「一生治らないと言われた潰瘍性大腸炎を治してもらって・
ニキビ手記」
21歳2015年11月17日
21歳2015年11月17日
1.発症
僕の身体に異変が起きたのは、今から9か月前の2015年2月の半ば頃でした。就活を目前に控えた大学3年生でした。ある日、血の付いた少し下痢気味の便が出ました。最初は、「たまたまお腹の調子が悪いだけで、すぐに治るだろう」と思っていました。しかし、お腹の違和感は続き、翌日には、ほぼ血まみれの軟らかい便が出ました。「さすがに、これはまずい」と思い、インターネットでいろいろと調べ、近くの肛門科へ行くことにしました。
その時は潰瘍性大腸炎などとは夢にも思わず、「痔かな?」程度に考えていました。初めてのお尻の触診は激痛でした。そして、さらにショックな結果が告げられました。「痔じゃないね。大腸の方に原因がある。大きい病院に紹介状を出そう。」その日はじめて家族に相談しました。深刻なことなので言い出すのには勇気がいりました。
2.市立病院
近くの肛門科受診から数日後、近くの大きな市立病院でいくつかの検査を受けました。内視鏡検査の前に飲む下剤が不味くて、すごく辛かったのを覚えています。検査着になり、麻酔をかけられ、腸と胃にカメラを入れられるというすごい体験をしました。「潰瘍性大腸炎の可能性が高いです。」と思っていたより大きな病気であることを告げられました。そして「ほぼ完治できない難病に指定されています。」「酷くなる時期と治まる時期があって、薬を飲み続けて治まる時期をなるべく長くしていくのが今の治療法です。」という説明を受けました。
自分が一生治らない病気にかかったという事実がすぐには信じられず、「なんとかして治らないだろうか」と心のどこかで願っていました。それまで「自分は健康で、薬や病院とは無縁だ」と信じていたものなので、それまでの当たり前の日常が遠のいていくような気がしました。
処方された薬は「ペンタサ錠」と「ビオスリー配合薬」というもので、毎食前に飲んでいました。薬を飲むまでは、切れの悪い便が1日3~5回程あり、便に血が混じっていましたが、錠剤をもらってからは、徐々にトイレの回数が減り、日常への支障は軽減しました。しかし健康な便と言える状態までにはなりませんでした。また、日ごとのばらつきもありました。ひどいときは急に下痢が来て、下着を汚してしまったことも数回ありました。
3.松本漢方クリニック
「“潰瘍性大腸炎は治せる”と言っているお医者さんがいる」、母がインターネットで調べて、そう教えてくれました。市立病院では一生治らないと言われたのに対し、松本漢方クリニックというところでは完治を宣言しているというので、行くことを勧められました。
しかし、僕はにわかには信じられず、「すぐに行こう」とは思いませんでした。松本漢方クリニックのサイトをざっくりと読んでみても、胡散臭いという印象が強かったです。なにより、その時の僕は市立病院で言われたことをそのまま鵜呑みにしていました。「大きな病院の先生が言うのだから、言われた通りにするしかない。」と、疑うことをせず、他に治せる方法を探そうなどとは思いつきもしませんでした。
ペンタサを飲み始めて約3ヶ月経った6月の初め、試しにということで松本漢方クリニックに行ってみることにしました。行くまではネットで口コミを調べるなど、疑いを持ったままでした。家から電車で約1時間。遠方から来る患者さんもいるそうで、比較的近くに住んでいる僕は幸運でした。
医院に入ると漂う漢方の香りと決して新しくはない内装が印象的で、今までに行った病院とは違う独特の雰囲気でした。一番独特だったのは松本先生でした。「西洋医学の医者は患者を薬漬けにして金儲けをする悪党!!」「薬が病気をつくる!!」と、パワフルな口調で説教されました。先生の主張に対しては、「一理ある。でも本当にその間違ったことが日本中の病院で常識として通っているの?」と半信半疑でした。
しかし、「普通の薬で無理に免疫を抑え込むのをやめ、本来持っている自分の免疫力を高めて病気を治す」という点には僕も納得し、漢方を試してみることにしました。鍼灸もやってもらい、少し体がすっきりするような、不思議な感覚を体験しました。また、僕には2年ほど前からニキビの悩みもあったので、赤色と黄色の漢方軟膏ももらいました。
松本漢方クリニックに行く少し前、皮膚科に行き、もらったニキビの塗り薬を使いましたが、1度治まった後、しばらくしてまた出てきた事がありました。松本先生によると、これも良くなかったそうです。ニキビも免疫が悪いものを外へ出そうとするときの症状であって、これを薬で無理やり押さえつけたから、悪いものが体内に残ったそうです。ニキビの件が大腸とも関係があると知って驚きでした。
4.漢方とリバウンド
早速それまで飲んでいた錠剤はやめ、漢方薬に切り替えました。最初は苦くてシロップを入れないと飲めませんでした。(この苦さが体の「不純物を追い出す力」を目覚めさせるそうですね)。煎じるのも手間がかかるし、錠剤のほうが楽でいいやと思うこともありました。しかし、一生薬に依存して病気の悪化におびえながら生きるのと、しばらくの間だけ耐えて健康な体を取り戻すことのどちらがいいかを比べ、考え直しました。
薬を変えたことで、体にも大きな変化がありました。それまで薬でせき止められていたものが一気に出てきたようでした。便は多い日で8回ほどになりました。食後は必ずお腹がグルグルと鳴り、トイレへ駆け込みます。便器の中が一面真っ赤になる下痢が出たこともあります。発症当初と同じかそれ以上の辛さでした。「悪いものを出し切っているんだ」と信じ、なんとかやり過ごしました。
しかし1週間もしないうちに回数は減り、日常生活が脅かされることはほぼなくなりました。1ヶ月もすると、少し血はついているもののほとんど1日1回のペースになり、おなかの違和感・痛みなどもなくなりました。ちょうど就職活動の時期でしたが、下痢や腹痛が原因で活動に支障が出たという記憶は特にありません。
5.完治の兆し
漢方薬を飲み続け、3ヶ月ほど経ったある日、血の付いていないきれいな便が出ました。母と2人で喜びました。その後も、ほぼ快便といっていい状態になりました。「松本先生を信じてみて良かった」と心から思いました。松本先生が言うには、「一度便秘になると完治の合図だ」とのことですが、それはまだなっていません。「早く便秘が来ないか」と待っているのですが、今のところはほとんど毎朝出ています。便のサイクルは潰瘍性大腸炎発症前よりも良くなっていると思います。
10月には漢方の処方をニキビに特化したものに変えてもらいました。それまでニキビ肌には変化がなく、相変わらず悩まされていました。しかし、最近は徐々にニキビ跡が薄くなってきました。今は、さらにきれいな肌になることを目指しています。
6.潰瘍性大腸炎を通して
まずは松本先生に感謝を申し上げます。「必ず治る」といつも言ってくださったことは、心強く感じ、希望をもらいました。何度も言われた「自分の病気を治すのは自分」という言葉を肝に銘じ、病気の完治後も自分の生まれ持った免疫力を大切にする生活を心がけていきたいと思います。免疫力と、病気の原因になるストレスについても興味を持ったので、少しずつ自分なりに勉強し、自分や周りの人の健康に役立てていけたらと思います。
そして、誰よりも僕を心配してくれて松本漢方クリニックへ行くきっかけを作ってくれた母にも感謝です。もし言われるままに市立病院にかかり続けていたら、どうなっていたでしょうか。きっと何も改善されず、漠然とした絶望の中で過ごしていたと思います。改めて「常識を疑い、よりよい可能性を探すことが大切だ」ということを知りました。
時間に融通が利きやすい大学生の時期に病気にかかったこと、発症からあまり経たないうちに松本漢方クリニックにかかり、薬を漢方薬に切り替えたこと、家から松本漢方クリニックが比較的通いやすい距離であったことなどの幸運が重なり、僕が受けた苦痛は同じ病気の他の患者さんに比べると軽かったように思います。ストレス社会のためか、潰瘍性大腸炎患者は増加傾向にあると聞きます。
病院で「一生治らない」と言われ、苦しんでいる人もいるでしょう。ぜひ松本漢方クリニックでの治療体験と、免疫力と病気の関係、西洋医学の薬のリスク、漢方薬の知識等が世間に広まり、救われる人が増えてほしいです。この手記が、少しでも誰かの希望を持つ助けになれば幸いです。