お題:対になる10の言葉
1.勝ち組・負け組
2.ゆっくり・はやく
3.熱い・寒い
4.善・悪
5.好き・嫌い
6.晴れの日・雨の日
7.行き・帰り
8.甘い・辛い
9.午前・午後
10.おはよう・おやすみ
1.勝ち組・負け組
アンタはパーフェクトな男だけど恋愛は駄目よね。
なによ、それ。
つまり、勝ち組だけど負け組ってこと。
?
女の何もかもを分かった気でいると痛い目みるわよ。
オレには紅の言ってる事がよく解らないんだけど。
ああ、もう!あんたってほんっと・・・。
は?
も、いいわ。最低・・・。
ちょっと・・・いきなりそれはないんじゃない?
あるわよ!あーもうっカカシに恋愛のなんたるかを説こうとした私がバカだったわ。恋愛偏差値高いけど低いんだから。
言ってること正反対なんだけど。
解らないならいいわ。でもそうね、いつか 本当の愛が見つかるといいわね。
カカシにも。
そう言って笑った紅はとても幸せそうで、少し胸が温かくなったような、けれどそれを知らないオレは痛いような、気がした。
所詮オレに愛なんて分かるわけがない。
―分からない―
分からないんだよ、人の愛し方が。
だって、誰も教えてくれなかったから。
でも・・・もし、欲しいものを欲しいと本当に言えたら手に入るのだろうか。
勝ち組とか負け組とか考えた事なんてないけど、幸せそうに笑う紅は綺麗で・・・正直羨ましかった。
でもそれは彼女が大切にしている愛が欲しい訳じゃなくて、欲しかったのは、欲しているのは好きだと素直に言える心だった。
好きだと。
好きなんだと。
「カカシセンセーッ!みんな集合してるってばよー」
「はいはいっと・・・」
あの眩しい青が、太陽のような色が好きなんだと一言、言えたのなら何かが変わるんだろうか。
「早くしろってばよーっ」
「いま行きますよ~」
やれやれ、任務中に居眠りなんてしたら碌な事を考えやしない。
2.ゆっくり・はやく
ゆっくりゆっくり
でも
はやく気づいてね
いつ気付いたのか、そんな事はもう当たり前すぎて忘れてしまった。
それはこうなる前の、意識していなかった頃の自分が信じられない程に。
彼、と呼ぶには幼い想い人はいつの間にか心の奥底に棲みついて仄暗い場所を温かく照らしていた。
ハッとした時には手遅れで・・・。
馴染んでいた筈の孤独を忘れ、どうやったら人との距離を保てるかその術を思い出せず、無意識下で離れ難いと叫んでいた。
もう離れる気は無いけれど。
それから気付けば隣を歩いて、一緒に食事をしたり、一日を過ごしたり。
それまで独りだったから誰かと共に過ごす事は新鮮だった。けれど同時に戸惑いも覚えた。
だが『彼』はそれを自然な事として受け止めているようだ。
今もこうして、悶々として寝顔を見つめるカカシの気など知らず無防備に腹を曝してすやすやと眠っている。
「ったく・・・」
溜め息も出ると言うものだ。
ギシリ、微かな音を立てて腰掛けたベッドから立ち上がる。これ以上ここに居たら邪な想いで彼を汚してしまいそうだ。
流れる動作で置き土産に月の白い光に照らされた髪をひと撫で。
「先生?」
不意に寝惚けまなこの蒼がカカシをぼんやり捉えて問い掛けた。
ああ、ほら
ごしごし擦るから赤くなっている。
「ああ、ナルト」
起きちゃったの。
「もう帰んの?」
「うん・・・・また来るよ」
「明日?」
「うん、また明日来るから」
「きっと?」
「うん」
必ず来るからね。
だから、ゆっくりでもいいから。
はやく
はやく気付いてね。
ずるいオレは素直に言えないから(素直になれないから)
君が気付いて、そして本当の意味で隣に並んでね。
それまで待っているから。
「また明日ね、ナルト」
3.熱い・寒い
熱くてなのに寒い。サイアクだってばよ・・・ほんと
オレってば風邪なんて滅多に引かないんだってばよ?
ゲホッ、ゴホッゴホッ、ケホッ・・・ゴホンッ。
さっきからずっとこの調子。
自覚したのは昨日の夜。原因は分かってる・・・きっとアレだってばよ。
昨日の夕方カカシせんせーんちから帰る時、雨が降ってきたんだ。暗い空を見上げて、うわっ心配した通りだーって思ってたら急に土砂降りんなって、んな中走って帰って来たりしたからだってばよ。
ぜったいそーだ!
すぐに風呂入ったけど、頭乾かすのがめんどくさくってタオル引っ掛けたまんま借りた巻き物読んでたんだってばよ。
そしたら段々寒くなってきて・・・。
はじめは分かんなかった。なんかおかしーとは思ったけど。
寒くなったと思ったら、すげー関節痛くて、なのに熱いし。
で、分かった。
風邪だ!!って。
前にカカシせんせーがなってたからそれ思い出したんだな。
でも、はっきり言って家ん中にいんのってすっげぇつまんねー!
修行したいってばよぉ。
・・・・。
・・・・・ひとりで修行するなら誰にも迷惑かからないってばよ?
うん。
よし、決めた!
行ってきまー・・・・
ガクンッ。
「ちょい待ち」
むぐうっ・・・・ってなんだ、なんだ!?引っ張られたってばよ?つか誰だ!羽交い締めにしてる奴ーっ。
「こらこら、病人なんだから大人しくしてなさいね?」
えっ・・・・もしかして、カカシセンセー!?
「はいはい。もしかしなくてもカカシ先生ですよ~。ったく、だから泊まっていきなさいって言ったでしょ?雨降るぞって言っても聞かないんだからなぁお前は」
辛いくせに無理するんじゃないよ。
「こういう時は寝てなきゃ駄目だろ。いくらナルトでも風邪は馬鹿にしちゃいけないんだぞ?こじれて肺炎になったらどうするの」
ハイエン?食い物じゃ・・・ないよな。って、なんで笑ってんだよカカシ先生。
「ゴホッゴホッ」
「ほらみなさい。今消化に良いもの作ってやるから」
え~寝るの嫌なのに。
でも、ちょっと。
ううん、大分・・・嬉しいってばよ。
ありがとなカカシセンセー。
4.善・悪
善いことと悪いことの区別っていうのは無意識にしている訳で、改めて聞かれると答えに詰まってしまう。
たまにカカシ先生はオレを見てイイコだね~とかワルイコだねぇとか怖い顔で脅すみたいに言うけど、あれも無意識に言ってんのかなあ。ほとんど的外れなんだけど。
悪いことしてねーのに怒ったり(この間なんて、待機所にいたアスマ先生とライドウさん、ゲンマさんがくれた菓子を食ってただけなのに、悪い子だって決めつけた!)逆に特別善いことをした訳じゃないのに褒めたりすんの、変だってばよ。
カカシ先生の善と悪ってなに??
いつか・・・忘れたけど、
「ナルトはちっとも悪くないんだよ?本当に悪いのはあいつらなんだから」っていうのを聞いた事がある。
誰が言ったのかよく覚えてねーけど・・・カカシ先生だったのかな。
あれはどういう意味だったんだろ。
薄ぼんやりと三代目のじいちゃんに聞いたことがある気がするってばよ。
そん時のじいちゃんは・・・苦いような、悲しいような顔で笑ってた。
たぶん、だけどな。
善と悪の境目ってのは簡単に引けるもんじゃねーと思う。
オレってば曲がった事がキライだから嫌なもんは嫌だってきっぱり言う。だけどそれってば人それぞれだって最近になって分かった。
それはサクラちゃんが“皆が皆ナルトみたいに真っ直ぐになれないのよ”って言ったからだけど・・・オレは意識してやってるんじゃねーから言い返せなかった。
でもカカシ先生の場合はそーゆーのとは全く違うと思うってばよ。
カカシ先生のは。
なんとなく、それはあったかいのに冷たくて怖い そういうものだ。
『ナルトはイイ子だね』
『ワルイコトしちゃ駄目でしょ』
本当はどんな気持ちで言ってんのか、知りたいけど知りたくない。
聞きたいけど、怖いから聞けない。
カカシ先生にとってなにが良くてなにが悪いんだろう。
オレが先生の隣に立つようになったら分かるのかな?
「オレもいつか、分かる日がくるのかな」
5.好き・嫌い
好き、嫌い、好き、嫌い、好き、嫌い
何回唱えたら「好き」になる?
何回呟いたらスキになってくれる?
つい伸ばしてしまった手を触れる寸前で止めて、気付かれる前に体の脇へと戻した。
「アレなんだろ。なあセンセー、センセーってば。聞いてんのかよ?」
訝しげな声にハッと意識を戻して曖昧に笑う。
「きーてなかっただろ?」
睨む瞳は何処までも澄んで綺麗だ。
「んー」
事実問われた内容は全く頭に入っていなかった。けれどそれは仕方のない事、何しろ目の前で煌めくお日様色の髪に夢中だったのだから。
だが、そう正直に言ったところで相手は納得しないだろう。それ以前にいつもの冗談だと思って本気にして貰えなさそうだ。
「損な性格ね」
「あ?ナンか言ったか?カカシ先生ー」
「ん、いや、なんでも」
「あっまたあった!」
「なに。さっきから気にしてるけど、珍しいものでもあるの?」
「んー珍しいっつーか、初めて見る花が咲いてるんだってばよ。なんて名前かなーって・・・先生知ってる?」
「どれどれ・・・って見てもオレには花の名前なんて分からないねぇ~。ナルトに分からないものが分かる訳ないでしょ」
花に関しては。
「好き、嫌い、好き、嫌いーってやつ?」
「ん?」
「アカデミーに居た頃さ、女子がやってたってばよ」
「ああ、女の子はねえー・・・」
乙女ちっくだねえ。
スキ、キライ、スキ、キライ・・・
花に触れた愛しい指先を見つめながら、こっそり胸の中で数えてみる。
そうして花弁の数だけ散った言の葉の終わりは・・・
キライ
ほら、やっぱり駄目だ。
これじゃ告白なんて一生できっこないね。
6.晴れの日・雨の日
晴れでも雨でも修行したいし
オレはどっちだって好きだけど
カカシ先生はちょっと・・・違うみたいだってばよ
雨の日のカカシ先生はいつもと違う。どこか雰囲気が暗くてちょっと寂しいような怖いような感じがする。
だからって別に近付いたら怒られたり、何かされる訳じゃねえけど。やっぱ話しかけにくいからそういう日は遠巻きに眺めてる。
遠くから見る先生の横顔は冷たくって、まるで他人みてーで近寄り難い。
そう思うのはオレだけじゃないらしく、あんまり誰も側に寄らねーからカカシ先生の周りには見えない壁があるんじゃないかって疑った事がある。
実際はそんな事なくて、呼べば振り返るし手を伸ばせば簡単に触れるんだけどな。
カカシ先生本人は気付いてんのかな?
ふつー気付くよな?あんだけ人が避けてりゃさあ。だけど先生ってば変なトコで鈍いから、分かってねーのかも。
じめじめじめじめ。
雨はまだ止む気配がない。
今日は一日中降ってるって、天気予報が言ってたからなあー・・・。
ずっとこんなんじゃカカシ先生と話すのは無理かも。任務で相談したい事あったんだけどな。
仕方ねーからサイと・・・・、
「ナルト」
うおっ!びびったぁー。急に背後から話しかけんなっての!つーか気配なさ過ぎじゃねえ?
いつの間に移動したんだってばよ・・・・マジ肩震えたって。
「な、なんだってばよ?カカシ先生~?」
今の答え方不自然じゃなかったってば?
「なに」
「へっ?」
「ちょっと余所余所しくない?」
「そ、そう?」
そりゃこっちのセリフだっての!
「ま、いーけど・・・お前これから暇?」
「え?あー・・・別に予定はないってばよ」
「そ」
「うん」
「・・・・・」
「・・・・?」
だー!だからナンだってばよ!!
なんでカカシ先生は黙ってじーっと人の顔見てんだってばよっ。
なんか怖ぇーっ。
「じゃあさ」
「うん」
「これからウチおいで」
「うん」
って返事しちまったけど。
「・・・あ・・・え?」
えーと・・・・?
なんでこういう展開になってるんだってばよ?
なあ、カカシ先生。腕引っ張らなくても自分で歩けるんだけど。
なあってば、
聞いてるってば?
「はぁ」
ホント、雨の日のカカシ先生って訳分かんねえ・・・。
7.行き・帰り
この道を歩くのはたったひとりの人に逢いに行くためだ。
息を弾ませて坂の頂上に見える空を眺めながら上り、帰りは少し俯き加減で坂を下りて行く。
浮きも沈むも全てたった一人の言葉次第。
そんな事に気付くたび、自分ばかりが相手を追い掛けている様な気分になる。
自分ばかりが好きなのではないかと。
本当は想い合う強さは同じだと信じたいのに。
「いらっしゃい」
この男の笑顔は優しくて、ずるくて、悔しい。
オレが落ち込んでいる時、この人は絶妙のタイミングで笑う。温かくて優しい顔を見せる。
友人達は胡散臭いと言うけれど、実際そう思うけど・・・みんなは知らねーから。
カカシ先生は時々不意にすっげぇ優しい顔をするって事。それがまたオレにだけ向けられてるってこと。
こんな風に言うと自惚れだって思われるかもしんねーけど、ホントのことだからオレってば・・・困る。
だってそんな顔見せられたら帰り辛くなるってばよ。
楽しい時間はあっという間に過ぎるし、そしたら暗くなる前に帰んなきゃなんねーし、お泊りなんてできねーし。
だって、なんでかってゆーと、お泊りってなんだか恥ずかしいってばよ。何でなのかは・・・・よく分かんねえケド。
「ナールト」
カカシ先生は声も優しい。
オレを呼ぶ時はいつもの倍甘い気がするってばよ。
・・・・・・・。
気がするだけかもしれないけど。
「ナルト?」
「うぇっ!?」
「さては・・・聞いてなかったな」
「へ?」
「外、もう大分暗くなったなって話」
「あっ!ほんとだ。気付かなかった」
やっべぇー、あの坂・・・夜はちょっと、なんだよな。
こ、怖くなんかねーけどっ!!
「あっという間だってばよ。この巻き物まだ読み終わってねえのに・・・」
「だからでしょ」
「?」
うん、だからね、今日は泊まっていきなよ。
困った。
困ったってばよ。
けど、困ったけど、嬉しい。
帰らなくても良いんだ。
そっかぁ。
今日は、カカシせんせーんち初めてのお泊りだってばよ!
8.甘い・辛い(捏造もいいとこ。パラレルカカシです)
うげぇ・・・。
ナルトはその食物を口に入れた途端とんでもない物を食べてしまったとあからさまに顔を歪めた。
非難の目は真向かいに座る調理した本人へ。
「あまっ!このカレー甘すぎだってばよ。なに入れたんだよカカシ先生!」
「ん~、チョコレート?」
「はぁっ!?」
「まろやかになるって聞いてな、入れてみたんだけどねえ・・・そんなに甘い?」
「甘いっ。センセーも食ってみろよ!」
甘すぎて食えねーから!
「そう?・・・・・」
そう言ってカカシ先生は半信半疑の様子でパクンと一口スプーンを咥えたけど、間も無くして黙ってオレを見つめ返してきた。
ほら見ろ!不味いだろ。
「だから言ったってばよ」
「・・・・・」
あまりの不味さに声も出ないのか、カカシ先生は吐き出す事も嚥下する事もできずに顔を歪めてる。
ほーらーなーチョコなんて入れるからこうなるんだってばよ。
「不味いね」
「不味いってばよ」
結局そのカレーライスは殆どを鍋に残したまま、オレ達の記憶からは「なかった」ことにされた。
あの味は・・・オェ・・・思い出すだけで気持ちが悪くなるってばよ。
それから一週間。
「まぁたカレー!?」
「大丈夫大丈夫、今度のは美味いぞ~」
ほんとかよぉ?大丈夫って二回も言ってる時点でなんかヤバイ感じがするってばよ。
「まあまあ、とにかく食ってみなさいって」
カカシ先生がすっげー笑顔で勧めるから・・・仕方ねえ食ってやるってばよ。滅茶苦茶不安だけど。
「・・・いただきまーす」
「はい召し上がれ~」
ぱくん、モグ・・・・!!!
「どう?」
あ、あ、あ、ありえねーっ!
「辛っ!なにこのカレー辛過ぎッ」
「この間は甘いって言ってたでしょ」
「限度ってもんがあるってばよ!今度のは辛すぎだっての!」
「我が儘だねえ」
「我が儘じゃねーってばよ!そんなこと言うならカカシ先生も食ってみろってばよ」
辛くて食えねえから!
「しょーがないねえ」
「しょーがなくねえっ」
「はいはい、頂きます」
「早く食えってばよ!」
パクンッ・・・・・・。
「うっ・・・・辛い・・・もの凄く」
「ほらなー」
だから言ってんじゃんか、辛いって。
ったく、甘かったり辛かったりカカシ先生の味覚ってばどうなってんだよ。
今度からご馳走してやるって言われても怖ぇーから調理中はオレが見張る!
「てか、ていうか、さ・・・」
カカシ先生・・・基本的に味見してねーだろ?
9.午前・午後(シリアス。この文章は苦手な方もいるかもです。寧ろ詩)
午前零時。
夜明けまで六時間は余裕のある刻。
任務は午後からだからそれまでフリー。ふつうなら家でぐっすり眠っている頃だ。そんな時間にわざわざこんな所まで来る理由は・・・・・ない。
特にない。
けれどひんやりした空気が寒いどころかとても心地好くて、理由なんかどうでもよく思えてくる。
明日辺り風邪を引くかもしれない。
そんな考えが過るけれど帰るつもりはない。今はこの独りの時間をひっそり過ごしたい。
そんな気分。
『オレにだってそーゆー日はあるってばよ』
「 」
そっと息を吐く。
誰もいない、静かな闇が広がるだけ。
無音が、ただ漂う。
いつの日だっただろうか。こんな真夜中、厚い雲が空を覆って月を隠し、闇が我が物顔で支配する世界で担当上忍を見かけた。暗部の忍服を纏ったその上忍は暗闇を見上げて見えない月を探して「見て」いた。まるで彼には冷たく光る月が見えているかのように。
その時声を掛けたとか、いつものように走っていって飛び付いたとか、そういう話ではない。
その時はなぜか声一つ出せずに、静かに揺れる銀糸とあの瞳を物陰からそっと見ていた。
ただそれだけだ。
『あん時は何でカカシ先生があんなとこであんな事をしていたのか分からなかったけど、今なら分かるってばよ』
ひっそりした時間。
自分以外誰もいない・・・・・。
彼もこんな気持ちだったのか。
「あ・・・」
ぼうっとしていたのか、時間が過ぎるのが速い。
昨日とは同じだが違う、新たな暖かい光が生まれ始めている。
気づいた時には思わず声を上げていた。
「朝だってばよ」
もうすぐ陽が昇る。また騒がしい一日が始まる。
朝靄に満ちる白い光がひとりの時間の終わりを告げていた。
一気に寒くなってきました。もうすぐ冬ですね。調べた所、日の出時刻の一番早い日は6月14日頃で、最も遅い日は1月8日頃なのだとか。
10.おはよう・おやすみ
一日のはじまりに「おはよう」って言って
一日の終わりに「おやすみ」って言う
それはとっても単純で何も考えていなくても言えてしまう言葉。
だけど相手がいなくては伝えられないし、言ったとしても独りでは味気ないし意味が無い。
だからその単純で一見何も考えなくても言えてしまう科白には、実はとても温かい想いが沢山詰まっていて、大事な合言葉なんだって思い知らされる。
だってこれがなくちゃ一日が始まる気がしないし、毎日ちゃんと生きてるんだって気がしない。
それは言い換えれば、この挨拶は大切なひとに向けて贈るんだってこと。
「おはようナルト」
って言われれば
「おはようカカシせんせい」
って返す
「おやすみカカシ先生っ」
って言うと
「おやすみナルト」
って返してくれる
これってじつはすっげぇ事で
すっげー嬉しい事
今までのオレには奇跡みたいに特別な事なんだってばよ。
そりゃあイルカ先生だって同じ事してくれたけど
カカシ先生との合言葉はなんていうか、もっと別の・・・もっと特別な事のような気がする。
だから今日もその大切なことを大切なひとに向けて
あったかい陽と共に「おはよう」って言って
夕闇と共に「おやすみ」って言うんだ
お題配布処-ふにふに-様