向き合って』
私は小さい頃から、音楽一筋で頑張ってきました。中学、高校は友達が遊んでいるのを横目にお稽古に励み、大会出場に、コンサートに・・・。どこの世界でもよくある話ですが、この頃指導者の度重なるセクハラに、心を病み謎の発作で学校になかなか行けなくなりました。何とかこの状況から抜け出したくて、必死で練習して、大学は東京の音楽における最高学府に合格する事が出来ました。しかしながら、そうそう甘い世界ではなく、全国から集まる精鋭達に完全に叩きのめされました。物凄く高いレベルの中、物凄く厳しい教授の元で学びました。それはもう辛くて辛くて、何度も親に電話して実家に帰りたいと話したものです。しかしながら、持ち前の?負けん気と根性でその中でも必死で頑張って、数々の大会で良い成績を残せる様になりました。
音大を卒業しても、1人で食べていける人なんてほんの一握りの中、私はありがたい事に、人や仕事に恵まれ、音楽だけで食べていける喜びに満ちておりました。学生時代に頑張って結果を残しておいて本当に良かったと、思っておりました。しかし、ひとつひとつの演奏の仕事は極限の状態で、いつも下痢をしており、それが普通の状態になっていました。どんどん身体は悲鳴を上げていたのに、「仕事を頂いているうちが華、いつ声がかからなくなるか分からない。引き受けられるものは全て引き受ける。」と自分に言い聞かせ、全国各地を周り半年間休みなしなど当たり前で働き続けました。コンサートの後は、大体打ち上げ。緊張で睡眠不足、食事もろくにとっていなかったにも関わらず、緊張感から解き放たれ、弱っている身体に大量のお酒を入れていました。
こんな生活を送っていて、身体を壊さないわけがないと思います。何かがおかしい、早く何とかしなければと婦人科、心療内科、精神科、脳神経外科・・・色々な病院で診て貰っている時期もありました。結局どこも異常はなく「皆頑張ってるんだからもっと頑張らないと。」と周りの期待に応えなければいけないと考えていました。しかしながら正直「一体私は何処まで頑張れば良いの?」と思うようになりました。
今となっては、UCになったのは完全に自業自得で、自分の身体に心から謝りたいです。1番大事な自分の身体なのに、大切にしてあげられなくてごめんね、と。UCになった時絶望しましたが、その後頭に浮かんだのは、「これで、罪悪感なく仕事を断れる・・・。」でした。完全に病んでいますね(笑)
『治療開始』
2015年7月末にUCと診断され、その後落ち込み、あまり食事が喉を通りませんでした。そして、段々酷くなる下痢と血便と腹痛で遂に8月頭に、救急で運ばれ入院する事となりました。38度位の熱と、1日30回以上の下痢で3日間程絶食で泣きながら入院していました。UCの悪化はこんなにも辛いものなのかと・・・。その後少し落ち着いて来たので、1週間程で退院しましたが、検査で後々分かったのは、この時UCの悪化ではなく、O-153という食中毒に罹っていたみたいでした。
退院後は仕事を休み、ゆっくり静養しました。母も心配して1ヵ月程看病に来てくれて、おかげで徐々に回復し、3週間後には仕事(演奏の仕事ではなく、講師業)を再開するまでに至りました。この時ばかりは、自分で自分の仕事量を調節出来るフリーランスで良かったと思いました。
薬はアサコールを1日9錠と、ミヤBMを6錠でした。2015年8月~2016年5月までは、この処方で何とか持ち堪えました。しかし、アサコールでカラッと良くなった訳ではなく、良くなったり悪くなったりを繰り返しており、半年に1回のペースで内視鏡検査をしておりました。内視鏡検査では徐々に良くなっている様でしたが、あまり実感はしておりませんでした。そして、2016年5月、今まで演奏の仕事は全てキャンセルしていたのですが、4月から徐々に再開していました。もちろん、負担の少なそうな物を選んで。しかしながら、身体はまたもや悲鳴を上げてしまい、5月ゴールデンウィーク過ぎた頃から、徐々に悪化してしまい、入院以来となる血便をまた拝む事になってしまいました。
病院では、免疫抑制剤を勧められまして、私は絶対にそれだけは避けたいと思っていたので、「遂にこの時が来た、松本漢方クリニックに行こう」と決心しました。実は松本漢方クリニックの事は病気を発症した時に自分で治そうと思って色々調べていて知っておりました。しかしながら、発症後直ぐに入院してしまい、周りに相談するも、とりあえず西洋医学で様子見てみてから決めたら?という事で、自分も弱っていて大阪に行く体力がなかったので、もしも薬が強くなったりするようなら、絶対に松本漢方クリニックに行こうと決めておりましたので、主治医にも話をして、松本漢方クリニックにお世話になる事にしました。
『松本漢方クリニック受診』
東京から新幹線に乗って、主人と一緒に向かいました。実は退院後、体力が回復してから主人と結婚しました。きっとこの結婚が、私にとってとても大きい事だった様に思います。主人は「これからは、自分が支えるからやりたい様にやれば良いよ。」と言ってくれました。「もう1人で頑張らなくて良いんだ。」とどれだけ救われた事か。
さて、松本漢方クリニックに到着し、漢方の香りにとても癒されました。松本先生は、想像通りの方で、とても熱い信念を持っておられる先生だと感じました。何度も手記や論文を読んでいましたので、先生の仰る事は大体理解出来ました。私も病気を治すのは、自分の免疫しかあり得ないと、漠然と思っていたので先生の理論を拝見した時は、コレだ!!と興奮したのを覚えています。西洋医学では、免疫を上げなければいけないのに、どうして下げる薬を飲まねばならないのかとても疑問に思っていました。この日は血液検査と針とお薬を頂き、いよいよ漢方開始です!
『漢方開始』
今まで飲んでいたアサコールとミヤBMをやめて、断痢湯と治打撲一方湯の煎じ薬、生理痛、肌荒れの顆粒薬を処方されました。漢方を飲み始めて、10日程でリバウンドと思われる下痢と血便が出始めました。遂に来たかと思いましたが、3~4日で治りました。その頃血液検査の結果も出て、そんなに数値も悪くないそうで、このまま薬を続ける様に言われました。
治療後約2ヵ月経った8月には、9泊10日かけて東京~九州へ色々な場所を経由しながら、車で旅行しました。この頃は、少し柔らかめの便でしたが、有形で1日1~2回で安定しておりました。旅行途中、松本漢方クリニックにも伺い、調子が良いこともお伝えし、血液検査を受けました。クーラーボックスの中に煎じ薬を入れて、カセットコンロと鍋を持参し旅館で漢方を煎じて旅しました。おかげで、ずっと調子も良く楽しい旅行になりました。車で3000キロも旅出来るなんて、自分でもびっくりしています。
旅から帰って来て、ストレスは何も苦痛の時だけではなく、楽しい旅行であっても様々な場面で感じているはずですので、きっと帰って来たら免疫が上がってリバウンド来るだろうなと思っていました。案の定9月頭から急に下痢し始めました。第2次リバウンド期でしょうか。先生に相談すると、「8月の血液検査はあまり異常がなかった。ヘルペス薬を出すので、様子見るように。」と言われました。そして、数日後アシクロビルが届きましたが、高いのなんの!貧乏人の私はこれは早く治さなければと更に気合いが入りました。
アシクロビルを飲んでいましたが、正直特に変化はありませんでした。どうしたもんかなと思っていた矢先、丁度難病更新の手続き書が届き、これを期に久しぶりに内視鏡検査受けてみようと思い、10月14日に受けて参りました。9月頭からずっと下痢しておりましたので、悪化してるのかな、どうしよう、と不安でしたが、結果は何と、「正常な大腸ですよ。めちゃめちゃ綺麗になっています。漢方が凄く効いているみたいですね。」と・・・。びっくりしました。そしたらこの下痢は一体何処からやって来ているのだろう?病院の先生は、「過敏性腸症候群か、漢方が効き過ぎているのかな。」と言われましたが未だに謎です。
そして、更に驚く事がありました。私達夫婦は子供を望んでいて、8月の血液検査の結果を見て松本先生より妊活のお許しが出ていました。そういえば、生理が遅れているなと思い病院に行った所妊娠が発覚しました。まだまだ初期で、出血や腹痛もあり絶対安静と言われております。これからどうなるか全く分かりませんので、本当はまだ公表したくなかったのですが、今治療に苦しんでおられる方や、持病があって子供を望んでおられる方へ少しでも希望になればと思い、書かせて頂きました。こんな私でも命を授かれた事に感激しています。婦人科の先生から薬を一旦やめる様に言われましたので、ここ1週間ほど何もお薬飲んでおりませんが、お腹の調子はわりと良くなってきて、現在有形~軟便で1日1~2回程です。
これから、お薬やお産など先生に色々ご指導頂きたいと思っております。あの時、松本漢方クリニックを受診して本当に良かったです。あのまま西洋医学で治療していたらと思うと、ゾッとします。新しい命を授かることもなかったでしょう。松本先生、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。