「受診3ヶ月の経過報告」
34歳2016年8月19日
34歳2016年8月19日
【発症と経緯】
潰瘍性大腸炎と診断されたのは、2009年の4月でした。この頃勤めていた仕事の突然の解雇、引っ越しという大きな心労と環境の変化の中でこの病気の引き金がストレスであることは自分でもはっきりと自覚していました。数週間にわたって腹痛と下痢が続き、近所の町医者に行くと膵炎ではないかと薬を処方されるも全く効かず、違う病院で便潜血検査を行った結果、陽性反応が出たのですぐに内視鏡をやろうということになりました。検査時には体重は5kgほど落ち、38.3℃の発熱、フラフラの状態で歩くのもやっとという状態でした。
検査後、医師から潰瘍性大腸炎(全大腸型)という診断名を聞いて、「やっぱりそうか」という気持ちと「クローン病じゃなくてよかった」と思いました。自分の症状からあらかじめインターネットでこの病気については調べていました。私は過去に肛門周囲膿瘍と痔ろう手術の既往歴があるのでクローン病ではないかと恐れていました。今回、検査をしてすぐに診断がついたことによる安心感も覚えていました。実は私はこれまで10年以上、背中の痛み、こわばり、うずき、不眠、など原因不明の不快な症状に苦しみ続け、あらゆる病院を15軒以上歩き周りました。あらゆる検査をしても原因がわからず、あらゆる診断名を受け、あらゆる投薬治療をしても一向に治らず、さまざまな代替療法を試すもすべて徒労に終わった経験があります。病院では最後は線維筋痛症の診断で治験まで参加しましたが無駄に終わりました。こうした経験から私はもともと西洋医学や薬や医者に対しても強い不信感をもっていました。
【寛解期】
潰瘍性大腸炎の診断後、ペンタサ8錠4000mg/1日を処方されてすぐに症状は治まり、この薬の劇的な効果に驚きました。しかし医師からの「基本的に一生飲んで症状をコントロールしなくてはいけない」という言葉に疑問を感じ、数カ月飲み続けたあと、ペンタサの服用を中止しました。自分の判断で東洋医学である他の漢方薬に切り替えました。(当時松本漢方クリニックのことはまだ知らない。)それからもほとんど症状は落ち着き、通常の生活が送れるようになりました。ただし、食べ物の内容によって腹痛、下痢をすることは頻繁にありました。肉類、揚げ物などの脂もの、ファーストフードなどお腹が反応するものは極力避け、菜食中心で食事にはかなり気を遣った生活がここから約7年間続くことになります。
この間に私は自分の健康のためにヨガを始め、生活のなかの習慣となりました。そして自分の健康を根本から見つめ直すため、インドに渡って1ヶ月間の修行生活を送りました。ヨガアシュラム(道場)で完全菜食と規則正しい生活のなか、本当の健康の意味やヨーガ哲学を学び、ポーズや呼吸法、瞑想法を習得して帰国後、生活のなかでの実践を続け、お腹の症状のみならず、長年苦しんだ背中の症状もコントロールできるようになりました。
【再燃】
2015年に子供が生まれてから、生活は急変し、仕事も忙しくなり、自分の時間が持てなくなっていました。翌年1月頃から徐々に不調が始まりました。ガス、膨満感、軟便はだんだんと、腹痛、1日2~3回の下痢に変わり2ヶ月、3ヶ月と徐々に下り坂を下るように症状は悪化し、かつての痔ろう痕の箇所は裂肛となり、排便後は何時間も激痛に耐えて生活する日々となりました。体重も徐々に減少し、5月には体重は発症時と同じく5kg近くまで落ちてしまいました。もはやこれまで飲んできた漢方薬では抑えきれず、食事を制限しても状況は変わらず、この期間に栄養療法によるサプリメント治療を試しましたが効果を実感することはできませんでした。
肛門の激痛と腹痛・下痢、体重減少をなんとしてもこれ以上悪化させたくないという思いから、近所の病院で発症以来のペンタサと肛門痛の軟膏(ステロイド)を処方してもらい服用、塗布しましたが、その夜発熱(37.3℃)。明らかに薬による反応であり、症状はさらに悪化したため、直感を信じてペンタサも軟膏もすぐに使用を中止しました。ただ、「クローン病かもしれない」という医師の見立てで処方してもらった栄養剤エレンタールは助かりました。食事に置き換えて1日5~8本飲み続けカロリーを補っていました。しかし、症状が回復する兆しはありません。
体重はますます減り続け、この時体重計に乗ると53kgしかありませんでした。さぁどうするか。医師からは早く内視鏡検査を受けるよう言われましたが、潰瘍性大腸炎かクローン病かの鑑別をしたところで、その後は西洋医療の標準治療コースを辿るだけです。私にはもう病名が何であるかは関係のないことでした。私には一つの望みの光がありました。以前にインターネットで調べていた「松本漢方クリニック」へ行ってみることです。
これまで他の漢方で寛解状態を維持してきたので東洋医学や漢方治療には何も抵抗がありません。何より、今までと違うのはホームページに掲載されている松本先生の理論と根拠、その情熱溢れる論文に目が釘付けになりました。今まで何人も会ってきた医師とは明らかに違うホームページから伝わる雰囲気に「この先生に一度会ってみたい」と思いました。また、これまで自分の体で経験してきたこととも合致する点が多々あり、何度も松本理論と皆さんの手記を読み返しました。これまで自分の感覚を信じて、ペンタサやステロイド治療を拒んできた経緯も、この治療で完治するんじゃないかという希望になりました。
【松本漢方クリニックへ】
2016年5月。妻は生まれて間もない子どものために身動きがとれないので、1人新幹線で大阪へ向かい、現地で両親と待ち合わせて「松本漢方クリニック」へ向かいました。皆さんの手記で予習した通り、一歩病院に足を踏み入れると独特の漢方薬とお灸の匂い、昭和の雰囲気、ずらっと並んだ手記を読みながら待ち時間を過ごしました。松本先生はこの日風邪をひいて辛そうでしたが一生懸命診察してくれました。人間を見抜く力、洞察力がすごいと思いました。同じ東京の大学を卒業したということでニコニコと笑顔で握手をしてくれましたが、潰瘍性大腸炎の原因について聞くと、「お前の真面目すぎる性格が原因や!」と一喝されました。1回目の診察はインパクトが強烈でしたが、ここまで核心を突いた根本の原因を診断してくれる医師と初めて出会った気がします。この先生を信じてやってみよう、と思いました。
この日は鍼治療と自宅でのお灸の仕方を学んでから帰宅。この日から下痢を止める漢方と炎症をとるための漢方の2種、ヘルペスの薬、お灸の生活が始まりました。自分は今までステロイドなど免疫抑制剤をほとんど飲んでこなかったので、リバウンドなく、すぐに効果が出るんじゃないかと期待しましたが、そう甘くはありませんでした。飲み始めて3日経っても下痢、腹痛、微熱、肛門痛の状態は全く変わらず1週間経っても、2週間経っても変化なし。この時が一番辛かったですが、後ろに引こうにも他に症状が軽減する手段は何もなかったので辛抱して続けるしかありませんでした。後で振り返ると、これが私のリバウンドの時期だったことになります。
なぜ私はペンタサもステロイドも免疫抑制剤もほとんど飲んでこなかったのにリバウンドがあるのか?それは松本理論を読めば、はっきりと書いてあることです。私は先生の診断通り、今まで自分の神経質な性格や偏った考え方を元に副腎皮質ホルモン(ステロイドホルモン)を出し続け、ストレスという心の異物と戦いながら自分で自分の免疫力を下げていたのです。この時期から私は免疫を上げる漢方薬とお灸以外に、心の持ち方について先生の論文から学んだ以下の4点を意識して生活するように努めました。
①自分に対する大きすぎる期待を諦める。
②他人のエゴを受け入れる。
③自己中心的な欲望を捨てる。
④他人の幸せを喜ぶ。
これは松本先生のお言葉ですが、私がインドで学んだヨーガ哲学の中で「全ての苦しみの原因は無知とエゴである」という一節を思い出させてくれることになりました。
【2回目の診察】
6月中旬、2回目の診察に今度は子どもを両親に預けて妻と二人で松本漢方クリニックへ向かいました。上の「心の持ち方4箇条」を紙に書いて部屋に貼ろうとしている自分を、妻はそれこそ真面目過ぎるんじゃないかと笑いながら先生に相談しました。松本先生は「偉い!それはしっかりやれい!」と背中を押してくれて少し嬉しくなりました。「その顔や!そういう柔和な顔になったらもうすぐ治るで~。」とニコニコしながら言われました。しかし、この後ヘルペスについての無知な質問をした瞬間に先生を激昂させてしまい、カルテを丸めて本気で頭をパン!と叩かれました「わかった口聞くな!もっと勉強せい!」
この日から4箇条にプラスして先生からの指示で心の持ち方について私だけのもう1箇条が追加されました。それはここには記さないことにしますが、自分の性格の汚点を見抜かれて指摘された愛のムチそのものでした。このように2回目の診察も相当インパクトの強いものでした。
叩かれた私はショックを受けましたが、この愛のムチは本当に効きました。先生の人間を診る力、洞察力には毎度驚かされます。2回目の診察を終え、漢方薬の苦み、お灸の熱さ、鍼の痛さ、先生からの愛のムチも加わり、私の免疫力は向上したようです。この後、症状は急に好転することになったのです。
【下痢止まる】
初診から3週間後に微熱は完全に治まり、1ヶ月半後に下痢から軟便に変わり始めました。これにより裂肛の痛みも軽減し排便の苦しみもずいぶん緩和されました。この頃の電話診察から炎症をとる漢方薬がなくなり、下痢を止める食前の漢方薬1種のみとなりました。さらに軟便ははっきりと形のある普通便の状態になり、完全に下痢が止まりました。形ある普通便が出たのは何ヶ月ぶりのことでしょう!この時私は嬉しくてトイレで小さくガッツポーズをしてしまいました。
その後初診から約3ヶ月以上が経過した現在、1日1~2回の普通便で、完全に今までの症状は消失しています。さらに自分でも信じられないのが、何を食べてもお腹が痛くならないことです。潰瘍性大腸炎と診断されてからこの7年間は食事の内容にかなり気を遣って生活してきました。ところが症状が治まっておそるおそる口にしてみたカレー、ラーメン、かつ丼、ビール・・・何を食べても飲んでも腹痛下痢をしなくなりました。食事制限をしてきたこの7年間はいったい何だったのかと思うくらい、症状は本当に消え去っています。松本理論・治療の驚くべき効果というほかありません。
【クラススイッチ始まる】
漢方開始から4週目くらいから蕁麻疹が出るようになりました。今までも蕁麻疹が出ることはよくありましたが、今回のはより強烈で、範囲も広く痒みも強く、背中がミミズ腫れになるほどでしたが、松本理論で予習していたので痒いときは薬など一切塗らず、喜んで搔きむしっていました。電話診察で先生に伝えると「それはクラススイッチやんけ~。」と仰いました。
さらに同じ時期からお風呂の入浴時にお尻~内股に蕁麻疹とは違ったブツブツした細かな発疹と痒みの症状が出始め、これがアトピーか!とまたもやお風呂で小さくガッツポーズしてしまいました。現在も入浴時にこの状態が続いています。入浴時は交感神経優位が抑えられることと血流の促進で免疫力が上がることによりクラススイッチによる好転反応が出やすいのかもしれません。
【今後の展望】
「まだ油断するなよ!」と松本先生は言われます。血液検査の炎症反応(CRP)は基準値に下がりましたが、リンパ球の数値、ヘルペスの抗体数値からまだ完治は言い渡されておりません。それでもわずか3ヶ月でここまで劇的に状態がよくなったことに松本先生には本当に感謝しております。先生からこのタイミングで1度手記を書きなさいという指示のもと、今回ここに書き記した次第であります。
今回の経験で私が長年、医療に対しての疑問や強い不信感を覚えながら自分なりにより自然に近い状態で健康を求め続けた結果が松本漢方クリニックとの出会いにつながり、こうして完治目前まで至ったのだと思います。
この過程には妻の多大なる理解と支え、両親からのバックアップと応援がありました。いつも優しい家族の皆には本当に心から感謝しています。今回のこの学びを1歳になる息子との今後の家族生活にも生かしていきます。
【おわりに】
病気(病名)は“医者”が名づけ、その瞬間から患者は肉体的にも心理的にも“医学”によるコントロール下に置かれます。私は西洋医学から難病を宣言されてから7年を経過してそれを抜け出そうとしている今、「潰瘍性大腸炎」というものが、本当はこの世に存在しないんじゃないかと思うことがあります。それは医学が分類した単なる名前にすぎず、松本先生の言われる医源病そのものだからだと思うからです。そう考えると、“完治”というものも存在しないことになります。だから病む/治るという二元論を超えて自分自身を大きく俯瞰できた時、本当の自分の自然な状態、すべてと調和した真に健康な状態に近づけるのではないかと思っています。
松本漢方クリニックでの治療のおかげで西洋医学に頼らなくとも、自分自身の治癒力と免疫の力をはっきりと実感し信じることができました。今回の経験で大きな気づきを与えて頂いた松本先生には心から感謝しております。ありがとうございました。今後とも引き続きよろしくお願いします。