「潰瘍性大腸炎手記 (院長のコメント付き)」
19歳2014年2月22日
19歳2014年2月22日
(この患者さんの2回目の手記です。1回目の手記はここを読んでください。)
「潰瘍性大腸炎完治報告」
18)受験によるストレスにより再リバウンド
(彼は現役の時に受験勉強に加えて、向上心も人望もある人ですから、部活、さらに学校行事に加えて、趣味の和太鼓の練習に励みすぎて、アドレナリンと同時にステロイドホルモンを出して免疫を抑え続け、リバウンドで潰瘍性大腸炎(UC)になったのです。アドレナリン自体は免疫を抑えることはないのですが、交感神経が刺激されると同時に副腎髄質からストレスホルモンであるコルチゾルが分泌されます。必ずストレスがかかるとアドレナリンが分泌され、同時にステロイドホルモンが副腎皮質で作られ、大量に分泌されるのです。それではなぜアドレナリンが大量に作られる時にステロイドが同時に出されるかについて、少し詳しく説明しましょう。
まず精神の緊張、不安、恐怖などの社会的なストレスはまず脳の視床下部に感知されると、人間はそのストレスから身を守るために、二つの経路を通じてこのストレスと戦い始めます。ストレスがどのように中枢神経から末梢神経に伝えられ、ストレスに対する反応を起こし、ステロイドホルモンであるコルチゾルを出して免疫を抑制するかについて一から十まで説明しましょう。脳の解剖学的な構造をご存知でない皆さんには難しくなりますが、とにかくついてきてください。
まず自分の心に沿わない嫌な事柄が生じ、その感情を避けたいと思うと、脳はその心の動きに反応します。つまり不快な情動が脳に入って、その情動刺激が脳に伝わって不愉快な感情として感知されます。この不愉快な情動刺激の感覚は、視床という脳の一部に伝わります。この視床のことを間脳ということもあります。よく出てくる視床下部は、視床の一部であり、視床の中の下の方にある部分を指します。この視床はあらゆる感覚を脳に伝える中継地といわれています。例外は嗅覚だけで、嗅覚は視床には伝わらずに大脳にストレートに伝わります。なぜ嗅覚はストレートに大脳に伝わると思いますか?人間の祖先である動物達は不愉快な情動の最たる感覚である死の危険を、中継地である視床を経ずに大脳で伝えて対処するためであります。感情の中継地である視床でキャッチされた嗅覚以外の感覚は、大脳皮質で様々な感覚を認識する感覚野に伝わります。大脳皮質というのは、頭蓋骨の真下にある大脳の最も大事な部分であることはご存知でしょう。人間は大脳皮質が発達したが故に、霊長類の王者になれたのです。この大脳皮質感覚野で不愉快な感情を認知すると、この一部が「扁桃体」という脳の側頭葉に伝わります。この扁桃体といわれるのは、この神経細胞の細胞体がたくさん集まっている神経核の形が、球状のアーモンドに似ているからです。脳の神経核は末梢の神経節と同じように、神経細胞の細胞体の集まりと考えてください。
さらに大脳皮質感覚野に伝わった情報の一部は、側頭葉にあるにおいと関わりのある嗅内皮質や、嗅内皮質の近くにある短期記憶を行う海馬に伝わります。この嗅内皮質はにおいを感じるのではなくて、このにおいを覚えさせるために存在するのです。この一時的に入ってきたにおいについての短期的な記憶のことをエピソード記憶といいます。なぜ不愉快な情動が、においや記憶に関する大脳皮質の感覚野から嗅内皮質に伝わってくるのでしょうか?まずにおいの感覚が一番鋭いのは動物です。動物の最も不愉快な感情である生命の危険を知る感覚はにおいでありますから、人間もなおその進化の痕跡を大脳に残しているからです。もちろんときに人間もにおいを不愉快に感じたり、においで死の危険を感じたりすることがあります。この嗅内皮質に伝わったストレスの情報こそがストレスに対応するために、最終的にはストレスホルモンを副腎皮質から出せと命令するのです。
それではなぜ不快な情動が海馬に伝わるのでしょうか?言うまでもなく、多かれ少なかれ不愉快かどうかは体験を通じて記憶に残るからです。赤ちゃんが危険や不愉快さを知らないのは、そもそもそのような危険な体験をすることがないので記憶として残っていないからです。ところがこの海馬に伝わった情報は、嗅内皮質とは逆の仕事をするのです。つまりステロイドホルモンを出させないようにするのです。ストレスホルモンであるコルチゾルの分泌を嗅内皮質は刺激し、コルチゾルの分泌を海馬は抑制するのです。血中のコルチゾルの量は、扁桃体と海馬のバランスによって決められているのです。皆さん、人間は大脳さえも常に必要な化学物質を出しすぎても良くないし、少なすぎても良くないので、常にバランスをとって生きていることがお分かりでしょう。にもかかわらず現代の対症療法はステロイドを無限に入れ続けて病気を作り続けているのです。残念です。
それではなぜ海馬はコルチゾルの量を抑制するのでしょうか?実は海馬は単に短期の記憶(エピソード記憶)の仕事をするのみならず、その記憶の情報を大脳皮質のより広い領域に伝えて、その経験の短期記憶(エピソード記憶)を長い間記憶として残る意味記憶として大脳に伝える中継地となっていることが最近分かってきました。つまりエピソード記憶を積み重ねているうちに、不愉快な情動もはじめは怖い記憶だったのが、実は意義のある意味記憶として大脳皮質に残されて、人間は成長していくのです。従って海馬はストレスをストレスとして感じる必要がないという仕事をしているともいえます。私も子供時代は暗がりや雷や学校の先生が怖かったのですが、さらに神の怒りや宗教のたたりにも恐怖を抱いていたのですが、現在は大脳皮質の意味記憶で判断してくれるので、やたらに怖がることはなくなりました。最後に分かったことは人間が一番怖いということです。ワッハッハ!これも嗅内皮質や海馬の記憶機構による成果でしょう。ワッハッハ!
ついでに書いておきましょう。ストレスホルモンであるコルチゾルを出しすぎたり、外側からストレスホルモンを入れ続けると、海馬のストレスホルモンを抑制する能力が低下し、記憶機能を弱まるということが分かっています。ストレスが強い時の勉強はあまり効率が良くないことはご存知でしょう。実際強いストレスが続くと、海馬にある神経細胞の樹状突起の枝が一時的に消失してしまうことも知られるようになりました。さらにストレスが続くと樹状突起が元に戻らなくなり、最後は海馬のニューロンが死滅してしまうことも分かりました。繰り返し虐待された子供達のニュースが最近よく出るようになりましたが、このような虐待児は深刻な心の傷を持っており、ステロイドを出しすぎて記憶を司る海馬の体積が減っていることがMRIによって確かめられています。このような虐待児は知能や認知能力は正常であるのに、記憶力だけがはっきり弱くなっていることも知られているのです。これは嫌なことは忘れた方が生きやすいという人間の適応力のひとつかもしれません。
長くなりましたが、これらの扁桃隊や海馬に伝わった情報がやっと最後に視床下部に伝わるのです。
上に述べたように、不愉快な情動が視床下部に感知されると、人間はそのストレスから身を守るために、二つの経路を通じて戦い始めます。ひとつめの経路は、視床下部から下垂体、副腎皮質に至るストレス反応であります。この系では、ストレスの情報がまず視床下部に伝えられると、視床下部で副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモンを作ります。これを英語で“corticotropin-releasinghormone”といい、頭文字を取ってCRHといいます。どのようにCRHが出されるかを詳しく説明しましょう。視床下部は生存のために必要な神経核が集まっています。とりわけ自律神経系と神経内分泌系を調節する神経核が10前後あります。不愉快な情動刺激は視床下部の室傍核(しつぼうかく)という神経核に伝わります。この視床下部の室傍核からCRHというホルモンが出されるのです。このCRHは副腎皮質刺激ホルモン、英語で“adrenocorticotropichormone”といい、頭文字をとって略してACTHといいますが、このACTHを脳の下垂体に出させます。このACTHというホルモンが血中に乗り、脳から出て副腎皮質にコルチゾルというストレスホルモンを出させるのです。
ふたつめの経路は、視床下部から中脳、延髄を経て、脊髄の胸随と腰髄までの中枢神経にストレスの電気刺激が伝わります。胸髄と腰髄から末梢神経として出ていきます。脊髄から出た神経はすぐに交感神経節に入ります。この交感神経節から電気刺激は別の神経細胞に伝えられて、最後に副腎髄質にある神経内分泌細胞に伝わり、副腎髄質ホルモンが血中に分泌されます。副腎髄質から分泌されるホルモンの9割がアドレナリンで、残りの1割がノルアドレナリンであります。ストレスが強ければ強いほど、アドレナリンの分泌量が増加するのです。皆さんご存知のように、アドレナリンがあるからこそ元気が出るのです。そして敵と戦うことができるのです。)今日はここまでです。2014/02/27
(1回目に報告した17)までが中間報告です。中間報告の時点では一時期下血も止まり、あと少しかな?と思ったのですが、やはり受験生の身、模試やらなんやらでストレスはかかります。それゆえ、2012/9ごろからまた下血が始まりました。まあ、仕方のないことです。ストレスにより副腎皮質ホルモンがでて、クラススイッチのキッカケを作るマスト細胞のIL4産生やTh0がTh2に変わることを阻害してしまったのでしょう。タイミング悪かったです^^;ちなみにアトピーは普通に出ていました。そんなわけで、なるべく楽しいと思える数学物理を主にやり、ストレスをなるべく抑えながら受験に臨み、(センター試験の練習が一番ストレスフルでした。)第一志望にはおちたものの、第二志望に受かり、そこにいくことにしました。2013/3ごろの話です。(ちなみに第一志望に落ちた原因は数学です(笑))服薬は”断痢湯”と”きゅう帰膠艾湯”と粉薬(たまに抗ヘルペス剤と鼻炎用の粉薬)でした。きゅう帰膠原艾湯は甘くて美味しくて、受験中の一つの楽しみでした(笑)
19)大学での新生活
大学受験は終わりました。しかし、大学での新生活に慣れねばなりません。それゆえ、まだリバウンドは続くだろうと予想していました。(僕のリバウンドは下血だけで下痢や腹痛もほとんど無く、軟便程度だったので、日常生活は難なく過ごせるようにはすでになっていました。ダラダラと出血だけが続くリバウンドでした。)大学では数学科に入り、数学を主にやっています。(最近は四次元空間が見えるようになりました^_^ドラ○もんの四次元ポケットの構造が分かりました。実際にたくさん秘密道具がはいるのですよ!射影平面面白い、)通学に二時間かかるので、ちょっと体力使います^^;サークルにも入りたかったのですが、帰りががなりおそくなるので諦めました。(今は治ったので、ちょっとサークル考えています。)出血が止まるのはゆっくりできる2ヶ月間の夏休みだろうと思い、夏休みが来るのを待ちました。
20)本当に治せた夏休み
2013/8から大学の夏休みが始まりました。僕は夏休みに「下血を止めるために、ゆっくりする」「普通免許をとる」、を2大目標にしていました。自動車教習所は2013/6から通っていたのですが、大学が忙しくなかなか進まなかったので、集中して通いました。夏休みは自動車教習所に行く以外はほとんどゆっくり休みました。そして、2013/9ごろ、下血が止まりました!止まったあとも下血止めのきゅう帰膠艾湯をしばらく処方してもらい、ついに2013/9半ば松本先生から「もう治ったねー」と言ってもらい治療終了を言い渡されました。イェーイ!
なぜ出血が止まったら治った宣言なのかといいますと、僕の下血はもう少なく、松本先生曰く直腸あたりの出血が残っていたと推測でき、またアトピーはしっかり出ていたので、直腸以外はIgGからIgEとIgAにクラススイッチしていると判断されたからだそうです。便もすでに固まっており、最後直腸だけクラススイッチが遅れていて出血があったということです。まあ、直腸が一番薬使いましたし。ペンタサ注腸、プレドネマ注腸使いましたから直腸のクラススイッチが遅れるのは容易に推測できますねぇ。プレドネマ注腸なんか腸壁に直接ステロイド塗っているようなものですから。ちなみに下血が止まったとき、断痢湯がアトピー用の補中益気湯に変わりました。
21)現在
潰瘍性大腸炎が治った今、僕は趣味の和太鼓をかなりしっかり叩けるようになりました。そりゃそうです。出血が止まって貧血が改善されたのですから。潰瘍性大腸炎、クローン病が治らないって言うなら、僕の和太鼓を見てからにしてください。ワッハッハ!また立ちくらみも少なくなりましたヨ^_^電車通学中に便意に襲われても、我慢できます(笑)まあ、あまり我慢はしないほうがいいですが、最近、塾講師のバイトも始めましたヨ。お腹に悩まされることは、もう無くなりましたー怒涛のバイト中です^o^
ブロクやっているので、近況が知りたければhttp://blog.livedoor.jp/fumadaida/にアクセスしてみてください。
22)今松本漢方クリニックで治療中の皆さんへ
僕は上のブロクをやっている最中に、色々と有益な情報を手にいれることができましたので、お伝えします。
松本漢方クリニックの治療では、多かれ少なかれリバウンドがでてきます。これは、避けられるならば避けたいものですが、残念ながらどう考えても避けられません。なぜなら、IBDを初めとする各膠原病になるには、ストレスによって放出される自らの副腎皮質ホルモンによって免疫細胞のIgG→IgE・IgAクラススイッチの阻害が起こることにより、異物や化学物質に対するIgGによる捕捉が続くことになり、好中球や抗原IgG抗体複合体を取り込んだマクロファージからとめどなく活性酸素が放出され、それが毛細血管や各組織を溶かしてしまうことにより、出血などの症状が生じるのですが、膠原病の患者さんは少なくとも自らの副腎皮質ホルモンによって免疫細胞の転写因子の働きを改変し、免疫細胞の遺伝子の働きを変えています。この時、クラ6ススイッチを司るAID遺伝子の働きを変えてしまうと、IgG→IgEクラススイッチができなくなります。ゆえに、この遺伝子の働きを元に戻すまでは、どうしてもIgG性の異物や化学物質に対する活性酸素などによる攻撃が続くので、この飛び火がリバウンドの症状(下血など)として現れてしまいます。
いわんや、ステロイド剤を使ってしまうとより遺伝子の働きを元に戻すのに時間がかかりますので、リバウンドが長引く傾向にあります。クラススイッチをおこすきっかけを作るのはマスト細胞ですが、マスト細胞もやはりステロイド剤や副腎皮質ホルモンの影響は受けますからたとえマスト細胞IgG受容体(これってFcγRⅡ-B1ですか?)にIgGのFc部が結合したとしても、マスト細胞の遺伝子の働きが変わっていたら、クラススイッチをおこしてくれるIL4を産生してくれません。しかし、リバウンドに耐えるのは、免疫細胞に異物や化学物質に対してIgGや活性酸素で攻撃させ続け、組織を飛び火として過剰な活性酸素によって破壊させ続けることに同義ですから、やはり危険なものです。IBDならば、穿孔などの緊急事態の可能性は否定できません。ですから、リバウンドがきつい時はなるべく免疫に異物として認識される可能性の少ないエレンタールを主に食事として使うことをお勧めします。そうすれば免疫細胞による攻撃を最小限に食い止めることができると思います(不味いですけど、(汗)僕はエレンタール嫌いです)。最も、IVHが理想的ではあるのですが、松本漢方クリニックの治療に理解を示してくれる病院はまだまだ少ないです。なるべく体内に異物を入れない、これだけでも松本治療の鬼門であるリバウンドは楽になるかと思います。よかったら参考にしてみてください^_^)
最後に(?)
両親に感謝。自分の免疫に感謝。しかし何と言ってもこの治療を自分の信念を貫き、周りに負けず続けてきた松本先生に感謝!本当にありがとうございます、ワッハッハ!また自分にストレスかけすぎて一度治したIBDを再発症してしまったらまた美味しいチャイニーズコーヒーください。アッハッハ!おわり
P.S.医学会に出席されるならば、カッカせず、謙虚によろしくお願いしますね。応援しています。