「潰瘍性大腸炎手記-シンプルに考え整理する-」
45歳2016年12月7日
45歳2016年12月7日
潰瘍性大腸炎と診断される2016年5月末、出張が続きひどく疲れた日々を送っていました。少し前から便に血が混じるようになり、トイレットペーパーにも少量の血液が付着し始めました。以前検査で「痔の症状がある」と言われていたこともあり、長時間の移動も重なった為、「ついに痔がひどくなったな・・・。」程度の思いでした。市販の薬を購入し、服用していましたが、「仕事が一段落し休みがとれれば治るだろう。」と安易に考え普段どおりの生活を送っていました。
変化は出張先で突然起こりました。便にはっきりとした血が付着し、一目見た状態で「ちょっとまずいな」とわかるような量でした。病院にはなるべくかかりたくはなかったのですが、そんなことも忘れるくらいの状態だった為、家の近くで、なるべく評判が良く、肛門専門のクリニックを調べ予約しました。
一通りの検査後、すぐに先生から説明を受けました。「痔もあるけど、そんなことよりちょっとまずいことがある・・・。」「臨床検査だけでははっきりとしたことは言えないが、経験上、まず間違いなく潰瘍性大腸炎だと思う・・・。詳しい病理検査もしなければはっきりとは断言できないが、まず間違いない。長い付き合いになる病気だよ。」潰瘍性?癌?大腸炎?胃腸炎みたいなもの?死ぬの?大体の病気は耳にしたことがありましたが、初めて聞く名前で頭の中はフル回転で色々なことが思い浮かびました。ただ得体の知れない病名に「まずいな、どうしたものか。」という思いが強かったことを覚えています。その後、今までに飲んだことの無い大量の薬を処方され診察は終わりました。
「潰瘍性大腸炎」「潰瘍性大腸炎治る」「潰瘍性大腸炎症状」「潰瘍性大腸炎癌」すぐに一通り検索しました。「まずいな、これは非常にまずい・・・。」幸いなことに血便以外の症状は無かった為、注意書きに書かれた刺激物やアルコールなどを摂らない以外は通常の生活をしていました。
緊急入院通告
診断を受けてから一週間ほどは投薬と食事制限にて経過をみていました。「このまま出血がおさまってくれれば。」安易でした。食事は制限していましたが仕事は制限できません。会議、商談、出張、取引先との会合、飲食。6月の中頃、それまで落ち着いていた出血が大量になり、下痢が治まらない状態へ悪化。即、クリニックを受診し内視鏡での再検査を受ける。直腸付近だった炎症が全体に拡がっており、悪化の可能性が考えられる為、その日のうちに総合病院へ緊急入院が決定しました。大腸および胃の内視鏡検査、レントゲン等々覚えられないほどの検査を行い、絶食による点滴投薬が決定。大量の薬を服用。アサコール他、ピロリ菌の薬などなど。10分おきの下痢が1週間ほどでなんとか治まり退院。自宅療養。そこから1週間ほどはまったく動けない状態。大量の薬。この頃から自分は病人であり。病気とどうして関わっていくべきか、考えるようになりました。
・このまま一生この薬を服用し続けるのか?
・完解はあるけど、完治はない?
・副作用は無い?そんなはずは無い!
・大腸癌への移行。罹患確率上昇。
・家族、仕事。
6月下旬。薬の服用と食事制限を継続しながら仕事へ復帰しました。薬の副作用は少ないとのことでしたが、やはり影響はあります。服用後は頭がもやもやしたり、力が抜けた感じは否めません。下痢や下血の症状も安定しましたがすっきりしない日々が続いていました。完解をめざすならば、次はステロイド投与もできるよ。医師のこの言葉で不安が一気に強いものへと変わりました。以前、別の疾患で一時期服用していたことがありましたが、服用時の効き目とそれに準じる疲労感を経験しており、常習になる前にやめた経緯があります。
・先行き不透明な治療方法。
・明言しない医師。
・治るか治らないかわからない薬。
・このままでは駄目だ、なんとか完治させなければ。
症状が治まってきたこともあり、こんなことを日々考えるようになっていました。
松本漢方クリニック
松本漢方クリニックのことは診断初期から知っていました。「潰瘍性大腸炎完治」で検索するとヒットするためです。HPは何度か拝見していましたが自宅からは4時間ほどかかり、遠方である為参考程度でしか見ていませんでした。
・病気とのかかわり方を考えるようになったこと。
・不透明な治療方法。
・ステロイド投与への嫌悪感。
・松本漢方クリニックの治療理論と自身の思いの一致。
・完治への切望。
・医療関係者でもある妻の薦め。
などにより松本漢方クリニックへの受診を決断しました。松本漢方クリニックでの治療あらかじめHPでおおよそ見当はついておりましたが、先生は評判通りの方で“合う合わない”“好き嫌い”を論じる方もいらっしゃいますが私にとって先生は先生であり、とくに抵抗はありませんでした。松本漢方クリニックでの治療は、まずは弱った体を通常の状態に戻すこと、自分に影響を及ぼしているストレスなどの事象を自ら見つけ排除する、もしくは受け入れる、同時に漢方生薬や鍼灸により免疫力を上げ続け人が本来持つ力で治すことです。
今までの私は主治医の言われるまま、病気を理解せず、薬を服用していました。本来人の持つ力を免疫抑制剤などで抑えることを“治療”だと思っていたのです。自己治癒力を抑制する薬への疑問とステロイドへの嫌悪感。そして松本漢方クリニックのHPを見なければそのまま治療を続けていました。他の方の手記ではかなり深く熟知されている方もいらっしゃいましたが、私はなるべくシンプルに考え整理しております。
・自分は病気であることを受け入れる。しかも一般的には難病と言われている病気である。
・病気になったということは日々の生活の面で改善しなければならない事態がある。
・ストレスなどの事象は、事実を受け入れるか、排除する。
・今まで処方されていた薬は症状を抑制することが目的である。
・改善は人の持っている免疫力(治癒力)をいかに発揮させるかがポイントである。
このことからまずは自身の体調を正常な状態に戻し、それを継続させる事。ストレスを把握し、状況に応じ対処する事。免疫力(自己治癒力)を高める事を意識しています。実際に行っていることを参考までに記載します。
・漢方服用による下痢の改善、止血。体調改善による免疫力向上。
・ヘルペス薬(症状改善の為現在服用していません)。
・お灸による免疫力向上。
・体質改善のため、穀物、野菜中心の食生活に改善。
・ストレス要因をできるだけ排除(妥協する、マインドフルネスなど瞑想やストレッチ)。
・睡眠を多くとる。
松本漢方クリニックで治療を始め約4ヵ月です。症状は安定化しており、通常生活は問題ありません。下痢、下血の症状もほぼコントロールできており改善しております。当初低かったリンパ球の数値や血沈の数値も劇的に改善しており、食生活の改善も含め血液検査だけを見ると正常です。現在は漢方のみの服用で維持しております。
最後に
現在、治療を継続しておりますが、一般的に言われる“潰瘍性大腸炎の完治が無い”という意味がなんとなく理解できます。人の生活習慣はなかなか改善できるものでもなく、症状が軽減するとまた元の生活に戻ってしまいます。そういった意味で、いつでも症状が復活できる態勢にあり、再発してしまう可能性が高いのではないかと思います。現在は症状のない人でも、もしかしたら同じような原因で別の疾患にかかっている人もいるのではないでしょうか。
先生は“自分の病気は自分で治す”と言われます。つまり病気はなるべくしてなっており、その原因は少なからず自分にもあるということだと思います。ストレス、長時間労働、睡眠不足、暴飲暴食、喫煙。潰瘍性大腸炎が近年増加していることからも現代の世相を反映しているような気もします。
全部が改善できるとは思いませんが上手にコントロールはできると思います。実際、長時間労働や睡眠不足が続くとやはり若干の下血がありますし、刺激物を摂取すると物によっては下血があります。もちろん食生活を改善することにより症状は無くなります。以前と比べ自分の体が今どういう状態なのかがわかるようになり、改善はできていると思います。また精神面では“治す思い”や“治る”と信じることも効果があるように思います。私自身たぶん軽症の部類に入り、すべての方に当てはまるとは言えませんが治療や生活改善、思考の変化は効果的に作用しております。